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第2章 異国の地
18話 再出発
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悪魔の襲撃があった翌朝。ドウメキは薄い布団の中で目を覚ました。
「ふぁあ……」
むくりと身体を起こす。結っていない髪がうっとおしく顔の前にかかった。風で揺れる薄いカーテンからはちかちかと太陽の光が瞬いている。
「あさだ……」
昨晩であった奇妙な生物。刀のこと。そんなことをぼんやりとベッドの上で考えていると、香ばしい匂いがふわりと漂ってきた。
のろのろとその匂いの元へ首を向ければ、ベーコンと目玉焼き、そして籠の中に入ったいくつかのパンがテーブルに置かれている。おそらく焼きたてなのであろう、ふわふわと白い湯気がわずかに揺らいでいた。
ドウメキは寝間着姿のまま起き上がると、匂いに誘われるがまま、おもむろにその籠の中に手を伸ばした――が、ぱしりと軽く手を叩かれて弾かれてしまう。
「顔くらい洗ってください」
「テオファン」
「おはようございます」
きっちりとカソックに着替え、いつものように髪を整えたテオファンがそこにはいた。彼はさっさと席に着くと、軽く手を動かした後にパンとコップを手に取る。特にドウメキを待っていたわけでもなく、先に食べ始めるようだ。
「顔、洗ってくる」
「あと三十分で出発しますから」
「……ええ~?」
なんで起こしてくれなかったんだよ、と心の中で愚痴を言いながらも、でも起きられなかった自分も悪いと思いながら、ドウメキは洗面台へ向かった。
「ドウメキさん早く!」
「あ、ああ!」
二人は駅に向かって走っていた。喜ばしいことに蒸気機関車は昨晩のうちに復旧し、本日朝一の便を確保することが出来たのだ。それでもドウメキの寝坊のおかげで時間はぎりぎりとなってしまい、こうして二人そろって猛ダッシュで機関車の扉へと猛ダッシュをしている。
「は、はぁッ、はッ!――ッ!」
「テオファン!遅いぞ!ああ、もう!」
駅のホームの中へ入ると、突然テオファンの走る速度ががくんと落ちた。その一秒後、機関車の警笛が鳴る。そろそろ扉が閉まってしまう。ドウメキは自分より息が上がり足が遅くなっているテオファンを掴み上げると、そのまま担ぎ上げて走り出した。
「うわぁああああッ!?ドウメキおい!何してんだ!」
「鞄離すな!」
「おい!あぁああ!!」
抱えられた状態でテオファンは鞄をしっかと抱きしめ、ぎゅうと目をつぶった。髪を揺らす風の強さからして、おおよそ人の速さではない速度が出ていることがわかる。目を開けて通りすぎる風景を見る勇気などなく、ただ声にならぬ悲鳴を上げて耐えた。
そしてすぐ近くで汽車が蒸気を吐き出す音が聞こえた頃、両方の靴の底が地面に触れた。
「……ふう。間に合った」
「……」
乗車口にそのままへたり込むテオファン。一方のドウメキはやり遂げたかのように額に浮いた汗をぬぐった。とても満足げな顔だった。ご褒美を強請る飼い犬のようだった。
「ジュリアンたちはもう乗ったのかな、次の便かな」
「……」
「テオファン、そんなところにいつまでも座ってないで、席行こう」
「……」
警笛がまた響き、ゴトンと汽車からの振動を座り込んだ尻や脚から感じる。そしてゆっくりと動き出したころ、テオファンはぽすりとドウメキの太腿を殴った。
汽車が動き出して半刻ほど。そろそろ機嫌を直したかなと判断したドウメキは、テオファンに「なぁ」と声をかけた。
「なんですか」
「ちょっと気になるんだけど」
二人が座っているのは、先日までと同じような座席である。向かい合うような状態で、小さなテーブルをはさんでいた。相変わらずテオファンは小難しい本を読んでいるし、ドウメキはぼんやりと窓の外を観察していた。
この車両には自分たち以外には誰もいない。それもテオファンが望んだことだった。
「テオファンって、なんでせーてんふーかいぎ?に出たいんだ?」
「……聖典封解儀、ですね」
テオファンは読んでいた本からちらりと目線をあげたが、再び活字へと落とした。
「出世の為です」
「嘘だろ」
「……」
すぐに返ってきたドウメキの否定の言葉。テオファンは少しばかり眉根を寄せると、じろりとドウメキを睨んだ。
「なぜ嘘だと」
「テオファンは、嘘をついているときはすこしだけにおいが違う。たぶん汗の臭い」
「……」
本を閉じ、自分の体の臭いを確認するように何度か首をまわすテオファン。だが、特に何も感じないとわかると、ドウメキをまっすぐ見据えた。
「……私の、本当の目的ですか」
がたん、ごとん。枕木を叩く車輪の音。伝わる僅かな振動。それらに身を任せるようにテオファンは目を閉じたが、数秒後、ゆっくりと長いまつ毛を開けた。
ひたと鮮やかな緑眼と、濁った紅い視線が交わる。テオファンの眼の中に映るドウメキは、あまりにも童子のような顔をしていた。見知らぬ物事に顔を突っ込み、意味もわからず期待をする童子の面だ。
そのまま緑と赤の視線が見つめ合う事三重秒ほど。テオファンはやっと薄い唇を開いた。
「ニフェゼド教の秘密を暴くためです」
――ニフェゼド教の秘密。それを聞き、ドウメキは思わず「はぁ?」と声を漏らした。
あのテオファンのことだ。どうせ現実的で、合理的で、味気のない答えだと思っていた。例えば嫌いなあいつを蹴落とすとか、例えば誰かの弱みを握りたいとか――そういう『夢も希望もない』、そんなことを言い出すと思っていたのだ。
それが、「秘密を暴く」などという、子供じみたことだとは。
「今、子供っぽいって思いましたね」
「いや、思ってない」
急いで首を振って否定するドウメキの顔には「ばれたら怒られる」という心の声がありありと書かれていた。しかしテオファンはそれ以上の言及はせず、ごそごそと荷物を漁って一冊の本――聖書を取り出す。
「聖書?」
「ええ。この聖書には、主の偉業や人が犯した罪、そしてその教訓についてもつづられています。大半は……フィクションと思っていいでしょう」
「聖職者がそんなこと言っていいのか」
聖書の内容をフィクションなどと言ってしまうのは、信仰者としてはダメなのではないか。そうドウメキは思ったが、テオファンは「私は主の在り方に信仰を持っているだけで、盲目的に信じているわけではありません」とさらりと躱す。一応この青年にも信仰心はあるようだが、敬虔とは言い難い。
「しかしフィクションと言えども、根本からの作り話ではありません。聖書のお話は、なにかしらの歴史的事件がなぞられています」
例えば、とページを繰り、テオファンはずらりと並んだ文字列を指さす。
「ここは主が洪水を起こし、人の堕落を裁いたと言われていますが、この洪水は実際に起こった災害なのです。正式には洪水ではなく、火山の噴火による火砕流でしたが……それで滅んだ文明もあります。聖書はそういった事件を主の奇跡や、架空の人間の罪の話として載せているのです」
ふんふん、とドウメキはとりあえず相槌を打った。歴史やら奇跡やら文明やらの話はさっぱりわからない。
「けれど、その中でもひとつだけ、宗教史と何もリンクしていない説があります。それが、この『青い月』」
ページをめくる。手が止まった紙には、月を見上げて祈る人の絵が描かれていた。
ドウメキも昨夜ちらりと見たページだ。あの時は特に何も感じずに素通りしたが、今こうしてしっかりとみると、僅かにだが他のページと比べてインクの劣化が見られる。おそらく、何度もこのページを見直したからなのだろう。
「青い、つき?」
「ええ。この話だけ『異質』なんですよ。ざっくり話をすると……人間が祈ると青い月が現れ、邪悪な者を退けた、という話なんですが」
ぱたん、と本を閉じる。本の背表紙の金文字は擦り切れ、この聖書が幾度となく捲られてきたことを示していた。
「他の逸話は、たいてい人の罪と主の尊さについて書かれています。それは信仰の為のものですから、当たり前です。けれど、この『青い月』だけは、まるで『人間が作った青い月が奇跡を起こした』ように――即ち、人間の創造物の奇跡について書かれているのです」
「だからどうした」
「いいですか。人間の偉業、それも人工物に対する偉業なんて、聖書としては主を否定する材料をわざわざ載せているようなものなのですよ」
人工物に対するニフェゼドの考え方は、現に厳しいものであった。
その一例として、聖都を中心としているインフルト大陸では、銃の使用を厳しく取り締まっている。表の言い分は「命を指先ひとつで奪える兵器を規制する為」ではあるが、その真実は「神力よりはるかに強い人工物を禁止する為」という、信仰の保守の為であった。そのため、製造の技術は浸透していても、銃を所持できるのは特別な許可を得た人間か、あるいは軍人だけである。
だから、聖書に人工物に対する賞賛が書かれていることは、自ら信仰の威厳を薄れさせていく異常事態ということとなる。
ドウメキに青い月の説明をしているテオファンは柄にもなく興奮しているようだった。おそらくは、この違和感をずっと抱えて生きてきたのだろう。用心深く計算高い彼の事だ、口外などしたことがない。そんな『秘密』を共有する。子供じみたことではあったが、まだ二十にもなっていない少年にとっては自分の功績をひけらかすような誇らしさがあった。
「私の真の目的はこの青い月の秘密を解き明かし、そして獣を――」
そこではた、とテオファンの口が止まる。
ぎょろりと緑の眼が動く。黒目の先が、ドウメキの座っている更に奥、車両の扉に注がれる。
顔から血の気が失せ、しかし目は一点からそらすことなく、聖書を小さなテーブルの上に置いた。
どうしたとドウメキは口をはさむ前に、彼が見ている方向――自身の背後をのろのろと振り返った。扉に取り付けられている薄い曇りガラスの向こう、何かが動いた気がした。
「……誰です」
瞬きひとつせず、テオファンが扉の向こう側へと声をかける。
もぞり、と影が動き、ゆっくりとドアノブが回る。
「……」
ドウメキは息を止めて、扉の向こうの何者かを注視した。
「な、なんだよー!怖い顔するなって!」
「はぇ?」
思わず間抜けな声を出したのはドウメキだ。それも無理はない。なぜなら、扉から姿を現したのは――
「おい兄ちゃん、また会ったな!昨日の夜はありがとな!」
「え、え」
短いくせ毛に、古びたオーバーオール。やや大きめの帽子は、親からのもらい物なのだろうか。昨晩暗闇でみたときよりかは表情ははっきりと見える。――そう、あの少年だ。ドウメキが悪魔から助けた少年が、そこにはいた。
「すごい速さで駆け込む兄ちゃんたちを見て俺も乗っちゃった。ってことでよろしく!」
「え、よろしくって、え?」
いまだに状況がつかめないドウメキは口をぽかんと開け、少年は「はははー」と気まずそうに笑った。そして、遠慮した様子を見せずにずいずいと二人の方へ歩いてくる。いや、そもそもこの少年は、この汽車の切符を持っているのだろうか。
固まる二人をよそに、少年は再び笑った。
「俺さぁ、実は――」
「どこから聞いてたガキ!」
瞬時。少年の体が空中で持ち上がった。
ぽさり、とかぶっていた帽子が落ちる。悲鳴はあがらなかった。なぜなら、少年の首の肉は見えない糸に縛られたかのように引き絞られていたからだ。
おそらくそのせいで体も持ち上がっているのだろう。少年は突然の出来事にわけもわからず手足をじたばたとさせている。何に首を絞められたのかも、何に縛られたかもわからず。そうしている間にも少年の右手が、左手が、順番に引き縛られていく。
無論……それをやっている張本人は、ドウメキの目の前に座っている赤毛の聖職者だった。
「テオファン、」
「どこから聞いてた。なんのために来た。おい、答えろ」
唇が震え、緑の眼はぎらぎらと光を増す。いつもの柔らかい口調は消えて、とげとげしい言葉が投げつけられる。
瞬きひとつせず、愛想笑いひとつせず。怒りを超えた憎悪がどろりと溢れ出す。
「か、かぁ、あ」
少年は答えない。いや、首を締められているのだ。答えられるはずもない。
それでもテオファンはやめない。右手の指がじわじわと曲げられていく。ぎりぎりと細い首に糸が食い込み、薄い皮膚からぶつりと血が流れる。
「テオファン、やめろ」
「こいつが俺の話を聞いてないなんて証拠はねぇだろ」
「テオファン、やめてくれ。それじゃ本人も答えられない」
「あ?」
「……」
少し迷い、座席に寝かせていた刀を手に取る。テオファンが一番嫌がりそうなことを必死に考える。そうまでしないとこの人は止まらない。無理にドウメキが手を押さえようものなら、きっと最初に自分の首が刎ねられるとわかった。
だから、ドウメキはひと呼吸をし、彼が一番嫌う事を言った。
「ここで殺したら、テオファンが犯人だと思われる」
「……」
「しゃべらせて、嘘ついてたら、俺があの子を汽車から放り投げる。そうすれば、誰が殺したかわからない」
「……」
どさり、と少年の体が床へ投げ出される。テオファンが『ここで少年を殺すことの利益』よりも、『ここで少年を殺すことの損害』が大きいと判断した証拠であった。降ろされた少年は何度もせき込むと、首を撫でて皮膚が繋がっているのを確認した。手は隠しきれないくらいに震えていた。
「……あ、あの、俺は何も聞いてない。あそこからじゃ声なんて聞こえないし、そ、そう、聖職者さんが、聖書、聖書指さしてたのは見た。でも。それだけで、本当に声は聞いてない。喋ってるのはもちろん分かったけど、汽車の音煩いし、本当に」
真っ青な顔をして床を這いながら二人のところまで来ると、少年は頭を深々と下げた。古びたオーバーオールのポケットから、鈍い色をした懐中時計が零れ落ちる。
「ごめんなさい、何か気分を害されたら、おれのせいだけど、俺は、何も、すみません、ごめんなさい」
「……顔を上げてください」
だんだんと涙声になっていく少年に、テオファンはため息と共に足を組んだ。カソックの裾がさらりと音を立てる。
「おおよその事情はわかりました。聖都へ行きたいのでしょう、機工師さん」
「……え、」
顔をあげた少年は『機工師』という言葉に目を見開く。ぽろりと涙が一粒こぼれた。
「聖都へ行きたいから聖職者の協力が必要だったのでしょう。理解はしました。……少し大事なお話をしていたもので、私もついかっとなってしまいました。ごめんなさいね」
手袋をした手を屈みこんだ少年の前に差し出す。少年は意味も分からないという風にテオファンの手と顔を交互に見ていたが、その手をとることなく立ち上がって「なんで」と震える声で尋ねた。
「落とした懐中時計。銀ではない鉄製でありながら、精工なカラクリで動いているようでしたので。職人のサインも入っていませんし、貴方の身なりからして高価な懐中時計を買えるようには見えない。となると、手作り、あるいはもらい物……かなと」
次にテオファンは少年の爪を指さす。
「爪の間に機械のオイルが付いていました。懐中時計を自作できる技術を持ち、機械を扱う人間なら機工師であると推測しました。……さらに言うと、貴方は無名な機工師。普段は駅で雑用をこなしており、機工師は本職ではない。けれど夢は持っていて、今朝、この電車に乗り込む私たち……厳密にいえば聖職者を見かけ、私に頼み込んで聖都へ行くことにした。聖都なら技術も磨けますし、いい話が落ちているかもしれないですから。全てただの憶測ですが」
少年の身なりは粗末で、この聖都行きの汽車の切符を買えそうではない。要するに、無賃乗車をしたのだろう。だが、そんな横暴が出来るほど頭は良さそうではなかった上、とんでもない速度で走って乗り込んできたテオファンらを途中から追いかけるのは不可能である。
ことの始まりは昨日の騒ぎだろう。テオファンが文句を垂れる人間をたしなめたとき、駅で働いていた少年はニフェゼド教の聖職者がいることを知った。そしてあわよくば聖都へ行く手伝いをしてもらえばと思い、今日も雑用をしつつ聖職者が来ないか見張っていたのだ。
聖都へはそれなりの身分がなければ入れない。だが、聖職者と同行していれば話は別になる。
「すごい。正解だよ……」
「ただの妄想が当たって何よりです、少年」
「でもな!一か所間違えてるぜ」
少年はごしごしと目じりを拭うと、足元に落ちていた帽子を拾った。
「俺は少年じゃない。女だ。今年で二十四のな!」
その後。年齢詐欺だと騒ぐドウメキと、殺されてもいいから聖都へ連れて行ってほしいと頼む少年――もとい、女性マウラに挟まれたテオファンは、ほとんど根負けするようにして、彼女の同行を許した。機工師となれば科学的な技術見解を持っているだろうという利用価値を最終的に見出したためだった。
なぜか増えてしまった『同行者たち』に唇を尖らせながらも、テオファンはリュトコの駅で感じた気配を思い出す。
(昨晩、あそこに悪魔はおそらくいた。が、倒された……。枢機卿の力、俺が思っている以上だな)
これからの聖典封解儀はどうなることやら。窓の外の空がどんよりとした雲を浮かべているのを見ながら、テオファンは聖都の地図を頭に思い浮かべた。
「ふぁあ……」
むくりと身体を起こす。結っていない髪がうっとおしく顔の前にかかった。風で揺れる薄いカーテンからはちかちかと太陽の光が瞬いている。
「あさだ……」
昨晩であった奇妙な生物。刀のこと。そんなことをぼんやりとベッドの上で考えていると、香ばしい匂いがふわりと漂ってきた。
のろのろとその匂いの元へ首を向ければ、ベーコンと目玉焼き、そして籠の中に入ったいくつかのパンがテーブルに置かれている。おそらく焼きたてなのであろう、ふわふわと白い湯気がわずかに揺らいでいた。
ドウメキは寝間着姿のまま起き上がると、匂いに誘われるがまま、おもむろにその籠の中に手を伸ばした――が、ぱしりと軽く手を叩かれて弾かれてしまう。
「顔くらい洗ってください」
「テオファン」
「おはようございます」
きっちりとカソックに着替え、いつものように髪を整えたテオファンがそこにはいた。彼はさっさと席に着くと、軽く手を動かした後にパンとコップを手に取る。特にドウメキを待っていたわけでもなく、先に食べ始めるようだ。
「顔、洗ってくる」
「あと三十分で出発しますから」
「……ええ~?」
なんで起こしてくれなかったんだよ、と心の中で愚痴を言いながらも、でも起きられなかった自分も悪いと思いながら、ドウメキは洗面台へ向かった。
「ドウメキさん早く!」
「あ、ああ!」
二人は駅に向かって走っていた。喜ばしいことに蒸気機関車は昨晩のうちに復旧し、本日朝一の便を確保することが出来たのだ。それでもドウメキの寝坊のおかげで時間はぎりぎりとなってしまい、こうして二人そろって猛ダッシュで機関車の扉へと猛ダッシュをしている。
「は、はぁッ、はッ!――ッ!」
「テオファン!遅いぞ!ああ、もう!」
駅のホームの中へ入ると、突然テオファンの走る速度ががくんと落ちた。その一秒後、機関車の警笛が鳴る。そろそろ扉が閉まってしまう。ドウメキは自分より息が上がり足が遅くなっているテオファンを掴み上げると、そのまま担ぎ上げて走り出した。
「うわぁああああッ!?ドウメキおい!何してんだ!」
「鞄離すな!」
「おい!あぁああ!!」
抱えられた状態でテオファンは鞄をしっかと抱きしめ、ぎゅうと目をつぶった。髪を揺らす風の強さからして、おおよそ人の速さではない速度が出ていることがわかる。目を開けて通りすぎる風景を見る勇気などなく、ただ声にならぬ悲鳴を上げて耐えた。
そしてすぐ近くで汽車が蒸気を吐き出す音が聞こえた頃、両方の靴の底が地面に触れた。
「……ふう。間に合った」
「……」
乗車口にそのままへたり込むテオファン。一方のドウメキはやり遂げたかのように額に浮いた汗をぬぐった。とても満足げな顔だった。ご褒美を強請る飼い犬のようだった。
「ジュリアンたちはもう乗ったのかな、次の便かな」
「……」
「テオファン、そんなところにいつまでも座ってないで、席行こう」
「……」
警笛がまた響き、ゴトンと汽車からの振動を座り込んだ尻や脚から感じる。そしてゆっくりと動き出したころ、テオファンはぽすりとドウメキの太腿を殴った。
汽車が動き出して半刻ほど。そろそろ機嫌を直したかなと判断したドウメキは、テオファンに「なぁ」と声をかけた。
「なんですか」
「ちょっと気になるんだけど」
二人が座っているのは、先日までと同じような座席である。向かい合うような状態で、小さなテーブルをはさんでいた。相変わらずテオファンは小難しい本を読んでいるし、ドウメキはぼんやりと窓の外を観察していた。
この車両には自分たち以外には誰もいない。それもテオファンが望んだことだった。
「テオファンって、なんでせーてんふーかいぎ?に出たいんだ?」
「……聖典封解儀、ですね」
テオファンは読んでいた本からちらりと目線をあげたが、再び活字へと落とした。
「出世の為です」
「嘘だろ」
「……」
すぐに返ってきたドウメキの否定の言葉。テオファンは少しばかり眉根を寄せると、じろりとドウメキを睨んだ。
「なぜ嘘だと」
「テオファンは、嘘をついているときはすこしだけにおいが違う。たぶん汗の臭い」
「……」
本を閉じ、自分の体の臭いを確認するように何度か首をまわすテオファン。だが、特に何も感じないとわかると、ドウメキをまっすぐ見据えた。
「……私の、本当の目的ですか」
がたん、ごとん。枕木を叩く車輪の音。伝わる僅かな振動。それらに身を任せるようにテオファンは目を閉じたが、数秒後、ゆっくりと長いまつ毛を開けた。
ひたと鮮やかな緑眼と、濁った紅い視線が交わる。テオファンの眼の中に映るドウメキは、あまりにも童子のような顔をしていた。見知らぬ物事に顔を突っ込み、意味もわからず期待をする童子の面だ。
そのまま緑と赤の視線が見つめ合う事三重秒ほど。テオファンはやっと薄い唇を開いた。
「ニフェゼド教の秘密を暴くためです」
――ニフェゼド教の秘密。それを聞き、ドウメキは思わず「はぁ?」と声を漏らした。
あのテオファンのことだ。どうせ現実的で、合理的で、味気のない答えだと思っていた。例えば嫌いなあいつを蹴落とすとか、例えば誰かの弱みを握りたいとか――そういう『夢も希望もない』、そんなことを言い出すと思っていたのだ。
それが、「秘密を暴く」などという、子供じみたことだとは。
「今、子供っぽいって思いましたね」
「いや、思ってない」
急いで首を振って否定するドウメキの顔には「ばれたら怒られる」という心の声がありありと書かれていた。しかしテオファンはそれ以上の言及はせず、ごそごそと荷物を漁って一冊の本――聖書を取り出す。
「聖書?」
「ええ。この聖書には、主の偉業や人が犯した罪、そしてその教訓についてもつづられています。大半は……フィクションと思っていいでしょう」
「聖職者がそんなこと言っていいのか」
聖書の内容をフィクションなどと言ってしまうのは、信仰者としてはダメなのではないか。そうドウメキは思ったが、テオファンは「私は主の在り方に信仰を持っているだけで、盲目的に信じているわけではありません」とさらりと躱す。一応この青年にも信仰心はあるようだが、敬虔とは言い難い。
「しかしフィクションと言えども、根本からの作り話ではありません。聖書のお話は、なにかしらの歴史的事件がなぞられています」
例えば、とページを繰り、テオファンはずらりと並んだ文字列を指さす。
「ここは主が洪水を起こし、人の堕落を裁いたと言われていますが、この洪水は実際に起こった災害なのです。正式には洪水ではなく、火山の噴火による火砕流でしたが……それで滅んだ文明もあります。聖書はそういった事件を主の奇跡や、架空の人間の罪の話として載せているのです」
ふんふん、とドウメキはとりあえず相槌を打った。歴史やら奇跡やら文明やらの話はさっぱりわからない。
「けれど、その中でもひとつだけ、宗教史と何もリンクしていない説があります。それが、この『青い月』」
ページをめくる。手が止まった紙には、月を見上げて祈る人の絵が描かれていた。
ドウメキも昨夜ちらりと見たページだ。あの時は特に何も感じずに素通りしたが、今こうしてしっかりとみると、僅かにだが他のページと比べてインクの劣化が見られる。おそらく、何度もこのページを見直したからなのだろう。
「青い、つき?」
「ええ。この話だけ『異質』なんですよ。ざっくり話をすると……人間が祈ると青い月が現れ、邪悪な者を退けた、という話なんですが」
ぱたん、と本を閉じる。本の背表紙の金文字は擦り切れ、この聖書が幾度となく捲られてきたことを示していた。
「他の逸話は、たいてい人の罪と主の尊さについて書かれています。それは信仰の為のものですから、当たり前です。けれど、この『青い月』だけは、まるで『人間が作った青い月が奇跡を起こした』ように――即ち、人間の創造物の奇跡について書かれているのです」
「だからどうした」
「いいですか。人間の偉業、それも人工物に対する偉業なんて、聖書としては主を否定する材料をわざわざ載せているようなものなのですよ」
人工物に対するニフェゼドの考え方は、現に厳しいものであった。
その一例として、聖都を中心としているインフルト大陸では、銃の使用を厳しく取り締まっている。表の言い分は「命を指先ひとつで奪える兵器を規制する為」ではあるが、その真実は「神力よりはるかに強い人工物を禁止する為」という、信仰の保守の為であった。そのため、製造の技術は浸透していても、銃を所持できるのは特別な許可を得た人間か、あるいは軍人だけである。
だから、聖書に人工物に対する賞賛が書かれていることは、自ら信仰の威厳を薄れさせていく異常事態ということとなる。
ドウメキに青い月の説明をしているテオファンは柄にもなく興奮しているようだった。おそらくは、この違和感をずっと抱えて生きてきたのだろう。用心深く計算高い彼の事だ、口外などしたことがない。そんな『秘密』を共有する。子供じみたことではあったが、まだ二十にもなっていない少年にとっては自分の功績をひけらかすような誇らしさがあった。
「私の真の目的はこの青い月の秘密を解き明かし、そして獣を――」
そこではた、とテオファンの口が止まる。
ぎょろりと緑の眼が動く。黒目の先が、ドウメキの座っている更に奥、車両の扉に注がれる。
顔から血の気が失せ、しかし目は一点からそらすことなく、聖書を小さなテーブルの上に置いた。
どうしたとドウメキは口をはさむ前に、彼が見ている方向――自身の背後をのろのろと振り返った。扉に取り付けられている薄い曇りガラスの向こう、何かが動いた気がした。
「……誰です」
瞬きひとつせず、テオファンが扉の向こう側へと声をかける。
もぞり、と影が動き、ゆっくりとドアノブが回る。
「……」
ドウメキは息を止めて、扉の向こうの何者かを注視した。
「な、なんだよー!怖い顔するなって!」
「はぇ?」
思わず間抜けな声を出したのはドウメキだ。それも無理はない。なぜなら、扉から姿を現したのは――
「おい兄ちゃん、また会ったな!昨日の夜はありがとな!」
「え、え」
短いくせ毛に、古びたオーバーオール。やや大きめの帽子は、親からのもらい物なのだろうか。昨晩暗闇でみたときよりかは表情ははっきりと見える。――そう、あの少年だ。ドウメキが悪魔から助けた少年が、そこにはいた。
「すごい速さで駆け込む兄ちゃんたちを見て俺も乗っちゃった。ってことでよろしく!」
「え、よろしくって、え?」
いまだに状況がつかめないドウメキは口をぽかんと開け、少年は「はははー」と気まずそうに笑った。そして、遠慮した様子を見せずにずいずいと二人の方へ歩いてくる。いや、そもそもこの少年は、この汽車の切符を持っているのだろうか。
固まる二人をよそに、少年は再び笑った。
「俺さぁ、実は――」
「どこから聞いてたガキ!」
瞬時。少年の体が空中で持ち上がった。
ぽさり、とかぶっていた帽子が落ちる。悲鳴はあがらなかった。なぜなら、少年の首の肉は見えない糸に縛られたかのように引き絞られていたからだ。
おそらくそのせいで体も持ち上がっているのだろう。少年は突然の出来事にわけもわからず手足をじたばたとさせている。何に首を絞められたのかも、何に縛られたかもわからず。そうしている間にも少年の右手が、左手が、順番に引き縛られていく。
無論……それをやっている張本人は、ドウメキの目の前に座っている赤毛の聖職者だった。
「テオファン、」
「どこから聞いてた。なんのために来た。おい、答えろ」
唇が震え、緑の眼はぎらぎらと光を増す。いつもの柔らかい口調は消えて、とげとげしい言葉が投げつけられる。
瞬きひとつせず、愛想笑いひとつせず。怒りを超えた憎悪がどろりと溢れ出す。
「か、かぁ、あ」
少年は答えない。いや、首を締められているのだ。答えられるはずもない。
それでもテオファンはやめない。右手の指がじわじわと曲げられていく。ぎりぎりと細い首に糸が食い込み、薄い皮膚からぶつりと血が流れる。
「テオファン、やめろ」
「こいつが俺の話を聞いてないなんて証拠はねぇだろ」
「テオファン、やめてくれ。それじゃ本人も答えられない」
「あ?」
「……」
少し迷い、座席に寝かせていた刀を手に取る。テオファンが一番嫌がりそうなことを必死に考える。そうまでしないとこの人は止まらない。無理にドウメキが手を押さえようものなら、きっと最初に自分の首が刎ねられるとわかった。
だから、ドウメキはひと呼吸をし、彼が一番嫌う事を言った。
「ここで殺したら、テオファンが犯人だと思われる」
「……」
「しゃべらせて、嘘ついてたら、俺があの子を汽車から放り投げる。そうすれば、誰が殺したかわからない」
「……」
どさり、と少年の体が床へ投げ出される。テオファンが『ここで少年を殺すことの利益』よりも、『ここで少年を殺すことの損害』が大きいと判断した証拠であった。降ろされた少年は何度もせき込むと、首を撫でて皮膚が繋がっているのを確認した。手は隠しきれないくらいに震えていた。
「……あ、あの、俺は何も聞いてない。あそこからじゃ声なんて聞こえないし、そ、そう、聖職者さんが、聖書、聖書指さしてたのは見た。でも。それだけで、本当に声は聞いてない。喋ってるのはもちろん分かったけど、汽車の音煩いし、本当に」
真っ青な顔をして床を這いながら二人のところまで来ると、少年は頭を深々と下げた。古びたオーバーオールのポケットから、鈍い色をした懐中時計が零れ落ちる。
「ごめんなさい、何か気分を害されたら、おれのせいだけど、俺は、何も、すみません、ごめんなさい」
「……顔を上げてください」
だんだんと涙声になっていく少年に、テオファンはため息と共に足を組んだ。カソックの裾がさらりと音を立てる。
「おおよその事情はわかりました。聖都へ行きたいのでしょう、機工師さん」
「……え、」
顔をあげた少年は『機工師』という言葉に目を見開く。ぽろりと涙が一粒こぼれた。
「聖都へ行きたいから聖職者の協力が必要だったのでしょう。理解はしました。……少し大事なお話をしていたもので、私もついかっとなってしまいました。ごめんなさいね」
手袋をした手を屈みこんだ少年の前に差し出す。少年は意味も分からないという風にテオファンの手と顔を交互に見ていたが、その手をとることなく立ち上がって「なんで」と震える声で尋ねた。
「落とした懐中時計。銀ではない鉄製でありながら、精工なカラクリで動いているようでしたので。職人のサインも入っていませんし、貴方の身なりからして高価な懐中時計を買えるようには見えない。となると、手作り、あるいはもらい物……かなと」
次にテオファンは少年の爪を指さす。
「爪の間に機械のオイルが付いていました。懐中時計を自作できる技術を持ち、機械を扱う人間なら機工師であると推測しました。……さらに言うと、貴方は無名な機工師。普段は駅で雑用をこなしており、機工師は本職ではない。けれど夢は持っていて、今朝、この電車に乗り込む私たち……厳密にいえば聖職者を見かけ、私に頼み込んで聖都へ行くことにした。聖都なら技術も磨けますし、いい話が落ちているかもしれないですから。全てただの憶測ですが」
少年の身なりは粗末で、この聖都行きの汽車の切符を買えそうではない。要するに、無賃乗車をしたのだろう。だが、そんな横暴が出来るほど頭は良さそうではなかった上、とんでもない速度で走って乗り込んできたテオファンらを途中から追いかけるのは不可能である。
ことの始まりは昨日の騒ぎだろう。テオファンが文句を垂れる人間をたしなめたとき、駅で働いていた少年はニフェゼド教の聖職者がいることを知った。そしてあわよくば聖都へ行く手伝いをしてもらえばと思い、今日も雑用をしつつ聖職者が来ないか見張っていたのだ。
聖都へはそれなりの身分がなければ入れない。だが、聖職者と同行していれば話は別になる。
「すごい。正解だよ……」
「ただの妄想が当たって何よりです、少年」
「でもな!一か所間違えてるぜ」
少年はごしごしと目じりを拭うと、足元に落ちていた帽子を拾った。
「俺は少年じゃない。女だ。今年で二十四のな!」
その後。年齢詐欺だと騒ぐドウメキと、殺されてもいいから聖都へ連れて行ってほしいと頼む少年――もとい、女性マウラに挟まれたテオファンは、ほとんど根負けするようにして、彼女の同行を許した。機工師となれば科学的な技術見解を持っているだろうという利用価値を最終的に見出したためだった。
なぜか増えてしまった『同行者たち』に唇を尖らせながらも、テオファンはリュトコの駅で感じた気配を思い出す。
(昨晩、あそこに悪魔はおそらくいた。が、倒された……。枢機卿の力、俺が思っている以上だな)
これからの聖典封解儀はどうなることやら。窓の外の空がどんよりとした雲を浮かべているのを見ながら、テオファンは聖都の地図を頭に思い浮かべた。
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