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8章
前夜
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気が付くと、私はツァインの城の中にある宛がわれた自分の部屋にいた。
「ふう……なんとか戻ってこれたね……でも、あの様子じゃまた何かしてくるかもしれないよね……」
最後の最後まで自分の事を信じられないと言っていた『世界』
そりゃあそうである、リーンを倒せる保証もないのに結界を壊そうとしているのだから…。
「でも、お陰で魔力がさらに上がったよ……これなら」
あのリーンにも対抗できるのではないだろうか……。
リーンの力の底は前回の戦いでは全く見れていない……クオンやディータが簡単にあしらわれるほどの強さである……どれだけの底力を持っているのか……。
「カモメ!」
ノックもなしに慌てた様子でいきなり部屋に入ってくるディータ。
いきなりの事に私も驚いた。
「どうしたの、ディータ?」
「今、おかしな気配を……どういうこと?」
「うん?」
ディータが私を見て訝し気な表情をする。
「貴方……カモメよね……?」
「え、そうだよ?どうしたの?」
「なんというか……魔力の質が変わった?……一体何があったの?」
「ディータさん、どうしたんですの!?」
少し遅れて、エリンシアも部屋に入ってきた。
「たはは……うん、説明するから部屋に入って」
どうやら、異変を感じたディータがエリンシアと話をしている最中に血相を変えて走り出したらしい。
エリンシアはそんなディータを慌てて追いかけてきたのだそうだ。
慌てた様子の二人に私は『世界』に異空間に捕らわれたこと、そして中で起きたことを説明した。
「そんなことがありましたの……それで、カモメさん、身体に異常とかはありませんの?」
「うん、自分を受け入れただけだからね……特に問題ないよ」
「そう、よかったわ、でもイラつくわね『世界』私の姿をした人形にカモメを襲わせるなんて……」
「ですわね……しかもクオンさんやヴィクトールさんまで使って……」
信頼している者に死ねと言われる……ただでさえ、カモメは濡れ衣を着せられ色々な人間に追いかけられる生活を送ってきたのだ。そんな中支えていた人間にそんなことを言われたら……カモメの心は傷つくだろう……それが解るエリンシア達だからこそ、『世界』へ対するいら立ちを隠せないのだった。
「でも、それだけ『世界』も必死なんだと思う」
「『世界』にとって『魔』はそれだけ脅威なんですわね」
「結局『魔』は世界の中にあった者なんでしょう……自分を怖がるなんて滑稽ね」
「でも、自分で自分が怖いって思う気持ちわからなくもないよ……私だって、自分の中の『魔』が怖かったもん」
「…………はあ、まあ、そうよね。自分で自分を制御できない時って誰しもあるものだもの」
そう、自分自身の事なのに自分で制御できないことっては皆きっとあるんだと思う……そして、そんな自分が怖いと思ったこともきっとみんなあるだろう。
『世界』はそれに耐えきれず、自分を一部切り離したのだ……まあ、普通の人間にそんなことは出来ないけど、それが出来る『世界』だったからこそ『魔』っていう脅威が生まれちゃったんだよね。
そして、それは慈悲の女神リーンの身体を乗っ取り……今や、『世界』を殺せるかもしれない力をもっているのだ……。
「ですけど、カモメさんもパワーアップしたということですわよね?」
「うん、魔が持っていた力も引き出せるようになったから闇の魔法の力もアップしたね」
「それだけじゃないわね……魔力の質がまるで別者よ……ここまで綺麗な魔力は見たことがないわ」
相も変わらず、私の魔力は黒い……普通の人が見れば恐らく恐怖の対象でしかないだろう……闇の魔女の肩書が相応しいほどに真っ黒な魔力が私の周りを纏う。
闇の魔法をディータに教えてもらった時から魔力の色と髪の色が黒に変わったが……どうやら、元々私の本質の色が黒だったのだろう……今の魔力は今までの中で一番私にしっくりくるのだ。
「これでリーンを倒せるかわからない……分からないけど倒さなきゃいけない」
「何言ってるのよカモメ」
「え?」
「ワタクシ達なら楽勝ですわ♪」
二人だってきっと不安はあるだろう、作戦を立て、リーンを倒せる算段も立っている……だけど、敵の底力が分からない……勝てる確率で言えば50%あればいい方だ……いや、30%くらいかな?
計算の苦手な私にはよくわからないけど……そんなに高くないのは確かである。
それでも、私は勝たなきゃいけない……クオン達の為、この大地に住む人の為……ううん、私の為に。
『魔』なんていうのを野放しにしたらのんびりクオン達と冒険できないもんね♪
そう、私は冒険者として冒険がしたいのだ……ずっと、冒険らしい冒険が出来ていない……クオンやエリンシア、そしてディータ達とハラハラする冒険をしたい……その為にも私は勝たなきゃいけないんだ。
「うん、絶対に勝つ」
「その意気よ」
「ですわですわ♪」
「それじゃ、今日はもう休みなさい……明日は本番よ」
「うん」
そう言うと、ディータ達はそれぞれの部屋に戻っていく。
全ては明日………何が何でもリーンを倒して見せる!
私はクオンの髪の色と同じ星空を見ながらそう心に強く思うのだった。
「ふう……なんとか戻ってこれたね……でも、あの様子じゃまた何かしてくるかもしれないよね……」
最後の最後まで自分の事を信じられないと言っていた『世界』
そりゃあそうである、リーンを倒せる保証もないのに結界を壊そうとしているのだから…。
「でも、お陰で魔力がさらに上がったよ……これなら」
あのリーンにも対抗できるのではないだろうか……。
リーンの力の底は前回の戦いでは全く見れていない……クオンやディータが簡単にあしらわれるほどの強さである……どれだけの底力を持っているのか……。
「カモメ!」
ノックもなしに慌てた様子でいきなり部屋に入ってくるディータ。
いきなりの事に私も驚いた。
「どうしたの、ディータ?」
「今、おかしな気配を……どういうこと?」
「うん?」
ディータが私を見て訝し気な表情をする。
「貴方……カモメよね……?」
「え、そうだよ?どうしたの?」
「なんというか……魔力の質が変わった?……一体何があったの?」
「ディータさん、どうしたんですの!?」
少し遅れて、エリンシアも部屋に入ってきた。
「たはは……うん、説明するから部屋に入って」
どうやら、異変を感じたディータがエリンシアと話をしている最中に血相を変えて走り出したらしい。
エリンシアはそんなディータを慌てて追いかけてきたのだそうだ。
慌てた様子の二人に私は『世界』に異空間に捕らわれたこと、そして中で起きたことを説明した。
「そんなことがありましたの……それで、カモメさん、身体に異常とかはありませんの?」
「うん、自分を受け入れただけだからね……特に問題ないよ」
「そう、よかったわ、でもイラつくわね『世界』私の姿をした人形にカモメを襲わせるなんて……」
「ですわね……しかもクオンさんやヴィクトールさんまで使って……」
信頼している者に死ねと言われる……ただでさえ、カモメは濡れ衣を着せられ色々な人間に追いかけられる生活を送ってきたのだ。そんな中支えていた人間にそんなことを言われたら……カモメの心は傷つくだろう……それが解るエリンシア達だからこそ、『世界』へ対するいら立ちを隠せないのだった。
「でも、それだけ『世界』も必死なんだと思う」
「『世界』にとって『魔』はそれだけ脅威なんですわね」
「結局『魔』は世界の中にあった者なんでしょう……自分を怖がるなんて滑稽ね」
「でも、自分で自分が怖いって思う気持ちわからなくもないよ……私だって、自分の中の『魔』が怖かったもん」
「…………はあ、まあ、そうよね。自分で自分を制御できない時って誰しもあるものだもの」
そう、自分自身の事なのに自分で制御できないことっては皆きっとあるんだと思う……そして、そんな自分が怖いと思ったこともきっとみんなあるだろう。
『世界』はそれに耐えきれず、自分を一部切り離したのだ……まあ、普通の人間にそんなことは出来ないけど、それが出来る『世界』だったからこそ『魔』っていう脅威が生まれちゃったんだよね。
そして、それは慈悲の女神リーンの身体を乗っ取り……今や、『世界』を殺せるかもしれない力をもっているのだ……。
「ですけど、カモメさんもパワーアップしたということですわよね?」
「うん、魔が持っていた力も引き出せるようになったから闇の魔法の力もアップしたね」
「それだけじゃないわね……魔力の質がまるで別者よ……ここまで綺麗な魔力は見たことがないわ」
相も変わらず、私の魔力は黒い……普通の人が見れば恐らく恐怖の対象でしかないだろう……闇の魔女の肩書が相応しいほどに真っ黒な魔力が私の周りを纏う。
闇の魔法をディータに教えてもらった時から魔力の色と髪の色が黒に変わったが……どうやら、元々私の本質の色が黒だったのだろう……今の魔力は今までの中で一番私にしっくりくるのだ。
「これでリーンを倒せるかわからない……分からないけど倒さなきゃいけない」
「何言ってるのよカモメ」
「え?」
「ワタクシ達なら楽勝ですわ♪」
二人だってきっと不安はあるだろう、作戦を立て、リーンを倒せる算段も立っている……だけど、敵の底力が分からない……勝てる確率で言えば50%あればいい方だ……いや、30%くらいかな?
計算の苦手な私にはよくわからないけど……そんなに高くないのは確かである。
それでも、私は勝たなきゃいけない……クオン達の為、この大地に住む人の為……ううん、私の為に。
『魔』なんていうのを野放しにしたらのんびりクオン達と冒険できないもんね♪
そう、私は冒険者として冒険がしたいのだ……ずっと、冒険らしい冒険が出来ていない……クオンやエリンシア、そしてディータ達とハラハラする冒険をしたい……その為にも私は勝たなきゃいけないんだ。
「うん、絶対に勝つ」
「その意気よ」
「ですわですわ♪」
「それじゃ、今日はもう休みなさい……明日は本番よ」
「うん」
そう言うと、ディータ達はそれぞれの部屋に戻っていく。
全ては明日………何が何でもリーンを倒して見せる!
私はクオンの髪の色と同じ星空を見ながらそう心に強く思うのだった。
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