偽装溺愛 ～社長秘書の誤算～

５．大人の情事

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「ほら」

　キャップを開けてペットボトルを差し出すと、彼女は顔を背けたまま手を伸ばした。

「ありがとうござ――」

　掴む直前でペットボトルをひょいと上にあげると、ようやくりとが俺を見た。

「飲ませてやろうか」

「え？」

　ベッドに膝をつき、彼女のすぐ目の前に顔を寄せる。

「口移しで」

　秒で口を手で押さえられた。

　反応を見るに、したことがないのだろう。

　かく言う俺も、ないが。

　ククッと喉を鳴らして、ペットボトルを彼女の手に持たせる。

　受け取ったりとは、俺に背を向けてそれを飲んだ。

　半分ほど飲んだのを見て、背後からペットボトルを抜き取ると、残りを飲み干した。

　そして、ペットボトルを放る。

　カランと音を立てて転がったペットボトルを目で追うりと。

　俺は無防備な彼女の肩を掴んで押し倒すと、中断前のように足を広げて顔を埋めた。

「待って！　やっ――」

　嫌がられることなんてわかりきっている。

　数分前とは違って部屋が明るい。

「やぁ……」

　まだ火照った膨らみを咥えると、彼女の腰が跳ねた。

「ひゃぁんっ！」

　やはり色気のない声だが、作られるよりずっといい。

　AVなんかと違って、現実の、本気のセックスはあんな一定の高音で喘ぎ続けたりできない。させない。

　吸い付き、舐め上げると、掴んでいる彼女の足がきゅっと硬くなった。

「あ……ぅ」

　背をしならせ、シーツを握りしめるりとは、喘いでいるというよりも呻いている。

　冷えた水を飲んだ後で、口の中も舌も冷たいだろう。

　彼女が汗ばみ、興奮して熱っぽくなればなるほど、温度差が刺激となる。

　舌先でチロチロと小刻みに舐めると、つま先がピクンピクンッと跳ねだした。

「あ……あぁ……う」

　持ち上げていた彼女の足を肩にのせ、空いた手を蜜口に当てると、既に十分に潤っていた。

　指先で刺激しながらも、舌での愛撫はやめない。

　久しぶりだという彼女に痛い思いはさせたくない。

　指を湿ったソコに沈めていく。

　狭いが、吸い付き、引き寄せられるようにすんなりと挿入はいった。

　熱い。

　そして、柔らかい。

　関節を曲げて膣壁かべを撫でたり擦ったり、指自体を出し入れすると、蜜が溢れてくる。

「あ、あ……っ！」

　俺の肩の上で、彼女の足がビクビク跳ねる。

　もう、恥ずかしいだなんて考える余裕もないだろう。

　目線を上げると、りとの両手は頭の横のシーツを掴み、突き出された胸がふるふると揺れている。

　別に、珍しい光景じゃない。

　セックスの時の女の反応や仕草なんて、同じようなものだ。

　なのに、ガチガチに力を入れて必死にシーツを掴むりとには、なぜかいつになく興奮する。

　りとが俺の愛撫に感じている。

　一度指を抜き、今度は二本を揃えて挿入《いれ》る。

「ん～～～っ！」

　さすがに違いがわかったらしく、りとが足をばたつかせた。

　弾みで、俺の肩甲骨辺りに踵がぶつかる。

「やぁっ！　あっ！　だめっ！！」

　忙しない息遣い、しなる背中。

　膣内なかの指をバラバラに動かせば、りとの足が自然と開いていく。

「う……ぁ……」

　低い声で呻くと、陸の魚のように仰け反った背が丸くなり、腹がひくひくと痙攣した。

「あ……はっ……ぁ」