偽装溺愛 ~社長秘書の誤算~

深冬 芽以

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10.偽装関係の終わり

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 キスをしたまま、両手でりとの腰を掴むと、抱き上げた。

 力登のようにはいかないが、それでも彼女の足が浮き、俺は尻の下に腕を入れて抱えた。

 肩を掴んでいたりとの手が、俺の首にしがみつく。

 その間も、絡めた舌が離れることはない。

 ゆっくりと移動し、寝室を目指す。

 落ちそうで怖いのか、りとの足が俺の腰に絡み、動くたびに互いの敏感な部分が擦れる。

 硬く勃ち上がった熱は、誤魔化しようがない。

 寝室のドアを開け放ち、真っ直ぐベッドを目指す。

 そして、ベッドの端で腰を下ろした。

 俺に跨る格好のりとのパーカーの裾を掴んでめくり上げる。

 唇が離れ、互いの唾液で濡れた唇がヒヤリとした。

 何も言わなくても、りとは腕を上げ、俺は難なくパーカーを脱がせる。

 下に着ていた黒のタンクトップ越しにブラジャーのホックを外し、どちらもまとめてりとの腕から引き抜くと、床に放った。

 そうしている間、彼女も俺のシャツのボタンを外していく。

「あ、くつ……」

 スニーカーを履いたままだと思い出した彼女が身じろぐと、押し込められていても主張する熱が刺激された。

「動くな」

「え?」

「痛い」

「え? あ――」

 何のことかはすぐに気づかれた。

 りとが腰を引く。

「――ごめんなさい。大丈夫?」

「大丈夫じゃないな。痛すぎて、すぐにでも挿れたい」

「――っ!」

 りとが俺の肩に顔を伏せる。

 俺は腕を捻って彼女の靴を脱がせた。

 彼女のむき出しの肩に口づけながら、腰から背中をなぞり、くすぐる。

 ふっと弾んだ吐息が俺の首筋に吹いた。

 両手で背中を撫で、脇から胸へと滑らせる。

「りと……」

 彼女がわずかに腕を緩め、顔を上げる。

 俺と彼女の身体の隙間に手を挿し入れ、柔らかな乳房を揉み上げた。

 りとの髪が俺の頬を覆い、目を閉じる。

 熱く柔らかい彼女の唇が、俺を捉えた。

「ん……」

 口を開くと、更に熱くて柔らかい舌が侵入してくる。

 同時に、彼女の腰が揺れた。

 あきらかにわざとそうしている動き。

 痛い、気持ちいい、痛い。

 りとの手が首から肩に下り、ワイシャツの襟を広げ、素肌に触れる。

 そして、ワイシャツを肩から腕に落とす。

 俺はりとの腰を掴み、身体を反転させた。

 ベッドに横たわる半裸のりとを見下ろす。

 ワイシャツを脱ぎ捨て、ベルトを外した。

 パンツのファスナーを下ろすと、滾るモノが飛び出してきた。

 こんなみっともなく性急なセックスはしたことがない。

 だが、今は気取る余裕なんてない。

 俺はりとのジーンズのファスナーを下ろし、下着と一緒に足から抜いた。

「りと」

 一糸纏わぬ姿になったりとに圧し掛かる。

 半分だけ開いたドアから差し込む廊下の照明は、俺たちの上半身を照らしている。

 だから、彼女が恥ずかしそうに、けれど真っ直ぐに俺を見ているのがわかった。

「あいつはお前に触れたか?」

「いいえ」

 名を言わずともわかったのだろう。

 りとは即答した。

「力登には?」

「近寄りもしないわ」

「そうか」

「あなたを呼んでる」

「え?」

 りとの瞳がきらりと揺れる。

「毎日……『しっちょーは?』って……」

 目尻から溢れた涙がこめかみを伝う。

 俺は、指の腹でそれを拭った。

「りとは、なん……て言った?」

「……もう、会えないんだよ……って――」

「――明日からは『仕事が終わったら迎えに来る』って言ってくれ」

「――っ!」

「りと。俺は、嘘は言わない。お前と力登には、絶対に言わない」

「でも――っ」

 りとの片足を肩にのせ、開かれた足の付け根に指を添える。

「……んっ」

 ヌルリと蜜の感触。

「身体は素直だな」

「そんなこと――」

「――ちゃんと欲しいものがわかってる」

「あ……っん」
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