最後の男

深冬 芽以

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20 最後の男

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 服の裾を持ち上げ、中の下着と一緒に彩の腕と首から抜く。

「やっぱ、乗り気だったろ」

 いつも、レースも何もないツルッとした柔らかいブラジャーをしていたのに、今日はレースの黒いブラジャー。

「つーか、ノリノリ?」

 俺はブラジャーの上からキスをした。

「たまたまでしょ」

「素直じゃねーの」

 彩をベッドに押し倒すと、スカートみたいなズボンを足から引き抜いた。もちろん、下着は上下お揃い。

「次は、赤がいいな」

「覚えてたらね」と言って、顔を背ける。

 まったく、素直じゃない。

 そこが、可愛いのだけれど。

「買ってやるよ。誕生日プレゼントに」

 俺はジャケットを脱ぎ、中のシャツのボタンに手をかけた。

 彩が起き上がり、手を伸ばした。

「いらない」

 彩は俺のシャツのボタンを外し、はだけたシャツの隙間から手を入れ、胸から肩へと撫でながら移動させた。肩の前から後ろへ掌を滑らせると、シャツがストンと俺の手首まで落ちた。

「じゃあ、何が欲しい?」

「何も、いらない」

 彩の手が肩から胸へと戻ってくる。羽で撫でられるようなくすぐったさに、背筋がゾクゾクする。

 こんな風に、彩から俺に触れたことはない。

「彩」

 彩が鎖骨の下辺りにキスをした。何度も。それだけでも堪らないのに、指の腹で乳首を撫でられたら、一気に硬くなったモノがその存在を知らしめるように、彩の腹を突いた。

「シたい?」

 彩がペロッと舌を出し、上目遣いで俺を見ながら、乳首を舐めた。同時にズボンのファスナーを下げられ、飛び出したモノを擦った。

 最後に彩を抱いて以降、セックスはもちろん、自慰もしていなかった。意識してじゃない。そんな気にならなかっただけ。

 だから、ようやく、再び彩を抱けるこの状況に、全身が悦びに満ちていた。その悦びは、主に下半身に集中していたが。

 それは、彩も気づいたはずだ。

 彩に触られて、痛いほどに硬直し、僅かな刺激で放出してしまいそうだ。

「やめろ、彩」

 本当はやめてほしくない。

 けれど、このままでは彩の手を汚してしまう。

 それを承知してか。彩は片手でしっかりと竿を握り、もう片方の掌で円を描くように先端を撫で始める。

「彩――!」

 恥ずかしいほど感じている甲高い声に、思わず掌で口を塞いだ。

「気持ちいい?」

 舌で乳首を転がされ、両手で竿を撫でられたりしごかれたりして、頭の中で打ち上げのカウントダウンが聞こえ始めた。

 いよいよ、マズい。

 俺は彩の肩をベッドに押し付け、彼女の手から腰を引いた。

「マジでヤバいから」

「イキたくないの?」

「違う。お前を抱きたいんだよ」

「え?」

 俺は気持ちを落ち着けようと、深呼吸をした。

「お前、俺がただ欲求不満だから、子供ガキみたいにシたがってると思ってんのか?」

 俺はレースのブラジャーの上から、キュッと乳首を摘まんだ。足から下着を引き抜き、ベッドの下に放り投げた。

「早く、抱きたい」

 閉じられないように、彩の足の間に膝をつき、しっとりと湿った膨らみと割れ目に指を添えた。

「早く」

 大人気なく焦る気持ちが、優しさより激しさを優先して、指を激しく動かす。

「んっ――」

 彩の色っぽい喘ぎ声に、体内の水分が蒸発しそうなほどの熱を感じた。

 油断すると、暴発しそうだ。

「あっ……、ああ――っ!」

 雫が溢れる入り口を指で撫で、浅いトコロを掻き混ぜて、その奥深くへと道を開こうとして、やめた。

「ワリ……。もう、無理」

 買って来たコンドームの箱を開け、焦る気持ちで装着した。

「挿れたい……」

「智也、どうしたの? なんか、昨日から――」
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