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【番外編1】千堂隼の恋
一夜の過ち-3
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混乱したまま、俺はベッドに取り残された。
全裸で正座している自分が恥ずかしくなり、ベッドに寝転んだ。
シーツが汗で湿っていて、冷たい。
なに、やってんだ――。
彩さんだと、思った。
もう一度抱けるなんて思ってもいなかったから、興奮した。
つーか、あんな気持ちいいの初めてかも。
身体の相性が最高だと感じた。その相手が、まさか、八歳年上の同僚だなんて。
シャワーの音が聞こえて、バスルームに目を向けた。
ホテルに来た記憶もないんなんて、ヤバすぎだろ――。
俺は寝返りして、ベッド横のデジタル時計を見た。
三時四十分。
俺は目を瞑り、記憶を辿ってみた。
一次会は居酒屋。
最初は課ごとに座っていたから、彩さんが斜め向かいにいて、料理を取り分けてくれたりした。この前のことがあってから、彩さんとは仕事以外の話はしていなくて、けれど、俺は彩さんから目を離せなくて、彩さんは俺の視線に気づいていながら避けていた。
『二次会、行きましょうよ』
一次会がお開きになって、帰ろうとする彩さんに言った。
『明日、朝から子供の習い事があって』と、彩さんは言った。
『亮君の野球ですか?』
『……はい』
『頑張ってるんですね』
『はい。試合に、出られるかもしれないって、張り切ってて……』
『すごいじゃないですか。まだ三年生なのに』
『二軍ですけど』と、彩さんが嬉しそうに微笑んだ。
酒のせいか、頬が赤らんで、可愛かった。
『彩さん、俺――』
『なので! これで失礼します』
彩さんはぺこりと頭を下げて、走り去った。
落胆したことは、生々しく覚えている。
それから部の半分くらいの人たちで二次会に向かった。風間も木田も一緒に。
谷がよく行くという、Bar。
酒の種類とメニューが豊富で、そんなに高くもなく、気取った雰囲気でもないのが良かった。
『千堂課長、ずっと堀藤さんを見てましたよね』
谷が隣に座った時、言われた。
『わかりやすすぎです』
反省した。
しかも、帰り際には『彩さん』と呼んでしまった。あれじゃあ、逃げられても仕方がない。
『俺も、バレバレだって言われましたけど』と、谷が笑った。
『誰に?』
『友達です。大学のサークル仲間とよく飲むんですけど、隠してるつもりでバレバレでした』
『同じサークルだったんだ』
『はい』
谷に想われている女は幸せだろうな、と思ったのも覚えている。
二次会が終わったのは十時半か十一時くらいで、部長に誘われて三次会に行った。
部長と課長たち四人で。
部長がよく行くという、高そうなクラブ。
着物美人の女性たちが、酒を注いでくれた。
部長がすぐに潰れて、一時間くらいで店を出た。はず。
――で……。
確か、方向が同じだからって冨田課長とタクシーに……乗った……?
全裸で正座している自分が恥ずかしくなり、ベッドに寝転んだ。
シーツが汗で湿っていて、冷たい。
なに、やってんだ――。
彩さんだと、思った。
もう一度抱けるなんて思ってもいなかったから、興奮した。
つーか、あんな気持ちいいの初めてかも。
身体の相性が最高だと感じた。その相手が、まさか、八歳年上の同僚だなんて。
シャワーの音が聞こえて、バスルームに目を向けた。
ホテルに来た記憶もないんなんて、ヤバすぎだろ――。
俺は寝返りして、ベッド横のデジタル時計を見た。
三時四十分。
俺は目を瞑り、記憶を辿ってみた。
一次会は居酒屋。
最初は課ごとに座っていたから、彩さんが斜め向かいにいて、料理を取り分けてくれたりした。この前のことがあってから、彩さんとは仕事以外の話はしていなくて、けれど、俺は彩さんから目を離せなくて、彩さんは俺の視線に気づいていながら避けていた。
『二次会、行きましょうよ』
一次会がお開きになって、帰ろうとする彩さんに言った。
『明日、朝から子供の習い事があって』と、彩さんは言った。
『亮君の野球ですか?』
『……はい』
『頑張ってるんですね』
『はい。試合に、出られるかもしれないって、張り切ってて……』
『すごいじゃないですか。まだ三年生なのに』
『二軍ですけど』と、彩さんが嬉しそうに微笑んだ。
酒のせいか、頬が赤らんで、可愛かった。
『彩さん、俺――』
『なので! これで失礼します』
彩さんはぺこりと頭を下げて、走り去った。
落胆したことは、生々しく覚えている。
それから部の半分くらいの人たちで二次会に向かった。風間も木田も一緒に。
谷がよく行くという、Bar。
酒の種類とメニューが豊富で、そんなに高くもなく、気取った雰囲気でもないのが良かった。
『千堂課長、ずっと堀藤さんを見てましたよね』
谷が隣に座った時、言われた。
『わかりやすすぎです』
反省した。
しかも、帰り際には『彩さん』と呼んでしまった。あれじゃあ、逃げられても仕方がない。
『俺も、バレバレだって言われましたけど』と、谷が笑った。
『誰に?』
『友達です。大学のサークル仲間とよく飲むんですけど、隠してるつもりでバレバレでした』
『同じサークルだったんだ』
『はい』
谷に想われている女は幸せだろうな、と思ったのも覚えている。
二次会が終わったのは十時半か十一時くらいで、部長に誘われて三次会に行った。
部長と課長たち四人で。
部長がよく行くという、高そうなクラブ。
着物美人の女性たちが、酒を注いでくれた。
部長がすぐに潰れて、一時間くらいで店を出た。はず。
――で……。
確か、方向が同じだからって冨田課長とタクシーに……乗った……?
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