15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以

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3.後悔していますか?

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「タイミング悪かった?」

「ううん。なんか、食べる気しなくて」

「パンも買って来たよ?」

「あ、食べたい。柚葉は? お昼」

「食べてない、から買って来たの」

 千恵といると、気分は中学生だ。

 だが、ベッド脇のパイプ椅子に座って改めて幼馴染の顔を見て、時間の流れを感じた。

「太ったね、柚葉」

「いきなり失礼ね」

「事実じゃん」

「千恵は白髪、あるね」

「苦労し過ぎてさ」

 千恵がハハハッと笑う。

 彼女はかなりハツラツとした性格だ。

 小学生の頃からバスケをやっていて、確か高校まで続けていた。

 昔っから髪はサラサラのショートで、中学入学時には身長が百六十五センチあって、手足も長く、羨ましかった。

 胸は私の方が大きかったから、その点だけは羨ましがられたけれど。

 今も変わらないサラサラのショートヘアに、白髪が何本か、ハッキリと見える。

 目尻には皺もあるし、私と同じように年を重ねたのだとわかる。

「クリームドーナツ、ある?」

「ある。今も好きなんだ?」

「うん」

 私はビニール袋からクリームドーナツを探して、千恵に渡した。

 ケーキの箱は、ギリギリ冷蔵庫に入った。

 私はゴボウサラダのパンを選んだ。

 一緒に買って来たカップのカフェオレにストローを刺す。

 ドーナツを一口かじって、千恵が笑った。

「久し振りに食べた。おいし……」

 それから、涙をこぼした。

 私は見ない振りをして、パンをかじった。

「なした?」

「離婚した……」

 旦那さんに浮気癖があることは、聞いていた。

「子供は?」

「……パパがいい……って」

「は――?」

 旦那さんとの関係が上手くいっていないせいもあって、千恵は子供たちを溺愛していた。同時に、かなり教育熱心でもあった。

 二人の子供は小学校受験をして私立に通っているはずだ。

「転校したくないし、パパと一緒の方がお金にも困らないからって」

「え、上の子、小六? だよね?」

 まだ、母親を必要とする年齢ではないのだろうか。

「学校、エスカレーターだし」

「けど――」

「――去年だったかな。親の離婚で転校した子がいたんだけど、生活がガラッと変わってたって話を、人づてに聞いてたから」

「だからって……」

 千恵がぐすっと鼻をすすった。

 私はベッド脇の棚の上に畳まれている、フェイスタオルを千恵に差し出す。

 彼女はそれで顔を拭き、カフェオレを飲んだ。

「最近の子は現実知ってるからね」と言うと、ドーナツを食む。

 涙は止まっていない。

「一人でいたくなくて、飲みに出たの。でも、一人で飲んでもつまんなくて帰ろうとして、店の階段から落ちた」

「なに……やってんの」

 千恵が半分になったドーナツをぎゅっと握り、肩を震わせた。

「子供……の声が……聞こえたの」

「え?」

「お母さん、って……あの子の声に……似て……て……」
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