『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁

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入院29日目

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 朝が来て夜が来る。そして夜になるとまた朝が来て最期は夜で終わる。

 朝、私は日の出を拝みに談話室にやって来る。
 生きていることを実感し、生かされていることに感謝するために。

 太陽エネルギーを体全身に浴びて深呼吸、クンバハカを行うのが私のモーニング・ルーティンだ。

 2日に1度、3時間の腎臓透析をしているが、すこぶる調子がいい。退院して彼女と不順異性交友しても5回、いや3回、いや待て、せめて1回くらいは白いシーツを掴ませて、快感を甦らせてやりたいものである。
 あー、やりたい!


 そんな妄想をして廊下を歩いていると、ボケ老人たちが声をかけて来る。

 「先生、ワシはいつ家に帰れるんじゃ?」
 「そうですね~、高市早苗が中国と戦争するまでかなあ?」
 「何、そんなに早くワシは家に帰れるのか!」
 「徴兵されて戦争に行く時は高市早苗と小野田紀美も一緒に連れて行くんですよ。あのふたり、戦争が大好きだから」
 「よしあいわかった! 一緒に玉砕してこようぞ! 安倍晋三、漫才!」

 いいことをした朝は気分がいい。
 すると後から声をかけられた。


 「イカサマペテン師さん、朝のデータを取らせてちょうだい」
 
 妙だった。

 (少し痩せたか?)

 「なんだ、最近見かけねえからイケメン・ドクターと結婚して、ボラボラ島に新婚旅行にでも行っちまったのかと思ったぜ」
 「くだらないこと言ってないで体温計らせて」


 そして病室に行き、ベッドに横になった。


 「なにしてたんだ?」
 「扁桃腺が腫れてお休みしていたの」
 「そうか? まあお前もバカじゃなかったわけだ、バカは風邪引かねえからな?」
 「バカだって風邪ぐらい引くわよ」
 「話は変わるが妙、下の売店の18禁エリアに入ったことあるか?」
 「あるわけないでしょう?
 また私を騙して笑おうとしてもダメよ。同じ手に何度も引っかかるほどウブじゃないわ」
 「なら話はそれまでだ」
 「それがどうかしたの?」
 「そこに『どこですかドア』っていう過去にも未来にもいけるドアがあるんだ」
 「一度精神科を受診してみたら? 虚言癖かもよ」


 血圧と酸素濃度を測定し終わると、妙は病室を出て行った。

 病み上がりの頼りない後姿だった。
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