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入院38日目
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雑種、雑草にだって名前はある。ポチとかトラ、タマ。
雑草と呼ばれる物にもオオイヌフグリ、ドクダミ、ハルジョンやヒメジョンなど沢山ある。
そして雑用と言う仕事もない。
私はビジネスマンだった時はみんなが雑用だと言う仕事を最優先でやって来たつもりだ。
朝は誰よりも早く出社して、みんなの机を拭き、お湯を沸かしてコーヒーやお茶の用意をした。
コピー取りも率先してやった。
何の為に?
それはみんなが気持ち良く仕事をするためにだ。
すると私を無視したり嫌がらせをする人もいなくなり、いつしか私は役員になっていた。
人は見ていないようでよく観察している。
人は一所懸命に感動するものだ。
一生懸命じゃなくてもいい、一所懸命でいいのだ。
今、自分のいるこの場所でがんばる。
ナースの仕事は雑用だ。細かい仕事が多岐にわたっている。
短時間で出来る作業が多いが誰にも出来るものではない。
危険、汚い、キツイ、気持ち悪いの4kが仕事である。
妙の仕事にもいつも感心させられる。反射的に仕事の優先順位を決め、
目配り
気配り
心配り
でテキパキと仕事をこなしていく妙。
楓はまだ若いが何にでも全力投球で、いつも溌剌としたかわいいナースで人気者だ。
おばあちゃんおじいちゃん娘だったこともあり、ボケ老人の扱いにも慣れている。
ナースは人が好きでなければ務まらない仕事だ。
そんな楓と対照的なナースが谷山奈緒子、26歳だった。
彼女もウルトラ美女ナースのひとりである。
さらさらと流れる小川のような声、透き通るような白い素肌。
その辺の我儘な女優とは大違いである。
『旅ダカラ』の松下奈緒みたいに美しい。
だが奈緒子はただ美しいだけではない。手がやさしいのである。
「手当て」とはよく言ったもので、やさしい手で触れられると人は癒される。
先日、一週間ぶりにシャワーが許され、髭も剃った。
首に巻いたテープで剃り残しが出来てしまっていた。
ベッドに横になり、奈緒子に消毒してもらっていると、
「あら、お髭の剃り残し。剃ってもいいですか?」
「いいの? 悪いね」
「ありがとうございます。
私、T字剃刀で男の人のお髭を剃るのは初めてなんです」
俺は奈緒子のためなら血だらけになってもいいと思った。
最初はおっかなびっくりの彼女だったがすぐにコツを覚えたようで、髭はキレイになっていった。
「面白い、どんどん綺麗に剃れて行く」
キスが出来そうなほど近い奈緒子の顔、柔らかなオッパイがカラダに触れ、息遣いまで伝わる。
そして真剣な眼差し。
彼女の温かい手が私の顔に触れている。
天にも昇るような心地良さだった。私はこのまま死んでもいいとさえ思った。
髭が剃りあがり、満足そうに微笑む奈緒子が言った。
「狸小路さん、見て下さいよ、茹で卵みたいになりましたから」
私は自分の顔を触ってみた。
ツルツルになっていた。
「ありがとう奈緒ちゃん」
「こちらこそです」
入院も悪くないと思った。
雑草と呼ばれる物にもオオイヌフグリ、ドクダミ、ハルジョンやヒメジョンなど沢山ある。
そして雑用と言う仕事もない。
私はビジネスマンだった時はみんなが雑用だと言う仕事を最優先でやって来たつもりだ。
朝は誰よりも早く出社して、みんなの机を拭き、お湯を沸かしてコーヒーやお茶の用意をした。
コピー取りも率先してやった。
何の為に?
それはみんなが気持ち良く仕事をするためにだ。
すると私を無視したり嫌がらせをする人もいなくなり、いつしか私は役員になっていた。
人は見ていないようでよく観察している。
人は一所懸命に感動するものだ。
一生懸命じゃなくてもいい、一所懸命でいいのだ。
今、自分のいるこの場所でがんばる。
ナースの仕事は雑用だ。細かい仕事が多岐にわたっている。
短時間で出来る作業が多いが誰にも出来るものではない。
危険、汚い、キツイ、気持ち悪いの4kが仕事である。
妙の仕事にもいつも感心させられる。反射的に仕事の優先順位を決め、
目配り
気配り
心配り
でテキパキと仕事をこなしていく妙。
楓はまだ若いが何にでも全力投球で、いつも溌剌としたかわいいナースで人気者だ。
おばあちゃんおじいちゃん娘だったこともあり、ボケ老人の扱いにも慣れている。
ナースは人が好きでなければ務まらない仕事だ。
そんな楓と対照的なナースが谷山奈緒子、26歳だった。
彼女もウルトラ美女ナースのひとりである。
さらさらと流れる小川のような声、透き通るような白い素肌。
その辺の我儘な女優とは大違いである。
『旅ダカラ』の松下奈緒みたいに美しい。
だが奈緒子はただ美しいだけではない。手がやさしいのである。
「手当て」とはよく言ったもので、やさしい手で触れられると人は癒される。
先日、一週間ぶりにシャワーが許され、髭も剃った。
首に巻いたテープで剃り残しが出来てしまっていた。
ベッドに横になり、奈緒子に消毒してもらっていると、
「あら、お髭の剃り残し。剃ってもいいですか?」
「いいの? 悪いね」
「ありがとうございます。
私、T字剃刀で男の人のお髭を剃るのは初めてなんです」
俺は奈緒子のためなら血だらけになってもいいと思った。
最初はおっかなびっくりの彼女だったがすぐにコツを覚えたようで、髭はキレイになっていった。
「面白い、どんどん綺麗に剃れて行く」
キスが出来そうなほど近い奈緒子の顔、柔らかなオッパイがカラダに触れ、息遣いまで伝わる。
そして真剣な眼差し。
彼女の温かい手が私の顔に触れている。
天にも昇るような心地良さだった。私はこのまま死んでもいいとさえ思った。
髭が剃りあがり、満足そうに微笑む奈緒子が言った。
「狸小路さん、見て下さいよ、茹で卵みたいになりましたから」
私は自分の顔を触ってみた。
ツルツルになっていた。
「ありがとう奈緒ちゃん」
「こちらこそです」
入院も悪くないと思った。
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