1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

文字の大きさ
1 / 70

1歳児爆誕!

しおりを挟む
 むぅ、どうしたんだろう? 背中が痛い。
 眩しいよぅ。

 パッと目が覚めた。
 眩しくて目をぱちぱちとしてしまう。
 さっきまであった、とろりとした眠気はなくなっている。
 お日様が見える。
 外で寝てるのかな? 何でだろう? なんか頭が上手く回らない。
 寝ぼけてるのかな?

【起きたか? 幸子(さちこ)。いや、サチ・スメラギ】

「だりぇ?」

 あれ口が上手く回らない。
 起き上がるのも大変だ。
 えっ? え!? 手が小さい!?
 空を見てからもう一度手を見てみる。
 小さい手。
 変わらない。
 足も短い。
 え! この服って、赤ちゃんのロンパース?

【創造神だ。上手くアラタカラ世界へ降りれたようだな。天界で話した通りに不便がないように能力を付与したが、見た目が幼くなってしまった。許せよ。其方の役割は世界を良い方向に導くことだ。気負わず健やかに過ごせ。見守っておるからの】

「えっ! かみしゃま!?」

 だんだん思い出してきた。

 確か、日本の某県で娘に看取られて病気で死んでしまって。
 あの子には最後に迷惑かけてしまって申し訳ない。
 成人していたことが救いである。
 自分に保険金もかけてたからね。

 それから、天使様が迎えにきてくれて『天界』と呼ばれる所まで行った。

 そこで、最高神の創造神様に出会ってーー



 ー天界にてー

『よく来た。皇 幸子(すめらぎ さちこ)。私は最高神の創造神だ。其方は今回の生で天界に仕える使徒になることが決まった。
 其方の魂は、穢れを落とし見事に輝いておる。次の生でもまた磨きがかかるだろう。心豊かに過ごしなさい。
 次は地球の世界では無く【アラタカラ】の世界へ行ってもらう。そこで天使として世界を良い方向に導きなさい。世界が平和なら好きに過ごしても良い。
 ふむ、次の生では、サチ・スメラギとして過ごしなさい。名前に愛着もあるだろう。それと、不便無いように能力も授けるからの。私からのプレゼントだ。それではゆきなさい』


 と、大きい創造神様に怒涛の勢いで言われて、スポーンと世界の穴に落とされたんだ。

 で、また、創造神様は好き勝手に言って、こちらの言葉を聞いてくれなかった。
 まあ、神様なんてそんなものかな?

 それより、今の私の状態よ。
 何の能力をくれたのか?

「にょうりょく……」

 目の前に透ける板みたいなのが現れた!
 びっくりしすぎて心臓止まるかと思った! 中年のおばちゃんだからね。
 心は。
 さて、なんて書いてあるのかな?


名前 サチ・スメラギ
年齢 1歳(ゆっくり成長)
種族 天使
職業 創造神の使徒
神力 ∞
能力 創造、想像(何でも出来る)

 
 はて、短い文章だが、目がイカれたかな? また、快晴の空を見上げてから手元を見る。
 うん、変わってないね。
 カメカメハー! みたいなことが出来るのかな?
 あれ? なんか、両手が光ってきた! えっ! これ、危なくない?
 両手を正面に突き出してみる。

 ピカーッちゅどーん!!!

 は、ハー! が出た! ハー! が出て自然破壊をしてしまった!

 あ、私がいる場所はどこかの森のぽっかりと空いた広場に座っている。
 さっきまで寝てたみたいだけど。

 今の森は、最大級のハー! が出たから木が私の正面だけ消滅してしまった。
 能力は私が考えただけで使えるみたいだ。
 今度、ポカしそうになったら空に打ち上げないといけないなぁ。

 これでも幸子時代は働きながら子育てしてたから、お金がかからないファンタジー無料小説をスマホで読んでいた。
 今、その知識が役立つかもしれない!
 あれだね、現実に疲れてファンタジー世界に逃避したかったのだよ。

 とりあえずは森で寝る趣味はないから、人のいる場所を探さないと。

 ◇◇◇

 何でも創造できるんだよね?
 だったら私の今の姿が見てみたい! 
 合わせ鏡が出てくれれば全身が見えるかな?
〈姿見鏡よ出ろ!〉

 鏡が出たー!
 小さくて金髪でくりんくりん天然パーマみたいな髪で、澄んだ海のようなきらきらの目の赤ちゃんがこっちを見てる。
 私かな? 手を振ってみると、鏡の中の赤ちゃんも手を振る。
 私だー!

 立ち上がってみると小さな靴を履いている。
 人形の靴みたいだ。
 身長は小さい。
 やっと歩き始めた赤ちゃんみたいだ。
 頭が重いから重心が難しい。
 服は薄い水色で手触りがとてもいい。

 そういや、天使になったみたいだけど、死んだ時に迎えに来てくれた天使みたいに翼は出るのかな?

 バサァ

 出た! 翼! 飛べるのかな?
 身体がふわりと浮いた! 意思の力で飛べるみたいだ。
 鏡でみると、本当に天使が飛んでいる。
 背中の服の部分は破れてないけど、どうなってんだろ?
 近づいて見ると違和感なく翼が生えてる。

 パタパタと飛んでみるけど疲れない。
 よかった。
 飛んで人里を探せる。

 あっ、鏡どうしよう。
 物語だと、アイテムボックスとかストレージとか収納魔法が使えるんだよね。
 作れないかな? 時間停止で無限にしまえて、中に入ってる内容が分かるやつ!
 あっ、今、出来た感じがした!
 鏡2枚を収納! 入ったー!
 よし、これは収納と名づけよう。

「よーし! いくじょー!」

 どっちに進もう。
 山を下ったらいいかもしれない。
 天使の翼で木々の間を飛んでいく。

 きゃー! 風が気持ちぃー!

 木に当たらないように避けて飛んでいく。
 空気がおいしいー!

 あっ、猪発見! かなり大きい。
 いや、ありえないぐらいにどでかい。
 あっ! 見つかっちゃった!
 え~ん! 凄い勢いで追いかけてくるよー!
 思ったより足が速いー!
 攻撃しなきゃ! 殺されるー!
 ひぃーっ! 何か攻撃! 攻撃!

 振り返って、手からレーザービーム!
 とっさに思いついたのが、これだったんだよ!

 ちゅどん! と猪の顔に当たって猪が倒れた。
 そろそろと飛んで近づいて様子を見る。
 うげ、顔が焼け焦げてる。
 死んでるみたいだ。

 あー! 生き物を殺したのも初めてだし、死ぬと思うほど追いかけられたのも初めてだ。
 手が震えてる。

 天使って殺されるのかな? 死ぬのかな?
 創造神様、何も言わなかったから注意しないと。
 天使だから死なないと思ってたら、ころっと殺(や)られるかもしれない。

 でも、喉が渇いた。
 天使も喉が渇くんだ。
 猪を視界に入れると気分が悪くなるから収納にしまっておこう。
 本当に大きいなぁ。
 私なんて一飲みだよ。
 一口かな?

 能力で「ストローマグに麦茶がはいってるのを作る」と思ったら目の前に出てきた。
 ちゅーちゅーと飲む。
 おいしー!

「いきかえりゅー」

 はーっと息をついたら、ストローマグに紐をつけて首から下げておこう。
 手先が器用じゃないから時間がかかる。
 幼児の手って不便だー。

 よし! また、飛んで山を下るぞー!

 飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで♪ まわりはしないかなぁ。
 直進ー! 直進だ! いぇーい!

 何か、小さな身体に精神が引きずられてる気がする。
 ちょっと落ち着かねば。
 森を観察しながら飛ぶ。

 天気は良い。
 森の中だから薄暗いけど、木々の間から太陽の光が溢れている。
 鳥の鳴き声も聞こえる。

 バシィ!

 うわあっ!! 身体に凄い衝撃が来て地面に身体がバウンドした!?
 何!? 何があったの!?
 い、痛く、ない?

 倒れた幼児の体を慌てて起こして頭を上げると、狼のようなトカゲのような鳥のような頭が3つあって4つ足の化け物が涎をたらして私を見てきた。

 ば、化け物だ!!
 れ、レーザービーム!!

 3つの頭のうち狼の顔に当たったけど、動いてる! 足を振り上げてきた!
 他の顔にもレーザービーム! レーザービーム!

 化け物がドウッ! と倒れた。
 すぐ近くに化け物の顔がある。
 怖い。
 身体が震えてる。
 体に傷は無いかな?
 凄い力で化け物に叩かれた気がする。
 衝撃はあったけど、痛いところは無い。
 この天使ボディ凄いかも。
 私、もしかして……強い?

 震えが収まるまで待ってから、時間をかけて立ち上がる。
 汚れた気がして服をぱんぱんと叩いた。

 警戒というか、周囲を観察してたんだけどなぁ。
 こいつには気づかなかった。

 こういう場合には、索敵とかマップとかあるのがセオリーじゃないかな?

 うわ!!
 頭に凄い量の情報が入ってきた!
 この辺りの全マップだ!
 ふらりとよろける。
 うう、幼児にこの情報量は辛いかもしれない。
 いや、天使ボディだから大丈夫か?
 色が4色、点で出てきた。
 多分、赤い印が敵だと思う。
 緑は敵じゃない? 青色は? 黄色は?

 とにかく緑色と黄色の集団がいる場所がわかった。
 そこを目指して行こう。

 その前に、この化け物はなんなんだ?
 頭に言葉が浮かんできた。
 あるきまいら、アルキマイラか。
 スマホで読んだような『魔物』なのかもしれない。
 収納にしまっておこう。
 お金になるかも。
 先立つものは必要だからね。

 飛んでたのを叩き落とされたから、木の下じゃなくて木の上を飛んで進んだ方がいいかもしれない。
 木の上を飛んで、緑と黄色の集団のところに行こう。

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~

季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」 建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。 しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった! (激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!) 理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造! 隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。 辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。 さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。 「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」 冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!? 現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる! 爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!

夢で出会ったモブ令嬢を王太子は絶対に手放さない

恋愛
異世界に転生した元大学生のセレナは、病弱な伯爵令嬢として第二の人生を歩むことに。 もう目立ちたくない。結婚も社交もごめん。 ひっそりスローライフを送るはずが──なぜか王太子の夢に出ていたらしく、彼の執着対象に!? 平穏を望むモブ令嬢の、溺愛され系異世界ライフ。 小説家になろうにも投稿しています。

魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩
恋愛
この国は魔力がある世界、平民から貴族まで誰もが魔力を持って生まれる。 生活にも魔法はが使われていた。 特に貴族は魔力量が多かった。 単純に魔力が高いと戦力になる、戦場で功績をあげれば爵位が上がる。 こうして魔力量を維持して地位を維持していた。 そんな国で魔力量の少ない娘が生まれた。 しかし彼女は人の魔力を吸う力があった。

【完結保証】存在しないことにされていた管理ギフトの少女、王宮で真の家族に出会う 〜冷遇された日々は、王宮での溺愛で上書きします〜

小豆缶
恋愛
「願った結果を、ほんの少しだけ変えてしまう力」 私に与えられたギフトは、才能というにはあまりにも残酷な自分も人の運命も狂わせるギフトだった。 そのあまりの危うさと国からの管理を逃れるために、リリアーナは、生まれたことそのものが秘匿され、軟禁され、育てられる。 しかし、純粋な心が願うギフトは、ある出来事をきっかけに発動され、運命が動き出す。 二度とそのギフトを使わないと決めて生きてきたのよ だが、自分にせまる命の危機ーー 逃げていた力と再び向き合わなければならない状況は、ある日、突然訪れる。 残酷なギフトは、リリアーナを取り巻く人たちの、過去、未来に影響し、更には王宮の過去の闇も暴いていく。 私の愛する人がどうか幸せになりますように... そう、リリアーナが願ったギフトは、どう愛する人に届くのか? 孤独だったリリアーナのギフトが今、王宮で本当の幸せを見つけるために動き始める

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆1/19〜1/27まで、予約投稿を1話ずつ行います。 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...