1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

文字の大きさ
14 / 70

ラズと人生ゲーム

しおりを挟む
 領主様が帰った後、大司教様に残ってもらい用件を話す。

「ぼうけんしゃぎりゅどに、とうりょくちたいでしゅ。きょうりょくちてくだしゃい」

「冒険者ギルドですか!? ダメですよ! 何を言ってるんですか!? 身分証が欲しいなら教会が作ってます。今、注文してますから大丈夫ですよ?」

「ちがいましゅ。まもにょを、たおちましゅた。うりにいきたいでしゅ」

「魔物を倒したですって!? こんなにお小さいのに無理をなさって、いけない子ですね、サチ様は。それで倒した魔物はどこにあるんですか?」

 大司教様が、もの凄く憤慨して興奮している。
 こんなに驚かれるとは思わずに、サチは言葉を続ける。

「しゅうにょうに、はいってましゅ」

「しゅうにょう……収納ですか? 空間魔法ですか!? 凄いです! サチ様! あ、ごほんっ、もう、魔物は腐ってるんじゃないですか?」

「じかんていしでしゅ。だいじょうぶでしゅ」


「時間停止ですか。教会の者に魔物の解体に行かせます。それでいいではないですか?」

「だめでしゅ。おおきいでしゅ」

「大きな魔物!! はぁ、お小さいのに苦労なさって……」

 大司教様がふらりと眩暈でもおきたように、ソファに両手をついた。
 なんか、見当違いのことを言っている。

「くりょうしてましぇん。おしょわりぇた……お!そ!わ!れ!た!にょで、たおしましゅた」

「襲われた!! おおっ! 神よ! 使徒様に試練をお与えになったのですね! ああぁぁ」

 なんか、大司教様が悲嘆に暮れている。
 そんなに大げさな事かなぁ。
 試練というより出くわしちゃった、て感じだったけど。
 2匹とも私のこと殺(や)る気だった。

「ぼうけんしゃぎりゅど、いってもいいでしゅか?」

 あ、ふらりとしていた大司教様が立ち直った。
 真面目な顔してる。

「明日の午後に私と一緒に行くならいいでしょう。それでいいですか?」

「わかりましゅた。ありがとうごじゃいましゅ」

 お礼を言ったら、大司教様がにっこりした。
 何で途中で意見を変えたんだろう? まあ、都合がいいからいっか。

「しょれでは、へやにかえりましゅ」

「抱っこでお連れしなくていいですか?」

「とんでいきましゅ。さよにゃりゃでしゅ」

「はい、さようなら、サチ様」

 待っててくれたラズと一緒に部屋に帰る。

 何故か飛んでると教会の人に拝まれる。
 いつまで続くのかなぁ。

 部屋に帰ったらラズに靴を脱がせてもらう。
 幼児の体がお昼寝したい。
 布団に入って身体の力を抜く。
 ふー、なんか濃い時間だった。
 午前中も勉強したし、頭が疲れている。
 ラズ、おやすみ。

「……ず、おやしゅみ」

「おやすみなさい、サチ様」

 ラズの優しい声が聞こえた。

 ◇◇◇

 18時の鐘の音で目が覚めた。
 サチは、よく寝た。
 疲れた感じも無い。
 もぞもぞと起きてストローマグで麦茶を飲む。

 そこで静かに部屋の中で控えていたラズがサチに話しかける。

「おはようございます。サチ様。夕食に行かれますか?」

「ぷはっ、おはようごじゃいましゅ。いきましゅ」

 ラズに靴を履かせてもらい、飛んでラズについて行く。
 みんな、お勤めが終わったのか明るい雰囲気だ。
 やっぱり、教会の人に拝まれるけど。

 食堂に入って、お誕生日席に座るように言われる。
 ラズが食事を取りに行っている間に近くにいた人が話しかけてきた。

「使徒様! あ、あの、使徒様は創造神様にお会いになった事はありますか?」

「はい、いっかいだけ」

 きゃー! わー! っと声が上がり、少し食堂が騒がしくなる。
 聞き耳立てていた人が何人かいたのか。

「創造神様はどんなお方でしたか!!」

「とてもおおきかったでしゅ。いげんがありましゅた。しょりょうのだんしぇいで、いっぽうてきにいいたいことをいって、しぇかいのあにゃにおとしゃれましゅた」

「えっと、とても大きくて、威厳があって、しょりょう?」

 聞いてきた教会関係者の若い男性がサチの言葉を聞き取れずにいると、そこに料理を手にしたラズが帰って来て通訳をしてくれた。

「初老の男性で一方的に言いたいことを言って世界の穴に落とされたと言っています」

「あっ! ありがとうございます!」

「あまり、使徒様にご迷惑を掛けないようにお願いします」

 ラズが少しキツイ口調で若い男性に言うと気まずい空気が流れた。

「……はい」

 ラズが来て、上手い具合に話をまとめてくれたと思ったサチは料理に注目する。
 あー、いい匂い。
 シチューかな? 白いスープ。

 サチの隣に座ったラズが小さく具材を切って冷ましてくれる。

「サチ様、あーんです」

「あーん」

 おいしい~! ほくほくだぁ。
 食べやすい温度。
 やっぱりラズは小さい子のお世話をしていたんじゃないのかな?

 シチューとはちょっと違ったけど、お肉も入っていた食事を終えて部屋に飛んで帰る。

「りゃず、へやにかえっていいよ? もうねりゅだけだかりゃ」

「大丈夫です。サチ様が就寝なさるまでここにおります」

 ラズの忠誠心? 信仰心? 仕事人間? さが凄い。
 お昼寝したばっかりだから、まだ眠くないんだよね。

 何か遊具を作ろうか? ラズも一緒に遊べるような。

 !人生ゲームなんていいかもしれない。
 程よく時間がかかるし、年1回くらいすると楽しい。
 内容は今日聞いたこっちの常識に合わせて、お金は偽金だといけないから、文字だけこっちで、お金は日本のと同じで。

 〈いでよ! 人生ゲーム!〉

 ベッドの上に落ちてきた。
 あ、ラズが驚いてる。
 意外と驚いた顔は幼いんだよねラズ。

「りゃず! いっしょにあしょぼう?」

「これは、何ですか? じんせいげーむ?」

「たのしいよ! あしょびかた、おしえりゅかりゃ」

 ラズを大きいベッドの上に無理矢理乗せて、箱を開けて人生ゲームの中身を取り出して準備する。

「ここがすたーとにぇ」

 ラズの乗り物を渡してサイコロを振る。
 1、2、3、4ギルドにお金を払う。
 初めからお金を取られた。
 次にラズがサイコロを振る。
 1、2、3冒険者ギルドに入る。
 ラズは冒険者かー。

 サイコロで乗り物を進めて行くとラズも面白さが分かってきたらしい。
 素の若い青年のあどけない顔をしている。
 いつもは緊張してたんだね。

 2人でサイコロを振り合って、お婿さんやお嫁さんを貰って、借金して、子供が出来て、祝い金を渡して、また家族が増えて、2人の今夜だけの人生を進んでいく。

 ゴールが近づくとラズは眠くなって来たみたいだ。
 ちょうどいいね。

「りゃずのかちー」

「私が勝ってしまいました……」

 ラズが呆然としているうちに片付けて床に箱を下ろす。

「わたち、もう、ねりゅかりゃ、りゃずはいっていいよ。あしょんでくりぇて、ありがとね。おやしゅみ、りゃず」

「はい、おやすみなさいませ」

 多分、魔道具だろう照明を切ってくれて、私はベッドに横になる。
 今日もお風呂に入らなかったなぁ。
 明日聞いてみよう。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

ギルドの受付嬢はうごかない ~定時に帰りたいので、一歩も動かず事件を解きます~

ぱすた屋さん
ファンタジー
ギルドの受付嬢アイラは、冒険者たちから「鉄の女」と呼ばれ、畏怖されている。 絶世の美貌を持ちながら、常に無表情。そして何より、彼女は窓口から一歩も動かない。 彼女の前世は、某大手企業のコールセンター勤務。 営業成績トップを走り抜け、最後には「地獄のクレーム処理専門部署」で数多の暴言を鎮めてきた、対話術の怪物。 「次の方、どうぞ。……ご相談ですか?(クローズド・クエスチョン)」 転生した彼女に備わったのは、声の「真偽」が色で見える地味な能力。 だが、彼女の真の武器は能力ではなく、前世で培った「声のトーン操作」と「心理誘導」だった。 ある日、窓口に現れたのは「相棒が死んだ」と弔慰金をせしめようとする嘘つきな冒険者。 周囲が同情し、ギルドマスターさえ騙されかける中、アイラは座ったまま、静かにペンを走らせる。 「……五秒だけ、沈黙を差し上げます。その間に、嘘を塗り直すおつもりですか?」 戦略的沈黙、オウム返し、そして逃げ場を塞ぐイエス・セット。 現代のコールセンター術を叩きつけられた犯人は、自らその罪を吐き散らし、崩れ落ちる。 「あー、疲れた。一五分も残業しちゃった。……マスター、残業代三倍でお願いしますね」 これは、一歩も動きたくない受付嬢が、口先だけで悪を断罪し、定時退勤を目指す物語。

元社畜悪役令嬢、辺境のボロ城を全自動ボタニカル美容スパに大改造して引きこもる ~前世コスメで冷徹公爵を完治させたら溺愛されました~

季未
恋愛
「貴様のような悪逆非道な女は、極寒の辺境へ追放だ!」 建国記念の夜会で王太子から婚約破棄を突きつけられた公爵令嬢シャルロッテ。 しかし、彼女の中身は前世でブラック企業に殺された過労で過労死したマーケターだった! (激務の王妃ルート回避!? しかも辺境は誰にも邪魔されないブルーオーシャン! 最高のフリーランス生活の始まりじゃない!) 理不尽な追放を究極のホワイト・スローライフへのパスポートだと歓喜した彼女は、あてがわれた辺境のボロ城を、前世の「DIY・スマートホーム知識」と「土・水魔法」を駆使して爆速で大改造! 隙間風の吹く部屋は、一瞬で「床暖房完備の全自動温水スパ」へ。 辺境に自生する雑草からは「極上ボタニカルコスメ」を開発し、自らも絶世の美女へと変貌していく。 さらに「お前には干渉しない」と白い結婚を突きつけてきたはずの、呪いで顔に火傷を負った氷の公爵に特製マッサージと美肌治療を施したところ……。 「お前が作ったこの空間と、お前自身が……俺のすべてだ」 冷徹だったはずの公爵様が、極上の癒やし空間と彼女の手技で完全に骨抜きにされ、異常なまでの過保護・溺愛モードに突入!? 現代マーケティングと美容チートで辺境を超高級スマート・リゾートへと再生させ、かつて自分を追放した王太子たちを大後悔させる! 爽快&極甘な、異世界リゾート経営×溺愛ファンタジー、堂々開幕!

夢で出会ったモブ令嬢を王太子は絶対に手放さない

恋愛
異世界に転生した元大学生のセレナは、病弱な伯爵令嬢として第二の人生を歩むことに。 もう目立ちたくない。結婚も社交もごめん。 ひっそりスローライフを送るはずが──なぜか王太子の夢に出ていたらしく、彼の執着対象に!? 平穏を望むモブ令嬢の、溺愛され系異世界ライフ。 小説家になろうにも投稿しています。

魔力食いの令嬢は魔力過多の公爵に執着される

三園 七詩
恋愛
この国は魔力がある世界、平民から貴族まで誰もが魔力を持って生まれる。 生活にも魔法はが使われていた。 特に貴族は魔力量が多かった。 単純に魔力が高いと戦力になる、戦場で功績をあげれば爵位が上がる。 こうして魔力量を維持して地位を維持していた。 そんな国で魔力量の少ない娘が生まれた。 しかし彼女は人の魔力を吸う力があった。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆1/19〜1/27まで、予約投稿を1話ずつ行います。 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結保証】存在しないことにされていた管理ギフトの少女、王宮で真の家族に出会う 〜冷遇された日々は、王宮での溺愛で上書きします〜

小豆缶
恋愛
「願った結果を、ほんの少しだけ変えてしまう力」 私に与えられたギフトは、才能というにはあまりにも残酷な自分も人の運命も狂わせるギフトだった。 そのあまりの危うさと国からの管理を逃れるために、リリアーナは、生まれたことそのものが秘匿され、軟禁され、育てられる。 しかし、純粋な心が願うギフトは、ある出来事をきっかけに発動され、運命が動き出す。 二度とそのギフトを使わないと決めて生きてきたのよ だが、自分にせまる命の危機ーー 逃げていた力と再び向き合わなければならない状況は、ある日、突然訪れる。 残酷なギフトは、リリアーナを取り巻く人たちの、過去、未来に影響し、更には王宮の過去の闇も暴いていく。 私の愛する人がどうか幸せになりますように... そう、リリアーナが願ったギフトは、どう愛する人に届くのか? 孤独だったリリアーナのギフトが今、王宮で本当の幸せを見つけるために動き始める

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

処理中です...