1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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ラズと人生ゲーム

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 領主様が帰った後、大司教様に残ってもらい用件を話す。

「ぼうけんしゃぎりゅどに、とうりょくちたいでしゅ。きょうりょくちてくだしゃい」

「冒険者ギルドですか!? ダメですよ! 何を言ってるんですか!? 身分証が欲しいなら教会が作ってます。今、注文してますから大丈夫ですよ?」

「ちがいましゅ。まもにょを、たおちましゅた。うりにいきたいでしゅ」

「魔物を倒したですって!? こんなにお小さいのに無理をなさって、いけない子ですね、サチ様は。それで倒した魔物はどこにあるんですか?」

 大司教様が、もの凄く憤慨して興奮している。
 こんなに驚かれるとは思わずに、サチは言葉を続ける。

「しゅうにょうに、はいってましゅ」

「しゅうにょう……収納ですか? 空間魔法ですか!? 凄いです! サチ様! あ、ごほんっ、もう、魔物は腐ってるんじゃないですか?」

「じかんていしでしゅ。だいじょうぶでしゅ」


「時間停止ですか。教会の者に魔物の解体に行かせます。それでいいではないですか?」

「だめでしゅ。おおきいでしゅ」

「大きな魔物!! はぁ、お小さいのに苦労なさって……」

 大司教様がふらりと眩暈でもおきたように、ソファに両手をついた。
 なんか、見当違いのことを言っている。

「くりょうしてましぇん。おしょわりぇた……お!そ!わ!れ!た!にょで、たおしましゅた」

「襲われた!! おおっ! 神よ! 使徒様に試練をお与えになったのですね! ああぁぁ」

 なんか、大司教様が悲嘆に暮れている。
 そんなに大げさな事かなぁ。
 試練というより出くわしちゃった、て感じだったけど。
 2匹とも私のこと殺(や)る気だった。

「ぼうけんしゃぎりゅど、いってもいいでしゅか?」

 あ、ふらりとしていた大司教様が立ち直った。
 真面目な顔してる。

「明日の午後に私と一緒に行くならいいでしょう。それでいいですか?」

「わかりましゅた。ありがとうごじゃいましゅ」

 お礼を言ったら、大司教様がにっこりした。
 何で途中で意見を変えたんだろう? まあ、都合がいいからいっか。

「しょれでは、へやにかえりましゅ」

「抱っこでお連れしなくていいですか?」

「とんでいきましゅ。さよにゃりゃでしゅ」

「はい、さようなら、サチ様」

 待っててくれたラズと一緒に部屋に帰る。

 何故か飛んでると教会の人に拝まれる。
 いつまで続くのかなぁ。

 部屋に帰ったらラズに靴を脱がせてもらう。
 幼児の体がお昼寝したい。
 布団に入って身体の力を抜く。
 ふー、なんか濃い時間だった。
 午前中も勉強したし、頭が疲れている。
 ラズ、おやすみ。

「……ず、おやしゅみ」

「おやすみなさい、サチ様」

 ラズの優しい声が聞こえた。

 ◇◇◇

 18時の鐘の音で目が覚めた。
 サチは、よく寝た。
 疲れた感じも無い。
 もぞもぞと起きてストローマグで麦茶を飲む。

 そこで静かに部屋の中で控えていたラズがサチに話しかける。

「おはようございます。サチ様。夕食に行かれますか?」

「ぷはっ、おはようごじゃいましゅ。いきましゅ」

 ラズに靴を履かせてもらい、飛んでラズについて行く。
 みんな、お勤めが終わったのか明るい雰囲気だ。
 やっぱり、教会の人に拝まれるけど。

 食堂に入って、お誕生日席に座るように言われる。
 ラズが食事を取りに行っている間に近くにいた人が話しかけてきた。

「使徒様! あ、あの、使徒様は創造神様にお会いになった事はありますか?」

「はい、いっかいだけ」

 きゃー! わー! っと声が上がり、少し食堂が騒がしくなる。
 聞き耳立てていた人が何人かいたのか。

「創造神様はどんなお方でしたか!!」

「とてもおおきかったでしゅ。いげんがありましゅた。しょりょうのだんしぇいで、いっぽうてきにいいたいことをいって、しぇかいのあにゃにおとしゃれましゅた」

「えっと、とても大きくて、威厳があって、しょりょう?」

 聞いてきた教会関係者の若い男性がサチの言葉を聞き取れずにいると、そこに料理を手にしたラズが帰って来て通訳をしてくれた。

「初老の男性で一方的に言いたいことを言って世界の穴に落とされたと言っています」

「あっ! ありがとうございます!」

「あまり、使徒様にご迷惑を掛けないようにお願いします」

 ラズが少しキツイ口調で若い男性に言うと気まずい空気が流れた。

「……はい」

 ラズが来て、上手い具合に話をまとめてくれたと思ったサチは料理に注目する。
 あー、いい匂い。
 シチューかな? 白いスープ。

 サチの隣に座ったラズが小さく具材を切って冷ましてくれる。

「サチ様、あーんです」

「あーん」

 おいしい~! ほくほくだぁ。
 食べやすい温度。
 やっぱりラズは小さい子のお世話をしていたんじゃないのかな?

 シチューとはちょっと違ったけど、お肉も入っていた食事を終えて部屋に飛んで帰る。

「りゃず、へやにかえっていいよ? もうねりゅだけだかりゃ」

「大丈夫です。サチ様が就寝なさるまでここにおります」

 ラズの忠誠心? 信仰心? 仕事人間? さが凄い。
 お昼寝したばっかりだから、まだ眠くないんだよね。

 何か遊具を作ろうか? ラズも一緒に遊べるような。

 !人生ゲームなんていいかもしれない。
 程よく時間がかかるし、年1回くらいすると楽しい。
 内容は今日聞いたこっちの常識に合わせて、お金は偽金だといけないから、文字だけこっちで、お金は日本のと同じで。

 〈いでよ! 人生ゲーム!〉

 ベッドの上に落ちてきた。
 あ、ラズが驚いてる。
 意外と驚いた顔は幼いんだよねラズ。

「りゃず! いっしょにあしょぼう?」

「これは、何ですか? じんせいげーむ?」

「たのしいよ! あしょびかた、おしえりゅかりゃ」

 ラズを大きいベッドの上に無理矢理乗せて、箱を開けて人生ゲームの中身を取り出して準備する。

「ここがすたーとにぇ」

 ラズの乗り物を渡してサイコロを振る。
 1、2、3、4ギルドにお金を払う。
 初めからお金を取られた。
 次にラズがサイコロを振る。
 1、2、3冒険者ギルドに入る。
 ラズは冒険者かー。

 サイコロで乗り物を進めて行くとラズも面白さが分かってきたらしい。
 素の若い青年のあどけない顔をしている。
 いつもは緊張してたんだね。

 2人でサイコロを振り合って、お婿さんやお嫁さんを貰って、借金して、子供が出来て、祝い金を渡して、また家族が増えて、2人の今夜だけの人生を進んでいく。

 ゴールが近づくとラズは眠くなって来たみたいだ。
 ちょうどいいね。

「りゃずのかちー」

「私が勝ってしまいました……」

 ラズが呆然としているうちに片付けて床に箱を下ろす。

「わたち、もう、ねりゅかりゃ、りゃずはいっていいよ。あしょんでくりぇて、ありがとね。おやしゅみ、りゃず」

「はい、おやすみなさいませ」

 多分、魔道具だろう照明を切ってくれて、私はベッドに横になる。
 今日もお風呂に入らなかったなぁ。
 明日聞いてみよう。
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