1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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結婚の儀式の相談 2

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 開けられた扉にラズがスタスタと入って行く。
 領主様が立って歓迎してくれた。
 領主様に似た若い男性も一緒だ。

「ようこそいらっしゃいました、サチ様。サチ様からいらしていただけるなんて感激ですぞ!」

「きょうはおじかん、ありがとうごじゃいましゅ」

 ラズに抱っこされているが挨拶はしっかりとするのだ。

「なんの! サチ様の為ならば時間も作りましょう! ご紹介します。私の息子にございます」

「はじめまして、スメラギ様。領主の息子、ライアン・モルートと申します。お会い出来て感激にございます!」

 領主様に似た若い男性が息子さんだったか。

「はじめまして、さちでいいでしゅ。いっちょにいるのはりゃずでしゅ。よろちくおにぇがいちましゅ」

「はじめまして、ラズと申します。サチ様のお世話係でございます」

 お互いによろしくとした後にソファを勧められた。

「ささ、お掛けになってお話しましょう。今日は何か用事がお有りとか?」

「しょうでしゅ。だいじなはにゃしでしゅ。けっこんのぎしきのことでしゅ」

「結婚の儀式ですか? 何かございましたか?」

「もんだいがはっしぇいしましゅた。きいてくだしゃい」

「はい、いいですが」

「かみにちかうはけっこんのぎ、しょこにいつわりはありゃんや、ゆりゅちゅ、にゃんじりゃにしゃちありぇ。
 けっこんのぎしきの、ことばがいえまちぇん。もんだいでしゅ」

 これには領主様も結婚をする予定の息子さんも困惑顔だ。

「これは……どうしたことか。サチ様が幼い事が原因ですな」

「父上、どうしましょう?」

「しかし、一生に一度の事。サチ様にお願いしたい。う~む、どうした事か」

「わたちにていあんがありましゅ。きいてくだしゃい」

 私は昨日の夕方に考えた妥協案を伝えた。

「おお! それなら式も荘厳なものになりましょう! なんとありがたい! ライアン、それでも良いか?」

「私はそれで結構ですが、チャーシャが何と言うか……」

「おお、そうだな。サチ様、ライアンの結婚相手を連れてきてもよろしいですかな?」

「だいじょうぶでしゅ」

「バルツ! チャーシャ嬢を呼んで参れ!」

「かしこまりました」

「さて、サチ様、女性の支度は時間がかかるもの。私共とゆるりとお話しいたしましょう」

 メイドさんがお茶とお菓子、パウンドケーキだろうか? 机に置いてくれた。
 領主が1番に食べて飲む。
 私達に配慮してくれたんだな。
 「毒などは入っていませんよ」アピールだ。

 フォークを魔法で浮かせて食べる。
 素朴な味で美味しい。
 この世界は素材の味がそのままで美味しいものが多い。
 無添加で身体に良さそうだ。

「お、我が家の菓子を気に入ってくれましたかな? 美味しいでしょう?」

「もぐ、おいしいでちゅ。もぐもぐ」

「以前にサチ様にご馳走になった菓子も美味しかったですなぁ」

 領主様が夢見る乙女のような顔をして、感嘆の声を出したから、また食べたいのかと聞いてみる。

「たべゆ?」

「は? いいのですか!? はい! いただきとうございます!」

 息子が興奮している父親を見て驚いている。
 この間と同じじゃ芸がない。
 でも、この間のフルーツケーキと同じようなものを食べたいだろう。
 フルーツタルトを出すことにした。

 〈いでよ! 豪華なフルーツタルト!〉

「「おお!」」

 領主と息子がいきなり出て来たフルーツたっぷりのタルトに驚いている。
 ごくんと唾を飲み込む音がした。

「この、お菓子をカットせよ! サチ様、食べられるんですよね?」

 綺麗すぎて食べられるか不安になったようだ。
 もちろん食べれる。

「たべりぇましゅよ。きりゅにょはりゃずにしてもりゃいましゅ」

 一度タルトを切った事のあるラズにタルトナイフを渡す。
 ラズが形を崩さないように綺麗に切ってくれる。
 少し1つが大きい気がするが。

 お皿を創造の能力で生み出してタルトを乗せてもらう。
 最優先で領主と息子の前に置いた。
 領主と息子は目を輝かせてフルーツタルトを見つめている。
 私とラズの分も用意出来たようだ。

「たべていいでしゅよ」

「あ、ありがとうございます。いただきます」

 食べる前に神に感謝を捧げていた。
 祈らなくてもいいのに。
 いや、創造神様に貰った能力だから祈ったほうがいいのだろうか?
 領主と息子は味わいながら食べている。目が輝き、顔色が凄い良い。
 美味しいのだろう。

「サチ様は凄いですな! 美味しいです!」

「本当に美味しいです。チャーシャにも食べさせてあげたい」

 息子が「チャーシャ」と、流れ的に婚約者の女性の名前を言う。
 仲は良さそうだ。

「そうだな。私もイザベラを呼ぼうか? サチ様、妻にもこのお菓子を食べさせてあげてもいいですか?」

「いいでしゅよ! たりにゃけりぇば、あらちいのをだしましゅ」

「おお! ありがとうございます! 誰か! イザベラを呼んで参れ!」

 メイドさんが1人、部屋から出て行った。
 領主様の奥さんを呼びに行ったのだろう。
 私もフォークを操ってタルトを食べる。
 美味しい。
 フルーツもみずみずしいし、素晴らしい再現力だ。
 ラズも美味しそうに食べている。

 メイドさんがお茶のお代わりを入れに来てくれた。
 その口に涎が光ったのをサチは見た。
 フルーツタルトが食べたいんだな。

「りょうしゅしゃま、こにょやかたには、にゃんにんひとがいましゅか?」

 サチはクリっとした目で問いかける。
 体が小さいので上目遣いはデフォだ。

「この館の人数ですか? 下男下女も含めて? そうですな。大体130人はいますぞ。警備兵もおりますからな」

 私は創造の能力でマジックバッグのボストンバッグを作り、バッグの入り口を開けて能力でぽぽぽぽんとフルーツタルトを多数作りボストンバッグに自動で入れていった。

 領主と息子が驚いたように見てくる。
 タルトの行進だ! 130人だから、ホール一つに8人としても大量にいるぞ!

 ずんちゃっちゃ、ずんちゃっちゃとタルトの行進が終わったら、バッグを持って領主様の近くに飛んでいく。
 マントをつけているから翼は見えないよ。
 あ、息子さんが驚いている。

「りょうしゅしゃま、こにょやかたのみんにゃでたべてくだしゃい」

「こ、これはこれは、ありがたく受け取らせていただく。鞄はどうしましょうか?」

「あげましゅ。つかってくだしゃい。じかんていしでしゅかりゃにぇ」

 時間停止のマジックバッグ!
 領主の目が喜びに光った。

「おお! ありがとうございます! 家宝にしますぞ!」

 最近、家宝が多い。
 そんなに大げさな物でもないのに。
 いや、地球なら戦争ものだ。
 やっぱり『時間停止のマジックバッグ』は凄いのかもしれない。
 サチはとんでソファ席に戻る。

 トントントンとノックの音が聞こえた。

『チャーシャ様が参りました!』

「入れ!」

 開いた扉から、しずしずと若くて可愛い女性が現れた。

「お呼びとのことで伺いました。お客様、チャーシャ・ミルアリスと申します。お見知り置きを」

 チャーシャ嬢はサチとラズを見て挨拶してくれた。

「ていにぇいにゃあいしゃつ、ありがとうごじゃいましゅ。サチ・スメリャギでしゅ」

 サチは噛みにくいように少し言葉に力を入れた。
 成果はほんの少し現れたようだ。

「サチ様のお世話係のラズと申します」

 チャーシャ嬢は成人したばかりなのだろう、若々しい身体に、可愛らしい女性だ。

 私と目が合うとぱっと顔を輝かせた。
 小走りで近づいてきて抱きしめられた。

 サチ的に女性に抱きしめられるのは歓迎だ。

「まあ! まあ! とても可愛いらしいわ! ライアン様、私もこのように可愛らしい赤子が欲しゅうございます!」

 あ、息子さんが息を吹きだした。
 領主が納めにかかる。

「チャーシャ嬢、それはライアンと2人の時にお願い出来ますかな?」

「まぁ、私ったら。申し訳ありませんわ。それで、お義父様、お呼びされた用事は何だったのかしら?」

「そこのサチ様から美味しいお菓子をいただいたので、チャーシャ嬢も一つ如何ですかな?」

 領主がタルトの残りを指差す。

「まあ! 美しい! これは食べられますの?」

「たべてくだしゃい」

「まあ!ありがとうございます。いただきますわ!」

 ラズがカットしてチャーシャ嬢に渡す。
 フォークはメイドさんが準備してくれた。

「まあ! なんてみずみずしい果物かしら! 素晴らしいわ!」

 トントントン、と、またもノックの音が聞こえた。

『奥方様のお越しにございます!』

「入れ!」

 開いた扉からゴージャスな少し年齢を感じさせる女性が現れた。

「失礼いたします。わたくし、領主の妻のイザベラにございます。お見知りおきを」

 客のサチとラズに挨拶していたイザベラを領主が呼ぶ。

「おお、おまえもこちらに来てソファに掛けなさい。サチ様から美味しいお菓子をいただけるぞ」

「まあ、そうですか。ありがとうございます。失礼しますわ」

 上品でゴージャスなご夫人が来た。
 領主様から聞かされているのだろう。
 私を見てにこりと微笑んだ。
 ラズがタルトを切り分けてお皿を渡している。

「まあ! 芸術ですわ! 食べるのがもったいない」

「食べても美味しいぞ。無くなってしまうがな。腹の中に」

 ははっ! と領主様が笑う。

 みんなタルトを食べて満足顔の時にさっき領主と息子に話した、結婚の儀式の妥協案を話す。

「わたくしはそれで構いませんわ。サチ様が儀式をしてくださるとは何とありがたいのでしょうか。素晴らしい儀式になりますわ!」

 チャーシャ嬢がサチの案に同意した。

「わたくしも、本人達がいいのなら、それで構いませんわ」

 イザベラは結婚する当人達に任せる方針のようだ。

「そうか。それではサチ様、本番はよろしく頼みましたぞ」

「もちりょんでしゅ」

 賑やかな領主館を後にした。
 よかった、受け入れてくれて。
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