1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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サチ、旅に出る

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 そして私は旅に出る。
 長くお世話になったここに別れを告げて。

 大司教様に言ったら、泣かれて大変だった。
 「サチ様ぁ、サチ様ぁ」と縋りつかれた。
 たまに帰って来るから。
 多分一瞬で帰って来れるよ? 大司教様と約束。

 大司教様から身分証を貰った。
 なんかキラキラして綺麗だった。
 創造神様の模様なんだって。
 教皇様と同じ身分証らしいよ。
 どこに行ってもこれで町に入れるからと。
 盗難には注意してくれとのことだったので、使用者登録を私にしておいた。
 取られても帰って来るんだ。
 これで安心。

 旅のお供にラズがついて来ると言った。
 「ありがたいけど~~」と悩んで言ったら「決まりですね!」と言い切られた。
 ラズも図太くなったようでなによりです。

 他にも希望者を集ったら、いっぱい人がいたらしいけど、ここの教会が回らなくなるから、大司教様の厳正な選出により、聖騎士が2人ついて来るらしい。
 「本当はもっと人をつけたいけど」と大司教様に言われたけども、4人旅くらいでちょうどいいと思うんだ。

 馬車もくれようとしたけど、乗り物はあると断った。
 創造すればいいからね。

 ラズと2人の聖騎士、カイザーとエレナ。
 男性と女性だよ。
 3人のマジックバッグを作って、旅の準備をしてもらった。
 選出の決め手は独身と高い戦闘力だったらしい。

 旅装の聖騎士の格好もカッコよかった。
 綺麗っていうのかな? ラズも、もっと動きやすい司祭の格好。
 教会の象徴の白色は譲れないのね。
 綺麗にしたかったら私が綺麗にするけども。

 そして私が旅立つと各所に連絡。
 今まで関わった人ほとんどが挨拶してくれたよ。
 孤児院の院長も来て私とラズに挨拶してくれた。
 院長の柔らかな身体を堪能しましたとも。

 そして私は教会に木を植えた。
 自然と身体に優しい石鹸の木。
 瓢箪みたいな実がなって、中に液体石鹸が入っているの。
 私がいなくなると、お風呂場にシャンプー、コンディショナー、ボディソープを補充する人がいなくなるからね。
 教会全体で喜んでくれた。

 そして今日旅立つ。
 初夏も終わり、すっかり夏だ。

「サチ様っ、うっ、うっ、お元気でお過ごしください」

 大司教様が正装で見送ってくれる。
 泣いてるけどね。
 私は大司教様をよしよしして「またきましゅ」と言った。

「絶対にですよ! お待ちしております」

 教会にいる全員が集まっているのじゃなかろうか? 一斉に頭を下げられた。

「いってきましゅ!」

 教会の入り口から飛び立ち、私の姿が見えなくなるまで見送りしてくれた。

 その後にラズに確保されて、ラズに抱っこされて移動中である。

「今日からは、この4人ですね!」

 少しラズはうきうきしているようだ。

「そうでしゅ。よりょしくおねがいちましゅ」

「私達こそ、よろしくお願いします! 抽選に通って良かったなエレナ!」

「そうですね、カイザー。これも神の御心のままでしょう」

「まじゅは、しんしぇいきょうこくに、いきましゅ。よろしくでしゅ」
(まずは、神聖教国に行きます。よろしくです)

「もちろんです! 総本山に行けるなんて私達ついてる!」

「そうですね」

「そうだな!」

 4人で買い物に何回か行った事があるから、みんな話し方がくだけている。
 その方が旅が楽しい。

 何事も無く門に着いた。
 荷物を確かめられるが、みんなマジックバッグだ。
 すんなりと通して貰った。

 街道を少し歩いて人気がなくなったらラズに止まってもらう。

「それでサチ様、どうするんですか?」

「ふぁみりーかーをだしましゅ」

「ふぁみりーかー?」

 高級なファミリーカーのエル◯ランドを想像する。
 地面から少し浮いて抵抗をなくして、速度は80km以上出ないようにする。
 80kmでもこの世界では危ないけどね。
 そして、私が座るチャイルドシート付きだ。
 不壊を付ける。

 まぁ、これも三輪車と同じように浮いて飛ぶから難しい操作はいらない。
 ガソリンで動かないで空気中にある魔素で飛ぶようにする。
 アクセル、ブレーキ、ハンドルが有ればいいだろう。
 あ、あとは坂道ロック。
 勝手にうごかないようにね。
 バックも必要かな? 色は黒でいいか。
 汚れが目立つけど、洗えば良いもんね。
 能力で綺麗にするか。
 あ、あと、この世界用のナビもいるかな。
 それと、魔物対策の結界! 敵意がある者は近づけない。

 〈いでよ! 高級なエル◯ランド! チャイルドシート付きでね〉

 突然、目の前に黒い車のエル◯ランドが出てきた。

 ラズもカイザーもエレナも驚いている。

「おお!? なんだこれは!」

「綺麗!」

「サチ様が出したのですか?」

「しょうでしゅ。にょりかたをおちえましゅ」

 まずは運転の方法。
 これはみんなに実際に運転してもらって慣れてもらう。
 これは簡単だからすぐに覚えられたよ!

 私の足がアクセルにもハンドルにも届かなかったのは仕方がない。
 だって、1歳児。
 小さいからね。

 それと私の乗せ方。
 チャイルドシートの使い方を教えて覚えてもらう。
 各自、シートベルトの使い方もね。

 ラズと私は後ろの席になった。
 運転はカイザー。
 助手席にエレナ。
 いざ出発だ!

 車が走り出すと、その快適さにみんなが声を上げた。

「これはいいな! 振動がこない!」

「この椅子も凄い座り心地が良いよ! ソファみたいで身体が疲れない!」

「サチ様は天才ですね」

 そうだろう、そうだろう! ラズは褒めすぎ。
 この車は結婚した時に旦那が持っていた車だ。
 懐かしいな。

 あの人、気が早くて「家族をいっぱい増やそう!」なんて言って。
 本当に気が早くて気が早くて、私を置いて「……さま」

「サチ様!どうしましたか? 疲れでも出ましたか?」

 ラズか。
 エレナも心配そうにこっちを見てる。

 少し思い出に気を取られた。

「だいじょうぶでしゅ。ぼーっとしてましゅた。だいじょうぶでしゅよ」

「そうですか……」

 いけない、いけない。心配させちゃった。
 今はサチとして新しい人生? 天使生を謳歌してるんだ! 旅は始まったばかりだ!

「サチ様。この速さなら村を3つ4つ過ぎても良さそうですが、いかがなさいますか?」

「かいじゃーにまかしぇましゅ」

「それじゃあ余裕を持って宿泊する所まで行きますね」

「おにぇがいしましゅ」

 ストローマグで水分補給をする。
 ぷはっ、美味しい。
 みんなも飲み物いるかな?

「にょみもにょ……の!み!も!の!いりましゅか?」

 ラズが気軽に了承した。
 毎日おやつを出した実績はだてではない。

「そうですね。お願いしましょうか」

「にゃににょみましゅ?」

「私はお茶で、エレナとカイザーはどうします?」

「何でもいいの? サチ様!」

「にゃんでもだしましゅ」

「じゃあ! トモモの果汁ジュースをお願いします!」

「お! いいな! じゃあ、俺もそれでお願いします」

 トモモの果汁ジュース。
 初めて作るものだ。
 知らないけど作れるのかな?

 〈いでよ! トモモの果汁ジュース! 2つね〉

 ずっしり手に重さがきた。
 落ちそうになった果汁が入った飲み物をラズが持って助けてくれる。
 ふーっ、こぼすと思った。
 あとはラズのお茶。
 烏龍茶でいいかな? 好きなんだよ。
 ペットボトルで出して、ラズに開け方を教える。
 すぐにマスターした。

「きゃー! 美味しい! これよ! これ!」

「うん、美味いな」

「ふむ、香り高いお茶ですね。味が濃い」

 みんな満足したようだ。
 トモモの果汁ジュース。
 夜にでも飲んでみようかな?
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