1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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 懐かしい鐘の音で目を覚ます。
 ここは教会だ。
 鐘が鳴る。
 それも大きな鐘の音。

 隣を見ると慈しむように自分を見る瞳があった。

「おはようございます、サチ様。よく眠れましたか?」

「おはようごじゃいましゅ、りゃず。よくにぇむりぇまちた」

「食事の時間ですよ。食堂に参りましょう」

「はい」

 2人で起き上がって、ラズに靴を履かせてもらう。

 護衛2人はソファに座っていたようだ。
 旅装じゃない正装の聖騎士の服に着替えている。

 ラズに抱っこされて、部屋を出て食堂に行く。
 どこに食堂があるのか分かるのか?

「しょくどう、わかりましゅか?」

「分かりますよ。だいたい教会の作りは似ているものです」

 カイザーとエレナも「そうです」と頷く。
 そうなのか。

 ラズに抱っこされているとチラチラと見られる。
 幼児が教会にいるのが珍しいのか? そうか、珍しいか。

 食堂に着く。
 席はお誕生日席ではない。
 ここは大司教様のいるモルートではないのだ。

 見慣れない幼児と聖騎士に食堂にいる教会関係者の視線が刺さる。
 「誰だ?」「誰だ」と噂している。

 ラズとカイザーが4人分の食事を貰ってきた。
 聖騎士に挟まれる格好で食事をいただく。

 今日はあーんは無しだ。
 ラズが残念そうだが、自分の食事を食べてほしい。
 カトラリーをサチの『想像』の能力で動かして食事を食べるとざわめきが大きくなった。
 みんな初めての現象に驚いているのだ。

 後ろから近づいて来た人物にカイザーとエレナが警戒して立ち上がった。
 サチも後ろを見る。
 ラズは素早くサチを抱っこした。

 サチは1歳児だが、やっと歩き始めた子供のように小さいので、掬い上げられるように抱っこされてしまうのだ。

 創造神様の過ちは大きな影響をサチに与えていた。

 近づいてきたのは聖騎士の格好をした体格の良い、そこそこ歳の男性だった。

「おお、そんなに注目しないでくれ。私は聖騎士団長だよ。そこの子供が食堂のざわめきの原因だったので、騒ぎを治めに来たんだ。教会に子供を入れたのは誰の許可だい?」

 異常に気がついて秩序を保つ為に来たようだ。
 サチの事を知って近づいてきたのではないと少し警戒を下げた。

 この教会の聖騎士団長の問いにはカイザーが代表して答えた。

「司教のファイン・ダレーンと言う人だ。気安くサチ様に話しかけないでもらおう」

「最高責任者のダレーン司教ですか。その子供は何者ですか?」

「聞いて驚け! サチ・スメラギ様は創造神様の使徒様だ。サチ様は全ての教会を頼っていい事になっている。神託でだ!」

 カイザーが自慢そうに言った。
 サチは思った。
 そこまでドヤ顔しなくても良いと思うの。

 それを聞いた聖騎士団長は雷にでも打たれた顔をした。
 食堂のざわめきもピークだ!

 そこに話に出てきたダレーン司教がお供を連れてやって来た。

「皆さん! 何の騒ぎですか!? 落ち着きなさい! 聖騎士団長! これは何事か!?」

 この教会の実質のトップであるダレーン司教の登場に場が少しおさまる。

「はっ! この子供の正体を聞いておりました!」

「ふむ、良い機会でしょう。明日紹介しようと思いましたが今しましょう。ここにおられる子供! サチ・スメラギ様は創造神様の使徒で在られる! 失礼の無いように頼みますよ!」

 食堂の空気がビシッと固まった。
 衝撃的な事実を聞いたからだ。
 すぐに正気に戻る者は少ない。
 良くも悪くも教会はあまり外部との接触が無いからだ。

 サチ達はこれで安心して夕食が食べれると食事を再開した。
 サチ達の食事をする音だけが聞こえる。

 ダレーン司教がご機嫌伺いの為とサチと話したい気持ちで聞く。

「あの、使徒様。食事の味はいかがでしょうか?」

「ごくん、おいちいでしゅ。ありがとうごじゃいましゅ」

「いえいえ、なんのなんの。ごゆっくり食事を楽しんでください」

 ダレーン司教は嬉しさで気持ちが爆発しないように猫撫で声で言ったあと、自分も席に着いて近従に持って来させた料理で食事を始めた。
 ちゃっかりとサチの正面に座って。

 サチの座る椅子が大人サイズなので、サチの頭頂部しか見えないが。

 ダレーン司教は自動で動くカトラリーを不思議そうに見ている。
 大体のことは神の名の元に済ませれるのである。
 教会では特に。
 ダレーン司教だけかもしれないが。

 ひそり、ひそりと食堂に喧騒が戻ってきた。
 驚愕の真相を皆、個人個人で理解したようだ。

 ものすごく注目を集めた食事が終わったら、ラズとカイザーは食器を返却口へ持って行った。
 エレナがサチを抱っこする。

 サチは思った。
 女の人の抱っこ良い。
 柔らかい。

 ラズが聞いたら泣きそうだ。

 ラズが帰って来たら、サチはラズに抱っこされた。
 エレナは護衛だからサチを抱っこして歩けないのだ。
 つかの間の癒しであった。

 部屋に帰るとサチの『おうち』にみんなで入る。
 みんなが教会が用意した客間で眠れないからだ。
 それと警護の為に。

 サチの『おうち』にはサチが許可した者しか入れないので安心安全なのだ。

 豪華というか、快適なおうちにみんなで落ち着く。
 一度生活の質を上げてしまったら、贅沢に慣れてしまったら、質を落とすのは難しいのである。

 サチは今日はエレナと風呂に入る。
 心の中でラズは歯を食いしばった。

「エレナ、サチ様のお世話は任せましたよ」

「はい! サチ様、一緒にお風呂に入りましょうねー」

 子供扱いになっているが、それも心地いい。
 エレナに抱っこされて女湯に入った。
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