1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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大司教様に会う

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 女湯に入ったサチはエレナに服を脱がされた。
 サチの服に慣れないエレナは四苦八苦して脱がせていたが。
 それと子供のお世話もした事がないのだろう。
 いつもサチをお世話していて慣れているラズとは勝手が違うのだ。

 エレナは自分も服を脱いで、サチを抱っこしてお風呂のシャワーをする。
 ここでもエレナは苦戦してサチを頭から爪先まで洗い上げる。
 小さい子のお世話は大変なのである。
 サチは静かだが。

 まるっと洗われたサチは翼を出して湯船に浸かる。
 ぷかぷか浮いて、ふーっと息を吐き出す。
 いーいゆだっな♪ あははん。

 サチが浸かっている湯船に身体を洗い終わったエレナが入って来た。
 エレナがサチに話しかける。

「サチ様の翼は便利ね。浮くなんて」

 エレナとは初めてお風呂に入ったのだ。
 不思議がるのも当然だろう。

「いいつばしゃでしゅ」

 サチ的に翼はお気に入りだった。
 開放感がたまらない。

「サチ様は教皇様に会ったら、どこに行くの?」

 そう、最終目的地が教皇様のいる神聖教国ではなく、旅はその後も続くのだ。
 でもサチの行き先は決まっていた。

「ぱりゃにゃら……ぱ!ら!な!ら!おうこくでしゅ」

「なぜ? それも神託?」

 エレナは小国群の集まっている治安の良く無いパラナラ王国に行くのが不思議そうだ。
 まあ、お風呂の中でサチと2人だけだからリラックスして聞けるのかもしれない。

「ちがいましゅ。りゃずのうんめいのあいてがしょこにいましゅ」

 これにはエレナも驚いたようだ!

 運命の相手=結婚相手だからね。

「えっ! そうなの! サチ様は運命の相手とか分かるんだ。……あ、あのね、サチ様、私の運命の相手って分かるかな?」

 将来的に女性は結婚する時代に、自分の『運命の相手』がわかるのはすごい事だ。

 エレナは強いが、やはり女性なのである。

「えりぇにゃのうんめいのあいてでちゅね? ちょっとまってくだしゃい」

 エレナの運命の相手は何処にいる? あ、結婚相手ね。

 サチの頭の中に、もやもや~と浮かんできた。
 うむ、まさに運命だ。

「えりぇにゃのちかくにいましゅ」

 サチは少し意地悪して遠回しに言ってみた。
 でもエレナならわかるだろう。

「えっ! それって、どう言う事!? サチ様!」

 そんなサチに他人事では無いエレナは慌てる。

「わたちたちは4人でしゅ。りゃずにはうんめいのあいてがいましゅ。ちょういうことでしゅ」

「えっ! まさか、カイザー!?」

 サチは子供特有の無邪気な笑顔で笑って、露天風呂に飛んで行った。
 エレナも追いかけてくる。

「まってよ~、サチ様~」

 ちょっと情け無いエレナもかわいい。

 露天風呂でエレナと女同士で戯れた。


 お風呂上がり、風呂場の前のソファでラズとカイザーに会うとエレナが挙動不審になった。
 ラズは不思議そうにしながらもサチを受け取った。

 「いっしっしっ」と悪い笑顔を浮かべるサチだが、幼児の顔なので「ニコッ」とした可愛いらしい笑顔になってしまった。

 頑張れ! エレナ!

 ラズに連れられて『おうち』のサチの部屋に入る。
 今日のサチにはやる事があるのだ。

 サチは寝室の壁に手をつけて、祈る。

 〈大司教様に繋がれ!〉

 壁にドアが現れた。
 サチの事を見つめていたラズがびっくりしている。
 ドアを開けると懐かしい大司教様の部屋だ。

「えっ!?サチ様!?」

 中から声が聞こえた。
 大司教様の声だ。

「だいしきょしゃまーー!!」

 ひしっと、サチは大司教様の胸に張り付いた。
 後からラズがやってくる。大司教様が抱きしめてくれた。

 数ヶ月のモルートの教会生活で大司教様は良くも悪くもサチの『お父さん』ポジションになっていた。
 お母さんポジションは、孤児院の院長先生かな?

「サチ様っ! おっ、お元気そうで何よりですっ!」

 大司教様が鼻声だ。
 サチに会って感極まってしまったのだろう。

「りゃず、きょうはだいしきょしゃまとにぇましゅ」

「はい、分かりました。それでは、おやすみなさいませ」

 ラズは作られたドアから出て行った。
 『おうち』に帰ったとも言う。

 大司教様はサチをベッドまで連れて行ってくれた。
 一緒に横になる。

 サチはモルートで別れてからの事を一生懸命、大司教様に話す。
 うんうんと優しく大司教様は聞いてくれた。
 サチは嬉しくなった。
 大司教様はいつも優しい。

 話に夢中になっていたサチがあくびをしたら、優しく寝かしつけてくれた。

「おやしゅみにゃしゃい。だいしきょしゃま」

「おやすみなさい、サチ様」

 大司教も嬉しかった。
 サチに忘れられていなかった。
 約束を覚えて会いに来てくれた。
 それだけで夢のような夜だった。

 ◇◇◇

 カラーン! カラーン! カラーン! カラーン! カーラン!

「サチ様、朝ですぞ。起きてください」

 サチは教会で鳴る鐘の音に一気に起こされた。

「むー、むー、だぁい、だぁいしきょ、しゃま?」

「大司教ですぞ。サチ様、起きてください」

 サチは薄目で温もりを探して転がる。
 あった。
 おおきな温かいものだ。

 大司教様は寝ぼけて胸にひっついているサチを宝物のように撫でた。

「かわいいですな。サチ様、朝ですぞ、起きてください」

「むー、おきてましゅー」

「それならば、目を開けてください。まだ寝てますぞ」

 サチが目を開けると、髪が乱れたダンディなおじさまが目の前にいた。

 びっくりしすぎてサチの目が覚めた。

「おや? 今度は目が飛び出しそうですぞ。起きましたな。おはようございます、サチ様」

「おはようごじゃいましゅ」

 サチの好みすぎる色っぽい男性がいて、サチの目はまんまるだ。
 サチの中身は中年女性なので大司教様はサチの好みにピッタリなのだ。
 いつもの大司教様に乱れは一筋も無いので。

「離れるのは寂しいですが、もうお帰りになりませんと。また、会いに来てくださるのでしょう?」

 サチはどさくさにまぎれて大司教様の胸に顔をすりすりした。

「あいにきましゅ。やくしょくでしゅ」

「そうです。約束ですな。さあ、起きましょう」

 起きたサチは飛んでベッドから降りて靴を履くが、大司教様が手伝ってくれた。
 優しい。
 幼児の手って不器用だから。

 別れる前に抱きしめて(どちらが抱きしめているのか)さよならする。

 大司教様は優しく色っぽく微笑んでくれた。

 ドアを開けておうちに戻るとサチの部屋にはラズがいた。

「おはようございます、サチ様。よく眠れましたか?」

「ぐっしゅりでしゅ。おはようごじゃいましゅ、りゃず」

「さぁ、顔を洗って朝食を食べに行きますよ」

 今日も1日が始まる。
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