1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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不自然な空気 1

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 「お客様、申し訳ありません。今から店が騒がしくなります。お詫びに小さいですが、こちらの宝石を差し上げますので、お引き取りをお願いできますか? 鑑定書付きでございます」

 待っていたら、宝石をくれると言われた。
 ダダで貰える物は貰う。
 「ダダほど怖いものはない」と世間では言われているけれど、よほど怪しくなければ貰うサチだった。
 お引き取りくださいと言われたので、帰ることにする。
 もっと宝石を見たかったので残念だが。

 肩を落としていたのをラズに目撃されて、抱っこで店から出た。
 他の客も出て来たようだ。
 店が閉められる。
 何か問題でもあったのだろうか? 今日は教会に帰ろう。

 1つの犯罪を見つけたのを知らずにサチは帰る。
 現金にも、貰った宝石を眺めながら。

 薄緑で綺麗。
 カットがよければ、もっといいのに。
 木で出来た綺麗な化粧箱に入っている宝石は光の角度で見え方が違う。
 外で見るのもいいなぁと思ったのだった。

 ◇◇◇

 サチは客室のベッドで、この世界の宝石を広げて見ていた。

 綺麗な石が沢山ある。
 だが、やはりカットが残念だ。
 新たに作り直そうにも沢山のここせかいでカットされた宝石がある。

 これにはラウンドブリリアントカットいいかな? それとも、ペアシェイプカットがいいかな? ん~っ!悩む!

 こんな事をして趣味と時間を潰していた。
 サチにとっては、とても有意義な時間だが。
 それを椅子に座って眺めるラズ。
 兄のようだ。

 ただ眺めているだけなら、子供がお気に入りの石を手に遊んでいるように見えるが、内約はとても贅沢な遊びだ。
 数千万する宝石をたくさんベッドの上にちらして、あーでもない、こーでもないと弄り回している。

 宝石好きのサチには至福の時間である。
 こちらの世界には石言葉が無いようだ。
 鑑定しても出てこない。
 楽しみにしてたんだけどなぁ。
 いっそのことサチが作ってしまおうか悩み中だ。
 サチの能力なら出来ると思う。

 サチの作った宝石はサチが声に出して宝石の名前と価値、石言葉を言えば鑑定で出てくるようになった。
 この世界に異世界の宝石を認めさせたのだ。
 噛むとそのまま登録されるので、もっぱらラズの仕事だ。
 世界に1つしかない宝石は訂正が出来る。
 新しい発見だ。

 それと、お遊びで宝石の薔薇を作ってみた。

 ピンクサファイアで作った、所々カットを入れたそれは、とてもとても綺麗で、サチの目を楽しませてくれる。
 枯れない薔薇。
 うん、良い!

 ここ4日ほど、サチのお気に入りの遊びになっている。

 カイザーに料理店で受け取りを頼んだ料理が今日で引き取り終わった。
 明日からは、また旅の続きだ。

 ダレーン司教には「おしぇわににゃりまちた」と伝えてある。
 とても惜しまれたが、終わってみれば良い司教だった。
 とても注目されたけど。
 監視みたいだったけど。

「サチ様、もう、お眠りになられませんと」

「しょんにゃじかんでしゅか。かたじゅけましゅ」

 サチは宝石を全部、収納にしまったら、飛んでおうちに入る。
 ラズもついてきた。

 サチの部屋に入り、ラズが靴を脱がせてくれる。
 ベッドに横になると優しく布団をかけてくれた。
 さすがラズだ。

「りゃず、おやしゅみにゃしゃい」

「サチ様、良い夢を」

 ラズが出て行って、サチは目を閉じる。
 幼児の身体は疲れていたのか、すぐ睡魔が来る。
 明日、出発だ。
 サチは希望を胸に眠った。



 夜、サチ達の客間に男が来たが、サチ達は見当たらずに珍妙な小屋? があった。
 男は近づこうとしたが近づけず、舌打ちをして部屋を出て行った。

 夢の中のサチ達はそんな事があったとは知らずに眠りの中だった。

 ◇◇◇

 朝起きて準備をしたら、おうちから出ておうちを収納にしまう。
 全員で部屋を出て食堂に向かう。

 教会が静かだ。
 こんなに静かだっただろうか?
 カイザーとエレナも不審に気がついたようだ。
 辺りを警戒する。

 ふと、風が吹いたらサチは真っ暗で上下左右がわからない場所にいた。
 暗い。
 何かの中に入れられて運ばれている。

「サチ様!!」

 ラズの声が聞こえるが遠ざかる。
 サチは空間から出たいと思うと、教会の入り口にいた。
 男が大きな袋を持って教会の外に走っていく。
 飛んでいるサチはその背中を見つめた。
 もしかして誘拐されそうになったのだろうか?

 急に震えがきた。
 そんな対象になったのは初めてだ。
 ラズ達と合流しないと。

 サチは飛んでさっきまでいた場所に帰る。
 大丈夫、ラズ達は結界で守られている。
 何があっても大丈夫。

 サチがラズ達を見つけた時には顔を隠した者達に刃物で襲われていた。

 〈襲撃者よ! 気絶しろ!〉

 サチの命令に近い能力に襲っていた男達が倒れた。
 10人は居るだろう。
 サチはロープを創造する。

「サチ様! ご無事でしたか!」

「ろーぷでしゅうげきしゃをしばって」

 カイザーが受け取り、1人ずつ捕らえていく。
 エレナもそれに続いた。
 サチはラズに抱きしめられる。

「サチ様! サチ様!」

 心配症のラズはサチを離してくれない。

 襲撃者を縛ったカイザーが言った。

「サチ様、教会が静かすぎる。警備隊を呼んで来るから、おうちの中にいてください」

「わかりまちた。りゃず、はいってくだしゃい」

 サチは収納からおうちを出したら、ラズと一緒に中に入る。
 これで、サチ達は安全だ。
 おうちは結界で守られている。

 カイザーは教会を出て、警備隊を呼びに行った。
 エレナは倒された襲撃者達の見張りだ。
 足の速いカイザーの方がすぐに警備隊を呼んでくれる。

 エレナはまだ襲撃者がいるかもしれないと警戒する。

 長く思える時間がたった。
 エレナは真夏に緊張を強いられて汗が垂れてきた。
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