1歳児天使の異世界生活!

春爛漫

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酪農する町 カウッド 2

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 冒険者チーム? とお別れして、ラズだよ!
 解毒に成功したから、もう司祭じゃないんじゃ無い? 成長著しい。
 教皇様に会ったらラズを出世させてもらわないと!

 それにしても、なんとものどかな町だなぁ。
 壁の中は喧騒が遠い。
 広さはあるけど、匂い的に酪農でもしてるのかな?

 何があるのか見に行きたい!

「りゃず、どうぶちゅを、みにいきたいでしゅ」

「動物? ああ、多分カウの事ですね。見に行きましょうか?」

「俺たちはついていくだけだからな」

「そうね」

 3人とも同意してくれたので、ラズがサチを抱っこしてカウ? がいる場所に歩いて行ってくれる。
 町の奥で飼ってるみたいだ。
 裏口でもあるのかな?
 こんなに獣臭い匂いがするのに、この町の人達は匂いに強いんだなぁ。
 生まれてから暮らしてたら慣れるか。
 私はちょっと動物園のにおいが苦手です。

 30分くらい歩いたら、大きな魔物が居た。
 見渡す限りに、いっぱい。
 1匹が1階建の家くらいの大きさだ。
 小川が流れてる。
 壁の中なのに。
 あっ、魔物達が水を飲んでいる。
 大きな魔物を飼うのに井戸水だけじゃ足りないんだな。
 と、いうことは水路もあるんだ。

 ラズがのんびりと説明してくれる。

「カウは元は魔物なんですよ。温厚で人に慣らされて、人と共存してますけど。まあ、よく見るとかわいいですよ」

 本当だ牛みたいな目をしてる。
 長いまつ毛も見える。
 めちゃくちゃ大きいけど。
 柵から出そうだけど出ない。
 暮らしていける十分な広さがあるからだろう。

 うんちも大きい。
 人が袋に詰めている。
 肥料にするんだろうな。
 じゃなきゃ使い道が思い浮かばない。
 塊じゃなく滑りのある山になっていて、粘土のようだ。
 臭いはお察し。
 そう、くちゃい。

「おちちはとりぇにゃいにょ?」

「ああ、カウの乳ですね。取れますよ。飲んでみますか? 濃厚で美味しいですよ」

「にょむ!」

 牧場に隣接している小屋が立っている場所に行く。
 中に入るとラズが声を上げる。

「すみませーん! 誰かいますかー?」

「はーい! 何でしょう?」

「カウの乳をいただきたいのですが」

「持ち帰りかい?」

 そこそこ若い田舎のにいちゃんみたいな人が出てきて対応してくれる。

「いえ、今、飲みたいのですが」

「一杯銅貨1枚だよ! それで何人必要だい?」

「4人分お願いします」

 何故かラズが慣れている。

「はいよ! ちょっと待ってくれな! 取ってくるから!」

 取ってくる? 何処かに置いてるのだろうか?

 鍋を持った兄ちゃんがカウの放牧地に入っていく。
 家ほどもあるカウに潰されないのだろうか?
 あっ! お腹の下に潜り込んで乳搾りしてる! 搾りたてか! 3回くらい揉んだら帰って来た。
 鍋からコップに4杯分注いでくれる。
 サチはラズの腕の中から銅貨4枚をにいちゃんに渡す。

「なんだ。赤ちゃんがくれたのか。偉いぞ! ありがとな! ホイ! カウの乳だ!」

 みんな貰って飲む。
 私はちょっとずるして能力でコップを持ち上げている。
 兄ちゃんが感心して見ている。
 私がコップを持てていると思ってるんだ。

 カウの乳を飲む。
 搾りたてだから、まだ温かい。
 体温の温度だ。
 ねっとりしてバニラのような香りがして美味しい。
 これは牛乳じゃない。
 新しい飲み物! カウの乳だ!
 糞やら体臭やら凄い匂いがするのに、乳が美味しいなんて詐欺だ!
 嬉しい詐欺だが。

「かうのちち、もっとかいましゅ」

 無意識にサチの欲求が出た。
 言葉にすると、カウの乳がもっともっと欲しくなる。

「おっ! 買ってくれるのかい? 持ち帰りも出来るよ!」

 持ち帰り容器を見せてくれるが、食事に飲むなら十分だけど、持って帰るなら小さいサイズだ。

 サチは創造でカウの乳を入れる容器をいっぱい作る。
 もっと、もっとだ。

「お! お! お!? こりゃ、どうしたことか!?」

 田舎のにいちゃんが次々と出てくる大きな容器に驚いている。

 サチは、そんな驚いているにいちゃんに当たり前のように告げた。

「あした、かうにょちちをとりにきましゅ。じぇんぶかうにょで、とっておいてくだしゃい」

「明日、この容器全てにカウの乳を入れてください。全て買います」

 すかさずラズがサチの言葉の長文を通訳する。

「そりゃ嬉しいが、大丈夫かい? 飲めるかい?」

 一応、カウの乳は生物なのだ。
 腐りやすい。
 にいちゃんの心配も理解できる。

「時間停止のマジックバッグがありますので」

 咄嗟のラズの誤魔化し。
 サチの収納よりは珍しくないけど、マジックバッグでも十分高価だ。

「凄いね! そうかい、分かったよ。いつくらいに取りにくる?」

「明日の朝ですよね? サチ様?」

「はい! よりょしくでしゅ!」

「ははっ! かわいいお客さんだ。分かった。用意しておく。明日の朝にな!」

 気のいい兄ちゃんだった。
 この町も頭の地図にチェックを入れておく。
 なんて名前の町だろうか?

「まちのにゃまえは、にゃんでしゅか?」

 ここはカイザーが答える。

「カウにちなんで、カウッドだ。サチ様、気に入ったか?」

「きにいりましゅた! またきましゅ!」

「サチ様ならすぐに来れそうね」

 『来れそう』ではなく、サチの意思で『来れる』のだ。
 実は結構万能なサチに不可能は無いに等しい。

 今は誰も知らないけどね。

 サチ自身もね。
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