26 / 31
第1章
一難去ってまた一難
しおりを挟む
「――もう、放してよ!私のせいじゃないもん!」
護衛に拘束された状態で駄々をこねるミラの言動に、溢れる涙がぴたりと止まった。悪びれることもなく言い放ったことへの驚きが通り過ぎると、ふつふつと湧いてきたのは怒りだ。
天真爛漫といえば聞こえはいいが、今のミラは思い通りにいかないことに癇癪を起こす我儘な子供にしか見えない。
カイルとレイのそばを離れてミラの前に立つと、ミラは頬を膨らませてそっぽを向いた。
「どうして私の大事なものをミラが持っていたの?人の物を勝手に持ち出すのはいけないことだと分からない年齢でもないでしょう?」
「……ぬいぐるみぐらいで目くじらを立てる方が大人げないわ」
この期に及んでもなお言い訳ばかりで、謝罪をしないミラにヴィオラはもういいやと思った。話しても伝わらず、相手が聞く耳を持たないのなら仕方がない。
「大人げなくて結構よ。大事にしているものだと知っていて投げ捨てたことも、そのせいでカイル殿下が怪我をしたことも、人の物を盗んだことも私は許すつもりはないわ」
「ヴィオラ、そんな意地悪な言い方をしなくていいだろう!ミラだってこんなことに巻き込まれてショックを受けているんだ。妹に少しは優しくして――」
「もう妹ではありませんし、事実を口にしただけです」
毅然と反論したヴィオラに、元父は驚いたように目を見開いた。ずっと言い返すことも意見を主張することもなかったのだから、無理もないかもしれないが、それを当然のように思われていたことが悔しい。
ヴィーの優しさを、痛みを、理解していない元父にも腹が立つ。
「あの時、ミラを護ろうとしたことは後悔していません。もしも何もせずにミラが蜂に刺されていても、あなた達はきっと私を非難していたでしょうから」
あれはただのきっかけだったに過ぎない。あの出来事がなくても遅かれ早かれヴィオラは家族の輪から追い出されていただろう。
彼らにとってヴィオラは過去の汚点の結果であり、なかったことにしたい存在だった。
「何を言ってるの?悪いのはお姉ちゃんなのに。せっかく家に戻っていいって言ってるのに、変な意地張ってみんなを困らせて、そんな意地悪なことばっかりしてるから嫌われるんでしょ?」
「あなた達にどう思われようが、別にいいわ。……さようなら」
背後から騒がしい声が聞こえてきたが、無視することにした。ミラの父親は何か思うところがあったのか、カイルたちの手前だからなのか分からないが、懸命にミラを窘めている。
「カイル殿下、レイさん、ありがとうございます」
ヴィオラが言いたいことを言い終えるまで、黙って見守ってくれていたのだ。案じるような眼差しを向けているのはカイルで、レイはよくやったというように満足そうに微笑んでいる。
「あんな言葉は気にしなくていい。俺たちはヴィオラが大好きだからな」
「ああ。ヴィオは優しくて可愛い上に、凛々しさも兼ね備えた自慢の娘だ」
向けられる優しさと好意に思わず頬が緩む。
「ふふっ、レイさ……じゃなくて、褒め過ぎだよ、レイお父さん」
まだ少し気恥ずかしいが、お父さんと呼べるのはとても嬉しいし安心する。護衛の人たちが伯爵や元家族を連れて行き、室内が静かになるとカイルから声を掛けられた。
「ヴィオラ、少し話したいことがあるんだ」
「俺は第二王子殿下をお部屋までお送りしてまいります。少し確認したいこともありますし」
改まった様子に何かを察したのか、レイも席を外して二人きりになる。少し緊張していると、何故かカイルも沈痛な顔をしており様子がおかしい。
「あ……傷の手当てを先にしないといけないですね」
「いや、大したことないから大丈夫だ。それよりも、ヴィオラの気持ちを尊重するために確認というか聞いておきたいことがあるんだ」
そう言って少し躊躇うように視線を彷徨わせたあと、カイルは驚くべきことを口にした。
「ヴィオラは、レイが好きなんじゃないか?その、異性としてという意味だが」
衝撃過ぎて声を失っていると否定しないことを肯定と捉えたのか、カイルが深くうなだれた。
「……っ、違います!そんな風に思ったことはありません!そもそもレイさんは父と、いえ元父と同じぐらいの年齢ですよね?!」
親と同年代の男性を恋愛対象だと考えたことはない。何故そんな結論に至ったのか。
「多少年齢の差はあっても、彼は情に厚く気のいい男で腕も立つし、信頼のおける魅力的な人だ。ずっとそばにいて護ってくれた相手に惹かれても不思議ではない。今なら養子縁組について無効にすることは可能だ。その場合は別の貴族に後見を依頼することになるとは思うが」
わざわざ二人きりで確認したのは、これがソルフェン王国の第二王子が認めた養子縁組だからだ。もしもヴィオラの本意でないのなら、とこっそり意思を確認してくれたらしい。
しょんぼりと肩を落としながらも尋ねてくれるのは、ヴィオラのためなのだろう。
「レイさんは確かに優しくて頼りになりますが、旅の間もずっと理想のお父さんだなって思っていました。今もそれは変わりませんし、私のお父さんはもうレイさんなので無効にしないでくださいね」
そう伝えると、カイルはあからさまにほっとした表情を浮かべて、ソファに寄りかかり肩の力を抜いた。
「流石に大げさではありませんか?」
「そんなことはない。今まで叔父上には何一つ勝てた試しがないからな。ヴィオラが惹かれても仕方がないと――」
ぴたりと動きを止めたカイルと同様に、ヴィオラもまた何かおかしなことを耳にした気がしてカイルの言葉を反芻する。
(………叔父上?)
カイルはロドリニア国の王太子だ。その叔父ということは、国王ないしは王妃の血縁者ということになる。
「………カイル殿下、もしかしてレイさんはとても身分の高い方、なんでしょうか?」
「……その、彼も騙そうとしたわけではなく、ヴィオラが落ち着いたらちゃんと話すつもりで…………黙っていてすまない」
再び気まずい沈黙が落ちる。もしかしてレイの娘になったのは早計だったのだろうか。
(レイさんも貴族なんだったら、そんな簡単に平民を養女になんかしちゃ駄目でしょ!)
猫の子を拾うのではないのだからと頭を抱えていると、当の本人が戻ってきた。
「ヴィオ、ぬいぐるみの件だが、ギルド職員が未成年者の親だからとヴィオの部屋にあの親子を通してしまったらしい。その時にくすねたんだろう。後で他に物がなくなっていないか確かめてくれ。ん、どうしたんだ?」
職員が届けてくれたのか、レイの手にはヴィオラの荷物があったが、それどころではない。
「……叔父上、すみません」
カイルの一言で状況を理解したらしく、レイは納得したような表情を浮かべた。
「ああ、伝えるのが遅くなって悪かったな。兄貴は国王だがもう臣籍降下しているし、公爵といっても名ばかりで大した仕事もしてないから気にしなくていいぞ」
(しかも元王族のほうだった!)
何だか似ているなと呑気に考えていた自分は何て間抜けだったんだろう。
カイルに関しては番だからというある意味わかりやすい理由があるが、レイに関しては一時的な護衛と保護対象という関係なのだ。周囲からどう思われるか考えるだけでぞっとする。
「レイさん、奥様――公爵夫人がいるんですよね?」
「いや、俺は一度も結婚していない。公爵家には遠縁から引き取った優秀な息子がいるおかげで、こうやって自由に過ごしても問題ない立場なんだ」
奥さんがいないとしても、息子がいるなら絶対に反対される。というか家族に相談もなく決めることではないだろう。
「ヴィオが望まないなら公爵家に住む必要はないさ。俺の娘になるのはやっぱり嫌か?」
「………っ、嫌じゃない」
その聞き方はとても狡い。理想のお父さんで地位もあっておそらく裕福でもある。物語なら幸運だと思えるのだろうが、こうも環境が違いすぎると喜べない。
「大丈夫だ。息子のセオドアは人見知りだが子供には優しいし、きっとあいつもヴィオのことを気に入るよ」
「……叔父上、俺の番であることはしっかり伝えてくださいね。ヴィオラ、公爵家に馴染めなければいつでも城に来てくれていいからな。賓客として迎えよう」
どっちもどっちである。
(でも、せっかくお父さんになってくれたのに離れたくないな)
寂しいという気持ちに後押しされるように、まずは話をしてみようと思った。何も言わず背を向ければ傷つくことは減るかもしれないが、今ある幸せを手放してしまうことになる。それはとても勿体ない。
小さな決意を胸に二人に向き合うと、きっと大丈夫だよと囁く声が聞こえた気がした。
(第1章完)
護衛に拘束された状態で駄々をこねるミラの言動に、溢れる涙がぴたりと止まった。悪びれることもなく言い放ったことへの驚きが通り過ぎると、ふつふつと湧いてきたのは怒りだ。
天真爛漫といえば聞こえはいいが、今のミラは思い通りにいかないことに癇癪を起こす我儘な子供にしか見えない。
カイルとレイのそばを離れてミラの前に立つと、ミラは頬を膨らませてそっぽを向いた。
「どうして私の大事なものをミラが持っていたの?人の物を勝手に持ち出すのはいけないことだと分からない年齢でもないでしょう?」
「……ぬいぐるみぐらいで目くじらを立てる方が大人げないわ」
この期に及んでもなお言い訳ばかりで、謝罪をしないミラにヴィオラはもういいやと思った。話しても伝わらず、相手が聞く耳を持たないのなら仕方がない。
「大人げなくて結構よ。大事にしているものだと知っていて投げ捨てたことも、そのせいでカイル殿下が怪我をしたことも、人の物を盗んだことも私は許すつもりはないわ」
「ヴィオラ、そんな意地悪な言い方をしなくていいだろう!ミラだってこんなことに巻き込まれてショックを受けているんだ。妹に少しは優しくして――」
「もう妹ではありませんし、事実を口にしただけです」
毅然と反論したヴィオラに、元父は驚いたように目を見開いた。ずっと言い返すことも意見を主張することもなかったのだから、無理もないかもしれないが、それを当然のように思われていたことが悔しい。
ヴィーの優しさを、痛みを、理解していない元父にも腹が立つ。
「あの時、ミラを護ろうとしたことは後悔していません。もしも何もせずにミラが蜂に刺されていても、あなた達はきっと私を非難していたでしょうから」
あれはただのきっかけだったに過ぎない。あの出来事がなくても遅かれ早かれヴィオラは家族の輪から追い出されていただろう。
彼らにとってヴィオラは過去の汚点の結果であり、なかったことにしたい存在だった。
「何を言ってるの?悪いのはお姉ちゃんなのに。せっかく家に戻っていいって言ってるのに、変な意地張ってみんなを困らせて、そんな意地悪なことばっかりしてるから嫌われるんでしょ?」
「あなた達にどう思われようが、別にいいわ。……さようなら」
背後から騒がしい声が聞こえてきたが、無視することにした。ミラの父親は何か思うところがあったのか、カイルたちの手前だからなのか分からないが、懸命にミラを窘めている。
「カイル殿下、レイさん、ありがとうございます」
ヴィオラが言いたいことを言い終えるまで、黙って見守ってくれていたのだ。案じるような眼差しを向けているのはカイルで、レイはよくやったというように満足そうに微笑んでいる。
「あんな言葉は気にしなくていい。俺たちはヴィオラが大好きだからな」
「ああ。ヴィオは優しくて可愛い上に、凛々しさも兼ね備えた自慢の娘だ」
向けられる優しさと好意に思わず頬が緩む。
「ふふっ、レイさ……じゃなくて、褒め過ぎだよ、レイお父さん」
まだ少し気恥ずかしいが、お父さんと呼べるのはとても嬉しいし安心する。護衛の人たちが伯爵や元家族を連れて行き、室内が静かになるとカイルから声を掛けられた。
「ヴィオラ、少し話したいことがあるんだ」
「俺は第二王子殿下をお部屋までお送りしてまいります。少し確認したいこともありますし」
改まった様子に何かを察したのか、レイも席を外して二人きりになる。少し緊張していると、何故かカイルも沈痛な顔をしており様子がおかしい。
「あ……傷の手当てを先にしないといけないですね」
「いや、大したことないから大丈夫だ。それよりも、ヴィオラの気持ちを尊重するために確認というか聞いておきたいことがあるんだ」
そう言って少し躊躇うように視線を彷徨わせたあと、カイルは驚くべきことを口にした。
「ヴィオラは、レイが好きなんじゃないか?その、異性としてという意味だが」
衝撃過ぎて声を失っていると否定しないことを肯定と捉えたのか、カイルが深くうなだれた。
「……っ、違います!そんな風に思ったことはありません!そもそもレイさんは父と、いえ元父と同じぐらいの年齢ですよね?!」
親と同年代の男性を恋愛対象だと考えたことはない。何故そんな結論に至ったのか。
「多少年齢の差はあっても、彼は情に厚く気のいい男で腕も立つし、信頼のおける魅力的な人だ。ずっとそばにいて護ってくれた相手に惹かれても不思議ではない。今なら養子縁組について無効にすることは可能だ。その場合は別の貴族に後見を依頼することになるとは思うが」
わざわざ二人きりで確認したのは、これがソルフェン王国の第二王子が認めた養子縁組だからだ。もしもヴィオラの本意でないのなら、とこっそり意思を確認してくれたらしい。
しょんぼりと肩を落としながらも尋ねてくれるのは、ヴィオラのためなのだろう。
「レイさんは確かに優しくて頼りになりますが、旅の間もずっと理想のお父さんだなって思っていました。今もそれは変わりませんし、私のお父さんはもうレイさんなので無効にしないでくださいね」
そう伝えると、カイルはあからさまにほっとした表情を浮かべて、ソファに寄りかかり肩の力を抜いた。
「流石に大げさではありませんか?」
「そんなことはない。今まで叔父上には何一つ勝てた試しがないからな。ヴィオラが惹かれても仕方がないと――」
ぴたりと動きを止めたカイルと同様に、ヴィオラもまた何かおかしなことを耳にした気がしてカイルの言葉を反芻する。
(………叔父上?)
カイルはロドリニア国の王太子だ。その叔父ということは、国王ないしは王妃の血縁者ということになる。
「………カイル殿下、もしかしてレイさんはとても身分の高い方、なんでしょうか?」
「……その、彼も騙そうとしたわけではなく、ヴィオラが落ち着いたらちゃんと話すつもりで…………黙っていてすまない」
再び気まずい沈黙が落ちる。もしかしてレイの娘になったのは早計だったのだろうか。
(レイさんも貴族なんだったら、そんな簡単に平民を養女になんかしちゃ駄目でしょ!)
猫の子を拾うのではないのだからと頭を抱えていると、当の本人が戻ってきた。
「ヴィオ、ぬいぐるみの件だが、ギルド職員が未成年者の親だからとヴィオの部屋にあの親子を通してしまったらしい。その時にくすねたんだろう。後で他に物がなくなっていないか確かめてくれ。ん、どうしたんだ?」
職員が届けてくれたのか、レイの手にはヴィオラの荷物があったが、それどころではない。
「……叔父上、すみません」
カイルの一言で状況を理解したらしく、レイは納得したような表情を浮かべた。
「ああ、伝えるのが遅くなって悪かったな。兄貴は国王だがもう臣籍降下しているし、公爵といっても名ばかりで大した仕事もしてないから気にしなくていいぞ」
(しかも元王族のほうだった!)
何だか似ているなと呑気に考えていた自分は何て間抜けだったんだろう。
カイルに関しては番だからというある意味わかりやすい理由があるが、レイに関しては一時的な護衛と保護対象という関係なのだ。周囲からどう思われるか考えるだけでぞっとする。
「レイさん、奥様――公爵夫人がいるんですよね?」
「いや、俺は一度も結婚していない。公爵家には遠縁から引き取った優秀な息子がいるおかげで、こうやって自由に過ごしても問題ない立場なんだ」
奥さんがいないとしても、息子がいるなら絶対に反対される。というか家族に相談もなく決めることではないだろう。
「ヴィオが望まないなら公爵家に住む必要はないさ。俺の娘になるのはやっぱり嫌か?」
「………っ、嫌じゃない」
その聞き方はとても狡い。理想のお父さんで地位もあっておそらく裕福でもある。物語なら幸運だと思えるのだろうが、こうも環境が違いすぎると喜べない。
「大丈夫だ。息子のセオドアは人見知りだが子供には優しいし、きっとあいつもヴィオのことを気に入るよ」
「……叔父上、俺の番であることはしっかり伝えてくださいね。ヴィオラ、公爵家に馴染めなければいつでも城に来てくれていいからな。賓客として迎えよう」
どっちもどっちである。
(でも、せっかくお父さんになってくれたのに離れたくないな)
寂しいという気持ちに後押しされるように、まずは話をしてみようと思った。何も言わず背を向ければ傷つくことは減るかもしれないが、今ある幸せを手放してしまうことになる。それはとても勿体ない。
小さな決意を胸に二人に向き合うと、きっと大丈夫だよと囁く声が聞こえた気がした。
(第1章完)
29
あなたにおすすめの小説
【完結】そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして
Rohdea
恋愛
──ある日、婚約者が記憶喪失になりました。
伯爵令嬢のアリーチェには、幼い頃からの想い人でもある婚約者のエドワードがいる。
幼馴染でもある彼は、ある日を境に無口で無愛想な人に変わってしまっていた。
素っ気無い態度を取られても一途にエドワードを想ってきたアリーチェだったけど、
ある日、つい心にも無い言葉……婚約破棄を口走ってしまう。
だけど、その事を謝る前にエドワードが事故にあってしまい、目を覚ました彼はこれまでの記憶を全て失っていた。
記憶を失ったエドワードは、まるで昔の彼に戻ったかのように優しく、
また婚約者のアリーチェを一途に愛してくれるようになったけど──……
そしてある日、一人の女性がエドワードを訪ねて来る。
※婚約者をざまぁする話ではありません
※2022.1.1 “謎の女”が登場したのでタグ追加しました
元公爵令嬢、愛を知る
アズやっこ
恋愛
私はラナベル。元公爵令嬢で第一王子の元婚約者だった。
繰り返される断罪、
ようやく修道院で私は楽園を得た。
シスターは俗世と関わりを持てと言う。でも私は俗世なんて興味もない。
私は修道院でこの楽園の中で過ごしたいだけ。
なのに…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 公爵令嬢の何度も繰り返す断罪の続編です。
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
全部私が悪いのです
久留茶
恋愛
ある出来事が原因でオーディール男爵家の長女ジュディス(20歳)の婚約者を横取りする形となってしまったオーディール男爵家の次女オフィーリア(18歳)。
姉の元婚約者である王国騎士団所属の色男エドガー・アーバン伯爵子息(22歳)は姉への気持ちが断ち切れず、彼女と別れる原因となったオフィーリアを結婚後も恨み続け、妻となったオフィーリアに対して辛く当たる日々が続いていた。
世間からも姉の婚約者を奪った『欲深いオフィーリア』と悪名を轟かせるオフィーリアに果たして幸せは訪れるのだろうか……。
*全18話完結となっています。
*大分イライラする場面が多いと思われますので苦手な方はご注意下さい。
*後半まで読んで頂ければ救いはあります(多分)。
*この作品は他誌にも掲載中です。
【完結】何もできない妻が愛する隻眼騎士のためにできること
大森 樹
恋愛
辺境伯の娘であるナディアは、幼い頃ドラゴンに襲われているところを騎士エドムンドに助けられた。
それから十年が経過し、成長したナディアは国王陛下からあるお願いをされる。その願いとは『エドムンドとの結婚』だった。
幼い頃から憧れていたエドムンドとの結婚は、ナディアにとって願ってもいないことだったが、その結婚は妻というよりは『世話係』のようなものだった。
誰よりも強い騎士団長だったエドムンドは、ある事件で左目を失ってから騎士をやめ、酒を浴びるほど飲み、自堕落な生活を送っているため今はもう英雄とは思えない姿になっていた。
貴族令嬢らしいことは何もできない仮の妻が、愛する隻眼騎士のためにできることはあるのか?
前向き一途な辺境伯令嬢×俺様で不器用な最強騎士の物語です。
※いつもお読みいただきありがとうございます。中途半端なところで長期間投稿止まってしまい申し訳ありません。2025年10月6日〜投稿再開しております。
嘘つくつもりはなかったんです!お願いだから忘れて欲しいのにもう遅い。王子様は異世界転生娘を溺愛しているみたいだけどちょっと勘弁して欲しい。
季邑 えり
恋愛
異世界転生した記憶をもつリアリム伯爵令嬢は、自他ともに認めるイザベラ公爵令嬢の腰ぎんちゃく。
今日もイザベラ嬢をよいしょするつもりが、うっかりして「王子様は理想的な結婚相手だ」と言ってしまった。それを偶然に聞いた王子は、早速リアリムを婚約者候補に入れてしまう。
王子様狙いのイザベラ嬢に睨まれたらたまらない。何とかして婚約者になることから逃れたいリアリムと、そんなリアリムにロックオンして何とかして婚約者にしたい王子。
婚約者候補から逃れるために、偽りの恋人役を知り合いの騎士にお願いすることにしたのだけど…なんとこの騎士も一筋縄ではいかなかった!
おとぼけ転生娘と、麗しい王子様の恋愛ラブコメディー…のはず。
イラストはベアしゅう様に描いていただきました。
ある公爵令嬢の死に様
鈴木 桜
恋愛
彼女は生まれた時から死ぬことが決まっていた。
まもなく迎える18歳の誕生日、国を守るために神にささげられる生贄となる。
だが、彼女は言った。
「私は、死にたくないの。
──悪いけど、付き合ってもらうわよ」
かくして始まった、強引で無茶な逃亡劇。
生真面目な騎士と、死にたくない令嬢が、少しずつ心を通わせながら
自分たちの運命と世界の秘密に向き合っていく──。
傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~
キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。
両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。
ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。
全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。
エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。
ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。
こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる