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第2章
顔合わせ
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伏せた瞳には痛切な色が浮かび、力なく肩を落としたカイルにヴィオラは何と声を掛けて良いか分からない。笑顔でお別れしようと思っていたのに、思いがけない様子に申し訳なさと罪悪感を覚えていると、隣から大きな溜息が落ちた。
「カイル、ヴィオが悲しむ。ちゃんと話し合って決めたことだろう?」
「……分かっています。それでも、っ……すまない、ヴィオラ。君にそんな顔をさせたいわけじゃない」
反論しかけたカイルはヴィオラの方を見るなり、慌てて謝罪の言葉を口にした。それでもしょんぼりと眉を下げるカイルの辛そうな表情は変わらない。
「ずっと会えなくなるわけじゃない。お前の留学期間の十分の一にも満たない期間だ。なかなか帰ってこない息子を案じる兄貴たちの気持ちも考えろ」
年長者らしく一喝するレイの言葉に、俯いていたカイルの表情が引き締まった。元々責任感が強く真面目な性格で周囲を困らせるような我儘を言う人ではないのだ。
カイルにとっても出会った直後に番が命を狙われたということは、トラウマ並みの出来事だったに違いない。
(私がまだ今後のことを決め切れていないせいもあるのよね……)
ヴィオラにカイルの番となる覚悟はまだできていない。だが今後のことを考えるため、そしてレイの養女になったこともあり、一度公爵家に向かうことになったのだ。これまでの旅の疲れを癒やすため、しばらく休養する意味もあった。
その間にカイルは王都へと戻り、ソルフェン王国での留学経験や番について報告し、その後公爵領へ訪問することになっている。
だから少しの間のお別れなのだが、ここ二週間ほどずっと一緒にいたこともあり、どうしても離れがたく感じてしまうらしい。
「あの、カイル殿下……」
困惑や気恥ずかしさはあるものの、真剣に想ってくれることが嬉しくないわけではない。少し潤んだ瞳でじっと見つめられてしまうと、甘やかしてしまいたくなる。
(そもそもカイル殿下も、レイお父様も私に甘すぎるのだもの)
そんな風に大事にされると、自分も何か返したくなるものだ。
「良ければ、次に会う時までこの子を預かってもらえませんか?」
ヴィオラが差し出したのはクマのぬいぐるみ――ヴィーだ。途中立ち寄った縫製店で修繕してもらったため、すっかり元通りになっている。
「……いいのか?ヴィオラの大事なものだろう?」
自分の代わり、というのもおこがましいが、少しでも寂しさを紛らわすために役に立つのなら構わない。何よりカイルであれば大切に扱ってくれるだろう。
「はい、カイル殿下なら大丈夫です。その、子供っぽいもので申し訳ないのですが……」
「いや、ヴィオラだと思って大事にする!……ありがとう」
他に代わりになるようなものがないとはいえ、成人した男性が持つものではないのに、ふわりと柔らかな微笑を向けられ頬が熱くなる。直接的な言葉よりも、そんな表情が如実に好意を伝えてくるのだから、心臓に悪い。
顔の火照りを何とか鎮めようとしているヴィオラだったが、レイや護衛騎士たちが温かい眼差しで見守っているため、一向に収まる気配がなかった。
数人の騎士を残してカイルは王都へ、ヴィオラたちは公爵家へと出発した。すでに公爵領に入っており、レイもいるのだから護衛の必要もなかったが、カイルだけでなく騎士たちの強い嘆願もあり、付いてきてもらうことになったのだ。
ヴィオラがフィスロ伯爵令嬢に番だと知られたきっかけは、護衛騎士が仲間内での会話で漏らしてしまったせいだという。
番に出会うことがないまま生涯を終える王族も多いことから、カイルの番が見つかったことは慶事であり、密かに祝杯を挙げてしまったことが仇となった。
ヴィオラが望むならどんな処分でも受けさせると言いながらも、自分が浮かれすぎたのがそもそもの原因だと頭を下げるカイルに、騎士たちも一様に深く頭を下げた。
悪意があったわけでもなく、短絡的に番を排除しようと考える人間のほうが稀だろう。だからヴィオラは何の処罰も望まないと告げたのだが、騎士たちはヴィオラにまで忠誠を誓ってくれた。少し重いと感じたものの、レイはそれぐらいは当然だという考えのようだ。
王族の護衛騎士にもかかわらず、唯一無二の存在を危険に晒してお咎めなしということのほうがあり得ない。罰がない分、失態を取り戻すために必死にならないような者は護衛騎士を名乗る資格がないという。
「ヴィオが気にする必要はないが、そういうものだと知っておいてくれ」
そう話してくれたレイは王族らしく、人の上に立つことに慣れているのだろう。生まれ育った環境の違いを感じるのは、こういう時だ。良し悪しの問題ではなく、自分がそんな環境に慣れることができるのか。
カイルの番であることを受け入れるということは、王族としての考えを持ち、その立場に見合った行動が必要になる。前世も今世も一般庶民であったヴィオラが躊躇う理由の一つだ。
(カイル殿下のことは嫌いではないし、とても頼りになる方だけど……)
ヴィオラを尊重し大切にしてくれるのは嬉しいし、惹かれている自覚もある。だからこそちゃんと考えて答えを出さなくてはならない。急ぐ必要はないと言ってくれたレイとカイルのためにも、自分の将来のためにも。
だが、それよりも先にヴィオラが優先的に考えなければならないのは、義兄となるセオドアとの顔合わせだ。馴れ馴れしくせず、かつ友好的な態度を示すというなかなか難易度の高いミッションともいえる。
レイなら普段通りで構える必要はないと言ってくれるだろうが、第一印象は大切だ。
最初から好意的だと考えるのは楽観が過ぎる。とはいえ、必要以上にへりくだりすぎるのも良くないだろう。
ヴィオラが頭を悩ませているうちに、馬車は公爵邸へと到着してしまった。
(……想像していたよりも、さらに立派だわ……)
門から玄関までが遠く、見事な庭園風景が続いている。ようやく馬車が止まり、レイのエスコートで慎重に馬車から降りると、透き通るような薄水色の瞳と目があった。
そのまま恭しく頭を下げてすぐに見えなくなったものの、艶やかな銀髪の青年が誰なのか自然と分かる。
「お帰りなさいませ、父上」
「ああ、長い間留守にして済まなかったな、セオドア。皆も出迎えご苦労」
セオドアを中心として両側に並ぶ使用人たちの数とその整った姿勢に、ヴィオラは既に圧倒されていた。
(場違い感が、半端ないわ……)
「手紙でも知らせたが、新しく家族として迎えた娘のヴィオラだ」
レイの声に顔を上げたセオドアがじっと無表情のままヴィオラを見つめている。
「ヴィオラと申します。お目に掛かれて光栄です、アスタン公爵令息様」
貴族令嬢の礼儀作法は身についていないが、失礼のないように言葉遣いを改めて頭を下げた。
「ヴィオ、そんなに畏まらなくても大丈夫だぞ。セオドアはあまり感情が出ないだけで怒っているわけじゃないからな」
軽い口調で告げたレイの言葉にほっとしかけたヴィオラだったが、淡々とした口調に凍りつくことになる。
「彼女が王太子殿下の番であることを受け入れていないのなら、アスタン公爵家に迎え入れる必要を感じません。父上におかれましては、ご再考願います」
確固たる口調に、やっぱりそう簡単には受け入れられないのだとヴィオラは苦い現実を噛み締めたのだった。
「カイル、ヴィオが悲しむ。ちゃんと話し合って決めたことだろう?」
「……分かっています。それでも、っ……すまない、ヴィオラ。君にそんな顔をさせたいわけじゃない」
反論しかけたカイルはヴィオラの方を見るなり、慌てて謝罪の言葉を口にした。それでもしょんぼりと眉を下げるカイルの辛そうな表情は変わらない。
「ずっと会えなくなるわけじゃない。お前の留学期間の十分の一にも満たない期間だ。なかなか帰ってこない息子を案じる兄貴たちの気持ちも考えろ」
年長者らしく一喝するレイの言葉に、俯いていたカイルの表情が引き締まった。元々責任感が強く真面目な性格で周囲を困らせるような我儘を言う人ではないのだ。
カイルにとっても出会った直後に番が命を狙われたということは、トラウマ並みの出来事だったに違いない。
(私がまだ今後のことを決め切れていないせいもあるのよね……)
ヴィオラにカイルの番となる覚悟はまだできていない。だが今後のことを考えるため、そしてレイの養女になったこともあり、一度公爵家に向かうことになったのだ。これまでの旅の疲れを癒やすため、しばらく休養する意味もあった。
その間にカイルは王都へと戻り、ソルフェン王国での留学経験や番について報告し、その後公爵領へ訪問することになっている。
だから少しの間のお別れなのだが、ここ二週間ほどずっと一緒にいたこともあり、どうしても離れがたく感じてしまうらしい。
「あの、カイル殿下……」
困惑や気恥ずかしさはあるものの、真剣に想ってくれることが嬉しくないわけではない。少し潤んだ瞳でじっと見つめられてしまうと、甘やかしてしまいたくなる。
(そもそもカイル殿下も、レイお父様も私に甘すぎるのだもの)
そんな風に大事にされると、自分も何か返したくなるものだ。
「良ければ、次に会う時までこの子を預かってもらえませんか?」
ヴィオラが差し出したのはクマのぬいぐるみ――ヴィーだ。途中立ち寄った縫製店で修繕してもらったため、すっかり元通りになっている。
「……いいのか?ヴィオラの大事なものだろう?」
自分の代わり、というのもおこがましいが、少しでも寂しさを紛らわすために役に立つのなら構わない。何よりカイルであれば大切に扱ってくれるだろう。
「はい、カイル殿下なら大丈夫です。その、子供っぽいもので申し訳ないのですが……」
「いや、ヴィオラだと思って大事にする!……ありがとう」
他に代わりになるようなものがないとはいえ、成人した男性が持つものではないのに、ふわりと柔らかな微笑を向けられ頬が熱くなる。直接的な言葉よりも、そんな表情が如実に好意を伝えてくるのだから、心臓に悪い。
顔の火照りを何とか鎮めようとしているヴィオラだったが、レイや護衛騎士たちが温かい眼差しで見守っているため、一向に収まる気配がなかった。
数人の騎士を残してカイルは王都へ、ヴィオラたちは公爵家へと出発した。すでに公爵領に入っており、レイもいるのだから護衛の必要もなかったが、カイルだけでなく騎士たちの強い嘆願もあり、付いてきてもらうことになったのだ。
ヴィオラがフィスロ伯爵令嬢に番だと知られたきっかけは、護衛騎士が仲間内での会話で漏らしてしまったせいだという。
番に出会うことがないまま生涯を終える王族も多いことから、カイルの番が見つかったことは慶事であり、密かに祝杯を挙げてしまったことが仇となった。
ヴィオラが望むならどんな処分でも受けさせると言いながらも、自分が浮かれすぎたのがそもそもの原因だと頭を下げるカイルに、騎士たちも一様に深く頭を下げた。
悪意があったわけでもなく、短絡的に番を排除しようと考える人間のほうが稀だろう。だからヴィオラは何の処罰も望まないと告げたのだが、騎士たちはヴィオラにまで忠誠を誓ってくれた。少し重いと感じたものの、レイはそれぐらいは当然だという考えのようだ。
王族の護衛騎士にもかかわらず、唯一無二の存在を危険に晒してお咎めなしということのほうがあり得ない。罰がない分、失態を取り戻すために必死にならないような者は護衛騎士を名乗る資格がないという。
「ヴィオが気にする必要はないが、そういうものだと知っておいてくれ」
そう話してくれたレイは王族らしく、人の上に立つことに慣れているのだろう。生まれ育った環境の違いを感じるのは、こういう時だ。良し悪しの問題ではなく、自分がそんな環境に慣れることができるのか。
カイルの番であることを受け入れるということは、王族としての考えを持ち、その立場に見合った行動が必要になる。前世も今世も一般庶民であったヴィオラが躊躇う理由の一つだ。
(カイル殿下のことは嫌いではないし、とても頼りになる方だけど……)
ヴィオラを尊重し大切にしてくれるのは嬉しいし、惹かれている自覚もある。だからこそちゃんと考えて答えを出さなくてはならない。急ぐ必要はないと言ってくれたレイとカイルのためにも、自分の将来のためにも。
だが、それよりも先にヴィオラが優先的に考えなければならないのは、義兄となるセオドアとの顔合わせだ。馴れ馴れしくせず、かつ友好的な態度を示すというなかなか難易度の高いミッションともいえる。
レイなら普段通りで構える必要はないと言ってくれるだろうが、第一印象は大切だ。
最初から好意的だと考えるのは楽観が過ぎる。とはいえ、必要以上にへりくだりすぎるのも良くないだろう。
ヴィオラが頭を悩ませているうちに、馬車は公爵邸へと到着してしまった。
(……想像していたよりも、さらに立派だわ……)
門から玄関までが遠く、見事な庭園風景が続いている。ようやく馬車が止まり、レイのエスコートで慎重に馬車から降りると、透き通るような薄水色の瞳と目があった。
そのまま恭しく頭を下げてすぐに見えなくなったものの、艶やかな銀髪の青年が誰なのか自然と分かる。
「お帰りなさいませ、父上」
「ああ、長い間留守にして済まなかったな、セオドア。皆も出迎えご苦労」
セオドアを中心として両側に並ぶ使用人たちの数とその整った姿勢に、ヴィオラは既に圧倒されていた。
(場違い感が、半端ないわ……)
「手紙でも知らせたが、新しく家族として迎えた娘のヴィオラだ」
レイの声に顔を上げたセオドアがじっと無表情のままヴィオラを見つめている。
「ヴィオラと申します。お目に掛かれて光栄です、アスタン公爵令息様」
貴族令嬢の礼儀作法は身についていないが、失礼のないように言葉遣いを改めて頭を下げた。
「ヴィオ、そんなに畏まらなくても大丈夫だぞ。セオドアはあまり感情が出ないだけで怒っているわけじゃないからな」
軽い口調で告げたレイの言葉にほっとしかけたヴィオラだったが、淡々とした口調に凍りつくことになる。
「彼女が王太子殿下の番であることを受け入れていないのなら、アスタン公爵家に迎え入れる必要を感じません。父上におかれましては、ご再考願います」
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