召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景

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再会

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エルヴィーラは憂鬱な気分で細い路地を歩いていた。

「父君に会わなくてよいのですか?」

ロドリーゴからそう言われたものの、エルヴィーラは即答できなかった。だが父が救護院にいることを教えてくれて、なおかつ聖女の治癒が受けられるよう調整してくれたのもロドリーゴだ。

(顔を合わせるのが嫌だからエリー様に同行したのに、見透かされてしまったわ……)

エルヴィーラが救護院に同伴したことは、職員を通じてロドリーゴの耳に入るはずだった。だがエルヴィーラの表情から会っていないことを察したのだろう。

酒癖の悪い父の元から引き取ってくれたロドリーゴはエルヴィーラの恩人だ。行儀作法を始め教育を受けさせてくれたおかげで、聖女付きの侍女という大役を任せられることになったのだ。そんなロドリーゴの親切心を無下には出来ず、エルヴィーラは父が住んでいるはずの家に向かっていた。

(あの人は何と言うだろう……)

重い足取りで父と再会した時のことを考える。
かつての父は腕の良い細工職人だったという。銀細工を得意としていたが、絵付けなども上手く、父の作業場を覗けば真剣な眼差しで仕事に打ち込む後姿をぼんやりと覚えている。

だが母が亡くなると無気力になり昼間から酒に手を出すようになった。まだ子供だったエルヴィーラが方々に頭を下げて仕事をもらい、小遣い程度のお金を稼いでも父に見つかればたちまち取り上げてしまう。滅多に手を上げられることはなかったが、罵声や物に当たり散らす耳障りな音は記憶から消えない。

父のことを考えると連動するように辛い過去を思い出し、ますます気分が滅入ってしまう。何か他のことをと考えねばと頭を切り替えようとすれば、異世界の少女が頭に浮かんだ。

世界を救う聖女は清らかで慈愛に満ちた乙女だと言い伝えられてきたのに、現れた聖女は随分と変わっていた。
第一印象は大人しく身体があまり丈夫ではないのかと危惧していたが、それが杞憂だと分かり胸を撫で下ろしたのも束の間、今度は聖女として不適合ではないかと思うようになる。

「欠陥聖女」と呼ばれ、後ろ指を指されても彼女は落ち込むわけでもなく淡々と受け流していた。浄化だけは何とか行っていたが、過去の聖女ほどの力を見せるわけでもなく内心落胆を覚えた。
そのせいか嫌がらせに加担することはなかったが、どこかで仕方がないことだと心のどこかでそう思っていたのだろう。神殿に報告しても待遇が改善されることもなかったので、これも必要なことなのだと自分に言い聞かせていた気がする。

そんな中彼女は自力で食べ物を奪い取り、聖女の務めも放棄するという暴挙に出たのだ。最初の印象は何だったのだと思うぐらいのたくましさ、いやそれを通り越してふてぶてしさまで感じさせる態度に何故この方が聖女なのだろうと思った。

敬虔さや清廉さもなくただ異世界から召喚されたというだけで、何故聖女になれるのか。
その時湧き上がった感情は嫉妬だったのだろう。

(自分ならもっと力を得るために努力するのに、衝突を避けて貴族と上手く付き合うのに、ロドリーゴをはじめ神殿の役に立つのに――)

仕事中は作業を淡々とこなすことでその想いに蓋をすることは出来たが、一人になると歯痒いようなもどかしいような気持ちに焦れることも少なくなかった。
そうこうしているうちに彼女はエルヴィーラの前でも取り繕うことがなくなり、気安い口調で話しかけてくるようになったのだ。

最初から侍女という仕事を全うするため、彼女と一定の距離を保っていたので素っ気ない態度だったが、彼女は気に留める様子はない。

「エルヴィーラも一緒にご飯食べない?」
「これ街で買ってきたけど、エルヴィーラは好き?」
「エルヴィーラ、戦利品だよ。一緒に食べよう」

侍女だからと断っていたが、最近はそれを受け入れるようになってしまった。断っても気にすることなく、また当然のように声を掛けてくれる彼女に根負けしてしまったのだろうか。
相変わらず自由気ままな行動をするし、勝手に侍女を連れてくるなど彼女はいつまでも聖女らしくない。

(でもあの方はきっと――)
思考が中断したのは、不意に脇道から出てきた男が視界に入ったからだ。

「……お父さん」
呟くような小さな声だったが、その男――ジョエルは顔を上げてエルヴィーラをじっと見つめた。

「………エルか。随分と良い服を着ているな」

期待していたわけでもないのに、落胆が胸に落ちる。エルヴィーラを気に掛ける一言すらなく、値踏みするような目に会いに来るべきではなかったのだとすぐさま後悔した。

エルヴィーラの服は取り立てて質が良い物でも高級なわけでもない。まっとうな仕事についていれば、平民でも買えるような手ごろな物だ。だが定職につかず酒で身体を壊していた父には、そんな服でも上等な物なのだろう。

「なあ、エル。ちょっと病気をしちまって金がないんだ。いくらか融通してくれよ。家族だろう」

へつらうような口調とにやけた顔が嫌でたまらない。言葉を交わすことも不愉快でエルヴィーラは立ち去ろうとしたが、行動を移したのはジョエルのほうが先だった。

「……っ、離して!」
「早くよこせよ。父親を見捨てた薄情な娘のくせに、偉そうにしてんじゃねえ!」

病気が癒えたせいか、思いがけない力強さに腕を振り払うことができない。必死で抵抗するが掴まれた手首を痛いほど握りしめられて、悔しさにエルヴィーラの表情が歪んだ。

「お前は俺の娘なんだから、一生面倒を見る責任があるんだ」
「そんなもんねえよ!」

エルヴィーラが反論する前に強く否定する声が上がり、ドスッという鈍い音がした。

「……っ!?」

体勢を崩したジョエルの力が緩み、エルヴィーラは振りほどくとほぼ同時にジョエルとエルヴィーラを引き離すようにディルクが割って入った。

「エルヴィーラ、大丈夫か?怪我はない?」

先ほどよりも穏やかだが慌てた声に、エルヴィーラは聞きたいことがたくさんあったが、まずは先に言っておかねばならないことがある。

「大丈夫です。エリー様にはお手数をお掛けして申し訳ございません。……ありがとうございました」

そう告げればどこか緊張した表情が安堵したように綻ぶ。こんな笑顔を向けられたのは初めてかもしれないと思いながらも、エルヴィーラは聖女に訊ねた。

「それで、エリー様はどうしてこちらに?」

本日は外出の予定がなかったはずなのだ。エルヴィーラが訊ねると明らかに気まずそうな様子に変わる。問い質そうとすればディルクから拘束され、がなり声を上げていたジョエルがこちらに矛先を向けた。

「おい、娘と話していただけなのにこんな扱いを受ける覚えはないぞ!大体あんた、聖女様は救護院にいた時と随分と様子が違うじゃねえか」

その言葉にまさか聖女を脅そうとしているのかと驚いてジョエルを見れば、抵抗できないよう縛られているにもかかわらず余裕の表情を浮かべている。どこまで愚かなのかと呆れながらも聖女のほうを窺えば、表情を消しているがその眼差しは苛烈さを感じ取れた。

「……二度とエルヴィーラに関わらないと約束するなら、このまま解放するがどうする?」
「お優しい聖女様が金を恵んでくれるなら、そいつに用はねえよ」

ジョエルの言葉に返事をすることもなく、聖女はエルヴィーラに素っ気ない口調で訊ねた。

「勝手に話を進めてしまったけど、エルヴィーラはどうしたい?」

面倒くさそうにも見える態度だが、その視線は気まずそうにエルヴィーラを窺っているようだ。いつもは真っ直ぐな瞳は落ち着かず、迷っているように見えるのは気のせいだろうか。

「既に縁は切れているものと思っております。ですが、これ以上聖女様にご迷惑を掛けるわけにはまいりません」

きっぱりと告げたのに、何故か彼女は安心したように微笑んだ。

「それは心配しなくていいよ。対価もなしにお金なんてやらないしね。なあディルク、死なない程度の苦痛を与えるにはどういう方法が効果的だろう?」
「まあ、色々ありますが地味に辛いのは鞭打ちですね。あとは鋸を使って××したり、身体の一部を××して△△するとか――」

つらつらと流れるように容赦ない拷問方法が羅列され、ジョエルどころかエルヴィーラも青ざめる。

「もういいよ。で、エルヴィーラに二度と関わらないってことでいいんだよな?残念ながら私は聖女だからどんな怪我をしても死なない限りや治してやれるから……素直に頷かないと辛いんじゃないか?」

ジョエルのそばに屈みこんだ聖女がにっこりと笑みを浮かべると、流石に身の危険を感じたのかジョエルは無言で何度も頷いている。
それを見た聖女はディルクに合図してジョエルの拘束を解くと、こちらを振り向くことなく一目散にその場から逃げ出した。

「ああいう奴は言葉だけじゃすぐに反故にするかもしれないけど、暴力に訴えるのもあんまり得策じゃないんだよな。もし、また何か言ってきたら教えてくれる?」
「そうそう会うことはありませんから、多分もう大丈夫です」

地面に落ちたレンガの塊が視界に入る。ジョエルが体勢を崩したのは、彼女が投げつけたレンガがどこかに当たったからだろう。その瞬間を見ていないのに、投げたのがこの規格外の聖女であることをエルヴィーラは疑っていなかった。

(乱暴で粗雑で自分本位なように振舞っているから分かりにくいけど、エリー様はとても……優しい方だわ)

キャシーを侍女にしたのは彼女を他の貴族から守るためだし、物をもらえば他者にも分け与えようとする。予定外の少女を治癒するために無理をしたし、その結果治癒の力を使い過ぎて体調を崩したのにギリギリまで通常どおり振舞ったのは、少女が咎められないようにするためだ。

「エリー様、屋外での乱暴な言動はお控えくださいませ」

だけど侍女としてエルヴィーラには主を窘める責任がある。

「緊急時は見逃してよ。エルヴィーラ、他に行くところがなかったら一緒に帰ろう?」
「……それではご一緒させていただきます」

清廉な慈悲深い聖女ではないけれど、優しくてまっすぐな彼女はいつしかエルヴィーラが仕えるべき大切な主となったのだ。
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