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第42話
しおりを挟むここはウエス国の森の中。
「勇者エルの魔王討伐の話はこんなところね。」
フィーネは、フゥッと息を吐いた。
「面白かった!フィーネ、ありがとう。」
リリィは、眼をキラキラさせている。
「ガルムは、そのあと何をしてたの?」
「ガルムは、エルドの町で弟子を取って剣術を教えて生活してたわ。」
フィーネは、遠くを見ながら話す。
「何か面白い話はないの?」
リリィが聞くと、フィーネは何かを思い出したように話だした。
「ガルムには、ゴラムという名前のゴブリンの弟子がいたの。ゴラムは復活した魔王を仲間にして、その後、魔神を倒した。」
「魔神を?!」
リリィが前のめりになってフィーネの話を聞いている。
「そう、ゴラムは魔神を倒して、エルドランドの英雄になった。師匠の私も嬉しかったわ。」
「その魔神が今、復活したってことなのかな?」
リリィが言う。
「そうだと思う。私も段々思い出してきたわ。」
フィーネがいつになく真面目な顔で話す。
「魔神の倒し方が分かれば良いんだけどね。」
リリィか言うと、フィーネはうなづいた。
「昔のことを思い出すと疲れるわ。」
フィーネはそう言うと、紅茶を一口飲んだ。
「魔神のことは、ぼくもあまり知らないんだ。ガルムの弟子の話が何か残っていれば良いんだが......」
イブが言う。
「遺跡から持ってきた本に書いてあるかも知れないね。」
リリィが紅茶を飲みながら言った。
数日後。
リリィが、遺跡から持って来た本を読んでいるとき、何かを見つけた。
「ねえねえ、フィーネ!これ見て!」
「どうしたの?リリィ?」
「この本見て!」
リリィが一冊の本をフィーネの前に持って来た。
『エルドランド双王記』と表紙に書いてある。
「フィーネが言ってたゴラムのことが書いてあるの!」
リリィが眼を輝かせている。
フィーネは、本を受け取って読み出した。フィーネにも分かる言葉で書かれている。
ゴブリンの剣士ゴラムとエルドランドの王女アンヌの冒険譚だ。二人は仲間と共に魔神と戦い勝利して、エルドランド王国に平和を取り戻した。
「ありがとう、リリィ。お手柄ね。」
フィーネは、本を読み終わると、そう言ってリリィの頭を撫でた。
「どうだった?フィーネ?」
「お陰で昔のことをかなり思い出したわ。」
「魔神のことも書いてあったけど、倒し方は分からないね。」
リリィが残念そうに言う。
「でも、かなり参考になったわ。」
フィーネは何かを掴んだようだ。
紅茶を飲んで一息ついた。
「フィーネ、何か分かったのか?」
イブが尋ねると、
「まあね。」
フィーネは、そう答えた。
「そうか。」
イブは何かを察したように言った。
翌日。
「オルガー!遊ぼう!」
「いいよ。アスレチックで勝負だ!」
オルガがフィーネの家に遊びに来ていた。
「リリィもオルガも元気ね。」
フィーネはロッキングチェアに座って紅茶をすすっている。
「フィーネも遊ぼう!」
リリィがこちらに手を振る。
「たまには一緒に遊んだらどうだ?フィーネ。」
イブが言う。
「えー。面倒くさいなぁ。」
「そう言わずに、行ってこい!」
イブがフィーネの背中を押した。
フィーネは嫌々ながらリリィの所に向かう。
「フィーネ!ブランコ乗ろう!」
「良いわよ。」
リリィとフィーネは並んでブランコに乗った。リリィの背中をモックが押し、フィーネの背中をオルガが押す。
「たーのしー!!」
リリィが、笑いながら言う。
ブランコの勢いが、ドンドン増していく。
「もっと押すキー!」
モックが調子に乗って更にリリィの背中を押す。するとブランコに乗ったリリィが、一回転してそのままモックを蹴飛ばした。
「キー!!」
モックが、遠くに飛んで行った。
「モック!リリィ、モックを探して来て!」
フィーネがリリィに言うと、リリィは慌ててモックを探しに行った。
「もう、大丈夫かしら?」
「モックは丈夫だから大丈夫だよ。」
フィーネとオルガは笑った。
「まだブランコに乗るかい?」
「そうね。もう少しだけ。」
フィーネは少し顔を赤らめた。
「フィーネさん。」
「何?オルガ。」
「あの、これからも遊びに来て良いかな?」
「もちろんよ。いつでも来て。」
「ありがとう、フィーネ。」
「オルガ、いつもありがとう。」
フィーネがオルガの方を振り向いて言った。オルガは顔を赤くする。
オルガがブランコを止めた。
「フィーネ、少し休もうか。」
「そうね。紅茶を飲みましょう。」
オルガとフィーネはロッキングチェアに座った。イブはリリィと一緒にモックを探しに行っている。
「フィーネさんの淹れる紅茶は美味しいなぁ。」
「オルガ、ありがとう。」
「毎日でも飲みたいくらいだよ。」
「毎日遊びに来ても良いのよ。」
「フィーネさん、僕はフィーネさんのことが、す......」
フィーネが、食い気味に話を被せる。
「オルガ!今日はいい天気ね!」
「そ、そうだね。」
「リリィたちは大丈夫かしら?」
「もうすぐ帰ってくるんじゃないかな?」
気まずい沈黙の時間が流れる。
「オルガ。」「フィーネ。」
二人が同時に話す。
「あの、」「あの、」
また、二人一緒のタイミングになってしまい、お互い苦笑する。
「オルガ、また会いに来て。」
「またすぐ会いにくるよ。」
オルガがフィーネを見つめて言った。
フィーネは節目がちに紅茶を一口飲んだ。
「フィーネ!モック見つかったよ!」
リリィたちが帰って来た。
オルガとフィーネの距離が少し縮まったのであった。
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