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第45話
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ここはウエス国の森の中。
スザクとホウオウが手に入れた【深淵の鍵】。魔神が住む深淵の国に行くための【鍵】となるアイテムなのだが、その使い方が分からなかった。
リリィの翻訳スキルを駆使して、古代の書物を調べる日々が続く。
「もう、疲れたよー。休みたいー。」
リリィは机に突っ伏してしまった。
「仕方ないわね。少し休みましょう。」
フィーネが言うと、リリィはカバっと起き上がり、
「ほんと?休もう!」
ホッとしたように言った。
フィーネは魔法で食事の支度を始めた。リリィは早速リビングのテーブルに走って行く。
キッチンでは、様々な調理器具や食材が所狭しと飛び交っている。
フィーネもリビングにやって来て、紅茶を淹れて椅子に座った。
料理が皿に盛り付けられる。
「フィーネ特製ナポリタンスパゲティよ!」
フィーネが言うとトマトのいい香りが漂う。
「ナポリタンだー!」
リリィの目が輝く。
「何だ?この細長くて赤いのは。」
ハクは初めてみるナポリタンスパゲティを不思議な顔で見ている。
「ナポリタンも美味いよな。ぼくも大好きだ。」
イブが紅茶を一口飲んで言う。
「さあ、みんな食べて。」
フィーネに促されて、リリィたちは食べ始めた。
「美味しいー!」
リリィが満面の笑みで言う。
「この細いの、もちもちしてて美味いな!」
ハクもナポリタンを気に入ったようだ。
「うーむ、昔を思い出す味だな。」
イブが感慨深そうに言う。
今回のナポリタンスパゲティも好評で、鼻が高いフィーネだった。
「待てー!」
「待つキー!」
「待つキキー!」
「おいら、またないぞー!」
リリィたちが追いかけっこを始めた。
フィーネとイブはロッキングチェアに座り、淹れたての紅茶を飲んでいる。
「今日も平和ね。」
「フィーネ、のんびりも良いが大事なことを忘れるなよ。」
「もちろん......忘れてないわ。」
「先延ばしにしたい気持ちも分かるが、これは避けられない運命だからな。」
イブが珍しく語気を強めて言った。
「......わかってるわよ。」
フィーネは呟いた。
「さて、古代の本の翻訳を続けるわよ。」
フィーネが本を広げる。
「よーし!頑張ろう!」
リリィも気合いが入る。
フィーネの手が止まった。
「これは......!?」
その本の表紙には、悪魔が2体向き合っている絵が書いてある。
「これって【深淵の鍵】と一緒だね。」
リリィも気が付いたようだ。
「リリィ、この本にヒントがあるかも知れない。」
フィーネが言うと
「わかった。ゆっくり確認しながら読んでいくね?」
リリィが答えた。
リリィの手が止まった。
「この詩、ヒントかも。」
「どうしたの?リリィ。」
「こんな詩が突然出て来たの。」
三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう
「どんな意味があるのかしら?」
フィーネがつぶやいた。
「きっと、何か関係があるはずだよ。私、覚えておくね。」
リリィが言った。
「この本には、古代人は深淵の国から来たって書いてある。深淵の国とこの世界を繋ぐ扉の鍵が【深淵の鍵】なんだって。」
「リリィ、お手柄ね。少し休憩しましょうか?」
フィーネが紅茶を淹れる。
「デザートは、フィーネ特製アップルパイよ。」
「アップルパイだ!美味しい!」
リリィがニッコリ微笑む。
香りを嗅ぎつけて、イブとハクもやって来た。
「このリンゴを煮たやつ、甘くて美味いな!」
「うーん。シナモンが効いてて美味いのう。」
ハクとイブは、あっという間に食べてしまった。
「また、この紅茶にピッタリじゃ。」
イブは相当気に入ったらしい。
夕暮れ時になり、フィーネたちはまたロッキングチェアで寛いでいる。
「フィーネ。」
「何?イブ。」
「分かっていると思うが、魔神を倒すことが世界を救うことにつながる。」
「そうね。」
「そのためには、女神の魂を持つリリィと99回の人生経験をしたフィーネの魂が必要だ。」
「それは聞いたわ。」
「そして、100回目-最後の転生-が鍵になる。」
「リリィの魂と私の魂を捧げないと魔神には勝てないってことね。」
「その通りだ。本当にすまない。」
「イブは、やるべき事をやった。謝る必要はないわ。エルフの人生にも飽きて来てるし。」
「フィーネ、きみには感謝している。」
「ありがとう。リリィの事は頼むわね。」
「リリィは将来、女神になる逸材だ。後のことは任せてくれ。」
イブはフィーネの方を見た。
フィーネは、目に涙を浮かべている。
2人は、紅茶を一口飲んだ。塩っぱい味がした。
陰鬱とした雲が立ち込める、荒廃した大地。
深淵の国の奥深くの魔神の城。
強烈な威圧感を放つその城に、ライジンとフウジンがいた。
「魔神ザハーク様、エルフと娘をこのままにしていて良いのですか?このままでは、奴らが此処に辿り着いてしまいます。」
ライジンが言うと、玉座に座る黒い影が答える。
「ライジンよ、果報は寝て待つのだ。向こうが来るなら迎え撃てば良い。」
魔神は、そう言うと高らかに笑った。
魔神の城の周りには無数の魔物が群れを成して外敵の訪問を待ち構えている。
ウエスの森。
露天風呂を楽しむフィーネたちは、魔神たちの考えなど知る由もない。
「気持ちいいわね。」
満天の星空の下、のんびりと疲れを癒しているのだった。
スザクとホウオウが手に入れた【深淵の鍵】。魔神が住む深淵の国に行くための【鍵】となるアイテムなのだが、その使い方が分からなかった。
リリィの翻訳スキルを駆使して、古代の書物を調べる日々が続く。
「もう、疲れたよー。休みたいー。」
リリィは机に突っ伏してしまった。
「仕方ないわね。少し休みましょう。」
フィーネが言うと、リリィはカバっと起き上がり、
「ほんと?休もう!」
ホッとしたように言った。
フィーネは魔法で食事の支度を始めた。リリィは早速リビングのテーブルに走って行く。
キッチンでは、様々な調理器具や食材が所狭しと飛び交っている。
フィーネもリビングにやって来て、紅茶を淹れて椅子に座った。
料理が皿に盛り付けられる。
「フィーネ特製ナポリタンスパゲティよ!」
フィーネが言うとトマトのいい香りが漂う。
「ナポリタンだー!」
リリィの目が輝く。
「何だ?この細長くて赤いのは。」
ハクは初めてみるナポリタンスパゲティを不思議な顔で見ている。
「ナポリタンも美味いよな。ぼくも大好きだ。」
イブが紅茶を一口飲んで言う。
「さあ、みんな食べて。」
フィーネに促されて、リリィたちは食べ始めた。
「美味しいー!」
リリィが満面の笑みで言う。
「この細いの、もちもちしてて美味いな!」
ハクもナポリタンを気に入ったようだ。
「うーむ、昔を思い出す味だな。」
イブが感慨深そうに言う。
今回のナポリタンスパゲティも好評で、鼻が高いフィーネだった。
「待てー!」
「待つキー!」
「待つキキー!」
「おいら、またないぞー!」
リリィたちが追いかけっこを始めた。
フィーネとイブはロッキングチェアに座り、淹れたての紅茶を飲んでいる。
「今日も平和ね。」
「フィーネ、のんびりも良いが大事なことを忘れるなよ。」
「もちろん......忘れてないわ。」
「先延ばしにしたい気持ちも分かるが、これは避けられない運命だからな。」
イブが珍しく語気を強めて言った。
「......わかってるわよ。」
フィーネは呟いた。
「さて、古代の本の翻訳を続けるわよ。」
フィーネが本を広げる。
「よーし!頑張ろう!」
リリィも気合いが入る。
フィーネの手が止まった。
「これは......!?」
その本の表紙には、悪魔が2体向き合っている絵が書いてある。
「これって【深淵の鍵】と一緒だね。」
リリィも気が付いたようだ。
「リリィ、この本にヒントがあるかも知れない。」
フィーネが言うと
「わかった。ゆっくり確認しながら読んでいくね?」
リリィが答えた。
リリィの手が止まった。
「この詩、ヒントかも。」
「どうしたの?リリィ。」
「こんな詩が突然出て来たの。」
三日月は、空に浮かぶ船
半月は、揺りかご
満月は、神の導き
新月の夜は、空に願おう
「どんな意味があるのかしら?」
フィーネがつぶやいた。
「きっと、何か関係があるはずだよ。私、覚えておくね。」
リリィが言った。
「この本には、古代人は深淵の国から来たって書いてある。深淵の国とこの世界を繋ぐ扉の鍵が【深淵の鍵】なんだって。」
「リリィ、お手柄ね。少し休憩しましょうか?」
フィーネが紅茶を淹れる。
「デザートは、フィーネ特製アップルパイよ。」
「アップルパイだ!美味しい!」
リリィがニッコリ微笑む。
香りを嗅ぎつけて、イブとハクもやって来た。
「このリンゴを煮たやつ、甘くて美味いな!」
「うーん。シナモンが効いてて美味いのう。」
ハクとイブは、あっという間に食べてしまった。
「また、この紅茶にピッタリじゃ。」
イブは相当気に入ったらしい。
夕暮れ時になり、フィーネたちはまたロッキングチェアで寛いでいる。
「フィーネ。」
「何?イブ。」
「分かっていると思うが、魔神を倒すことが世界を救うことにつながる。」
「そうね。」
「そのためには、女神の魂を持つリリィと99回の人生経験をしたフィーネの魂が必要だ。」
「それは聞いたわ。」
「そして、100回目-最後の転生-が鍵になる。」
「リリィの魂と私の魂を捧げないと魔神には勝てないってことね。」
「その通りだ。本当にすまない。」
「イブは、やるべき事をやった。謝る必要はないわ。エルフの人生にも飽きて来てるし。」
「フィーネ、きみには感謝している。」
「ありがとう。リリィの事は頼むわね。」
「リリィは将来、女神になる逸材だ。後のことは任せてくれ。」
イブはフィーネの方を見た。
フィーネは、目に涙を浮かべている。
2人は、紅茶を一口飲んだ。塩っぱい味がした。
陰鬱とした雲が立ち込める、荒廃した大地。
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強烈な威圧感を放つその城に、ライジンとフウジンがいた。
「魔神ザハーク様、エルフと娘をこのままにしていて良いのですか?このままでは、奴らが此処に辿り着いてしまいます。」
ライジンが言うと、玉座に座る黒い影が答える。
「ライジンよ、果報は寝て待つのだ。向こうが来るなら迎え撃てば良い。」
魔神は、そう言うと高らかに笑った。
魔神の城の周りには無数の魔物が群れを成して外敵の訪問を待ち構えている。
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