深刻な女神パワー不足によりチートスキルを貰えず転移した俺だが、そのおかげで敵からマークされなかった

ぐうのすけ

文字の大きさ
30 / 113
人に投資をするのが1番効率がいいよな

スライムと元賢者【元賢者視点】

しおりを挟む
 私は兵士に同行して回復魔法を使い続けている。
 おかげで幸運値はプラスになった。
 でも、土ぼこりが酷い。
 服の中に土が入って来る。

 本当に汚い。
 笑顔を張り付けて回復魔法を使う。
「リン殿、ありがとうございます。もう少しで神殿にたどり着きます。水浴びをすることが出来ますよ」

「そうなんですね。ありがとうございます」
 冷たい水か。
 風呂とサウナが理想だが、仕方ない。

 兵士の魔物狩りの同行を断ろうとしたが失敗に終わっている。
 女神からメッセージが来たのだ。
『兵士に協力しないと英雄の資格を失います』
 と脅しをかけられた。

 幸運値はプラスになったが思ったよりうまくいかない。
 食事は塩気の強いベーコンと固いパンだけ。
 遠征に同行した時点で分かっていたが、もう飽きた。

 幸運値はクリアした。
 次はスキルを何度も使って賢者にランクアップすれば元通りになる。
 赤魔導士より賢者の方が私にはふさわしい。
 もう少しの我慢。




 神殿にたどり着くと、川で水浴びをし、新鮮なサラダを食べる。
 塩とオイルだけの味付けだが美味しく感じる。
 もう少しの我慢。
 神殿で一泊して兵士に同行すると、魔物が出て来た。

「す、スライムだ!」
「いや、あれはただのスライムじゃない!魔将だ!【軍】の魔将だ」

「軍?軍とは何ですか?」
 スライムの文献は見ていない。
 スライムはただの雑魚。
 見る価値もない。

「スライムは大量の眷属を作り出す力があります。数の力で我らを何度も苦しめました」

 なるほど、だから【軍】か。
 雑魚の群れに魔法の範囲攻撃は有効だ。
 レベルを上げるチャンスでもある。

「私が援護しましょう。攻撃魔法を使います」

「おお!心強い!」
「ぜひお力をお見せください!」

 私が前に出ると、紫色のスライムが話しかけてくる。
「お前、魔法使いか?賢者か?」
 子供のような声。
 弱そうに見える。

「私は赤魔導士です」
「なーんだ。器用貧乏の魔法しか使えない半端なジョブか」

 兵士が会話に割って入る。
「リン殿は元賢者の英雄だ!馬鹿にするな!」

「賢者あ?」
 スライムの声が太くなり声質が変わっていく。
「そうだ!元賢者だ。馬鹿にするなよ!」

「賢者!ぼおくを昔罠にかけた賢者あああ!炎で焼き尽くそうとした賢者あああああああああああああああああああああああああああ!!ぐりいいいいいいいい!こおおろおおすううううう!」

「残念ですがあなたには無理です。ハイファイア!」
 炎でスライムを焼いていく。
 何度も焼く。

 だが何故か兵士長のグレスが焦りだす。
「い、いけない!すぐ援護しろ!」

 紫色をした8体のスライムが炎を突破して私に迫る。
「リン殿!そのスライムは【軍】の魔将です!魔将としては戦闘力は高くありませんが、8体すべてを撃破しなければ何度でも復活します!」

「スライムは雑魚、雑魚が集まっても雑魚でしょう?ハイファイア!」
 魔将のスライムの内1体はまたも炎を突破して体当たりを仕掛けてきた。

 1体のスライムの体当たりを受けて私は吹き飛ばされる。

「無様だなああああ!賢者あああああ!転移した英雄は何故か俺を侮るうううううううう!だがそのおかげでお前を殺せるううぅうぅううう!」
 ほかの7体のスライムも私に迫って来る。

「ひいいい!」 
 私は杖を投げ捨て、必死で逃げた。

「リン殿!どこへ行くのですか!」
「我らを見捨てるのですか!」

「雑魚は無視しろおおお!賢者を殺せえええええええ!」

 私は神殿に逃げた。
 神殿は魔物が入れないよう結界が張られている。

 押し付けたはずのスライムは兵士を無視して私を追って来た。
 魔将のスライムは1体でも私より強い。
 それが8体も居る。

 神殿の中から結界の外を覗きこむとスライムは結界を囲むように包囲していた。
 神殿にいた者はすでに逃げ出し、ここには私一人。

 すぐに結界内を調べた。
 食料は多少ある。
 神殿に隠し階段は見つからない。

 隠し階段があったとして私に見つけることは出来ないだろう。
 斥候の部下がいれば良かった。
 もう少しで軌道に乗ると思っていた。

 結界の外を見て回るが完全に包囲されている。
 叫んだ。

「助けなさい!英雄である私を早く助けなさい!」

 私の叫び声だけがむなしく響いた。



しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

処理中です...