MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士

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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第22話】

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『サン様、お目覚めいかがでしょうか?』
「あなたは……!? いつからそこに!?」
 いつの間にか部屋の隅に現れた蜘妹アンドロイドメイドに気が付き、あわてて枕を抱えて半裸体を隠すサン博士。
『サン様がお目覚めになられる前よりここでお待ちしておりました……おほん、改めまして。
 私はリュート様にお仕えするメイドアンドロイドSYK-72-03、ホリィでございます。
 さきほどは荒手に出てしまい大変失礼いたしました、お許しくださいませ』
 後ろに大きく突き出したスカートを持ち上げて8本の節足が生えた小判型の下半身をチラ見せしつつエレガントに頭を下げる女性型アンドロイド。
「メイドアンドロイドのホリィ?……まさかとは思うけどあなたはアフタヌーン・ティーの従業員アンドロイドじゃないの?」
 おそらく後付け魔改造だと思われる下半身はとにかく、その上半身容姿と名前に見覚えがあったサン博士はかつて平和な理想郷だったエデンでの美しい記憶を掘り返しつつ問う。
『ええ、そのとおりでございます!! 私を覚えていらっしゃったんですねフトウ様!!』
 サン博士の言葉に喜びの声をあげながらにっこりと笑う蜘妹メイドアンドロイド。
「ええ、もちろんよ!! でもどうしてそんな姿に……?」

 10年前の在りし日のエデン第一区画……自然公園エリアの森の奥にひっそりと停ずむ洋館。
 エデン訪問者向けのホテル兼国家首脳クラス人物滞在用の迎賓館として建築されたそこの1階に人間と人型アンドロイドの共存および労働実用化実験の一環として設けられたカフェ、アフタヌーン・ティー。
 美味しい洋菓子とかぐわしい紅茶が楽しめる場所であったその従業員は全て人型アンドロイド。

 いわゆるレストラン配膳ロボットの究極形である見目麗しいウエイトレスメイドアンドロイドを一目見ようとエデン外からも一般観光客が訪れる観光名所となっており、サン博士自身も父や母の休日にここで紅茶とアフタヌーンティーを楽しんだ思い出深い場所でもあったのだ。

『はい、アフタヌーン・ティー従業員であった私共7体のウェイトレスメイド試験機は人間様方がお去りになった後ミクラ・ブレイン様の命でクレードルスリープ状態で保管庫に長らく収納されておりました。
 その後この第一区画を上位管理者アンドロイドとして生まれ変わったマリィ様が管理なされる事が決まった際、私達7体のウェイトレスメイド試験機もその配下として登用。
 遺伝子操作改造植物の樹海と化したここで活動するための下半身を彼女と同様に改造され……こうしてまたお会い出来た次第でございます」
 サン博士の問いに淡々と答える蜘妹メイドアンドロイド。
「彼女と同様?」
『ええ、リュート様は……』
 サン博士との会話の最中で言葉を切り、壁際に8本足で後退するホリィ。
 扉の向こうから幾重にも聞こえるコツコツ、カサカサと言う音に気が付いたサン博士は軍人本能的に枕を掴み、応戦態勢に入る。

『フトウちゃん!! 久しぶりね!! あの時と全く変わらないわあ……!!』
 6体の蜘妹メイドアンドロイドを引き連れて入室する異常に大きく後ろに突き出して大きな小判のような形をした尻と下半身をロングスカートで覆った黒髪ロングヘアの若い女性の大型アンドロイド。
 エデン第一区画の上位管理者アンドロイド、リュートは満面の笑みを浮かべ、小判型の下半身に生やした2対8本の機械節足でベッド上のサン博士に向かってくる。
「やっばり、まさかあなたが……リュートなる上位管理者アンドロイドだったなんて!!」 
 かつてアフタヌーン・ティーの店長としてお客様に幸せな時間を提供していた淑女にして憧れのレディーだった女性型アンドロイド、マリィとの変わり果てた再会にサン博士は恐怖と言うより悲しみの涙が頬を伝う。

【MMS 第23話に続く】
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