MMS ~メタル・モンキー・サーガ~

千両文士

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【第三章:エデン第一区画/旧動植物研究所ビオトープエリア】

【第35話】

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 エデン第二区画、中央制御施設内・ブリーフィングルーム。
「我々がここのデータベースから得た情報によると現在のエデンはこのようになっているようです」
 そう言いつつ紙に鉛筆で書いた6等分されたドーナツのような地図を見せるコマンダー。
「エージェント様に私の汚い手書きで申し訳ございません……ここには敵の機密情報にアクセスできうる機器が多数あるとは言えここは敵地の中の安全地帯。
 部下を守らねばならない立場として安全確保の観点からも最低限の利用にとどめております」
「コマンダー、そんなに自虐的にならないで。貴女の判断はとても賢いと思うわ」
 手書きのドーナツマップを見つつコマンダーに微笑むサン博士。
「それで……今私達はここで、残りの上位管理者アンドロイドは4体。
 選択肢としてありうるのは第一区画の樹海を抜けて第六区画のアンドロイド兵生産工場に向かうか隣接する第三区画……総合医療技術研究施設棟であった場所に向かう事だけど。
 実戦経験豊富なコマンダーの意見も聞きたいわ、旧迎賓館での件もあるしあなたならどちらのルートを選ぶ?」
「私であればどちらも部隊全滅のリスクが高すぎるが故にもしくは迂回すべきルートですが、他の選択肢が無いのであれば後者を選びます」
「そうよね、私も同意見だわ。そうと決まればモンキーマンの修理とカッパマンのメンテナンスが完了しだい出発しないと……っと?」
 立ち上がろうとしたサン博士は鼻をくすぐる芳ばしい香りに動きを止める。
「コマンダー、エージェント!! 軽食をお持ちいたしました!!」
 コーヒーとコンビーフサンドイッチを乗せた2つのお盆をブリーフィングルームに運んできたソルジャー・マツモトは一礼して去っていく。
「エージェント様のお気持ちは分かりますがお連れのアンドロイド様方の修理処置と改造強化にはまだお時間がかかります。
 あの悪趣味クマが大量に持っていた人間用の缶詰と食料が見つかりましたのでご一緒にいかがですか?」
「ええ、そうね……」
 久方ぶりのコーヒーの香りに緊張が和らいだサン博士はコマンダージャンヌと共に手を合わせ、温かいコーヒーを味わう。

『美味しそうだねー』
『お肉いいよねー』
 エデン中央管理施設内の一室でサンドイッチとコーヒーを味わう2人を見つつ仲良し意気投合する上位管理者アンドロイド・キンカクとギンカク。
『コウくん、今度アレ作って!!』
『俺っすか!? 俺オニギリならどうにかだけどサンドイッチはなあ……』
 迷彩タンクトップにジーンズ姿で赤髪の若い男・コウガイジは頭をポリポリしつつ画面の向こうのコーンビーフサンドイッチを観察する。
『主様の御前である、おしゃべりはやめよコウガイジ』
「……済まねえ、おやっさん」
 暗い部屋の隅から響いてくる低く太い声に謝るコウガイジ
『ごめんね、ギュウ君』
『てへぺろっ!!』
 素直に謝るギンカクとぶりっ子てへぺろするキンカク。

『上位管理者アンドロイドの諸君、よく集まってくれた』
『ははっ!!』
 どこからともなく聞こえてくるミクラ・ブレインの機械音声に平伏する上位管理者アンドロイド4体。
『この度集まってもらったのは他でもない……そなたらも見たであろうこれの件である』
 4体の上位管理者アンドロイドの前に現れるエアディスプレイ枠。
 そこに映し出されるのはガンギマリモンキーマンが巨大蜘妹女アンドロイドのリュートをジャイアントスイングで屋外にぶん投げ、マウントを取ってからの殴打で戦闘アンドロイド用合金のボディを粉砕していく様だ。
『あれはフトウ博士が戦闘用人型アンドロイドプロトタイプ開発時に開発された戦闘アンドロイド用OS、セイテンタイセイ。
 見ての通り、尋常ならざる攻撃性と反動ダメージによる自壊不可避な破壊力を引き出す……ありていに言えば失敗作である』
 ありていじゃなくても大失敗作だよ……コウガイジはツッコミそうになる。
『今回はSYK-022によりどうにかなったが、今後も幸運が続くとは思えぬ……よいか、そなたらでもヤツのキンコジュを外すな、これは我が命である』
『ははっ!!』
 ミクラ・ブレインの命に4体の上位管理者アンドロイド再度平伏の姿勢を取る。

【MMS 第36話に続く】
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