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初恋の終わり
25.ローディ王子の懺悔---01
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そして私は王子殿下と二人きりになったのだった。
いや、二人きりとは言っても正確には二人きりでは断じてない!(ここ大事!)
部屋の隅には王室のメイド達が二人控えているのだ。
うら若き男女を二人、しかもドレスをまとったままとはいえ、ベッドに横たわった私…当然の…というか最低限の配慮といえよう。
王子殿下は、(メイド達以外の)皆が出て行くと、つかつかとベッドの横に寄って来て横に置かれていた椅子に腰かけた。
「お、王子殿下、申し訳ございません。このような状態で…」と私はせめてとばかりに体を半分起こした。
すると部屋の隅にいたメイド達がさささっと移動してきて私の後ろにふかふかのクッションをあてがってくれた。
さすがです!
「ありがとう」と私はメイド達に笑顔で言うと二人のメイド達は、一瞬だけ頬を赤らめきゅんとしたように恥じらったような表情になったものの「いえ、滅相もございません」と短く言い、またそそくさと隅の方へ戻った。
そして、まるでいない者のように気配を殺した。
うん、さすが王室メイド…プロです。
徹底していました。(感心!)
「寝たままで大丈夫なんだよ?無理しなくても…」と王子殿下が優しく話しかけて下った事に私は、内心驚いた。
三年前、私にあんな事を言った方とは…。
『お前なんか大嫌いだ!側によるな!』とか何とかおっしゃっていましたのに。
殿下もまた大人になったという事なのでしょうか?
ああ、こんなに穏やかな気持ちでまたお話しできるようになるなんて…信じられない。
いつもの…これまでの私ならば、私ごときが王子殿下と口をきくことすらおこがましいと惨めなほどにへりくだったことでしょう。
けれど今は、自分がそれほどまで卑下する存在とは思いません。
私はこれまで自分なりに出来る限りの努力はしてきたのですから。
こんなにも突然、こう思えるのは、ルークやルミアーナ様の言う呪縛が解かれたおかげなのでしょうか?
何より先ほど見た自分の姿にも勇気づけられたのは言うまでもありません。
ゲンキンなものですね。私も!あのルミアーナさまに似ているというだけで勇気百倍!少しくらい己惚れても大丈夫な気になっています。
そして、私は王子殿下にも笑顔で対応することが出来たのです。
ルークやルミアーナ様、何より浄化してくださった精霊リュート様に感謝です。
「いいえ、本当に、大丈夫なのです。むしろまるでつきものが落ちた様にすっきりとして…」
「そうか…それは良かった。それで…その」
「はい、王子殿下は私に何かおっしゃりたい事があるのですね?」
自分が嫌いだとのたもうた王子殿下に、今さら何を言われるのだろうと思ったが、不思議と前ほど怯えはない。
殿下が自分を嫌いでも、もう別に構わないと思う自分がいるからだ。
幼かった自分が、殿下のお気持ちも図れず纏わりついた事は申し訳なかったが、所詮は、子供の頃の話で今思えば、そこまで自分が落ち込むほどの事ではなかっただろうかと笑いたくなる。
素直に自分の無作法を誤って初恋の終わりを認めればこんなに引きずりもしなかったのにと思う。
それまでもが、呪いのせいかどうかなど自分では分からないが、やたらめったら自分が何もかも悪いと思いこんで初恋の終わりも認められず、だらだらとローディ王子に嫌われた原因は何か何かと自分の悪いところばかり探していたなぁ?と回想する。
「わたしが、君に、その嫌いだ…とか側によるな…と言った件なのだが…」
(おおぅ!まさかの、そのお話しでしたか!直球ですね?)
いきなり三年前のあの日の核心にふれてきた王子殿下に私は少し驚いた。
もしかして王子殿下も自分の言った言葉を引きずっていらしたとか?まさか…。
「まぁ、殿下!申し訳ございません。私、子供だったのですわ。あの頃の私にとって殿下は憧れの王子様で浮かれておりました。殿下のお気持ちも考えず纏わりついてしまって、今では深く反省しております」と頭を垂れた。
「いや!何故、貴女が謝る!悪いのは私だ!」
「まぁ、そんな事ある筈が…!」
「いいや!そうなのだ!悪いのは私だ!だが、信じてくれ!私は決してイリューリアの事が嫌いだった訳ではない!」
「え?そ、そうなのですか?幼く無作法にも殿下のお気持ちも考えず懐いていた私が煩わしかったのでは?」
「そんな事はない!逆だ!君は可愛らしすぎたのだ!」
「は?」
私は殿下の思いがけないお言葉に耳を疑った。
「え?で、では、なぜ?」
そして王子殿下は私に対する想いのすべてを一生懸命語って下さった。
でも、なぜだろう…。
別に今さらどうでもいいように感じてしまうのは…。
これは、ようやく私の初恋が終わった…という事なのだろうか?
いや、二人きりとは言っても正確には二人きりでは断じてない!(ここ大事!)
部屋の隅には王室のメイド達が二人控えているのだ。
うら若き男女を二人、しかもドレスをまとったままとはいえ、ベッドに横たわった私…当然の…というか最低限の配慮といえよう。
王子殿下は、(メイド達以外の)皆が出て行くと、つかつかとベッドの横に寄って来て横に置かれていた椅子に腰かけた。
「お、王子殿下、申し訳ございません。このような状態で…」と私はせめてとばかりに体を半分起こした。
すると部屋の隅にいたメイド達がさささっと移動してきて私の後ろにふかふかのクッションをあてがってくれた。
さすがです!
「ありがとう」と私はメイド達に笑顔で言うと二人のメイド達は、一瞬だけ頬を赤らめきゅんとしたように恥じらったような表情になったものの「いえ、滅相もございません」と短く言い、またそそくさと隅の方へ戻った。
そして、まるでいない者のように気配を殺した。
うん、さすが王室メイド…プロです。
徹底していました。(感心!)
「寝たままで大丈夫なんだよ?無理しなくても…」と王子殿下が優しく話しかけて下った事に私は、内心驚いた。
三年前、私にあんな事を言った方とは…。
『お前なんか大嫌いだ!側によるな!』とか何とかおっしゃっていましたのに。
殿下もまた大人になったという事なのでしょうか?
ああ、こんなに穏やかな気持ちでまたお話しできるようになるなんて…信じられない。
いつもの…これまでの私ならば、私ごときが王子殿下と口をきくことすらおこがましいと惨めなほどにへりくだったことでしょう。
けれど今は、自分がそれほどまで卑下する存在とは思いません。
私はこれまで自分なりに出来る限りの努力はしてきたのですから。
こんなにも突然、こう思えるのは、ルークやルミアーナ様の言う呪縛が解かれたおかげなのでしょうか?
何より先ほど見た自分の姿にも勇気づけられたのは言うまでもありません。
ゲンキンなものですね。私も!あのルミアーナさまに似ているというだけで勇気百倍!少しくらい己惚れても大丈夫な気になっています。
そして、私は王子殿下にも笑顔で対応することが出来たのです。
ルークやルミアーナ様、何より浄化してくださった精霊リュート様に感謝です。
「いいえ、本当に、大丈夫なのです。むしろまるでつきものが落ちた様にすっきりとして…」
「そうか…それは良かった。それで…その」
「はい、王子殿下は私に何かおっしゃりたい事があるのですね?」
自分が嫌いだとのたもうた王子殿下に、今さら何を言われるのだろうと思ったが、不思議と前ほど怯えはない。
殿下が自分を嫌いでも、もう別に構わないと思う自分がいるからだ。
幼かった自分が、殿下のお気持ちも図れず纏わりついた事は申し訳なかったが、所詮は、子供の頃の話で今思えば、そこまで自分が落ち込むほどの事ではなかっただろうかと笑いたくなる。
素直に自分の無作法を誤って初恋の終わりを認めればこんなに引きずりもしなかったのにと思う。
それまでもが、呪いのせいかどうかなど自分では分からないが、やたらめったら自分が何もかも悪いと思いこんで初恋の終わりも認められず、だらだらとローディ王子に嫌われた原因は何か何かと自分の悪いところばかり探していたなぁ?と回想する。
「わたしが、君に、その嫌いだ…とか側によるな…と言った件なのだが…」
(おおぅ!まさかの、そのお話しでしたか!直球ですね?)
いきなり三年前のあの日の核心にふれてきた王子殿下に私は少し驚いた。
もしかして王子殿下も自分の言った言葉を引きずっていらしたとか?まさか…。
「まぁ、殿下!申し訳ございません。私、子供だったのですわ。あの頃の私にとって殿下は憧れの王子様で浮かれておりました。殿下のお気持ちも考えず纏わりついてしまって、今では深く反省しております」と頭を垂れた。
「いや!何故、貴女が謝る!悪いのは私だ!」
「まぁ、そんな事ある筈が…!」
「いいや!そうなのだ!悪いのは私だ!だが、信じてくれ!私は決してイリューリアの事が嫌いだった訳ではない!」
「え?そ、そうなのですか?幼く無作法にも殿下のお気持ちも考えず懐いていた私が煩わしかったのでは?」
「そんな事はない!逆だ!君は可愛らしすぎたのだ!」
「は?」
私は殿下の思いがけないお言葉に耳を疑った。
「え?で、では、なぜ?」
そして王子殿下は私に対する想いのすべてを一生懸命語って下さった。
でも、なぜだろう…。
別に今さらどうでもいいように感じてしまうのは…。
これは、ようやく私の初恋が終わった…という事なのだろうか?
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