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第十一章 世界とトーワと失恋
すまない、あとは任せた!
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――トーワ城・一階広間
私とギウとエクアと親父の四人は、キャビットを訪ねるメンバーついての話を行っていた。
そこに、ゴリンがある男を引き連れてやってきた。
「ケント様、少しよろしいでやしょうか?」
「どうした、ゴリン?」
「実は、この男がケント様の下で働きたいと」
「はは、どうも、お久しぶりです」
と、ゴリンの背後に立っていた男が挨拶をしてきた。
両腕両足は非常に逞しく、肌は黒々と日焼けした茶色の短髪の男。
しかし、私にはこのような男に見覚えはない。
「うん、どこかで会ったか?」
「いえ、直接は。あの俺、アルリナの港にあるストマー食堂にいた者で、そこでフィナさんから蹴っ飛ばされた……」
「ああ~、思い出したぞっ。あの、恋人を奪われみっともなく泣いて、」
「ケント様ケント様っ、ちょっとそれはっ」
エクアに服の端を引っ張られる。
その刺激を受けて、私は慌て口元に手を置いた。
「おっと、すまない」
「い、いえ、俺はみっともない男ですから……」
ガタイの良い男はその見た目とは違い心は繊細なようで、体を縮こませて小刻みに震えている。
ギウと親父は私を責めるような目で見てきた。
「ギウギウ」
「話はよくわかりませんが旦那、デリカシーってやつがないのはわかりますぜ」
「そうだったな。えっ~と、君は~」
「グーフィスと申します」
「グーフィスか。言葉が過ぎた。すまない」
「いえ、大丈夫です」
「それで、私の下で働きたいと? 元の職業はなんだ?」
「航海士をしていました」
「航海士? 悪いが、トーワには君の能力を役立てそうな場所はないぞ」
「それは承知しています。そこで、ゴリンの棟梁の下で大工仕事を学び、城の整備の仕事を任せていただけないかと思いまして」
「なるほど、それはありがたいが……どうして、ここで働きたい? 航海士の仕事の方が実入りが良いだろうに」
「それはぁ~」
グーフィスはぶっとい人差し指同士をくっつけるようにくるくる回し、よく日に焼けた肌の上からでもわかるくらいに頬を赤くしながら、こう答えた。
「フィ、いえ、あの、ケント様はムキからアルリナを救ってくださったお方。そんなお方に憧れまして、ぜひともお傍でお役に立ちたいんです」
「ふむ……それは嘘だろ?」
「ギクッ!」
「ふふふ、君はわかりやすいな。本当の目的を言いなさい。別に咎めるようなことはしないから」
「は、はい……その、先日の食堂で、フィナさんから蹴っ飛ばされ、その~、活を入れられたというか、新鮮な気分になったというか、生まれ変わったというか」
グーフィスは両拳をギュッと握りしめて、頬をさらに赤く染めて言葉をたどたどしくしていく。
その様子を見て、私は気づいた。
「もしかして、フィナにお礼参りをしに来たのか?」
「え? は、はい、フィナさんにお礼が言いたくてっ」
「そうか。しかし、彼女は手強いぞ。泣くだけでは済まぬかも」
「それは承知の上です!」
「なるほど、覚悟はできているというならば止めはしない。君がお礼を完遂できることを祈っておこう」
「あ、ありがとうございます、ケント様」
「大工仕事の方は?」
「それももちろん、全力で頑張らせてもらいます!」
私とグーフィスが会話を重ねる横で、ギウたちがこそりと会話を行っている。
「ギウ、ギウギウ」
「はい、たぶんケント様、勘違いしてますよね」
「あのグーフィスという男はフィナの嬢ちゃんを?」
「そうでやしょうな。まったく、仕事をさせてくれって必死こいて頼むから真面目な奴と思いきや、色恋沙汰とは、このゴリンも舐められたもんですわ」
こそりと会話を重ねる四人へ、私は顔を向ける。
「私は今から事務仕事を片付けるのでグーフィスのことは皆に頼んだ。ではっ!」
私は足をぐるぐると回転させる勢いで階段を駆け上がり執務室へと逃げ込んだ。
その姿を見た四人が怒ったような口調を背中にぶつけてくる。
「ギウ!? ギウギウ!」
「ケント様、まさか!?」
「旦那、気づいてるでしょう! 」
「面倒だと思い、あっしらに丸投げして逃げ出しやしたねっ」
私とギウとエクアと親父の四人は、キャビットを訪ねるメンバーついての話を行っていた。
そこに、ゴリンがある男を引き連れてやってきた。
「ケント様、少しよろしいでやしょうか?」
「どうした、ゴリン?」
「実は、この男がケント様の下で働きたいと」
「はは、どうも、お久しぶりです」
と、ゴリンの背後に立っていた男が挨拶をしてきた。
両腕両足は非常に逞しく、肌は黒々と日焼けした茶色の短髪の男。
しかし、私にはこのような男に見覚えはない。
「うん、どこかで会ったか?」
「いえ、直接は。あの俺、アルリナの港にあるストマー食堂にいた者で、そこでフィナさんから蹴っ飛ばされた……」
「ああ~、思い出したぞっ。あの、恋人を奪われみっともなく泣いて、」
「ケント様ケント様っ、ちょっとそれはっ」
エクアに服の端を引っ張られる。
その刺激を受けて、私は慌て口元に手を置いた。
「おっと、すまない」
「い、いえ、俺はみっともない男ですから……」
ガタイの良い男はその見た目とは違い心は繊細なようで、体を縮こませて小刻みに震えている。
ギウと親父は私を責めるような目で見てきた。
「ギウギウ」
「話はよくわかりませんが旦那、デリカシーってやつがないのはわかりますぜ」
「そうだったな。えっ~と、君は~」
「グーフィスと申します」
「グーフィスか。言葉が過ぎた。すまない」
「いえ、大丈夫です」
「それで、私の下で働きたいと? 元の職業はなんだ?」
「航海士をしていました」
「航海士? 悪いが、トーワには君の能力を役立てそうな場所はないぞ」
「それは承知しています。そこで、ゴリンの棟梁の下で大工仕事を学び、城の整備の仕事を任せていただけないかと思いまして」
「なるほど、それはありがたいが……どうして、ここで働きたい? 航海士の仕事の方が実入りが良いだろうに」
「それはぁ~」
グーフィスはぶっとい人差し指同士をくっつけるようにくるくる回し、よく日に焼けた肌の上からでもわかるくらいに頬を赤くしながら、こう答えた。
「フィ、いえ、あの、ケント様はムキからアルリナを救ってくださったお方。そんなお方に憧れまして、ぜひともお傍でお役に立ちたいんです」
「ふむ……それは嘘だろ?」
「ギクッ!」
「ふふふ、君はわかりやすいな。本当の目的を言いなさい。別に咎めるようなことはしないから」
「は、はい……その、先日の食堂で、フィナさんから蹴っ飛ばされ、その~、活を入れられたというか、新鮮な気分になったというか、生まれ変わったというか」
グーフィスは両拳をギュッと握りしめて、頬をさらに赤く染めて言葉をたどたどしくしていく。
その様子を見て、私は気づいた。
「もしかして、フィナにお礼参りをしに来たのか?」
「え? は、はい、フィナさんにお礼が言いたくてっ」
「そうか。しかし、彼女は手強いぞ。泣くだけでは済まぬかも」
「それは承知の上です!」
「なるほど、覚悟はできているというならば止めはしない。君がお礼を完遂できることを祈っておこう」
「あ、ありがとうございます、ケント様」
「大工仕事の方は?」
「それももちろん、全力で頑張らせてもらいます!」
私とグーフィスが会話を重ねる横で、ギウたちがこそりと会話を行っている。
「ギウ、ギウギウ」
「はい、たぶんケント様、勘違いしてますよね」
「あのグーフィスという男はフィナの嬢ちゃんを?」
「そうでやしょうな。まったく、仕事をさせてくれって必死こいて頼むから真面目な奴と思いきや、色恋沙汰とは、このゴリンも舐められたもんですわ」
こそりと会話を重ねる四人へ、私は顔を向ける。
「私は今から事務仕事を片付けるのでグーフィスのことは皆に頼んだ。ではっ!」
私は足をぐるぐると回転させる勢いで階段を駆け上がり執務室へと逃げ込んだ。
その姿を見た四人が怒ったような口調を背中にぶつけてくる。
「ギウ!? ギウギウ!」
「ケント様、まさか!?」
「旦那、気づいてるでしょう! 」
「面倒だと思い、あっしらに丸投げして逃げ出しやしたねっ」
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