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第二十一章 世界旅行
それは夢物語
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――遺跡・幻想のアーガメイトの書斎
カインに状況を説明し終えて、彼は一段落を得る。
得ると言っても突拍子もない話の連続で消化し切れていないだろうが……。
それでも何とか自身の理解の枠に収めようと、カインは何度もうんうんと頷く様子を見せている。
その頷きの間隔が広がったところを見計らい、転送前の話題――浄化機構について、フィナに尋ねた。
「フィナ、色々とごたごたが起きてしまったが、トーワにとって最も重要な話に戻したい。浄化機構――使えるんだな?」
「うん、今すぐにでも。最初に話した通り、範囲は限定されてるけど」
「それでも十分だ。正直、一度城に戻りゆっくりしたいところだが、浄化については間を置くわけにはいかない。すぐにでもやってくれ」
「それじゃあ」
フィナはトーワ城とトーワの北の荒れ地の映像を浮かべ、汚染を表す赤の部分を動かし始めた。
この様子を目にしたカインが私に尋ねてくる。
「あの、浄化機構とおっしゃいましたが、もしかして?」
「ああ、一部だが汚染された大地を浄化できそうなんだ」
「それはよかった! これで食糧の問題はもちろん、屎尿の問題も解決しますね」
「その屎尿についてだが、浄化機構の力を借りることにした」
「というと?」
「浄化機構は大地の汚染を浄化している。その特性を生かし、汚染された大地に屎尿を埋め、浄化機構の力を利用して屎尿を清めようという話だ」
「なるほど、それは便利な話ですね」
「ふふ、フィナのおかげで色々な問題が一挙に解決できる。フィナ、本当にありがとう」
「でしょっ、あんたの親父がいた時にそのことをちゃんと伝えなさいっての!」
「それは難しいな。父さんは君より正しい」
「この、ファザコンめっ。ったく、あほらし。ちゃっちゃと浄化機構の発動といきますかっ」
フィナは言葉を荒く飛ばし、汚染を表す赤い部分を動かして緑の部分を増やしていく。
真っ赤に染まっていた大地の映像は、トーワから北側の四分の一を緑色に染めた。
フィナは指を跳ねて、日本語の文字が混じり合う球体を呼び出す。
そしてそれを、パチンと両手で潰した。
「はいっ、浄化完了!」
「……え? なに?」
「だから、浄化完了」
「今ので北の荒れ地の四分の一が浄化されたのか?」
「うん、されたよ」
「そ、そうか。あっけなすぎて感慨も何もないな」
「そりゃ、ここに至るまで色々あったけど、最後はボタン一つで済む話だからね。あとは汚染が除去された場所の土を分析をしてから、どう活用するか話をしましょ」
「そうだな。では、トーワに戻ってみるとしよう。父さんが設定した転送装置を使ってな!」
「この、ファザコン……」
――トーワ城
遺跡の転送装置を使い、トーワへ戻ってきた。
設定されたポイントはトーワ城二階の使用されていない一室だった。
今まで二日かかっていた移動時間が一瞬へと変わる。
余談だが、馬を遺跡前に放置したままなので、あとで回収しないといけない……。
私を含め、遺跡にいた面々はぞろぞろと部屋から出る。
出た途端、喧騒が伝わってきた。
無数のざわめきが城外から聞こえてくる。
何事かと、私たちは階段を降りて城外へ向かった。
外へ出ようとした玄関口で、ゴリンとキサが私に気づき声を掛けてきた。
「これはケント様? いつの間に城へ?」
「領主のお兄さん、いつ帰ってきたの~?」
「それは後で説明する。それよりも妙に騒がしいが何があった?」
「そいつがでやすがね、北の大地がとんでもないことになってやして……」
私たちはゴリンとキサに連れられ、北の大地が見える場所まで移動する。
そうして、私たちの瞳に映ったのは……。
「こ、これは……荒れ地が、荒れ地が、消えてなくなっている……」
地平線が見えるまで続いていた乾いた大地。
ひびが延々と広がる死の大地が――緑の大地へと生まれ変わっていた!?
背の高い青々とした草が私たちの瞳を埋め尽くす。
果てしなく広がる、緑の大地。
赤・白・黄と大小様々な花が咲き乱れ、どこからやってきたのか蝶や蜂が飛び交っている。
それは死の影など全く見せない……豊饒の大地。
私は命の輝きに惹きつけられるように、無言で足を北へと向けていく。
喧騒を産み出しているカリスたちは私の存在に気づかず、緑が満たす大地を、ある者は惚けのように見つめ、ある者は奇跡だと声を産んでいた。
彼らの声に包まれ、大地へと届く。
私は緑たちをかき分けて、その命というものを指先から身体全身の神経に伝わせて、感動に打ち震える。
「あは、あはは、あはははははっ、信じられん。このような奇跡が起きるとはっ。死の大地が命の大地に!」
私は大きく手を振り、夢を語る。
「ここには大きな農園を作ろう。皆が飢えに恐れることのない大農園をっ!」
さらにマッキンドーに片手を広げ、そこから命の大地へと大きく振る。
「マフィンから川の水を分けてもらえる約束は取り付けてある。そして今は、人手も十分にある。だから、ここへ川を通そう! そうだ、海までつながる川を! 泉を作るのも悪くない! この大地は生まれ変わる!!」
乾ききった大地。汚染された大地。
だが、それも今日まで。
今からは潤いに満ちた自然溢れる大地へと生まれ変わる。
胸の奥底から熱い何かが込み上がってくる。
胸を焦がすのは感動と呼べる想い。同時に自覚の薄かった思いが混ざる。
それは、領主としての責任感。
今までももちろん、なかったわけではない。
だが、この命溢れる緑の大地を前にして、これを守らなければならないという思いが駆け巡る。
多くの領民を守れる大地であり、多くの可能性を産み出すことのできる大地。
だから私はっ、トーワの領主として絶対にここを守護せねばならぬ!
背後から聞こえる喧騒に顔を向ける。
仲間たちは、あまり見せることのない私のはしゃぎよう、そして取り乱しように微笑みを見せている。
彼らの周りでは、カリスたちがこの奇跡に驚きの声を産んでいた。
――そこで私は気づいてしまった!
(いかん、これを奇跡として広げるわけにはいかない!)
「フィナ、よくやった! 君の錬金術のおかげで大地の一部に緑が戻ってきた!!」
大声で伝えた緊急事態。すぐにその意味をフィナは読み取り、エクアも親父もカインもそれに気づいた。
「え、ええ、そうでしょ! なんて言ったって、私は世界一の錬金術師ですからね!」
「さすがです、フィナさん。あの大地を浄化しちゃうなんて!」
「すげぇけどよ、予告もなしにやるのはやめてくれよ。みんなもびっくりしてるじゃねぇか!」
「あはは、本当にフィナ君はすごいですね!」
皆が口々にフィナを称える。
この声を聞いたカリスたちは目の前で起きた奇跡を一人の錬金術師の少女が行ったことだと認識した。
どうして、このような真似をしたのか?
それは、この奇跡話がヴァンナスに渡ることを恐れたからだ。
汚染された大地が急に回復して緑の大地に染まったなどとヴァンナスに伝え聞こえれば、彼らは遺跡の力の存在を疑うに決まっている。
そのような疑いを持たれないための小芝居。
だが――フィナとカインが私に近づき、小声で話しかけてきた。
「この場は誤魔化せても、ヴァンナスの耳に入ったら必ず疑われるよ」
「ええ、私たちが遺跡を発掘して、死の大地を浄化したのではないかと」
「そうだろうな。まさか、いきなり緑に変わるとは。一体どうなっているのやら? ともかく、伝手を使い過小に報告されるよう頼んでおこう」
「ケント? 伝手って?」
「レイだ。彼はまだアグリスにいるはず。彼に手紙を送り、トーワは旅の錬金術士の力を借りて北の大地の極一部の開墾に成功したと伝えてもらう」
「それでも、いつまで誤魔化せるかわからないよ」
「ええ、僕もそう思います。それに、事情を知っているキャビットやワントワーフはともかく、アグリスがこの事態に指を咥えてだんまりを決め込むとは思えません」
「そうだな……クッ、喜ばしい出来事が私たちを追い詰めることになるとは! 仕方がない、レイを当てにするのはやめだ。フィナ」
「なに?」
「今すぐ遺跡に戻り、浄化範囲を狭めろ。今、この奇跡を見ているのはトーワの領民であるカリスのみ。妙な噂が広がり、外の者が確認に出てくる前に浄化範囲を縮めておくんだ」
「わかった。ケント……残念ね」
フィナは悲しそうな表情を見せて声を産む。
そばに立つカインもまた同様の表情をしていた。
先ほどまで私は夢を語り、あれほど感情的に喜んでいたというのに、それを無理やり萎めなければならない……。
だが――。
「な~に、浄化はいつでもできる。今はトーワの未来を守ることだ。とりあえず、屎尿の問題は解決できるし、一部とはいえ開墾は可能なんだ。今は、それで十分だろう。フィナには悪いが、浄化の実験は一部成功したが残りは失敗したということにする。すまない」
「いいよ。誤魔化すための事情は他に考えられないし。でも、あんたの言うとおり、失うわけじゃない。一時、待ったがかかっただけだし」
「ああ、そうだな」
私は、次の瞬間には消えてしまう緑の大地を瞳に宿す。
(いつかきっと、この光景を当然として見せる。だが、それを行おうとすれば……ヴァンナスを敵に回す覚悟をしなければならない)
そのようなことは絶対に不可能なこと。
私はポツリと言葉を落としてしまう。
「夢物語、か……」
カインに状況を説明し終えて、彼は一段落を得る。
得ると言っても突拍子もない話の連続で消化し切れていないだろうが……。
それでも何とか自身の理解の枠に収めようと、カインは何度もうんうんと頷く様子を見せている。
その頷きの間隔が広がったところを見計らい、転送前の話題――浄化機構について、フィナに尋ねた。
「フィナ、色々とごたごたが起きてしまったが、トーワにとって最も重要な話に戻したい。浄化機構――使えるんだな?」
「うん、今すぐにでも。最初に話した通り、範囲は限定されてるけど」
「それでも十分だ。正直、一度城に戻りゆっくりしたいところだが、浄化については間を置くわけにはいかない。すぐにでもやってくれ」
「それじゃあ」
フィナはトーワ城とトーワの北の荒れ地の映像を浮かべ、汚染を表す赤の部分を動かし始めた。
この様子を目にしたカインが私に尋ねてくる。
「あの、浄化機構とおっしゃいましたが、もしかして?」
「ああ、一部だが汚染された大地を浄化できそうなんだ」
「それはよかった! これで食糧の問題はもちろん、屎尿の問題も解決しますね」
「その屎尿についてだが、浄化機構の力を借りることにした」
「というと?」
「浄化機構は大地の汚染を浄化している。その特性を生かし、汚染された大地に屎尿を埋め、浄化機構の力を利用して屎尿を清めようという話だ」
「なるほど、それは便利な話ですね」
「ふふ、フィナのおかげで色々な問題が一挙に解決できる。フィナ、本当にありがとう」
「でしょっ、あんたの親父がいた時にそのことをちゃんと伝えなさいっての!」
「それは難しいな。父さんは君より正しい」
「この、ファザコンめっ。ったく、あほらし。ちゃっちゃと浄化機構の発動といきますかっ」
フィナは言葉を荒く飛ばし、汚染を表す赤い部分を動かして緑の部分を増やしていく。
真っ赤に染まっていた大地の映像は、トーワから北側の四分の一を緑色に染めた。
フィナは指を跳ねて、日本語の文字が混じり合う球体を呼び出す。
そしてそれを、パチンと両手で潰した。
「はいっ、浄化完了!」
「……え? なに?」
「だから、浄化完了」
「今ので北の荒れ地の四分の一が浄化されたのか?」
「うん、されたよ」
「そ、そうか。あっけなすぎて感慨も何もないな」
「そりゃ、ここに至るまで色々あったけど、最後はボタン一つで済む話だからね。あとは汚染が除去された場所の土を分析をしてから、どう活用するか話をしましょ」
「そうだな。では、トーワに戻ってみるとしよう。父さんが設定した転送装置を使ってな!」
「この、ファザコン……」
――トーワ城
遺跡の転送装置を使い、トーワへ戻ってきた。
設定されたポイントはトーワ城二階の使用されていない一室だった。
今まで二日かかっていた移動時間が一瞬へと変わる。
余談だが、馬を遺跡前に放置したままなので、あとで回収しないといけない……。
私を含め、遺跡にいた面々はぞろぞろと部屋から出る。
出た途端、喧騒が伝わってきた。
無数のざわめきが城外から聞こえてくる。
何事かと、私たちは階段を降りて城外へ向かった。
外へ出ようとした玄関口で、ゴリンとキサが私に気づき声を掛けてきた。
「これはケント様? いつの間に城へ?」
「領主のお兄さん、いつ帰ってきたの~?」
「それは後で説明する。それよりも妙に騒がしいが何があった?」
「そいつがでやすがね、北の大地がとんでもないことになってやして……」
私たちはゴリンとキサに連れられ、北の大地が見える場所まで移動する。
そうして、私たちの瞳に映ったのは……。
「こ、これは……荒れ地が、荒れ地が、消えてなくなっている……」
地平線が見えるまで続いていた乾いた大地。
ひびが延々と広がる死の大地が――緑の大地へと生まれ変わっていた!?
背の高い青々とした草が私たちの瞳を埋め尽くす。
果てしなく広がる、緑の大地。
赤・白・黄と大小様々な花が咲き乱れ、どこからやってきたのか蝶や蜂が飛び交っている。
それは死の影など全く見せない……豊饒の大地。
私は命の輝きに惹きつけられるように、無言で足を北へと向けていく。
喧騒を産み出しているカリスたちは私の存在に気づかず、緑が満たす大地を、ある者は惚けのように見つめ、ある者は奇跡だと声を産んでいた。
彼らの声に包まれ、大地へと届く。
私は緑たちをかき分けて、その命というものを指先から身体全身の神経に伝わせて、感動に打ち震える。
「あは、あはは、あはははははっ、信じられん。このような奇跡が起きるとはっ。死の大地が命の大地に!」
私は大きく手を振り、夢を語る。
「ここには大きな農園を作ろう。皆が飢えに恐れることのない大農園をっ!」
さらにマッキンドーに片手を広げ、そこから命の大地へと大きく振る。
「マフィンから川の水を分けてもらえる約束は取り付けてある。そして今は、人手も十分にある。だから、ここへ川を通そう! そうだ、海までつながる川を! 泉を作るのも悪くない! この大地は生まれ変わる!!」
乾ききった大地。汚染された大地。
だが、それも今日まで。
今からは潤いに満ちた自然溢れる大地へと生まれ変わる。
胸の奥底から熱い何かが込み上がってくる。
胸を焦がすのは感動と呼べる想い。同時に自覚の薄かった思いが混ざる。
それは、領主としての責任感。
今までももちろん、なかったわけではない。
だが、この命溢れる緑の大地を前にして、これを守らなければならないという思いが駆け巡る。
多くの領民を守れる大地であり、多くの可能性を産み出すことのできる大地。
だから私はっ、トーワの領主として絶対にここを守護せねばならぬ!
背後から聞こえる喧騒に顔を向ける。
仲間たちは、あまり見せることのない私のはしゃぎよう、そして取り乱しように微笑みを見せている。
彼らの周りでは、カリスたちがこの奇跡に驚きの声を産んでいた。
――そこで私は気づいてしまった!
(いかん、これを奇跡として広げるわけにはいかない!)
「フィナ、よくやった! 君の錬金術のおかげで大地の一部に緑が戻ってきた!!」
大声で伝えた緊急事態。すぐにその意味をフィナは読み取り、エクアも親父もカインもそれに気づいた。
「え、ええ、そうでしょ! なんて言ったって、私は世界一の錬金術師ですからね!」
「さすがです、フィナさん。あの大地を浄化しちゃうなんて!」
「すげぇけどよ、予告もなしにやるのはやめてくれよ。みんなもびっくりしてるじゃねぇか!」
「あはは、本当にフィナ君はすごいですね!」
皆が口々にフィナを称える。
この声を聞いたカリスたちは目の前で起きた奇跡を一人の錬金術師の少女が行ったことだと認識した。
どうして、このような真似をしたのか?
それは、この奇跡話がヴァンナスに渡ることを恐れたからだ。
汚染された大地が急に回復して緑の大地に染まったなどとヴァンナスに伝え聞こえれば、彼らは遺跡の力の存在を疑うに決まっている。
そのような疑いを持たれないための小芝居。
だが――フィナとカインが私に近づき、小声で話しかけてきた。
「この場は誤魔化せても、ヴァンナスの耳に入ったら必ず疑われるよ」
「ええ、私たちが遺跡を発掘して、死の大地を浄化したのではないかと」
「そうだろうな。まさか、いきなり緑に変わるとは。一体どうなっているのやら? ともかく、伝手を使い過小に報告されるよう頼んでおこう」
「ケント? 伝手って?」
「レイだ。彼はまだアグリスにいるはず。彼に手紙を送り、トーワは旅の錬金術士の力を借りて北の大地の極一部の開墾に成功したと伝えてもらう」
「それでも、いつまで誤魔化せるかわからないよ」
「ええ、僕もそう思います。それに、事情を知っているキャビットやワントワーフはともかく、アグリスがこの事態に指を咥えてだんまりを決め込むとは思えません」
「そうだな……クッ、喜ばしい出来事が私たちを追い詰めることになるとは! 仕方がない、レイを当てにするのはやめだ。フィナ」
「なに?」
「今すぐ遺跡に戻り、浄化範囲を狭めろ。今、この奇跡を見ているのはトーワの領民であるカリスのみ。妙な噂が広がり、外の者が確認に出てくる前に浄化範囲を縮めておくんだ」
「わかった。ケント……残念ね」
フィナは悲しそうな表情を見せて声を産む。
そばに立つカインもまた同様の表情をしていた。
先ほどまで私は夢を語り、あれほど感情的に喜んでいたというのに、それを無理やり萎めなければならない……。
だが――。
「な~に、浄化はいつでもできる。今はトーワの未来を守ることだ。とりあえず、屎尿の問題は解決できるし、一部とはいえ開墾は可能なんだ。今は、それで十分だろう。フィナには悪いが、浄化の実験は一部成功したが残りは失敗したということにする。すまない」
「いいよ。誤魔化すための事情は他に考えられないし。でも、あんたの言うとおり、失うわけじゃない。一時、待ったがかかっただけだし」
「ああ、そうだな」
私は、次の瞬間には消えてしまう緑の大地を瞳に宿す。
(いつかきっと、この光景を当然として見せる。だが、それを行おうとすれば……ヴァンナスを敵に回す覚悟をしなければならない)
そのようなことは絶対に不可能なこと。
私はポツリと言葉を落としてしまう。
「夢物語、か……」
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