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第一章
第21話 初めての野営
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ロージス領を出発して数時間。
最初は一面緑の草原に興奮していたが、数時間も似たような景色を見ていたらいい加減飽きてきた。
しかも、子供の足だから歩幅が狭くて歩みも遅い。
私と同じ頃に街を発った人達はすでに先を進んでおり、その姿すら見えなくなっていた。
いくらメイスに鍛えられたからといって、体は急には大きくならない。
不便な子供の体に鞭打って歩き続けること更に数時間。
いつの間にか日は傾き、辺りはオレンジ色に染まり始めていた。
肩でのんびりと寛いでいたメイスが口を開いた。
『おい。そろそろ野営地を決めるぞ』
ヤエイチ?
ああ!野営地ね!
え?
いきなり野宿するの?
まぁ、近くに民家すら無いような場所なら野宿になっちゃうかぁ……。
前世でも野宿を経験したことがなかったため、つい不安を募らせて縋るようにメイスを見つめた。
「……それって野宿だよね?野営地を決めるってどうしたら良いの?」
いきなりの野宿に心構えをしていなかった私は、自分の声が弱々しくなっていたことに気がつかなかった。
メイスはそんな私を気遣うように、胸を張ってふんと鼻を鳴らすと答えた。
『この俺に任せろ。野営地を決めるついでに落ちている枝を拾っておけ。この俺が野営のやり方を教えてやる』
さすがメイス様!
猫なのにどうして野営に関する知識があるのかなんて野暮なツッコミはしない。
猫は猫でもメイスは特別な猫なのだ。
だって、現に今まで美味しい食事を出してくれたり魔法を教えてくれたりしてくれたのだもの。
メイスの心強い言葉に、さっきまで不安に押し潰されそうだった気持ちが浮上した。
「うん!ありがとう!」
元気良く返事をして地面に落ちている枝を拾い集めていく。
メイスは肩に乗ったまま、野営出来そうな場所を探していた。
更に日が傾いてきた頃、メイスが口を開いた。
『お、あそこで野営にしよう』
そう言うなり肩から飛び降りると、大きな木に囲まれた少し開けた場所に向かって歩き始めた。
街道から少し外れた場所ではあるが、確かにここなら野営に向いていそうだ。
メイスの後を追い次の指示を待つ。
『ユーリ、そこの平坦な場所にテントを張れ。テントを張ったらここに集めた枝を置け。それから――』
メイスの的確な指示のもと、私は言われるまま淡々と作業をこなしていく。
何か楽しくなってきた。
いつの間にか、前世でよく口ずさんでいた歌を鼻歌交じりに歌っていた。
メイスはそんな私を怪訝そうに見ていたが、そのうち地面に体を横たえて静かに見守っていた。
言われた作業を終えて一息吐くと、それまで静かにしていたメイスが満足気に言った。
『初めてにしてはまあまあの出来だな。あと、テントの周りに結界を張るのを忘れるなよ。襲って来るのは魔物だけとは限らないからな』
メイスに褒められて舞い上がりそうになったが、その後の言葉に背筋を凍らせた。
ラノベでも旅の道中で魔物と遭遇するシーンがあった。
同様に盗賊が荷馬車を襲うシーンもあったなと思い出して身震いした。
……やっぱり盗賊が居るんだ。
頭では分かっていたものの、あまりにも現実とかけ離れていたせいで、メイスに言われるまですっかり忘れていた。
勢いよく首を縦に振ってすぐに結界を張る。
すっかり日が落ちて暗闇に包まれた中、結界の淡い光が辺りを照らす。
枝に息を吹きかけて火をつけたメイスが顔を上げて結界を見た。
『ふむ。上出来だ。では、晩飯にしよう』
まあ、あれだけメイスにしごかれたのだから、結界を張るのなんて造作でもない。
でも、初めての野宿で緊張していたのは確かだ。
私も上を見上げて結界がちゃんと張れているか確認した。
――うん、大丈夫そう。
ホッと胸を撫で下ろして折り畳み式のテーブルに並んだ料理に視線を移した。
初めての野営は何事もなく無事夜を迎えることが出来た。
満天の星空の下での夕食は、何にも代えられない得難い経験となった。
ちなみに、寝心地はあまり快適でなかったことを付け加えておく。
最初は一面緑の草原に興奮していたが、数時間も似たような景色を見ていたらいい加減飽きてきた。
しかも、子供の足だから歩幅が狭くて歩みも遅い。
私と同じ頃に街を発った人達はすでに先を進んでおり、その姿すら見えなくなっていた。
いくらメイスに鍛えられたからといって、体は急には大きくならない。
不便な子供の体に鞭打って歩き続けること更に数時間。
いつの間にか日は傾き、辺りはオレンジ色に染まり始めていた。
肩でのんびりと寛いでいたメイスが口を開いた。
『おい。そろそろ野営地を決めるぞ』
ヤエイチ?
ああ!野営地ね!
え?
いきなり野宿するの?
まぁ、近くに民家すら無いような場所なら野宿になっちゃうかぁ……。
前世でも野宿を経験したことがなかったため、つい不安を募らせて縋るようにメイスを見つめた。
「……それって野宿だよね?野営地を決めるってどうしたら良いの?」
いきなりの野宿に心構えをしていなかった私は、自分の声が弱々しくなっていたことに気がつかなかった。
メイスはそんな私を気遣うように、胸を張ってふんと鼻を鳴らすと答えた。
『この俺に任せろ。野営地を決めるついでに落ちている枝を拾っておけ。この俺が野営のやり方を教えてやる』
さすがメイス様!
猫なのにどうして野営に関する知識があるのかなんて野暮なツッコミはしない。
猫は猫でもメイスは特別な猫なのだ。
だって、現に今まで美味しい食事を出してくれたり魔法を教えてくれたりしてくれたのだもの。
メイスの心強い言葉に、さっきまで不安に押し潰されそうだった気持ちが浮上した。
「うん!ありがとう!」
元気良く返事をして地面に落ちている枝を拾い集めていく。
メイスは肩に乗ったまま、野営出来そうな場所を探していた。
更に日が傾いてきた頃、メイスが口を開いた。
『お、あそこで野営にしよう』
そう言うなり肩から飛び降りると、大きな木に囲まれた少し開けた場所に向かって歩き始めた。
街道から少し外れた場所ではあるが、確かにここなら野営に向いていそうだ。
メイスの後を追い次の指示を待つ。
『ユーリ、そこの平坦な場所にテントを張れ。テントを張ったらここに集めた枝を置け。それから――』
メイスの的確な指示のもと、私は言われるまま淡々と作業をこなしていく。
何か楽しくなってきた。
いつの間にか、前世でよく口ずさんでいた歌を鼻歌交じりに歌っていた。
メイスはそんな私を怪訝そうに見ていたが、そのうち地面に体を横たえて静かに見守っていた。
言われた作業を終えて一息吐くと、それまで静かにしていたメイスが満足気に言った。
『初めてにしてはまあまあの出来だな。あと、テントの周りに結界を張るのを忘れるなよ。襲って来るのは魔物だけとは限らないからな』
メイスに褒められて舞い上がりそうになったが、その後の言葉に背筋を凍らせた。
ラノベでも旅の道中で魔物と遭遇するシーンがあった。
同様に盗賊が荷馬車を襲うシーンもあったなと思い出して身震いした。
……やっぱり盗賊が居るんだ。
頭では分かっていたものの、あまりにも現実とかけ離れていたせいで、メイスに言われるまですっかり忘れていた。
勢いよく首を縦に振ってすぐに結界を張る。
すっかり日が落ちて暗闇に包まれた中、結界の淡い光が辺りを照らす。
枝に息を吹きかけて火をつけたメイスが顔を上げて結界を見た。
『ふむ。上出来だ。では、晩飯にしよう』
まあ、あれだけメイスにしごかれたのだから、結界を張るのなんて造作でもない。
でも、初めての野宿で緊張していたのは確かだ。
私も上を見上げて結界がちゃんと張れているか確認した。
――うん、大丈夫そう。
ホッと胸を撫で下ろして折り畳み式のテーブルに並んだ料理に視線を移した。
初めての野営は何事もなく無事夜を迎えることが出来た。
満天の星空の下での夕食は、何にも代えられない得難い経験となった。
ちなみに、寝心地はあまり快適でなかったことを付け加えておく。
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