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第一章
第24話 もっと子供らしく
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カリーナさんに手を引かれて歩きながら、キョロキョロと辺りを見渡した。
石造りの建物が多かったロージスと比べて、この村の建物のほとんどが木造のものばかりだった。
そのどれもが平屋の一軒家で、二階建ての建物すら見当たらない。
建築コストや人件費が大きく関わっているのだろう。
村内を行き交う人の年齢も高めで、子供や若い女性の姿は非常に少ないように見受けられた。
世界は違えども、便利で住環境の良い場所で暮らしたいと考える気持ちは共通しているようだ。
牧歌的な光景とは裏腹に、何だか寂しく思えた。
「さあ、着いたわ。年寄りの二人暮らしで碌におもてなしは出来ないけど、寝る場所ならあるから安心してちょうだい」
そう朗らかに言って扉を開けると、中に入るように促された。
扉を開けた先はリビングダイニングとなっており、小ぢんまりとしているがとても温かみのある生活感溢れる空間となっていた。
その光景に、私は思わず感嘆の声を上げていた。
「わぁ……。素敵。温かみがあって家庭的で……この空間が心地良い」
あの離れの古めかしいアンティーク調の家具に囲まれて暮らしていた時には感じなかった生活感を感じて、素直な感想を漏らしていた。
手を繋いだままのカリーナさんの嬉しそうな笑い声が隣から聞こえた。
「うふふ。そう言ってもらえると嬉しいわ。急なことだったからきちんと片付けていないけど、不快な思いをさせていたらどうしようかと内心焦っていたの。喜んでもらえたのなら良かったわ」
カリーナさんの口調からは、本当に焦っていたのか読み取れないほど弾んでいた。
急に、見も知らぬ人間を家に泊めるのは抵抗があったはずなのに、そんな感情を表に出さず受け入れてくれたカリーナさんとビリーさんには感謝の言葉が尽きない。
私はカリーナさんを見上げて、再びお礼の言葉を述べた。
「今回はご無理を言ってご迷惑をおかけしたこと、本当にすみませんでした。僕は一晩寝る場所があればそれだけで十分です。お二人のご厚意に感謝いたします」
カリーナさんと繋いでいた手をそっと離して向き合うと、深く頭を下げた。
「あら……そんなこと気にしなくて良いのに……。本当にしっかりしているのねぇ」
カリーナさんの呟きに頭を上げると、目線を合わせるように屈んだカリーナさんの手がポンと頭に置かれた。
「ユーリちゃん、無理に大人にならなくて良いのよ。だって、あなたはまだ子供なのだもの。もっと大人を頼ってほしいわ。……ああ、だけど、大人でも良い大人と悪い大人が居るから気をつけて。もちろん、私は良い大人だから安心してね」
そう言いながらお茶目に片目を瞑って微笑んだ。
優しく諭すように語りかけながら、その間も頭を撫でてくれたカリーナさんの優しい眼差しと温かい手が胸をじわりと温かくしてくれる。
――それでも。
メイスに十分頼っているし、これ以上頼るのは迷惑になるだろうと考えて答えられずに俯いた。
「にゃ~」
目を覚ましていたメイスが、頬に頭を擦りつけてきた。
それからメイスの声が脳内に響く。
『彼女の言う通りだ。お前はまだ幼い。無理に背伸びをする必要はない。前にも言ったがお前の傍にはこの俺が居る。人間の子供の成長はあっという間だ。もう少し子供時代を楽しめ』
その言葉が嬉しくて、顔を上げて琥珀色の瞳を見据えた。
――でも、本当に良いの?
私の不安を見透かしたメイスは、更に話しを続けた。
『お前のような手のかからない子供の面倒は楽で助かる。少しくらい羽目を外しても許されるさ。もっと肩の力を抜いて楽しんでも罰は当たらないだろう』
メイスの話しを聞いているうちに、それが正しいことのように思えてきた。
確かに子供でいられる時間は短い。
大人になれば色々な責任やしがらみが付きまとってくる。
……中身は成人しているんだけどね。
だったら、もう少し子供らしく楽しんでみても良いだろう。
吹っ切れた私は、顔を上げて満面の笑みを浮かべた。
「ふふ。はい!では、お言葉に甘えてそうさせてもらいます!」
元気よく応えた私に、カリーナさんは柔らかく目を細めて微笑み返してくれた。
石造りの建物が多かったロージスと比べて、この村の建物のほとんどが木造のものばかりだった。
そのどれもが平屋の一軒家で、二階建ての建物すら見当たらない。
建築コストや人件費が大きく関わっているのだろう。
村内を行き交う人の年齢も高めで、子供や若い女性の姿は非常に少ないように見受けられた。
世界は違えども、便利で住環境の良い場所で暮らしたいと考える気持ちは共通しているようだ。
牧歌的な光景とは裏腹に、何だか寂しく思えた。
「さあ、着いたわ。年寄りの二人暮らしで碌におもてなしは出来ないけど、寝る場所ならあるから安心してちょうだい」
そう朗らかに言って扉を開けると、中に入るように促された。
扉を開けた先はリビングダイニングとなっており、小ぢんまりとしているがとても温かみのある生活感溢れる空間となっていた。
その光景に、私は思わず感嘆の声を上げていた。
「わぁ……。素敵。温かみがあって家庭的で……この空間が心地良い」
あの離れの古めかしいアンティーク調の家具に囲まれて暮らしていた時には感じなかった生活感を感じて、素直な感想を漏らしていた。
手を繋いだままのカリーナさんの嬉しそうな笑い声が隣から聞こえた。
「うふふ。そう言ってもらえると嬉しいわ。急なことだったからきちんと片付けていないけど、不快な思いをさせていたらどうしようかと内心焦っていたの。喜んでもらえたのなら良かったわ」
カリーナさんの口調からは、本当に焦っていたのか読み取れないほど弾んでいた。
急に、見も知らぬ人間を家に泊めるのは抵抗があったはずなのに、そんな感情を表に出さず受け入れてくれたカリーナさんとビリーさんには感謝の言葉が尽きない。
私はカリーナさんを見上げて、再びお礼の言葉を述べた。
「今回はご無理を言ってご迷惑をおかけしたこと、本当にすみませんでした。僕は一晩寝る場所があればそれだけで十分です。お二人のご厚意に感謝いたします」
カリーナさんと繋いでいた手をそっと離して向き合うと、深く頭を下げた。
「あら……そんなこと気にしなくて良いのに……。本当にしっかりしているのねぇ」
カリーナさんの呟きに頭を上げると、目線を合わせるように屈んだカリーナさんの手がポンと頭に置かれた。
「ユーリちゃん、無理に大人にならなくて良いのよ。だって、あなたはまだ子供なのだもの。もっと大人を頼ってほしいわ。……ああ、だけど、大人でも良い大人と悪い大人が居るから気をつけて。もちろん、私は良い大人だから安心してね」
そう言いながらお茶目に片目を瞑って微笑んだ。
優しく諭すように語りかけながら、その間も頭を撫でてくれたカリーナさんの優しい眼差しと温かい手が胸をじわりと温かくしてくれる。
――それでも。
メイスに十分頼っているし、これ以上頼るのは迷惑になるだろうと考えて答えられずに俯いた。
「にゃ~」
目を覚ましていたメイスが、頬に頭を擦りつけてきた。
それからメイスの声が脳内に響く。
『彼女の言う通りだ。お前はまだ幼い。無理に背伸びをする必要はない。前にも言ったがお前の傍にはこの俺が居る。人間の子供の成長はあっという間だ。もう少し子供時代を楽しめ』
その言葉が嬉しくて、顔を上げて琥珀色の瞳を見据えた。
――でも、本当に良いの?
私の不安を見透かしたメイスは、更に話しを続けた。
『お前のような手のかからない子供の面倒は楽で助かる。少しくらい羽目を外しても許されるさ。もっと肩の力を抜いて楽しんでも罰は当たらないだろう』
メイスの話しを聞いているうちに、それが正しいことのように思えてきた。
確かに子供でいられる時間は短い。
大人になれば色々な責任やしがらみが付きまとってくる。
……中身は成人しているんだけどね。
だったら、もう少し子供らしく楽しんでみても良いだろう。
吹っ切れた私は、顔を上げて満面の笑みを浮かべた。
「ふふ。はい!では、お言葉に甘えてそうさせてもらいます!」
元気よく応えた私に、カリーナさんは柔らかく目を細めて微笑み返してくれた。
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