転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第三章

第152話 白い冷蔵庫

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 冒険者ギルドで依頼の魔物を渡して報酬を受け取ると、脇目も振らず家へと急いだ。

 ワイバーンはどうしたのかって?
 あれはブロン用に取っておいたから亜空間に収納したままだよ。
 それに、今日は瘴気を浄化してまだ疲れが取れていないから早く休みたいんだよね。
 あのままブロンの背に乗って帰りたかったけど、確実に人目をひくだろうから子犬の姿になってもらったんだ。
 いくら鍛えたといっても、十歳児の体には少しきつかったみたい。

 扉を開けて中に入ると、ヒデさんが満面の笑みを浮かべて迎えてくれた。

「おかえり!冷蔵庫造りに夢中になってユーリさんが出掛けたことすら気がつかなかったよ。……なんか疲れた顔をしているけど大丈夫?」

 どうやら疲れが顔に出ていたみたい。
 私は苦笑いをしながら答える。

「ちょっと遠出したから疲れたみたい。休めばすぐに良くなるから大丈夫だよ」

 そう答えると、ヒデさんは安堵の表情を浮かべてソファに座るように促した。

「そっか。じゃあ、ちょっと報告したいことがあるから座って」

 ヒデさんに促されるままソファに腰を下ろすと、ウキウキとした様子で語り始めた。

「あのね、ようやく冷蔵庫が完成したんだ。温度調整に苦労したけど、これでいつでもキンキンに冷えたコーラが飲めるよ」

「えっ!?本当?」

 さっきまでの疲れが一気に吹き飛んで台所に視線を向ける。
 そこには出掛ける前にはなかった冷蔵庫が鎮座していた。

「おぉ――!冷蔵庫だぁ――!」

 一気にテンションが上がった私は、一目散に冷蔵庫に駆け寄った。
 
 外装は白く、手触りは元の世界の物と変わらない。
 上段の扉を開けると、若干構造は異なるがそれ以外は向こうでも見慣れた造りになっていた。
 中段は野菜室で下段が冷凍室となっており、使い勝手も良さそうだ。

「うわぁ~!凄い!野菜室が広ぉ~い!」

 その言葉に気を良くしたヒデさんが、ドヤ顔で話しを続ける。

「でしょう?でも、凄いのはそれだけじゃないんだよね。メイスさんが亜空間魔法を付与してくれたから、いくらでも食糧を収納出来るんだ。で、中身を確認したい時はここに手を触れたら確認出来るようになっているんだ」

 ドヤ顔で冷蔵庫の扉に触れると、その表面に文字が浮かび上がった。

「おぉ――!」

 さっきから感動してばかりの私は、語彙力が少ないことにも気づかずに只々驚かされっぱなしだ。
 元の世界ではありふれたどこにでもある冷蔵庫だった。
 だけど、こうして改めて見ると、冷蔵庫がどれだけ便利でありがたい物なのか思い知らされた。
 白い冷蔵庫を眺めながらポツリと呟いた。

「なんかさあ、白い冷蔵庫ってあっちでは見慣れていたけど、こうして改めて見ると新鮮だね」

 私の呟きに、ヒデさんも感慨深げに頷き返す。

「うん。こっちには便利な魔道具はあるけどまだまだ一般的じゃないし、スマホもPCも無いからもの足りなく感じていたんだよね。もっと便利な世の中になっていてもおかしくないはずなのに、どうして発展しないのか不思議だよ」

 そうなんだよねぇ。
 魔道具があるからといって平民の暮らしが豊かかというと、決してそうじゃないんだよね。
 幸いなことに、平民でも生活魔法を使えるのが当たり前だからそこまで困ることはないと思うのだけど、それでも色々と不便はあるだろう。
 不便を感じることがなかった元の世界で暮らしていたからこそ、余計その差に愕然とする。

「そうだよね。もっと便利になると良いよね」

 技術的な知識が皆無の私は、そう返すことしか出来なかった。
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