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第47話 カルラの過去(5)
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二人が退室した後、何の変哲もない大きな絵画が回転してそこから一人の若い男性が現れた。
隠し扉の向こうは隣室と繋がっているようだ。
手入れが行き届いた緩く波打つ金色の髪をなびかせ、意思の強さを感じさせる青い瞳は、二人が出て行った扉を一瞥すると、神殿長に視線を移した。
男は乱暴にソファに腰を下ろすと口を開いた。
「アレが勇者と聖女なのか?随分と貧相だな。魔王討伐なんて本当に出来るのか疑わしいな」
開口一番、侮蔑を含んだ声が室内に響く。
「さようでございますな。しかし、三百年前の書物を読んだので間違いはないでしょう。準備が整い次第訓練に移ります。実力はその内分かるでしょう」
「まぁ、そうだな。しっかりと鍛えてある程度戦えるようにしてもらわないと困る。俺の手足となって働いてもらうのだからな」
口の端を上げて笑みを浮かべる顔は、悪意に満ちていた。
乱暴な態度と言葉遣いが、その人物の性格を物語っている。
「はい。殿下。もちろん承知しております。このフリスキーが第二王子殿下であられる貴方様を必ずや王位に就けて差し上げます」
神殿長は胸に手を当て恭しく頭を垂れた。
フリスキーと名乗ったこの男も、第二王子殿下に劣らず悪い顔で微笑む。
「はははっ!さすが、お祖父さまだ。母上もお喜びになるだろう。魔王を討伐した暁にはアレを排除し、聖女を手に入れる。そうすれば母上は正妃に。俺は王太子に。この際邪魔な兄上も排除したいが…まぁ、追々考えるか」
話しの内容から察するに、二人は身内のようだ。
室内は二人だけとは言え、物騒な会話を堂々としているが、第二王子殿下は気にした様子はない。
お祖父さまと呼ばれた神殿長も、平然とした様子で耳を傾けている。
「お褒めに預り恐縮です。一刻も早く魔王討伐に向けて鍛え上げてみせましょう」
澄ました表情で恭しく告げる神殿長に、第二王子殿下がニヤリとする。
「ああ、頼んだぞ。成功するか否かはお前の肩に掛かっているのだからな」
「重々承知しております。お任せください」
その言葉に満足した第二王子殿下は、ああ、と頷き立ち上がると、隠し扉から足早に去って行った。
「ふ。単純な孫で助かる。王妃と第一王子を排除した所で、お前には王としての素質はない。まぁ、傀儡として存分に利用させてもらおう」
隠し扉を見つめたまま、ニヤリと静かに笑みを深めた。
隠し扉の向こうは隣室と繋がっているようだ。
手入れが行き届いた緩く波打つ金色の髪をなびかせ、意思の強さを感じさせる青い瞳は、二人が出て行った扉を一瞥すると、神殿長に視線を移した。
男は乱暴にソファに腰を下ろすと口を開いた。
「アレが勇者と聖女なのか?随分と貧相だな。魔王討伐なんて本当に出来るのか疑わしいな」
開口一番、侮蔑を含んだ声が室内に響く。
「さようでございますな。しかし、三百年前の書物を読んだので間違いはないでしょう。準備が整い次第訓練に移ります。実力はその内分かるでしょう」
「まぁ、そうだな。しっかりと鍛えてある程度戦えるようにしてもらわないと困る。俺の手足となって働いてもらうのだからな」
口の端を上げて笑みを浮かべる顔は、悪意に満ちていた。
乱暴な態度と言葉遣いが、その人物の性格を物語っている。
「はい。殿下。もちろん承知しております。このフリスキーが第二王子殿下であられる貴方様を必ずや王位に就けて差し上げます」
神殿長は胸に手を当て恭しく頭を垂れた。
フリスキーと名乗ったこの男も、第二王子殿下に劣らず悪い顔で微笑む。
「はははっ!さすが、お祖父さまだ。母上もお喜びになるだろう。魔王を討伐した暁にはアレを排除し、聖女を手に入れる。そうすれば母上は正妃に。俺は王太子に。この際邪魔な兄上も排除したいが…まぁ、追々考えるか」
話しの内容から察するに、二人は身内のようだ。
室内は二人だけとは言え、物騒な会話を堂々としているが、第二王子殿下は気にした様子はない。
お祖父さまと呼ばれた神殿長も、平然とした様子で耳を傾けている。
「お褒めに預り恐縮です。一刻も早く魔王討伐に向けて鍛え上げてみせましょう」
澄ました表情で恭しく告げる神殿長に、第二王子殿下がニヤリとする。
「ああ、頼んだぞ。成功するか否かはお前の肩に掛かっているのだからな」
「重々承知しております。お任せください」
その言葉に満足した第二王子殿下は、ああ、と頷き立ち上がると、隠し扉から足早に去って行った。
「ふ。単純な孫で助かる。王妃と第一王子を排除した所で、お前には王としての素質はない。まぁ、傀儡として存分に利用させてもらおう」
隠し扉を見つめたまま、ニヤリと静かに笑みを深めた。
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