【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚

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第62話 衝撃的な告白

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 十日に渡る馬車の旅は特に危険なことはなく、無事リオーレスト王国に辿り着くことが出来た。
 国境を越えた辺りから、獣人の姿を多く見掛けるようになり、私は興奮していた。

「わぁ。可愛い!モフモフだぁ。あの子は何の獣人ですか?」

 馬車の窓にベタッと張り付くように顔を寄せて、興奮気味に質問した。

「ん?ああ。あの子は熊の獣人だね。それより今夜は早目に宿で休んでロードウルフ領に向かう予定だけど、それでいいかな?風呂付きだから体の疲れを癒せるよ」

「お風呂?!お風呂に入れるんですか?」

 風呂という単語に食い気味に反応した。
 今までは桶に沸かしたお湯を貯めて、濡らした布を絞って拭いて済ませるか、生活魔法の一つクリーンで清潔に保つしかなかった。
 魔法は便利だけど、元日本人の私としては湯船にゆっくり浸かりたい。
 お風呂に入れる日が来るなんて、思ってもみなかった。

「ふ。ミリーは風呂が好きなのか?今夜泊まる宿の風呂は疲労回復の効能があるそうだ」

 目を細めてふわりと微笑みながら、ディラン様は話す。
 
「疲労回復ですか?それは楽しみです!」

「それは良かった。ここからだと、後三時間くらいかな。今夜はそこでゆっくりしよう」

「はい!」



 三時間後、宿に着いた私達は広々とした素敵な部屋に通された。
 建物からして宿というよりホテルだ。
 白を基調としており、一つ一つの調度品は洗練されているのに派手さはない。
 隅々まで掃除が行き届いて清潔感がある。

「素敵な部屋ですね。何だか落ち着きます」

「そうか。風呂は一階にあるから今から入るか?それとも夕食後にする?」

「そうですねぇ。夕食後に入りたいです」

「分かった。伝えておこう。飲み物を用意させるから楽にしていてくれ」

 ディラン様は、従者に飲み物の用意を頼むと隣に座った。

「この宿のオーナーの父上は異世界人なんだ。魔法で清潔に保てるが、風呂に入るという習慣がなかった者達には、新鮮で斬新なものに映ったのだろう。」

 そこで一旦話しを止めて私を見た。

「ミリー。平民はおろか貴族でも風呂を知っている者は少ない。君は何処で知った?」

 どこか探るような眼差しに、私は言葉を失う。

「え?……えっと。それは……」

 頭が真っ白になり返答に困っていると、肩を抱き寄せて告げられた。

前世の記憶を持っているんじゃないか?」

?」
 
 彼の言い回しに違和感を覚えた私は聞き返していた。

「ああ。私も前世の記憶を持っているんだ」

 彼の衝撃的な告白に私の頭は真っ白になった。
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