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第1章 ビキニアーマーができるまで
戸惑い
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文化祭当日、タケルの予想に反して、クラスの女子たちはノリノリだった。
女子たちのメイド服姿を真近で見ようと、それまで乗り気じゃなかった男子たちも、自ら進んで手伝いにきていた。
裏方に回るはずだった雪見の仕事も当然無くなり、タケルが雪見のために作ったメイド服も、他の女子生徒に取られてしまった。
「まったく何なんだよ! 前日までの面倒な準備は全部僕らにやらせといてさ。当日の良いとこどりするのがクラスメイトのすることかよ。ちくしょう! グムォッ!」
行き場を失い、一緒にベランダに出ている雪見の隣で、タケルは焼きそばを食べながら叫び、そしてむせた。
「小須藤くん、行儀が悪い」
雪見は教室に戻って備品箱から紙コップを二つ取り出し、冷水をそこに注いだ。暗幕で仕切られたスペースには机が積み重なり荷物でいっぱいだったが、表舞台よりこっちの方が落ち着くと雪見は思っていた。
ベランダに出て戸をしめると、教室の声は遮断されて静かになる。雪見は水の入った紙コップを一つ、タケルに手渡した。
「ありがとう。メイド喫茶の方は繁盛してた?」
「うん。凄く賑やかだったよ」
「そっかぁ。笠原さんのメイド服姿、やっぱり見たかったよなぁ」
「私は昨日の夜に試着させてもらってるから、それで満足してるよ。小須藤くんには本当に感謝してる」
「違うんだよ。僕はクラスの女子たちに知らしめてやりたかったんだ。お前らなんかより、笠原さんのメイド服姿の方が可愛いし、似合ってるんだぞってのを。まったく、あいつらときたらさ──」
タケルの熱弁は続いた。コスプレのことになると、タケルは止まらなくなる。
「──だから、笠原さんはもっと前へ出て良いと思うんだよ。お世辞や冗談抜きで、笠原さんは可愛いんだから」
「ありがと……」
雪見は自分の身内以外から、こんなに可愛いと言われたことは無かった。むしろ、見た目や名前でからかわれることの方が多かったのである。
それ故、タケルの褒め言葉を、素直に受け入れることができずにいた。
女子たちのメイド服姿を真近で見ようと、それまで乗り気じゃなかった男子たちも、自ら進んで手伝いにきていた。
裏方に回るはずだった雪見の仕事も当然無くなり、タケルが雪見のために作ったメイド服も、他の女子生徒に取られてしまった。
「まったく何なんだよ! 前日までの面倒な準備は全部僕らにやらせといてさ。当日の良いとこどりするのがクラスメイトのすることかよ。ちくしょう! グムォッ!」
行き場を失い、一緒にベランダに出ている雪見の隣で、タケルは焼きそばを食べながら叫び、そしてむせた。
「小須藤くん、行儀が悪い」
雪見は教室に戻って備品箱から紙コップを二つ取り出し、冷水をそこに注いだ。暗幕で仕切られたスペースには机が積み重なり荷物でいっぱいだったが、表舞台よりこっちの方が落ち着くと雪見は思っていた。
ベランダに出て戸をしめると、教室の声は遮断されて静かになる。雪見は水の入った紙コップを一つ、タケルに手渡した。
「ありがとう。メイド喫茶の方は繁盛してた?」
「うん。凄く賑やかだったよ」
「そっかぁ。笠原さんのメイド服姿、やっぱり見たかったよなぁ」
「私は昨日の夜に試着させてもらってるから、それで満足してるよ。小須藤くんには本当に感謝してる」
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「──だから、笠原さんはもっと前へ出て良いと思うんだよ。お世辞や冗談抜きで、笠原さんは可愛いんだから」
「ありがと……」
雪見は自分の身内以外から、こんなに可愛いと言われたことは無かった。むしろ、見た目や名前でからかわれることの方が多かったのである。
それ故、タケルの褒め言葉を、素直に受け入れることができずにいた。
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