黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレが超科学のチート人工知能の超美女とともに文芸復興を目指す物語。

あっちゅまん

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目指せ!Sランク!

第113話 目指せ!Sランク!『闇夜の襲撃者』

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 闇夜の中、影が動いている。

 ジャガーの男オセロトルだ。

 いったいこの夜中に何をしているのだろう……?



 オレは空中から、オセロトルが彼の部屋で羽飾りのついた黒曜石の刃を挟んだ木剣をその手に携えているのを見た。

 廊下や玄関から同じくジャガーの姿をした戦士の集団が多数集まって来ているのも見える。

 オセロトルは彼らジャガーの戦士団になにかの指示を与え、彼自身はオレたちが寝ている部屋に足を向けてくるのだった……。



 視点がどうも空中から立体映像でも見ているような……。

 ああ……。夢かな?

 そういえば、何かの映像記録でも見ているようだな。



 ……スター……。…………マスター……。マスター!

 どこからか声が聞こえるような気がする……。

 ……ハッ!?



 (マスター! お目覚めでしょうか?)

 (うおっ!? どうした?)

 (マスター。ご判断を頂きたく起こさせていただきました。お休みのところ申し訳ありません。)



 (ああ、いいよ。どうしたんだい?)

 (はい。オセロトルがこちらに近づいてきております。いかが致しましょう?)

 (ええ……? さっきの夢じゃなかったのか……。)

 (マスターも視ておられたのですね? それはおそらくワタクシと同期している超ナノテクマシンの映像でしょう。)


 (ふむ。それで、オセロトルさんは敵意があるってことかな?)

 (それは現在のところ情報不足でございます……。ですが、この『テオティワカン砦』全体に危機が訪れていると推測されます。)



 そうか……。まあ、でもオセロトルさんもオレたちを襲うのならば、あのジャガーの戦士団を引き連れて全員で襲ってきてもいいんだよな。

 まだ明確に敵意があるとは思えない……。


 (アイ! ここは様子見だ。オセロトルさんの出方を窺(うかが)うとしよう!)

 (イエス! マスター! イシカとホノリにもすでに警戒モードで待機させております。オセロトルの動き次第では、攻撃をお許しください。)

 (わかった。だけど明確に敵対行動を起こす前にこちらからは絶対動いちゃダメだからね?)

 (イエス! マスター!)



 暗い闇の中、静かにオレたちは待機している。

 その夜の廊下を、今、オセロトルさんが武器を構え、一人静かにオレたちの部屋に近づいてきているのだ……。


 さっきアイに起こされた時、思わず声を出しそうになったけど、思念通信モードで良かったぁ……。

 もしかして、オセロトルさんが敵だったなら、あそこで襲撃されていてもおかしくなかった。

 アイやイシカ、ホノリの超科学力による防衛には信頼はしているけど、あのエメラルドゴブリンバチの例もある。

 オレたちの知らない未知の魔法を使われたら、防御しきれないかもしれないんだ。油断は禁物、過信はしてはいけないだろう……。



 オセロトルさんが、足音も立てずにオレたちの部屋の前に着いた。

 そして、扉に手をかける。

 扉がスーッ……と音も立てずに少し開いた。



 ごくり……。

 緊張が走る……。

 空気がピリついた気がする。



 「ジン……。ジン……! 起きるんだ……。緊急事態だ!」

 おっと、オセロトルさんが声をかけてきた。

 「はい? こんな夜中にいったいどうしました?」



 「ああ。我がジャガー戦士団『オセロメー』の物見の者の報告によると、この砦に向かって卯の方角から魔獣の大群が押し寄せてきているとの知らせがあった。」

 「なんだって!?」

 「マスター! それは確かな情報と確認できました。この『テオティワカン砦』の東方から生体反応が数千、近づいてきております!」

 「……それ、早く言ってよ……。アイ。」

 「マスターの周囲において、その遠近の距離の程度によって重要度が低いと判断いたしました。申し訳ありません。」

 まあ……仕方ないか。



 「じゃあ、ヤバいってことだね? オセロトルさん?」

 「そうだな。すでにこの砦は戦時体制に入っている。指揮官アトゥラトゥル・ミクトランテクートリ様がご判断くだされたのだ。」

 「アトゥラトゥル・ミクトランテクートリ様? この砦の長官って、闇の妖精魔術師・ケツァツルパパロトル様じゃあなかったんですか?」

 「うむ。それはこの砦の政務的な長官っていうところだな。軍事的な指揮官は『投槍フクロウ』ことアトゥラトゥル・ミクトランテクートリ様だよ。」


 なるほどね。そしてその指揮官の情報は戦時にしか明らかにされないってことね。



 「さすがは軍の基地といったところですね。それで、その魔獣の大群の詳細はわかってるんですか?」

 「いや……。まだ詳細は不明だ。魔獣の種類もその数もな。だが……スタンピードの恐れがある。」

 「スタンピード!? それはまた……。」


 (マスター。スタンピードとは家畜などの集団暴走や人間の群集事故を意味し、この場合、魔獣の大群の暴走という災害のことを指すようです。)

 (さすがはアイ先生。かゆいところに手が届く解説をありがとう。)

 (いえ。マスターはすでに知っておられたようですね。)



 まあね。スタンピードって言えば、ファンタジーもので定番だしな。

 それにあの国民的某アニメの映画タイトルでもあったもんな。

 知らないわけがない。



 「じゃあ、オセロトルさん! オレたちも戦いますよ!」

 「ああ。嫌だと言っても、戦ってもらうつもりで呼びに来たんだ! 頼むぞ。」

 「じゃあ、東……えっと、卯の方角でしたね。すぐに向かいましょう!」



 「イシカ! ホノリ! 準備はいいな?」

 「ジン様! 了解であるゾ!」

 「ジン様! ラジャーなのだ!」


 ……あれ? サルワタリさん?

 サルワタリはまだいびきをかいて寝ていた……。

 おい! これだけ近くで会話が行われているというのに、寝過ぎじゃあないか?



 「イシカ! ホノリ! 起こしてる時間がもったいない。サルワタリを運んでくれ!」

 「わかったであるゾ!」

 「はーいなのだ!」


 (マスター! ムカデ爺やを参加させましょう! ワタクシが声をかけておきます。オセロトルに説明をお願いします。)

 (そうだな。頼む。)



 「オセロトルさん! オレの従魔も参加させていいか?」

 「ほお……? 従魔か。いいぞ。なんの従魔だ? オークか、ガルーダモンクか……。あるいはマンダリルあたりか?」

 「いえ。オオムカデです。」

 「なんだと!? オオムカデだって!? 冗談だろ? それが本当なら慮外千万(りょがいせんばん)! 龍の寝起きのようだぞ!?」



 言ってる意味はよくわからないが、とりあえず、ムカデ爺やを敵と思わないでいてくれたらそれでいい。


 「まあよい。じゃあ、その従魔も東門へ呼び寄せてくれ。」

 「わかりました!」


 ……ってそこは東門なのか。卯の門とかじゃあないんだ。

 どちらも使うらしいな。ややこしいわ!



 (アイ。ムカデ爺やには東門へ集合するよう伝えてくれ! オレたちはオセロトルさんと一緒に向かおう!)

 (イエス! マスター!)



 こうしてオレたちがジャガー戦士団『オセロメー』のみなさんと合流し、『月のピラミッド』の前の広間を通り、東門へ向かった。

 すると、デッドマンズロードに驚くべき光景が……!



 なんと……!

 無数の死者の大群が、大通りをひしめき合うかのように行進してきていたのだ!

 まさか! すでに死者、ゾンビたちに砦の中を占拠されたのか!?



 夜の闇に、そのおぞるべき不死者の軍団が、広間にいるオレたちの方へ向かってくる。

 そのホラー映画さながらの光景に、オレは言葉を失ってしまったのだったー。



~続く~


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