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吸血鬼殲滅戦・波
第167話 吸血鬼殲滅戦・波『Sランク昇格の報せ』
しおりを挟む※『メメント森』周辺・各軍進軍経路略図
ククルカンさんが今回の対『不死国』包囲網の作戦の一部を教えてくれた。
ノヴァステカ種族から、5つの軍隊がそれぞれ北上しながら敵を討つ。
ネオマヤ種族は南方の『樹上都市トゥラン』から英雄フン・アプフーの大隊と、奸雄ア・プチの大隊が援軍で派兵されてくるという。
ア・プチの軍は単独でケルラウグ川を越えて戦線に向かうが、フン・アプフーの軍はこの『チチェン・イッツァ』の街の軍と合流する模様だ。
さらには後続で『黄金都市』や南方の『マチュピチュ』からも援軍が派兵されてくる。
そして、この『チチェン・イッツァ』は、当面は『ジュラシック・シティ』及び『人ごろし城』の敵を抑えなければいけない。
フン・アプフーの軍や、後続の援軍の到着を待ち、迎撃に向かうのだ。
今ひとときは防衛と、ヤツラを『ジュラシック・シティ』及び『人ごろし城』付近へ足止めが使命ということだ。
よって、物見の兵が敵の動きを監視するとともに、オレたちも南方の防衛任務に駆り出されることになった。
とりあえずは、情報屋『ヤプー』のサルガタナスさんの家『マヤハウス』に集まった。
集まったのは、ヘルシングさん、ジョナサンさん、ミナさんの『ヴァンパイア・ハンターズ』。
オレたち『ルネサンス』、本体で合流したアイとコタンコロ、それにイシカ、ホノリ。
それとサルガタナスさん、サルガタナスさんの侍従のレラージュさん、料理人のモラクスさん。
それに、ククルカンさんの配下であるリザードマンのクェツパリン兵長さんが、連携役としてオレたちに同行してくれることになった。
「マスター。まずは敵の情報を掴み、敵軍の全貌を明らかにするべきかと存じます。」
「そうだな。アイ。情報の欠如のおかげで痛い目を見たばかりだからな。それで、何かいい手があるか?」
「イエス。マスター。調査ドローンを多数、多方面に飛ばし、この戦場のすべてを立体視可能にすべきと判断いたします。」
「なるほどな。それができれば言うことはない……が、時間はどれくらいかかるんだ?」
「およそ半日と推定いたします。」
「半日か……。わかった。可能な限りでも範囲索敵ができればこちらに有利に働くことは間違いないだろう。やってくれ。」
「承知致しました。」
アイが先日の失策を考慮し、すぐに対応策を打ち出してきた。
さすがは超人工頭脳だな。
「ジン殿。オレの『ヴァンパイア・ハンターズ』もここに来る前に集合をかけておいた。おそらくは今日にでも集合できるだろう。」
「おお! それはいい知らせですね。」
「ああ。オレたち『ヴァンパイア・ハンターズ』は互いに監視魔法『蟲のこゑ』をかけ合っているから、居場所は手にとるように分かるんだ。それに伝令の上級呪文『聞け聞けひばり』を重ねがけすれば、いつでもどこでも声を届けられる。まあ、仲間内にしか使えないけどな。」
「へえ!? それはすごいですね。どんなに遠隔地でも連絡できるのですか?」
「そうだ。だが、居場所が特定できなければ無理だけどな。」
「なるほど。それで、離れ離れになる際は事前に監視魔法をかけ合ってるんですね。」
「その通りだ。」
「しかし、ジン殿もアイ殿たちと連絡を取り合ってたじゃあないか? 同じ手段を使ってたんじゃあないのかい?」
「あ……。あはは。まあ似たようなものですね。」
「目下のところ、うちのヒルコが『ウシュマル』の街へ偵察に出かけております。」
「ジン殿が我が主ククルカン様の前でおっしゃってた者のことですね?」
リザードマンのクェツパリン兵長が発言する。
「ええ。そうなんです。ですので、警戒は必要ですが、『ウシュマル』に対してはそのヒルコの報告を待ってから対処するべきと思います。」
これにはみなが同意する。
そういえば、ジロキチとサルワタリは『爆裂コショウ』採集クエストの報告を無事済ませることが出来たのだろうか?
『フライング・ダッチマン号』で『東方都市キトル』に帰還したはず……。
(マスター。ギルドへのクエスト達成報告は滞りなく完了致しております。)
(おお! そうか! これでアマイモンさんへの義理立ては済ませられたかな?)
(イエス。マスター。そのことでまたアマイモンより正式にマスターにSランク昇格の通達があると推測いたします。)
(あー!? そういえばそういう話だったっけ?)
(ふふ……。マスターは欲がない御方ですわね。出世……というものでございますよ。)
(いやぁ……。そうは言ってもね。オレって社会人経験がないからなぁ……。)
「あ! みなさまにもご報告しておきましょう。実はワタクシのマスターであらせられるジン様が、このたびSランク昇格の資格を得ましたのですわ! ソレに伴い我が『ルネサンス』もSランクパーティーとなりましたことご報告させていただきますわ!」
アイがここで思念通信ではなく、みなにそのことを発表したのだ。
「おお!? それは異例のスピードでの昇格だな。いや、さすがはジン殿である。」
「ジンさん。すげぇな。……ということは、世界で24番目のSランク冒険者パーティーの誕生だな。いやはや、おめでとう!」
「すごいですわ! ジンさん! あたし達『ヴァンパイア・ハンターズ』と同じSランクですわね。今後ともよろしくお願いしますね?」
ヘルシングさんたちも祝福してくれる。
「さすがは我がご主人様である。当然のこと。」
「ジン様! Sランクは美味しいのであるか!?」
「ジン様! Sランクは楽しいヤツなのか!?」
コタンコロは理解しているようだが、イシカもホノリもこれ絶対わかってねぇな……。
「あらぁ……。ジンさん。Sランク昇格とは、さすがでございますね。おめでとうございます。」
「すごいお人でしたのね。ジンさん。おめでとうございます。」
「ほーい。そりゃあすごいだす。おめでとうだすな。」
サルガタナスさん、レラージュさん、モラクスさんも感心している。
「Sランク昇格! そいつはすごいな。となると、どこの国が後見役の国家になるんです?」
クェツパリン兵長さんがふと質問をしてきた。
「え? 後見役の国って?」
「ほお? 後見役の国を知らないのか? それともまだ決まってないとか……。いや、そんなことはあるまい……。」
ヘルシングさんも後見役の国というのを知っているようだ。
「ジンさん。後見役の国家、つまり後見国家っていうのは冒険者の後ろ盾となる国のことです。僕たち『ヴァンパイア・ハンターズ』は『ヴァナランド国』が後見国なんだ。『ヴァン国』が保護してくれることで、どこの国に対しても対等に接見できるんだ。」
「そうね。もちろん後見国に対して義務も負うけど、権利とメリットのほうが大きいわね。」
「なるほど……。アイ。何か聞いてるかい?」
「イエス。マスター。アマイモンの話では、主たる後見役を『龍国』、『海王国』『法国』の2カ国が準後見役とすると決まったそうです。」
「へぇ。じゃあ、『龍国』が後見国ってことね。じゃあ、近々、挨拶にでも行かないといけないのかな……?」
「ほぉ!? 準後見国までつくというのか……! それも『海王国』と『法国』という大国が……。」
「準後見国がつくのは珍しいのですか?」
「そりゃあな。他にはかのSSランク冒険者リュツィフェール・”ルーシー”・ヴィーナスの『モーニング・スター』以外は聞いたことがないぞ。」
うわぁ……。
これって、またオレ変なことに巻き込まれてる予感しかないんですけどぉ!!
~続く~
©「蟲のこゑ」(曲/文部省 詞/文部省)
©「聞け聞けひばり」(曲:シューベルト/詩: シュレーゲル,アウグスト・ヴィルヘルム)
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