黙示録戦争後に残された世界でたった一人冷凍睡眠から蘇ったオレが超科学のチート人工知能の超美女とともに文芸復興を目指す物語。

あっちゅまん

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吸血鬼殲滅戦・怒

第201話 吸血鬼殲滅戦・怒『いっときの休息』

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 自宅である『霧越楼閣』、オレは医療ルームを出る。

 部屋の外には、医療用ロボットメイドのメンテ・ナースと医療用バイオロイドのドクドク・ドクターが立っていた。


 「ジンサマ。オゲンキニナラレテ、ナニヨリデス。」

 「ジン様。お目覚めになられましたな。何よりでございます。」

 「ああ。ふたりとも。ありがとうな。ずっと診ていてくれたのか?」

 「はい。もちろんです。」

 「ご苦労だったな。休んでていいぞ?」

 「はい! ありがたきお言葉。」

 「ハイ。リョウカイイタシマシタ。」


 そして、2階にあるコントロールルームへ向かった。

 まるで正月朝の元旦にパンツを履き替えた爽やかな気分で……いや、すべてを言うまでもない。

 とにかく、スッキリした気分で、部屋に向かったんだ。



 「あ! ジン様! お目覚めですかい? ……っと、アイ様もご機嫌麗しゅう……! へへへ。」

 コントロールルームの部屋の隅にいたのはデモ子だった。


 「あれ? アイ!? いつのまに後ろに!? 起こさないようにしたのに!」

 「マスター! お忘れですか? この身体は常にホストコンピューターと同期しています。マスターがお目覚めになれば自動で目覚めますからね?」

 「あ。そうだった! でも……、そのネグリジェのような薄着のままっていうのは……ちょっと、目の得……、いや目の毒だからさ? 着替えて来なよ?」

 「イエス! マスター! では少し席を外しますね。デモ子! マスターに粗相の無いようにね!?」

 「あいあい! わかってまっさー!」



 アイが部屋の外に出た後、デモ子が薄気味悪くニタニタと笑ってこちらを見ている。


 「なんだよ?」

 「あ、いえいえ。……そういえば! ジン様ってアイ様もあたしも犠牲にしようとされなかったですよね? いったい、どうしてそんなふうに優しいのですか? あたしのいた異世界や、今のこの残された『ロスト・ワールド』では、情けは無用、油断したら殺られる世界ですよ?」

 「ふむ。改めて聞かれるとなぁ……。なんとも言えないが、オレのいた世界では当たり前だったんだよ。人の命はみな平等、人は生まれながらにして生きる権利を持っている……とね。」

 「そうなんですか!? そいつはえらく平和な世界だったんですねぇ……。」

 「いや。そんなこともなかったよ。戦争だってあったし、世界は不平等でもあった。……だけど、基本的にはみんな平和を望んでいたと思うし、他人には優しくありたいと願っていたと思うんだ。そして、オレもそんな平凡な考えを持った一人だったってわけだよ。」

 「ああ! あたしはジン様に一生ついていきます! もちろんアイ様に服従しているというからだけではありません! 今、心底! ジン様に感服しましたのですぜ!」

 「お……、おぉ……。」



 デモ子……。その見た目は気持ち悪いけど、なんだか憎めないやつだな。

 アイもこういうところが気にいったのかなぁ。


 すると、部屋の扉が開いて、ズッキーニャが入ってきた。

 「ジン兄さぁああーーーん!!」

 「おお!? ズッキーニャ! 元気にしてたかい?」

 「もぉ! お帰りになるなら、知らせてくださぁい!!」

 「ああ、ごめんごめん。急に帰ってくることになったんだよ。」



 「ちゃぁんと、勉強してるかい?」

 「うん! もちろん! モルジアーナ先生がいろいろ教えてくれるんだよ!? あのね? わたし……、『魔法』使えるようになったよ!?」

 「おお! それはすごい! やっぱりズッキーニャも妖精さんなんだね。オレには『魔法』は使えないからなぁ……。」

 「ええ!? そうなの? でも……、ジン様はもっとすごいことができるのよ! そっちのほうがすごいもん!」

 「ははは! ありがと!」

 ズッキーニャの後ろにいる亡霊のサタン・レイスも嬉しそうに微笑んでいるが、それが見えているのはオレとアイ、デモ子だけのようだ。



 そんなふうにズッキーニャと話しているところ、部屋に入ってきた者たちがいた。


 「ああ!? ジン……、さんじゃないの!? アイさんも!」

 「ホントだ! ジン様! お久しぶりです! アイ様! ご無沙汰してます!」

 妖精種族の王女・ベッキーとその仲間のパックだ。



 「これはこれは。お久しぶりですね。パックさんにベッキーさん。」

 「お……、おぉ! そっか。そういえば、ウチにいそうろうしてるんだったっけ? ベッキーとパック……。元気してた?」

 「ま、まぁね! そういえばさ、あんた! 今までどこ行ってたの?」

 「ああ。クエストでさ、『チチェン・イッツァ』の街まで行ってたんだ。」

 「へぇ……。そういえば、パパからメッセージが来てたわ。なんだか戦争になるみたいよ? あなたも気をつけなさいよ!?」

 「お……おぉ……。つか、その子、誰?」



 オレはベッキーとパックの後ろに隠れるようにしている妖精種族のものを見つけた。

 「あ……! ぼ……、僕は、ジム・キャノンと言います。パックに助けられて、今は一緒にいます。」

 「ああ!? 君がジムかい? 聞いているよ。ゆっくりして行ってね?」

 「ジン様! ヒルコ様がおいらを助けてくれたんです! ジン様のご命令と聞きました! ありがとうございました!」

 パックもすかさずお礼を言ってきた。



 「いや……。それはベッキーに頼まれたからだよ。礼ならベッキーに言ってね。 なあ? ベッキー?」

 「そそそ……。そうだったっけ……? まあ、もう忘れたかしら?」

 「ええ!? いやいや! ほら! あんなに真剣な表情で……、それに泣いていたじゃあないか?」

 「じじじ……! ジン!? ちょっと! こっち来てちょうだい!」

 「え? どうした?」



 ベッキーが顔を真赤にして、オレの手を掴んで、部屋の隅に連れて行く。

 「いいかしら? パックを救うようにたしかに頼んだけど……。そんなに強調しなくていいのよ?」

 「どうしてだよ? あんなに心配してたじゃあないか?」


 (マスター! ベッキーはパックのことが好きなので照れているのでしょう。)

 (あ……!? なるほどぉ……。そういうことか? そっかそっかぁ!)



 「ですから……。そこにはもう触れなくっていいのよ? わかった? ジン?」

 「はいはい。そういうことね? わかったよ。ベッキー! 頑張れよ!?」

 オレはベッキーに向かって、グッドポーズをした。


 「なんのしぐさかしら? 全然わからないけど、まあ、わかってくれたようね……。」

 ベッキーはポーズの意味はわからなかったようだが、安心したようだ。



 「ジン様! ベッキーお嬢様をお世話していただき、感謝いたします!」

 「ジン様。本当にいろいろお世話になっています!」

 そう言って、ベッキーの後ろに控えていた二人、黒騎士エレオーレス・デュラハンと湖の婦人マダム・レイク・ヴィヴィアンが挨拶してきた。

 かと、思ったら、その爺やのほうの首が地面に、ポトリ! ……って落ちたんだ!


 ポトリ……



 「うおっ!? びっくりしたぁっ!?」

 「おっと……。これまた失礼……。」

 相変わらず、デュラハンのエレオーレスさんの首は落ちやすいらしい……。



 「それで、もうクエストは終わったのかしら?」

 ベッキーがそう質問してきたのだ。



 「ああ。クエストはね……。終わったんだけどな。」

 「あら? まだ何か用があるの?」

 「ああ。そうなんだ。やり残したことがあるからね? またすぐに戻らないといけない。」

 「ええ? ジン兄ちゃん! また出かけちゃうの!?」

 「うん。ごめんね? ズッキーニャ。オレにはまだしなければいけないことがあるんだよ?」



 オレは思った。

 吸血鬼種族にも、もちろん言い分があるのかもしれない。

 オレの元いた世界でも、相手にも相手の理由や都合があるんだってことは十分知っている……。


 だが……!









 他人を平気で殺そうとするヤツラは……。

 その反対に『自分たちが殺される』ということも、受け入れなければいけない。

 自分勝手に生きるものは、その報いが来たとしても……。

 甘んじて受けなければいけない。



 オレの大事な仲間や、アイを犠牲にしてくれたんだ……。


 しかるべき報いを喰らわせてやる!




 オレはそう思う……。



~続く~


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