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第1日目
第7話 到着1日目・夕食の時間
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ボォーン!
ボォーン!
ボォーン!
ボォーン!
ボォーン!
ボォーン!
鐘が6つ……。
夕方6時だ。1階のホールの大時計の鐘が鳴り響いた。
私はコンジ先生を探す。
奥のほうにコンジ先生が本を大量に積み重ねた中に埋もれて眠っているように目を閉じていた。
眠っていたのでしょうか……。
「コンジ先生! 夕食の時間ですよ。早く行かないと食べそびれてしまいますよ?」
私はコンジ先生に声をかけた。
「ん……? ジョシュア。夕食の時間なんていつ把握していたんだね?」
「ああ。それはですね。最初に来た時に部屋に案内してもらいましたよね。その時、すぐ確認しましたよ。」
「さすがは君だな。そういうところは抜け目がない。」
「はいはい。褒め言葉でしょうかね、それ……。まあ、いいですけど。早く行きましょう……ってその本、片付けて行かないと怒られちゃいますかねぇ。」
「ふん。君。このまま、こっちの棚にそっくり入れておけばいい。順番に読んだからな。」
「ええ!? 棚から全部出してもう読んじゃったんですか?」
「速読……というものがあるだろう? それくらい誰でもできるだろ……。」
「私にはできませんけどね。」
「まあ。君は推して知るべし……だな。ほら? それより早く片付けてくれ。」
「はぁ……。ご自身で片付けるってことできないのかしら?」
私は渋々片付けだしたけれど、たしかに順番に棚に収めて行けばいいだけだったから、5分も経たないうちに片付いた。
「じゃあ、行きましょうか。コンジ先生。」
「ん……? ああ。やっと終わったか。僕はもうお腹が空いてたまらないよ。」
「私もです。早く2階のダイニングルームに向かいましょう。」
****
2階のダイニングルームの扉を開けると、ほとんどの人がすでに席についていた。
私は慌てて、シープさんに席の位置を聞いて座った。
コンジ先生はまったく慌てる素振りは見せず、ゆっくり堂々と、某日本の漫才師のピンクの服を着た芸人さんのように歩いていって着席した。
私はその間、隣のアイティさんや、ジニアスさんに遅れたことを侘びていましたけど……。
「遅れて申し訳ないです……。」
「いやいや。ぜんぜん構わないですよ。まだオードブルも運ばれてきていませんからね。」
と、優しくフォローしてくれたのはジニアスさんで……。
「ふん! 君ね。時間を守ることはビジネスにおいて最低限のマナーなんだよ! 常識! わかる?」
と、非難して来たのはアイティさんでした……。
さらに私は頭を下げて謝っておきましたよ? もちろん。
コンジ先生はどこ吹く風って顔をしてましたけど。
しかし、私たちが最後ではなかった。
その後、少しして、立派な服装で豪華絢爛な身なりをした初老の男性がお見えになられました。
主治医らしき男の人の付添いで一緒に入ってきたかと思うと、すぐに秘書のシープさんの名を呼び始めました。
「シープ! おい! シープはおらんのか!?」
「パパデス様。シープさんは奥方様のところでしょう。もうすぐ来られるかと思いますが……。」
と、そう言って前に進み出たのは管理人のカンさんだった。
パパデスさん……っていうことは、このこの『或雪山山荘』の主人、パパデス・シンデレイラさんその人でしょう。
「何だ? まだママハッハのやつ、来てないのか……。お客様を待たせおってからに……。」
ああ……。ご自身もお客様を待たせていたのに……。出た! 我が事を棚に上げる人! いるんですよねぇ。
「あら? あなた。ワタクシへの文句でしょうか!?」
そう言いながら、そのすぐ後ろからド派手な衣装で髪の毛がすごく高く盛られていらっしゃる化粧たっぷりの女性が入ってきた。
髪の色は金髪で、容姿は整っていて、昔はとても美人だったんだろうなと思わせる……あ、これは失礼に当たるかな。
こほん……。今も美人の女性で、年齢はそう……40代後半、あるいは50代であろうか。
その後ろにはシープさんの姿が見えるから、この女性がこの館の奥方であるママハッハ・シンデレイラさんでしょう。
「ああ。いや。君が来なけりゃ……。ほら。主役がいなければ話にならないだろう? だから心配してたんだよ。」
パパデスさんが慌てて釈明をする。
そう言ってから、彼は席についた。
「これはこれは。パパデス様。ご機嫌麗しく。」
さっそくアイティさんが挨拶をしている。
アイティさんの会社はシンデレイラ家の出資で運営されているという。
大株主にはそれは頭は上がらないか……。
その間に、遅れて入ってきた奥方もシープさんが誘導して席に着いた。
カンさんと料理人のメッシュさんが入れ替わりでみなの料理を運んでくる。
シープさんはその間に、みなのワインを注いでいる。
「ジョシバーナ様。こちらは『世界最高峰の白ワイン』とも言われるブルゴーニュの生産者『ドメーヌーヴォー・ルフ・レーヴン公』の傑作白ワイン『モンラッチョ』です。」
そう言ってシープさんが注ぐワインはまるで宝石のように輝いて見えた。
「ふむ。これがあの『モンラッチョ』か。レーヴン家は1580年から続く老舗ワイナリーで、1990年頃『故アンネ・クローディア女史』が当主となった際に『ビオディナミ農法』が導入されたのだったな。『モンラッチョ』の他、ビアンヴィニュ・バタール・モンラッチョ、バタール・モンラッチョ、シュヴァリエ・モンラッチョなどのグラン・クリュ(特級畑)を昔から所有していたねぇ。たしか、2006年には『世界の白ワイン10大生産者』の中で堂々1位に輝き、今や『入手困難』なワインのひとつとなっていると聞くが……。
さすがはシンデレイラ家というわけか。こんなふうに『モンラッチョ』が当然のように出てくるのだからな。」
うわぁ……。コンジ先生のうんちくがすごい……。さすがはコンジ先生ですね。
「さすがはキノノウ様。ワインにも造詣が深いですね。」
シープさんが表情をいっさい崩さずにコンジ先生に返事を返す。
ところで、この晩餐の席だけど、以下のような席順となっています。
【ダイニングルーム・長テーブルの位置関係】
② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧
①
⑨ ⑩ ⑪ ⑫ ⑬ ⑭ ⑮
※端の壁際にシープ、カン、メッシュが立っている。
①パパデス・シンデレイラ
②ママハッハ・シンデレイラ
③アネノ・シンデレイラ
④ジジョーノ・シンデレイラ
⑤スエノ・シンデレイラ
⑥ジニアス・サッカセンシュア
⑦コンジ・キノノウ
⑧ジョシュア・ジョシバーナ
⑨シュジイ・ドクタ
⑩エラリーン・クイーン
⑪イーロウ・オートコ
⑫アイティ・キギョーカ
⑬ジェニー・ガーター
⑭ビジュー・ツーショウ
⑮アレクサンダー・アンダルシア
驚いたのはいつの間にかアレクサンダー神父が席についていたことだった。
ママハッハさんとシープさんが入ってきた時に、違う扉から静かに入ってきて着席したようだ。
手品師が右の手に観客の注意をひきつけている間に、左の手でタネを仕込むように、まったく気づかなかったなぁ。
ん? なんとなく部屋の空気が変わった気がする。
みんなの視線が一点に集まったからだ。
その視線の先にはママハッハさんがおり、彼女がグラスを持って立ったから注目したのだとわかる。
「みなさん! ようこそ! この『或雪山雪山』へお越しくださいました。中には遠路はるばる来ていただいた方もいらっしゃいます。感謝申し上げますわ!
それでは、こうして楽しい晩餐を開催できることに……。乾杯!!」
ママハッハさんの挨拶があり、乾杯の挨拶がされたことで、ようやく楽しい食事の時間の始まりということですね。
……しかし、この日の晩餐がみんなが一堂に会した食事の最後となることを、私たちはまだこのときは知らなかったのだった―。
~続く~
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