13 / 62
第1日目
第8話 到着1日目・夕食の時間 その2
しおりを挟むこの日の晩餐の料理はメッシュさんが腕によりをかけて作ったもので、昼食に続いて本当に美味しかったのです。
まず最初に、突き出しのアスパラガスと卵のムースが登場しました。
ふわっふわな2層のムースとトッピングされているクリスピーオニオンが一体化していて、なんとも言えない食感と繊細な味がたまらない。
次に出てきたコースメニューは、野菜のクリームスープでした。
数種類の野菜と生ハムをブレンドして、バルサミコ酢とパルメザンチーズのエスプーマ(泡)で仕上げた上品な優しい味のスープが最高!
さらに、赤鹿のタタキとタルタルがとても素晴らしかったです。
綺麗な食用花で飾られた皿で盛り付けられた赤鹿のタタキを、クランベリーとヘーゼルナッツソースとパースニップのピューレと2種の味わいが楽しめました。
そして、やっぱりフォアグラ!!
フォアグラずきにはたまらないのですが、伝統的な純粋パテから、革新的なムース、テリーヌやスモークのフォアグラなど、とても贅沢な皿がステキ!
脳が……ふる……。愛に愛に……。あ、このあたりでやめておきましょう……。
そしてフィッシュのディッシュは、セントローレンス川のヒラメ料理でした。
レンズ豆や茎野菜をトッピングし、チョリソーとビーツピューレで仕上げてあり、いい味加減で調理された魚と、ブレンドされたソースがうまく絡んで色んな味が絶品!!
そして、メインコースは、マドレーヌ島のロースト帆立とポークベリーです!
とても甘みのある地元で採れたロースト帆立と、外はカリッ中はジューシー豚ばら肉。このちょっと変わったコンビネーションが程よくマッチして、色々な風味が口中広がり得した気分になります。
そして、ジョシュアお楽しみのデザートは、パッションフルーツ&ココナッツアイスとピスタチオケーキ!
ココナッツボールを割ると、中からパッションフルーツソースとアイスが流れ出す演出がもう最高でした!
見た目も味も一流の芸術品です! この館に飾ってある名画に負けずとも劣らない。
メッシュさんは超一流の料理人ですね。
デザートまで安定して楽しませてくれました。
もし、食べる機会があれば、ぜひ食べたい! そう思いますね……。本当に。
ところで、乾杯の後、ようやくこの『或雪山山荘』の主人にて大富豪パパデス・シンデレイラさんがみなさんに挨拶をしました。
自分が名乗らなくても、わかってるでしょとでも思ってたのかしらね。
まあ、私とコンジ先生以外の方はすでに面識のある方ばかりでしたから、必要ないと思っていたのかもしれませんが……。
「あー。みなさん。この雪深いところまでご足労いただき感謝の意をお伝えしたい。ええ……。私がこの館『或雪山山荘』の主人、パパデス・シンデレイラです。そして、このたびお集まりいただいたのは、みなさんにある方をご紹介したい。そういった趣旨もありましてね。……そちらにお座りのなんとも涼やかなハンサムな紳士が、なんと!」
ここで、いったん、息を切るパパデスさん。
そのパパデスさんが視線を向けた男性というのが、まあ、ご存知コンジ先生なんですけどね。
「あの名探偵『黄金探偵』こと、コンジ・キノノウ先生です! みなさん、大きな拍手で讃えましょう!!」
そして、みなさんが一斉に拍手をする。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!
コンジ先生は、しゅっとその場で立ち、みなさんに堂々と会釈をし、一礼をした。
そして、コンジ先生が、片手を挙げ、その拍手を制すると、みなの拍手が静まる。
「メルシーボークー。サンクス。謝謝。ありがとう。ただいまご紹介に預かりましたコンジ・キノノウです。しがない探偵業をさせていただいている者です。」
ああ……。流暢にフランス語、英語。中国語、日本語で感謝の意を述べ、英語ですらすら自己紹介するコンジ先生。
この立ち居振る舞いと姿は、さすがにカッコいいです。
「そして、この隣の女性は僕の探偵助手、ジョシュア・ジョシバーナです。彼女はこう見えて代々伝わる古武術の師範でもあります。むやみに近寄ると痛い目見ますのでお気をつけくださいね!」
そう言いながらみなさんに向けてウインクをした。
みなさんがぷっと吹き出し、笑い声を上げる。
コンジ先生が若干のユーモアを交えながら、私の紹介もしてくれたので、私もあわてて立って、みなさんにお辞儀をして名乗りました。
「あ! ジョシュア・ジョシバーナです! コンジ先生の助手をしてます。よ……よろしくお願いします!」
私も英語は話せるので、そこは心配ありませんが、急な自己紹介で何もうまい具合に話せませんでした。
「キノノウ先生。わたくしはこのパパデスの妻、ママハッハ・シンデレイラですわ! キノノウ先生の名声は聞き及んでおりますわ。ぜひお話伺わせてくださいね。」
「ええ。マダム。食事の際にでも喜んで。」
その隣のアネノさんがその後、コンジ先生に向けて話しかける。
「さきほどご挨拶はさせていただきましたが、アネノ・シンデレイラですわ。私もまたお話伺いたいわ。」
「もちろん。マドモワゼル。喜んでお聞かせ致しましょう。」
続いて次女のジジョーノさんが挨拶をする。
「キノノウ先生。改めてジジョーノ・シンデレイラですわ。私もさきほどは楽しませて頂きました。」
「ああ。マドモワゼル。喜んで頂けて何よりです。」
そして、そのお隣はさきほど書斎でお話した末娘のスエノさんでした。
が、なかなか言葉が出ない様子で、もじもじしているみたいです。
「スエノ! ほら! みなさまにご挨拶なさい!」
「スエノーー!! 恥かくでしょう? 私たちが……。」
「スエノったら! ほらぁ!」
三人のシンデレイラ家の女性たちが寄ってたかってスエノさんに挨拶をするように勧める。
「ふむ。この黒髪の魅力的な彼女の名はスエノ・シンデレイラ。このシンデレイラ家の末娘で、長女のアネノさん、次女のジジョーノさんとともにミステリー好きな三姉妹だ。そして、内気な彼女はまだ恋もしたことのないお嬢様で、いつも美しいお姉さん二人に遠慮している。だから、いい男はいつもアネノさんとジジョーノさんにとられてしまう……。
だが、この場にはいい男が何人もいるから……。安心したまえ。……なあ? 殿方諸君!?」
と、そう言ってコンジ先生が、アイティさん、イーロウさん、ジニアスさんに目配せをした。
「あ……ああ! もちろんだよ! スエノさん! 私はイーロウ・オートコという。アメリカで俳優をしている。『権利の上に眠る猫』見たことあるだろ?」
「あ、僕はジニアス・サッカセンシュア。スペインのプロリーグでサッカーをやっている。よろしくね。」
「あはは。私はITの会社を経営しているアイティ・キギョーカだ。今後ともお見知りおきを。」
三人の男性が次々と順不同で挨拶をする。
「あ……。スエノ・シンデレイラです。よろしく・・…お願いします。」
声を振り絞るようにしてスエノさんが挨拶を返した。
「スエノはちょっと内気な娘でみなさん、申し訳ない。」
パパデスさんがそう言って、みなさんにとりなす。
うん。コンジ先生。さすがです。こういう機転が利くところは、私、素直に尊敬しちゃうわ。
「では。ワタクシの番ですな。ワタクシはこのシンデレイラ家の主治医をしておりますドクタ・シュジイ(独太・朱字井)です。よろしく。」
パパデスさんが長テーブルのいわゆるお誕生日席に座っていらっしゃるのですが、パパデスさんから見て右斜め前の席の初老の男性が挨拶をした。
おそらく日本人だろうと思われる容姿でしたが、やっぱり日本人のようですね。
こんな大富豪の主治医だなんて、すごいですねぇ。
続いて、シュジイさんの隣のエラリーンさんが立って挨拶を始める。
その隣のイーロウさんがすかさず先に立って、エラリーンさんが立つのをエスコートするのは、さすがだなぁと思わせる。
「わたくしはエラリーン・クイーンですわ。キノノウ様や、みなさまにはご挨拶はさきほどしましたね。よろしくね。」
「あ。エラリーンは数年前、ご主人の公爵を亡くされて、その財産をすべて相続されたんだ。」
イーロウさんの補足が入る。うん。イーロウさん、二重の意味でのスケベゴコロが見え隠れしてますよーー!!
「ジェニー・ガーターだ。スコットランドヤードで警視をしている。よろしくね。」
「ビジュー・ツーショウです。しがない美術商です。いやこの山荘の美術品は、~中略~ ……で、以後、お見知りおきを!」
そして、挨拶は警視のジェニーさん、美術商のビジューさんと続き、最後はアレクサンダーさんということになった。
「神父のアレクサンダー・アンダルシアといいマス! 信仰心のないモノはこの雪山の化け物に殺されるのデス! 神は信心あるものに救いの手を差し伸べマス。感謝して食事をいただきマショウ! アーメン!」
と、勝手に食事を始めてしまいました……。
一同は静まり返ってしまった。
「……はは。アレクサンダー神父はユーモアがお上手だ。……では、みなさまとの素晴らしい出会いに今一度、乾杯!」
パパデスさんがそう言って場をとりなし、再び宴はにぎやかになった。
「乾杯!!」
そして、この乾杯が、みなが一緒に乾杯をした最後でした……。
~続く~
※お料理の参考にさせていただいたお店。
ケベックシティーにあるロマンチックなレストランとして有名な高級レストラン 「Le Saint Amour」。
1978年に開店した老舗レストランで、屋根がガラス張りで多くの観葉植物が天井から吊り下げてあるガーデンルームが人気。
※tripnote(トリップノート)さんのサイト、「カナダでフランス料理?! 最高級のケベックフレンチを堪能!」の記事から。
https://tripnote.jp/canada/quebec-french-restaurant
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』
月神世一
SF
【あらすじ】
「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」
坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。
かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。
背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。
目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。
鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。
しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。
部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。
(……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?)
現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。
すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。
精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。
これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる

