【読者への挑戦状あり!】化け物殺人事件~人狼伝説・狼の哭く夜~

あっちゅまん

文字の大きさ
52 / 62
第7日目

第47話 到着7日目・夕食~夜

しおりを挟む





 この日、メッシュさんの夕食のメニューは素晴らしかったです。

 私としては、これからメッシュさんの料理が食べられなくなるのだろうと思うと、少しさびしく感じるのでしたが、最後かもしれないと思うとなおいっそう美味しく感じるのですねぇ……。


 「夕飯の準備が整いましたですぜ! みなさん、どうぞお召し上がってくださいな!」

 メッシュさんはその仕えてきた主人がいなくなっても、その職務をきっちりこなしてくれる。

 なんていい人なんだろうか!?



 BCロール(ブリティッシュコロンビアロール)が、まずは提供される。

 この料理は、バンクーバーの日本人寿司職人が発案したとされるロール寿司なんです。

 焼き鮭とカリカリの鮭の皮、きゅうり、レタスなどを巻いた寿司の上から甘辛いタレがかかっているものが一般的です。

 日本の寿司とは違いますが、とっても美味しいのでオススメですね!



 そして次に出されたのが、七面鳥の丸焼きです!

 カナダでは、サンクスギビングやクリスマスに七面鳥の丸焼きを、甘酸っぱいクランベリーソースを添えて食べるのが一般的。

 なかなか、日本人にはあまり馴染みのない組み合わせですが、これが意外と合うんです。



 そして、カナダと言えばメープルシロップ。

 カナダではお菓子だけでなく、料理にもメープルシロップを使いますね。

 例をあげると、スペアリブや照り焼きなどのソースに使ったり、チーズに合わせたりなどなど……。

 また、メープルシロップで甘みをつけたメープルサーモンキャンディーはお土産としても人気があります。

 七面鳥にもたっぷりのメープルシロップがかけられていて、とても美味しくいただきました。






 料理に合わせたお酒で、シーザーがまた食欲をそそりましたよ。

 シーザーは、カナダのアルバータ州カルガリー生まれのカクテルです。

 真っ赤な見た目が特徴的で、ウォッカにトマトジュースがミックスされています。

 カナダではシーザーの日があるくらい、カナダ人にとても愛されているカクテルなんですよねぇ。




 夕食を堪能した私たちでしたが、その間、誰とも言わず、事件についてのことは触れませんでした。


 「スエノ! 美味しい料理だね?」

 「そうね。うちのメッシュは本当に腕がいいのよ。ね? メッシュ。」

 「は! お嬢様。そう言って頂けると光栄ですぜ。……それにしてもスエノお嬢様は明るくなられましたなぁ……。こんな凄惨な事件があったというのに……、はっ!?」



 スエノさんがメッシュさんのその言葉を聞いた瞬間に、とても怖い表情をしたのを私は見逃しませんでした。

 メッシュさんもそれに気がついた様子で、黙ってしまいました。


 「メッシュ……。あなたがずっと父に贔屓(ひいき)にされ、私にも優しく接してくれていたのは私も覚えていますよ? だけど……。今、事件のことを思い出させるようなことは、口にすべきではないことはあなたもわかるでしょう? これからは気をつけなさい……。」

 「へい……。申し訳ありません……。」

 「まあまあ。スエノ。メッシュさんも悪気があって言ったわけじゃあないんだから……。」

 「ジニアス……。あなたのその優しさは大変いいところですよ? しかし、こういうことは使用人としてのしつけなのです。わかるでしょう?」

 「……ああ。そうだね。僕もそれはわかるよ……。」



 ここに来て初めて会った時のスエノさんは、おどおどした印象があったのですけど、今はそんなところは一切感じない。

 やはり、これだけの事件にあって、精神が鍛えられたのでしょうか?


 コンジ先生をちらりと視ると、やはり、何か思案をされている様子でした。



 「いやぁ、メッシュさん。さすがに美味しい料理だったですよ。」

 「はい! メッシュさん! 本当に最高でした! ああ……。これでメッシュさんの料理も食べおさめですかねぇ……?」

 「ジョシュアくんは本当に食べることが大好きなんだねぇ?」

 「いえいえ! ジェニー警視。普通ですよぉ!」

 「ジョシュア様にたいそう気にいっていただき、あっしも嬉しゅうございますよ!」





 食事も一段落して、メッシュさんが後片付けを済ませた後、ダイニングルームに私たちはまだ残っていました。

 コンジ先生、私・ジョシュア、ジェニー警視、ジニアスさん、スエノさん、そして、メッシュさん……。

 もうこれだけしか残っていないのですね。



 「ええー……。昨夜も言った通り、そして昼にも確認したと思うが、夜の間は決して部屋から出ないこと! いいか!? 明日は朝が来るまで、絶対に部屋を出てはいけないぞ!? そして、明日、みんなでこの館を生きて出るんだ!」

 ジェニー警視がみんなに声をかける。

 みんな、黙って頷いた。



 こうしてこの日は解散となったのです。


 「コンジ先生……。お気をつけて……。」

 「ジョシュア……。うん……。そうだな……。」


 コンジ先生はこの時、妙に思いつめた顔をしていたのでした。

 何か心配事があるように……。

 この時、私には彼が何を思っていたかは、決してわからなかったのです。


 そして……。

 この『或雪山山荘』に滞在してからの最後の夜がおとずれるのでしたー。







 ◇◇◇◇






 ~人狼サイド視点~


 ふぅ……。ふぅ……。ふぅ……。



 苦しい……。

 血の渇望の時間がやってきたのだ。

 そして、私は思い出す……。

 自身が人狼であることを……。


 いや、この欲望は人間という種に根ざしたものなのだ!

 大罪……、それを犯しているのだろう。

 昼の間、成り済ました人物に記憶も性格も委ねているので、おぼろげながらであるが、明日にはこの館をみな脱出してしまうという……。


 その後は、人を襲わずに人間の社会で生きていけるのか?



 否(いな)っ!! そんなわけはない!

 心の奥底の遺伝子から細胞が命令してくるのだ。

 人間という種を……。




 『喰い殺せ!!』


 ……とね。




 やはり、みな一同に、部屋に閉じこもっているな。

 怯えきっている……。

 ふん!

 なんとか部屋の扉を越えようと考えたが、やはり、銀の物質から生じるあの不協和音が嫌いなのだ。

 どうにかして、おびき出すしかない……。



 人狼は飢えてよだれを垂らしながら、ある部屋の前にやってきた……。


 「……さん? もう朝になりましたよ!」

 そして声をかける。



 部屋の中から、警戒した声が聞こえる。

 「本当に? でも……、あなた一人ですか?」


 小賢しい……。

 警戒しているのか?



 「はい! あっしもおりますぜ! 朝食の準備も整いましたぜ!」

 人ならざる者がさらなる変身を遂げ、声色を変えて話しかける。


 「ああ!? ……もいるのですか? 二人揃っているなら、安心ですね。待ってください。今、開けます!」

 そう言って部屋の中の主は、動き始めた気配がする。



 そして、部屋の中から、何やらワイヤーらしきものを外す音が聞こえる。

 先程まで、怯えきって警戒心をあらわにしていた者と同じとは思えないほど、安心しきった声が聞こえてくる……。


 「ふふふ……。あわれなる子羊よ……。ゆっくりもしていられないが、最後の晩餐になるやもしれないねぇ……?」

 人狼が化けたその男は、不敵なる笑みを浮かべながら、夜明け時間まで迫って来ているこのわずかな間隙の時間に、獲物にありつけることを喜んだのだ。

 そう……。

 決して、自分の正体に気づいている者などいないと完全に油断しきっていたのだ。




 それは、『傲慢(ごうまん)』という『七つの大罪』の一つであろうことは、人狼自身も理解していない、人間の業のなせる純粋なる『欲望』であったのだろう……。

 思い起こせば、最初の殺害は、純粋なる『暴食(ぼうしょく)』だっただけなのです。



 そして、その部屋の扉は開かれたー。




 ~続く~


※参照
今回のカナダ料理参照は、StaywayMediaさんのサイトの【在住者おすすめ】カナダに来たら絶対食べたい!カナダ料理14選という記事より。
https://stayway.jp/tourism/cuisines-canadian14



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」 かつて、私は信じていた。 優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な── そんな普通のお兄ちゃんを。 でも── 中学卒業の春、 帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、 私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった! 家では「戦利品だー!」と絶叫し、 年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、 さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!? ……ちがう。 こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない! たとえ、世界中がオタクを称えたって、 私は、絶対に── お兄ちゃんを“元に戻して”みせる! これは、 ブラコン妹と 中二病オタク姫が、 一人の「兄」をめぐって 全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──! そしていつしか、 誰も予想できなかった 本当の「大好き」のカタチを探す、 壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...