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エピローグ
エピローグ その2
しおりを挟む麓の村にはシンデレイラ家の別館があり、そこでその日の夜は泊まらせていただくことになった。
メッシュさんの料理が食べられる!!
……って早合点した私でしたが、さすがに怪我をしているメッシュさんは調理場に立つことはなかったのです……。
まあ、そうは言ってもさすがはシンデレイラ家ですね。
そこでの料理も一流でしたわ。
まあ、メッシュさんが臨時の料理人たちにあれこれ指示をしていたので、美味しかったのでしょうけどね。
ところで、私たちはそのお屋敷の暖炉のある居間に集まっていました。
私は居合わせてはいませんでしたが、みなさんは恐ろしい惨劇の館から無事に生還してきたのです。
ゆるりとくつろがれていました。
「あのジョシュアくんに化けた人狼は、檻に入れられて、教会本部に送られるそうだ……。」
「ええ。そう聞きました。……まあ、あの後、変化も解けて元の狼の姿に戻ったのでしたね?」
「そうですね。あっしも間近で見てびっくりしましたよ!?」
「本当に怖かったですわ……。ねぇ? ジニアス?」
「あ……、ああ。そうだね……。」
「殺害されたみなさんの遺体も麓のこの村に運び出されたそうですね……。」
「おお……。本当にいたましい事件だったな……。アイティさん、エラリーンさん、イーロウさん、ビジューさん、カンさん、シープさん、シュジイ医師、パパデスさん、ママハッハさん、アネノさん、ジジョーノさん、……そして、アレクサンダー神父。実に12人もの人が殺されたのだ……。」
「ああ。本当に凄惨な事件だった……。」
ここで、コンジ先生がおもむろに立ち上がり、みんなのほうを振り向いたのです。
なんと言っていいか、その仕草はまさにギリシアの彫刻のように美しさを感じさせました。
その奇妙なポーズとともに……。
「みなさんだけには、もう一つの真実を話しておきましょう!」
そう言ってまたコンジ先生がポーズを決める。
バァアアアーーーーーン!!
いちいちカッコつけるのがコンジ先生なんですよねぇ……。
私もコンジ先生からさきほど事件の概要は聞いたのですけど。
それはそれは恐ろしいことでしたのね。
しかし、これから語るコンジ先生の話はもっと驚くことでしょう……。
「キノノウくん!? それはどういうことかね?」
「まだ何かあるっていうんですかい!?」
「ええ。そうです! 人狼の犯した殺人事件の真相はすでにお話したとおりです。……ですが、みなさんだけには、まだ言っておかなければいけないことがあります。」
ゴクリ……
誰かが唾を飲む音がこんなに大きく聞こえるなんて……。
「まずは、ジジョーノさんの死体の件です……。」
「え……? ジジョーノさんの?」
「ジジョーノお嬢様……。たしか、『左翼の塔』側のエレベータールームの天井にそのご遺体が隠されていたんでしたね……。」
ピク……
誰かの身体が異常に振動したのは気のせいでしょうか……?
「そ……、それがどうしたっていうのです?」
スエノさんがコンジ先生に向かって質問を投げた。
「ええ。ジジョーノさんの死体をあのエレベータールームに隠したのは……、人狼ではありません。」
コンジ先生がさらりと言ってのけた。
「 「ええ……!?」 」
一同は驚いた。
「そうです。たしかに殺人は人狼の仕業でした。そして、単独犯行です。ですが、そこに便乗していろいろ小細工を図ったものがいたのです。」
「それは、いったいどうして!?」
「まあ、ある程度、その動機の予測はついています……。ですが、まずはジジョーノさんの件ですが……。ジニアスさん! あなたの仕業でしたね!?」
「なんですって……!?」
「ジニアスくんが!?」
そうして、みんながジニアスさんに視点を集めた。
ジニアスさんは黙って聞いていましたが、立ち上がり私たちの顔を見て、こう言ったのです。
「はい。そのとおりです。キノノウさんの言う通り。ジジョーノさんの死体をあのエレベーターの天井に隠したのは僕です。」
「……ほ、本当かい? ……ジニアスくん。」
「ええ。間違いありません。」
他ならぬジニアスさん本人が認めているのです。
間違いはないでしょう。
「いったい、なぜそんなことをしたのかね?」
「まあ、ジェニー警視。その話は後でしましょう。この死体を隠すという行為は人狼のそれまでの行動と合致しないのです。人狼は単なる欲望のままに殺害を重ね、死体はそのまま放置していました。……そう、アイティさんの時のようにね。」
「たしかに! アイティ様は無残にも大広間にさらされておったな……。」
「次のエラリーンさん、カンさんも隠す素振りはなく、パパデスさん、イーロウさんもそうであったのです……。ジジョーノさんだけ隠すというのは人狼の行動に合わない。」
コンジ先生の言葉に、みなが頷いた。
そして、人狼の仕業でないなら、エレベータールームの天井にまで、手が届くのはコンジ先生かジニアスさんくらいの身長がなければ難しいでしょう……。
「ジニアスさん。誰の差し金だったのですか?」
コンジ先生が問う。
「スエノに頼まれたんだよ。」
「ジニアス!? それは秘密になさるって約束でしょ!?」
「スエノ……。キノノウさんにはすべてバレてるんだよ?」
「……そんなこと……、私は知らないわ!」
スエノさんは認めようとしません。
「まあまあ。スエノさんに頼まれたのは朝ですね? あの日、スエノさんは『右翼の塔』の地下室に閉じ込められていました。扉越しに事件の話を聞いたスエノさんは、ジジョーノさんに嫌疑がかかるように、死体を隠すようにジニアスさんに頼んだのでしょう……。ジニアスさんには何と言って頼んだかは……知りませんけどね。」
「スエノは……。ママハッハさんやアネノさんにこれ以上、心配をかけたくないって言ってジジョーノさんの死体をいっとき隠して、少しでも悲しみを先延ばしにしてあげたいって……言ったんだよ。」
「そ……、その通りよ!? 姉や母にこれ以上不安を与えたくなくって……。そうよ! 私がジニアスに頼んだのよ!」
スエノさんもここまで言われたので、認めたようです。
「そうだったのか……。まあ、しかし、死体隠匿……と言ってもあの非常事態だ……。まあ、罪は不問になるだろうな。」
ジェニー警視が冷静に言う。
「スエノさんはおそらく、早い段階でパパデスさん殺害はスエノさんの部屋から侵入したとわかっていらっしゃいましたね?」
「そんな……!? 買いかぶりですわ……。何もわかりませんでしたよ。」
「いや。あなたは大の本好きで、しかもミステリーの愛好家だ。しかもご自身の部屋を片付けたのもあなた自身だったうえに、他ならぬあなたの部屋から侵入したんだ……、なにか形跡を見つけていたのかもしれないし、窓ガラスの破片のこともある。ミステリー愛好家のあなたなら真実に辿り着いていてもおかしくはない。」
コンジ先生は確信しているようです。
「それはありませんわ。キノノウ様。あなたが気づかなかったものを私があの段階できづいていたはずがないでしょう? 名探偵さん……!」
それは激しい意思を持った女性の鋭い視線で、スエノさんはコンジ先生を見たのでした。
「まあいい。そこはこの際、どうでもいいだろう。」
「なら、もういいです?」
「いや。まだ話は終わってませんよ?」
コンジ先生が不敵な笑みを浮かべながら、みんなを見回したのでした。
「いったいビジューさんの遺体はなぜ遺体安置所に隠されていたというのか!?」
コンジ先生がまたしても、みんなを見渡し、キラリと目を光らせたのでした-。
あの恐ろしい人狼の惨劇の裏で、いったい何が行われていたというのでしょうか……?
コンジ先生の話をただただ、黙って待つばかりでした-。
~続く~
エピローグはもう少し続きます。
※名探偵「黄金探偵」コンジの第二作目にあたる、
『化け物殺人事件 ~フランケンシュタインシュタインの化け物はプロメテウスに火を与えられたのか?~』をエピローグ終了と同時に公開する予定です。
そちらもよろしくお願いします(*´∀`*)b
あっちゅまん
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