過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

165話 募集 2

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 強き者を募集と言う演説から一日経った今、また俺達はトラクの所に来た。

「そんな事が昨日あったんですね」
「そうなの。メガネさんは参加するのー?」
「いえいえ、私は戦闘の方はからっきしなので……」
「そっかー」

 トラクはロピの武器を加工する為に色々と作業をしているが、その横でロピが作業を見ている。

「ロピさん達は参加されるんですか?」
「うーん、お兄さん次第かな。でも参加して成功すれば宝箱貰えて、そのお金で武器の代金払えるんだよねー」

 ロピの言う通り俺達は現在金が無い……

 恥ずかしい事だが事実の為、どうにかしてロピの武器代を稼ぎたいと思い依頼などをこなしてお金を稼いではいるが、武器の代金には程遠いのだ。
 そこで、昨日の宝箱の件である。参加して成功した暁には報酬が払われると言うので、ロピとチルは乗り気である。

 だが、どう見ても何か目的があるんだろうけど、それが見えてこないんだよな……。

「なぁ、トラク」
「はい、なんでしょうか?」

 俺の問いにトラクは一旦手を止めてこちらに向き直してくれる。

「今回の遠征はここら辺でモンスターが集まっている所に行くらしいが知っているか?」
「えぇ。ここに住む人間なら誰でも知っていますね」
「それじゃ、なんでわざわざそんな所に行くか分かるか?」

 トラクに聞いた所で、あの兵士達の目的が分かる筈が無いが念の為聞いた。

「あー、もしかしたら……」
「ん?」

 期待はして無かったがトラクの反応を見る限り何か知っていそうだった。

「メガネさん、何か知っているのー?」
「うーん、そのモンスターが集まっている所には言い伝えがあるらしいんですよ」
「言い伝え?」

 少し離れた場所で型の訓練をしていたチルとリガスも気になったのかこちらに集まってくる。

「私も詳しくは無いのですが……」

 そう言ってトラクは話し出した。

 トラクが言うには、ここから離れた場所にモンスターが常に集まっている場所があると言う。
 不思議な事にその場所で集まっているモンスターはその場を動こうとしないので、ドワーフの村が襲われる事が無い。
 ドワーフの村ではモンスター達が何かを守っていると言い伝えられているそうだ。

「何かを守っている?」
「はい、それが何かまでは分かりませんが色々噂されていますね」

 どうやら最も村の中で言い伝えられているのは、いわくモンスター達が守っているのは宝である。その宝に形は無く、自分が一番欲している物が形となり自身の目の前に現れるだろう……。

「ほっほっほ。まるでおとぎ話ですな」
「なら、今の私ならお金が現れるのかな?」
「私はアトス様が現れると思います」
「チ、チル……? 俺はここにいるからね?」

 本気か冗談か分からない声色でチルが呟くが流しとく事にしよう……。

「自身が欲している物が思った物で無い可能性があるらしいです」
「どういう事?」
「無意識の中、本当に望んでいる物が現れるそうですので、考えた物が現れる訳ではないらしいです」
「そっかー。なら私が本当に欲しい物ってなんだろー?」
「食べ物だと思う……」
「チ、チルちゃん? それはちょっとお姉ちゃんに失礼じゃないかな……?」
「?」

 ごめん、ロピ……俺もチルと同じ意見だわ……。

 それにしてもあの兵士達は、そんな噂レベルの話を信じているのか?

「トラク、その噂は信憑性あるのか?」
「いや、無いと思いますね。ただ、年に何人かは挑戦して、帰って来ませんが」
「それは、他の人達も知っているんだよね?」
「そうですね。恐らく他の人達は報酬が目当てで参加するだけだと思います」
「なら、なんで人間族の兵士達は挑戦するか分かるか?」
「さ、さぁー?」

 トラクは困った様に首を傾げるのであった。

「アトスさんは参加するんですか?」
「うーん、今の話を聞いて兵士達の目的は分かったから参加しようかな……」
「「ほんと!?」」 

 ロピとチルが同時に反応する。

「でも、危ないと思ったらその場で逃げるつもりだがいいか?」
「オッケーだよ!」
「アトス様の指示に従います」
「ほっほっほ。逃げる際の殿はお任せ下さい」

 兵士達が怪しい行動したら、すぐ逃げるか……。

「トラク、ロピの武器は間に合うか?」
「うーん、ちょっと難しいですね」
「──ッえ!?」

 先程気合を入れていたロピだが、武器が間に合わない事を知り、不安そうにトラクを見つめている。

「そ、そんなー。メガネさんどうにかして!」
「あわあわあわ」

 ロピは涙目でトラクの襟元を両手で持ち揺さぶっている。その反動でトラクのメガネがどんどんずり落ちていく。

「ロ、ロピさん、や、め、てー」

 トラクの悲痛の声も届かないのかロピはひたすら揺さぶっているので、流石に可哀想に思い止める。

「はぁはぁ……、今作っている武器は間に合いませんが、即席で良ければ作れます」
「え? なんだー! それを早く言ってよー」

 トラクの言葉を聞いて途端に笑顔になるロピを見て俺とチル、リガスは単純だな……と思ってしまう。

「なら一週間後までに即席でいいから武器を頼む」
「わ、分かりました」

 まだ、揺さぶられた反動が残っているのかトラクはフラフラと頭が揺れていた。

 トラクがロピに揺さぶられた拍子に落ちたのか、木のペンダントが落ちていた。
 
 俺はそれを拾いトラクに手渡す。

「トラク、これ落ちたぞ?」
「あ!? ありがとうございます。とても大事な物なので良かった……」

 木のペンダントには、エルフの子供が刻まれていた。
 とても大事そうにペンダントを身につけて、服の下に隠した。


 あぁ……確か、シクも何やら赤い玉の様な物を大事に首に吊り下げていたな……


 一方トラクを揺さぶったロピは、何やら盛り上がっている。

「よーし、皆でモンスターを倒して財宝を手に入れるぞー!」
「「おー!!」」
「ついでに噂の宝も手に入れるぞー!」
「「おー!!」」

 俺達のやり取りを見ていたトラクが一言呟く。

「皆さん、仲いいですね……」
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