過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
205 / 492
第6章

204話 危険地帯 2

しおりを挟む
 ドワーフの村を立ってから六日目の朝を迎える。そして危険地帯に入ってからは二日目だ。

「今日も何事も無く終わればいいが」

 私達は歩き出す。ここら辺に来ると、私以外の者達も流石にモンスターが出現しない事に対しておかしいと感じ始めた様だ。

「なぁ、俺らは兵士達に騙されているのか?」
「だな……。まだ一度もモンスターを見てないぜ」
「これで、本当に宝箱貰えるのかよ!」
「お前は貰えねぇが俺は貰うぜ!」

 参加者が不安がっているのも無理は無いだろう。

「何なんだ……? 何故モンスター共が出ない……?」

 リンクスの方を盗み見すると、独り言の様にブツブツ言っている姿が見える。

「この状況を知っている者は誰も居なそうだな」

 私達にとっては歓迎出来る状況でも、リンクス達にとっては喜ばしい事では無いのだろう。

「流石にこの人数相手に宝箱を渡すのは惜しいのか?」

 恐らく、リンクス達は今回も半分くらいは参加者が減ると思っていたのだろうが、予想が外れてどうすれば良いか困惑している様だ。

 朝に出発してから昼までは特に何も起きずに経過したが、やはり危険地帯の為、とうとうモンスターが姿を現した。
 それはお昼を食べ終わり少し経ってからの事だった……

「モンスターが現れたぞーー!」

 違う班からの掛け声に対して、直ぐに反応を示して私達は声の方に顔を向けると、そこには小型が一体居るだけであった。

 たが、初めて出現した小型に参加者一同は殺到する様に集まり攻撃を仕掛ける。

「やっと出やがったか、ソイツは俺の獲物だぜ!」
「うるせぇーな! 早い者勝ちに決まっているだろ!」

 次から次と攻撃をするので、小型はあっという間に討伐されてしまった。

「ッチ、物足りねぇーぜ」
「何が危険地帯だよ。安全地帯の間違ぇじゃねぇーのか?」
「こんなのに、兵士や前回の参加者は苦戦させられたなら、相当弱いんだな」
「「「「「あはははははは」」」」」

 好き放題に言う参加者達に多少の怒りは覚えるが、今の私は無事にドワーフの村に帰る事だけに集中している為、直ぐに周囲の警戒に集中する。
 だが、私と違って、リンクス達兵士は二回も失敗しており、その事を馬鹿にされたと感じたのか、とても凄い形相で参加者達を睨んでいた。

 そこからは、チョクチョクモンスターが現れる様になったが、やはり前回と比べると圧倒的に少ない。
 しかも一体ずつしか出て来ないので難なく倒せてしまう影響で、その内参加者達は警戒をしなくなってきた。

 ここまで、モンスターが現れないなら警戒しなくなる気持ちも分かるが、兵士達からしたら雇っている状態の為、直ぐに注意していた。

「おい! お前らもっと警戒しろ。遊びじゃ無いんだぞ!」
「へへ。はーい」
「任せて下さいよー。これでも真面目に警戒しているんすから」
「俺に掛かればモンスターなんて直ぐ倒せますから兵士さん達は気軽に身構えててください」

 兵士達の注意喚起も、右から左へと聴き流している様で効果が無さそうだ。

「ッチ、これだから野蛮な冒険者共は好かん」

 その様子を見ていたリンクスも顔を歪ませて一人愚痴る。

「ドワーフ達はどうしているかな?」

 前回の遠征で私達エルフ族以外にもう一つ生き残った種族であるドワーフ族を見ると、どうやら私と同じ考えなのか戦闘には参加せず体力を温存している様だ。

「あの状況を経験したなら、当たり前の行動だな……」

 ドワーフ達は、周りの参加者達が騒いでいる中常に周囲を観察し何か有ればいつでも動ける状態を取っていた。
 その光景は他から見たら、少し異様に見えるだろうが、そのドワーフ達を見て、参加者の中にも何か気付く者達がいる様だ。

「一班は、ハズレかもな……」

 私はリンクス班である、一班のメンバーを観察するが強そうな者は居ない。
 恐らく、総合力で一番強い班は副官率いる二班だろう。ドワーフ達で固めてあり前回の参加者でもある。

「まぁ、いざとなったら私一人でも逃げるがな」

 そして、日が落ちて来た為野宿の準備に入る。結局はモンスターも小型二体しか現れなかった為、私達は前回より速いペースで進んでいる様だ。

「明日は、とうとう三日目か……」

 三日目と言うと、前回撤退した日でもある。ここからは、中型も出現する可能性が大きいので、より一層警戒して進むつもりだ。

 小型一体なら一人で討伐出来るが、流石に中型になると、私の攻撃でも通るか不安である。

 流石にこの人数なので中型が出たとしても倒す事なら可能だろうが、一人でも捕食されてしまったら、モンスターの成長次第では、全滅する可能性だって大いに考えられる。

「この、モンスターの少なさは何かある……明日からはより一層注意が必要だな」

 そして、私は明日に備えて寝る準備を行い、寝床に着く。その途中で、またリンクスが私を自分の寝床に誘いに来たが断った。

 そろそろ斬り刻んでやりたいが今は我慢だ……。

 こうして、二日目が終わる。何事無くここまで進んで来れたが、三日目で他の参加者達は目が覚める思いをする事になる……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

『希望の実』拾い食いから始まる逆転ダンジョン生活!

IXA
ファンタジー
30年ほど前、地球に突如として現れたダンジョン。  無限に湧く資源、そしてレベルアップの圧倒的な恩恵に目をつけた人類は、日々ダンジョンの研究へ傾倒していた。  一方特にそれは関係なく、生きる金に困った私、結城フォリアはバイトをするため、最低限の体力を手に入れようとダンジョンへ乗り込んだ。  甘い考えで潜ったダンジョン、しかし笑顔で寄ってきた者達による裏切り、体のいい使い捨てが私を待っていた。  しかし深い絶望の果てに、私は最強のユニークスキルである《スキル累乗》を獲得する--  これは金も境遇も、何もかもが最底辺だった少女が泥臭く苦しみながらダンジョンを探索し、知恵とスキルを駆使し、地べたを這いずり回って頂点へと登り、世界の真実を紐解く話  複数箇所での保存のため、カクヨム様とハーメルン様でも投稿しています

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~

めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。 しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。 そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。 その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。 (スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)

処理中です...