過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第6章

229話 モンスター同士の会話

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「お、おい本当にいいのか?」
「うん。そうしないとお兄さんは助からない!」

 私はアトス様を丁寧に下し地面に寝かせた。

「魔族さんは、お兄さんが暴れない様にしっかり抑えといて!」
「お任せを」

 どうやら、姉さんはアトス様の傷を無理やり塞ぐ為に火で肌を焼くらしい。

「ね、姉さん本当にそんな事して大丈夫……?」
「チルちゃん、今は血を止めないといけないの。でも道具が無いからこんなやり方しか私は思い付かないけど、早く処置しないとお兄さんが死んじゃうの」

 姉は丁寧に自身が考えている事を説明してくれた。

「チルちゃんも、辛いかもしれないけどお兄さんを助ける為に魔族さんと一緒に抑えといてくれる?」
「う、うん……」

 私は姉さんに言われた通りリガスと逆の方を抑えた。

 そして、傷口の最低限の消毒をして治療を開始する。
 三班の中で火を扱う事が出来る者を四人集めてアトス様の前に並べせて各自がスキルを発動していく。

「アトスの為に心を鬼にしてやるぜ?」

 それぞれが武器の先端に火を纏わらせてアトス様の傷口部分を焼く。

 だが次の瞬間、アトス様からは辺り一面に救いを求める様な苦痛の声が響き渡る。

「チルちゃん、ちゃんと抑えて!」

 あまりにも苦しそうに叫ぶアトス様を見て抑える手を緩めようとしたが、直ぐ様姉さんに指摘されて再び抑え込む。

「アトス殿、ここは辛抱ですぞ!!」

 脚など、バタつかせれる所は全て動かし必死に抵抗しているアトス様を見ると目から涙が溢れてしまう……

 恐らく、アトス様の意識は朦朧として今の現状がわかっていない様に見える。

「あと少しだから、お兄さん頑張って!」

 姉さんも必死にアトス様を抑え込む。
 そして、時間にしたら二、三分程で傷口を火の熱で塞ぐ事が出来た。

「後は、火傷部分を冷やさないと!」

 三班全員から分けて貰った水を少しずつ傷口にかけ続ける。

「これで、後はこの場からどう逃げるかですね……」

 マーズか嘆く様に呟いた瞬間、後ろの方で何やら騒がしい音が聞こえた。

「な、なんだ?!」

 音の方を見ても小型の大群が見えるだけで何が起こっているのか分からない。

「来ましたね……」

 マーズの口角が少しだけ上がる。

「何がだよ?」
「皆さん! 変異体が来ましたよ!!」

 鋭い声が全体に響き渡る。

「もう少しです! あと少し耐えましょう!!」

 マーズの声に全員が反応する。そして変異体の存在に気が付いたのは私達人間だけでは無いらしい。

 アトス様の左腕を喰い千切った中型や人間を弄ぶ様に追いかけ回していた中型がいきなり行動を止めて、ある一点を見る。

「チルさん、アトスさんをしっかりと抱きかかえといて下さい。いつ逃げるチャンスがあるか分かりませんから」

 マーズの言葉に、私は直ぐにアトス様を背中に背負い、いつでも走れる様に準備する。

「マーズ、俺達はどうすれゃいい?」
「一先ず、全員一ヶ所に集まりましょう!」

 マーズの指示により一度バラけたメンバーが再び一か所に集まる。

「ア、アトスの奴どうしたのじゃ!?」
「……」

 ドワーフのキルとエルフのシャレがアトス様の腕を見て驚いている。
 マーズが素早く状況を説明した後にどの様にしてこの包囲網を抜けるか、話始める。

「うむ。分かった」
「私も理解した……」

 中型達の様子を見ると、ずっと変異体の方向を向いたまま動かない。
 そして後ろの方では次々と小型が倒されているのか徐々に変異体の姿が見えて来る。

「突破口は変異体が通ってくる道です……」

 マーズは小さく呟く。

 そして、とうとう変異体と中型達を隔てる壁が無くなりお互いが対面した。
 中型二体が少しずつ変異体に近付きある程度の距離を空けて再び止まる。

「な、なんじゃ? 戦わんのか……?」

 直ぐに戦闘を開始すると思われたモンスター達だったが、中型が又もや変異体に話し掛ける様に奇声を上げた。

「あ、アレがマーズ達が話していたモンスター同士の会話なのか……?」

 シャレは変異体と中型が会話している姿を見て目を見開いている。

 そして、モンスター達の会話が止むとマーズが班全員に聞こえる様に話す。

「走る用意を!」

 全員が腰を落とし、いつでも走れる準備をする。
 やはり変異体との話は上手くいかなかったのか、とうとう変異体と中型達の戦闘が始まった……

「この構図が出来るのをどれだけ望んだか……」 

 マーズの呟きを聞いて、私達が中型達から逃げるには変異体と中型が争っている時しか無い事をアトス様とマーズが話していたのを思い出す。

「どっちが先に仕掛けるんだ?」

 私達は逃げるチャンスを見逃さない為にモンスター達の動きに集中する。

 強者の余裕なのか、変異体はどうやら、中型達の攻撃を待っている様に見える。
 それを理解したのか、もしくは怒ったのか、中型達が尻尾を使用して変異体に攻撃をする。

 変異体は以前と同様に中型の攻撃を受けても平気だろうと考えていたのか全く避ける素振りを見せず中型達の攻撃が直撃する。

「こ、これは……」

 だが、人間達を捕食して成長した中型の攻撃は以前とは比べ物にならない様で
中型達の尻尾による攻撃を受けた瞬間変異体が吹き飛ばされた……

「に、人間を捕食するだけで、こ、ここまで強くなるものなのか……」

 中型達の成長に人間達だけでは無く、どうやら変異体まで驚いている様だ……
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