230 / 492
第6章
229話 モンスター同士の会話
しおりを挟む
「お、おい本当にいいのか?」
「うん。そうしないとお兄さんは助からない!」
私はアトス様を丁寧に下し地面に寝かせた。
「魔族さんは、お兄さんが暴れない様にしっかり抑えといて!」
「お任せを」
どうやら、姉さんはアトス様の傷を無理やり塞ぐ為に火で肌を焼くらしい。
「ね、姉さん本当にそんな事して大丈夫……?」
「チルちゃん、今は血を止めないといけないの。でも道具が無いからこんなやり方しか私は思い付かないけど、早く処置しないとお兄さんが死んじゃうの」
姉は丁寧に自身が考えている事を説明してくれた。
「チルちゃんも、辛いかもしれないけどお兄さんを助ける為に魔族さんと一緒に抑えといてくれる?」
「う、うん……」
私は姉さんに言われた通りリガスと逆の方を抑えた。
そして、傷口の最低限の消毒をして治療を開始する。
三班の中で火を扱う事が出来る者を四人集めてアトス様の前に並べせて各自がスキルを発動していく。
「アトスの為に心を鬼にしてやるぜ?」
それぞれが武器の先端に火を纏わらせてアトス様の傷口部分を焼く。
だが次の瞬間、アトス様からは辺り一面に救いを求める様な苦痛の声が響き渡る。
「チルちゃん、ちゃんと抑えて!」
あまりにも苦しそうに叫ぶアトス様を見て抑える手を緩めようとしたが、直ぐ様姉さんに指摘されて再び抑え込む。
「アトス殿、ここは辛抱ですぞ!!」
脚など、バタつかせれる所は全て動かし必死に抵抗しているアトス様を見ると目から涙が溢れてしまう……
恐らく、アトス様の意識は朦朧として今の現状がわかっていない様に見える。
「あと少しだから、お兄さん頑張って!」
姉さんも必死にアトス様を抑え込む。
そして、時間にしたら二、三分程で傷口を火の熱で塞ぐ事が出来た。
「後は、火傷部分を冷やさないと!」
三班全員から分けて貰った水を少しずつ傷口にかけ続ける。
「これで、後はこの場からどう逃げるかですね……」
マーズか嘆く様に呟いた瞬間、後ろの方で何やら騒がしい音が聞こえた。
「な、なんだ?!」
音の方を見ても小型の大群が見えるだけで何が起こっているのか分からない。
「来ましたね……」
マーズの口角が少しだけ上がる。
「何がだよ?」
「皆さん! 変異体が来ましたよ!!」
鋭い声が全体に響き渡る。
「もう少しです! あと少し耐えましょう!!」
マーズの声に全員が反応する。そして変異体の存在に気が付いたのは私達人間だけでは無いらしい。
アトス様の左腕を喰い千切った中型や人間を弄ぶ様に追いかけ回していた中型がいきなり行動を止めて、ある一点を見る。
「チルさん、アトスさんをしっかりと抱きかかえといて下さい。いつ逃げるチャンスがあるか分かりませんから」
マーズの言葉に、私は直ぐにアトス様を背中に背負い、いつでも走れる様に準備する。
「マーズ、俺達はどうすれゃいい?」
「一先ず、全員一ヶ所に集まりましょう!」
マーズの指示により一度バラけたメンバーが再び一か所に集まる。
「ア、アトスの奴どうしたのじゃ!?」
「……」
ドワーフのキルとエルフのシャレがアトス様の腕を見て驚いている。
マーズが素早く状況を説明した後にどの様にしてこの包囲網を抜けるか、話始める。
「うむ。分かった」
「私も理解した……」
中型達の様子を見ると、ずっと変異体の方向を向いたまま動かない。
そして後ろの方では次々と小型が倒されているのか徐々に変異体の姿が見えて来る。
「突破口は変異体が通ってくる道です……」
マーズは小さく呟く。
そして、とうとう変異体と中型達を隔てる壁が無くなりお互いが対面した。
中型二体が少しずつ変異体に近付きある程度の距離を空けて再び止まる。
「な、なんじゃ? 戦わんのか……?」
直ぐに戦闘を開始すると思われたモンスター達だったが、中型が又もや変異体に話し掛ける様に奇声を上げた。
「あ、アレがマーズ達が話していたモンスター同士の会話なのか……?」
シャレは変異体と中型が会話している姿を見て目を見開いている。
そして、モンスター達の会話が止むとマーズが班全員に聞こえる様に話す。
「走る用意を!」
全員が腰を落とし、いつでも走れる準備をする。
やはり変異体との話は上手くいかなかったのか、とうとう変異体と中型達の戦闘が始まった……
「この構図が出来るのをどれだけ望んだか……」
マーズの呟きを聞いて、私達が中型達から逃げるには変異体と中型が争っている時しか無い事をアトス様とマーズが話していたのを思い出す。
「どっちが先に仕掛けるんだ?」
私達は逃げるチャンスを見逃さない為にモンスター達の動きに集中する。
強者の余裕なのか、変異体はどうやら、中型達の攻撃を待っている様に見える。
それを理解したのか、もしくは怒ったのか、中型達が尻尾を使用して変異体に攻撃をする。
変異体は以前と同様に中型の攻撃を受けても平気だろうと考えていたのか全く避ける素振りを見せず中型達の攻撃が直撃する。
「こ、これは……」
だが、人間達を捕食して成長した中型の攻撃は以前とは比べ物にならない様で
中型達の尻尾による攻撃を受けた瞬間変異体が吹き飛ばされた……
「に、人間を捕食するだけで、こ、ここまで強くなるものなのか……」
中型達の成長に人間達だけでは無く、どうやら変異体まで驚いている様だ……
「うん。そうしないとお兄さんは助からない!」
私はアトス様を丁寧に下し地面に寝かせた。
「魔族さんは、お兄さんが暴れない様にしっかり抑えといて!」
「お任せを」
どうやら、姉さんはアトス様の傷を無理やり塞ぐ為に火で肌を焼くらしい。
「ね、姉さん本当にそんな事して大丈夫……?」
「チルちゃん、今は血を止めないといけないの。でも道具が無いからこんなやり方しか私は思い付かないけど、早く処置しないとお兄さんが死んじゃうの」
姉は丁寧に自身が考えている事を説明してくれた。
「チルちゃんも、辛いかもしれないけどお兄さんを助ける為に魔族さんと一緒に抑えといてくれる?」
「う、うん……」
私は姉さんに言われた通りリガスと逆の方を抑えた。
そして、傷口の最低限の消毒をして治療を開始する。
三班の中で火を扱う事が出来る者を四人集めてアトス様の前に並べせて各自がスキルを発動していく。
「アトスの為に心を鬼にしてやるぜ?」
それぞれが武器の先端に火を纏わらせてアトス様の傷口部分を焼く。
だが次の瞬間、アトス様からは辺り一面に救いを求める様な苦痛の声が響き渡る。
「チルちゃん、ちゃんと抑えて!」
あまりにも苦しそうに叫ぶアトス様を見て抑える手を緩めようとしたが、直ぐ様姉さんに指摘されて再び抑え込む。
「アトス殿、ここは辛抱ですぞ!!」
脚など、バタつかせれる所は全て動かし必死に抵抗しているアトス様を見ると目から涙が溢れてしまう……
恐らく、アトス様の意識は朦朧として今の現状がわかっていない様に見える。
「あと少しだから、お兄さん頑張って!」
姉さんも必死にアトス様を抑え込む。
そして、時間にしたら二、三分程で傷口を火の熱で塞ぐ事が出来た。
「後は、火傷部分を冷やさないと!」
三班全員から分けて貰った水を少しずつ傷口にかけ続ける。
「これで、後はこの場からどう逃げるかですね……」
マーズか嘆く様に呟いた瞬間、後ろの方で何やら騒がしい音が聞こえた。
「な、なんだ?!」
音の方を見ても小型の大群が見えるだけで何が起こっているのか分からない。
「来ましたね……」
マーズの口角が少しだけ上がる。
「何がだよ?」
「皆さん! 変異体が来ましたよ!!」
鋭い声が全体に響き渡る。
「もう少しです! あと少し耐えましょう!!」
マーズの声に全員が反応する。そして変異体の存在に気が付いたのは私達人間だけでは無いらしい。
アトス様の左腕を喰い千切った中型や人間を弄ぶ様に追いかけ回していた中型がいきなり行動を止めて、ある一点を見る。
「チルさん、アトスさんをしっかりと抱きかかえといて下さい。いつ逃げるチャンスがあるか分かりませんから」
マーズの言葉に、私は直ぐにアトス様を背中に背負い、いつでも走れる様に準備する。
「マーズ、俺達はどうすれゃいい?」
「一先ず、全員一ヶ所に集まりましょう!」
マーズの指示により一度バラけたメンバーが再び一か所に集まる。
「ア、アトスの奴どうしたのじゃ!?」
「……」
ドワーフのキルとエルフのシャレがアトス様の腕を見て驚いている。
マーズが素早く状況を説明した後にどの様にしてこの包囲網を抜けるか、話始める。
「うむ。分かった」
「私も理解した……」
中型達の様子を見ると、ずっと変異体の方向を向いたまま動かない。
そして後ろの方では次々と小型が倒されているのか徐々に変異体の姿が見えて来る。
「突破口は変異体が通ってくる道です……」
マーズは小さく呟く。
そして、とうとう変異体と中型達を隔てる壁が無くなりお互いが対面した。
中型二体が少しずつ変異体に近付きある程度の距離を空けて再び止まる。
「な、なんじゃ? 戦わんのか……?」
直ぐに戦闘を開始すると思われたモンスター達だったが、中型が又もや変異体に話し掛ける様に奇声を上げた。
「あ、アレがマーズ達が話していたモンスター同士の会話なのか……?」
シャレは変異体と中型が会話している姿を見て目を見開いている。
そして、モンスター達の会話が止むとマーズが班全員に聞こえる様に話す。
「走る用意を!」
全員が腰を落とし、いつでも走れる準備をする。
やはり変異体との話は上手くいかなかったのか、とうとう変異体と中型達の戦闘が始まった……
「この構図が出来るのをどれだけ望んだか……」
マーズの呟きを聞いて、私達が中型達から逃げるには変異体と中型が争っている時しか無い事をアトス様とマーズが話していたのを思い出す。
「どっちが先に仕掛けるんだ?」
私達は逃げるチャンスを見逃さない為にモンスター達の動きに集中する。
強者の余裕なのか、変異体はどうやら、中型達の攻撃を待っている様に見える。
それを理解したのか、もしくは怒ったのか、中型達が尻尾を使用して変異体に攻撃をする。
変異体は以前と同様に中型の攻撃を受けても平気だろうと考えていたのか全く避ける素振りを見せず中型達の攻撃が直撃する。
「こ、これは……」
だが、人間達を捕食して成長した中型の攻撃は以前とは比べ物にならない様で
中型達の尻尾による攻撃を受けた瞬間変異体が吹き飛ばされた……
「に、人間を捕食するだけで、こ、ここまで強くなるものなのか……」
中型達の成長に人間達だけでは無く、どうやら変異体まで驚いている様だ……
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】
普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます)
【まじめなあらすじ】
主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、
「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」
転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。
魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。
友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、
「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」
「「「違う、そうじゃない!!」」」
これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。
※他サイトにも投稿中
※旧タイトル
病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~
スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う
シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。
当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。
そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。
その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~
津ヶ谷
ファンタジー
綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。
ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。
目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。
その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。
その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。
そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。
これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる