過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第7章

255話 共存

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 最近何やらガバイ達が怪しい動きをしていると聞く。
 詳しい事は分からないし、あくまで仲の良い村人達がたまたま夜に見かけたと言っていただけなのだが、ガバイという所が何か引っかかる……

「デグさん、聞いているっスか?」

 考えに夢中でラバの声が聴こえてなかったのか、どうやら何度も呼ばれていた様だ。

「なんだい、デグは寝不足なのかい?」
「疲れているならアタシ達だけで今日は見回りするけど?」

 三人が心配してくれる。

「いや、大丈夫だ」
「なら、なんか心配事かい?」

 ネークの見透かす様な視線に俺は先程もまで考えていた事を話す。

「実は、最近ガバイ達の動きが怪しいんだ」

 俺がガバイの名前を出した瞬間に三人は表情を曇らす。

「なんかあったんッスか?」
「いや、今の所は特に何も無いが仲の良い村人が夜な夜な一つの建物に村人達が集まっているって教えてくれた」
「それと、ガバイが何か関係あるのかい?」
「どうやら、村人を集めた主導者がガバイらしい……」

 ラバ、ネーク、コナは考え混む。

「アタシ達がこの村に来てから、直接ガバイという者に会った事は無いけど、良い噂は聞かないね」
「あぁ、コナの言う通り、最近は俺達に優しく接してくれる人間族がいるから偶に話を聞くけどキナ臭い話ばかり聞くよ」
「何か、企んでいるッスか?」

 ラバの質問に頷く。

「ガバイが何かを企んでいるのは間違い無い。アイツは人間族以外の他種族を良く思ってない」

 シクさんに対しても敵意を剥き出しにしていたし、これは気を付けないとな……

 デグの考えが分かったのか、ラバが提案する。

「なら自分が調査するッスよ」
「調査?」
「今度、夜中に村人達が集まって来たら自分が建物に忍び込んで何を話しているか聞くッス!」

 ラバの提案に、俺はどうするか考えるが、他に良い案も無い為、頼む事にした。

「バレる前に切り上げてくれよ?」
「ウッス!」

 こうして、次の集会時にラバが潜入する事に決まった。

「この事はココだけの話にしてくれ」
「ベムさんには言わなくていいんッスか?」
「あぁ。この事に関しては知っている者が少ない方が良いと思う。何か情報が手に入ったら伝えようと思う」
「デグがそう言うなら黙っとくよ」
「任せな! アタシも口は硬い方だ!」

 それから、俺達は通常通り村の見回りをする為に歩き始める。
 すると、直ぐに声が掛かった。

「おーい、そこの獣人族の二人、悪いが今日も手伝ってくれんかのう?」

 村の老人が手を振って来る。

「ご指名だぜ?」
「あはは、喜んで」
「アタシは頼られるのは嬉しいよ!」

 俺達は老人の所まで歩いていくと、笑顔で話し掛けて来た。

「アンタら二人共、チョイっと手伝ってくれないかい?」
「あはは、もちろん良いですよ」
「アタシ達に出来る事なら何でもやるよ!」

 二人は腕まくりをして笑顔で老人について行く。

「俺とラバはここで見ているなー」
「い、いいんッスか……?」
「これでいいんだよ」

 二人は老人に教えて貰いながら、どんどんと作業を進めていく。

「ほぅ……お主達頑張るのぅ」
「あはは、早くこの村に馴染みたいんですよ」
「何か困った事あったらアタシ達に何でも言ってよ。力仕事なら若いのも呼んでくるからさ」
「頼もしいのぅ」

 暫く作業をして村の見回りを再開する事にする。

「二人共今日はありがとうな」
「あはは、気にしないで下さい」
「アタシはお爺さんと話せて楽しかったよ!」

 老人は野菜の詰まった籠をネークとコナに渡す。

「これは今日のお礼じゃ。仲間達と食ってくれ」
「いいんですか?」
「あぁ、もちろんさ。最初はお前達の様な野蛮人がこの村に居ると考えただけで嫌悪感があったが、それは間違っていた様じゃな」

 老人の言葉に二人は満面の笑みを浮かべてお互いの顔を見つめ合う。

「デグ村長の言う通り獣人族も立派な人間じゃのう」
「だろ? この村はこれから、まだまだ色々な種族が増えるから、そう思ってくれるのは助かるぜ」
「ほっほっほ、それは今から楽しみじゃのう」

 笑いながら、老人はネーク達に向き合う。

「二人共、明日も来てくれるんだろう?」
「えぇ、俺もコナも来ますよ」
「明日も出来る事があるなら手伝うよ!」

 二人の言葉に首を上下に動かしながら老人は同意する。

「それじゃ、お前らの若いもん達も連れて来い。ワシがこの土地での野菜の育て方を教えてやろう」
「本当ですか!?」
「ありがとう! アタシは嬉しいよ!」

 感極まり、コナは老人に抱き付く。

「ほっほっほ。こんな美人に抱きつかれるとは役得じゃのう」
「美人ってアタシの事かい? ますます嬉しいねぇ……」
「そこの、獣人は良い嫁さんを貰ったのぅ」
「あはは、自慢の嫁さんですよ」

 何やら村人と良い関係を築けた様で俺まで自然と笑みが溢れてしまう。

「それじゃ、明日はアタシらの仲間も大勢連れて来るよ!」
「楽しみにしとく。お前さん達の仲間をワシに紹介してくれ」
「あはは、もちろんです。仲間も喜びますよ」

 俺達は老人と別れ再び見回りに戻る事になる。

「良かったじゃねぇーか!」

 俺は二人の背中を軽く叩く。

「あぁ、本当に良かったよ……そしてデグ達以外にも良い人間族がいた事も収穫かな」

 ネークはしみじみと呟く。

「アタシは、あの老人気に入ったよ! アタシの事、美人って言ってくれたし!」

 コナはコナでとても嬉しかった様だ。
 このまま、少しでも早くネーク達、獣人族が村に馴染んでくれれば嬉しいな。
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