過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
308 / 492
第8章

307話 深淵の森

しおりを挟む
「私が生きていて、一度だけドラゴンを見た事がある」

 最古のエルフは懐かしむ様に目を瞑る。

「あれは、まだ私が若い頃だった、旅の途中に狩をしていた際に遠くから何かが動く気配がしてな」
「ドラゴンだったのー?」
「あぁ──大きなドラゴンであった。大きさはモンスターの中型くらいで、のしのしと移動して森の奥へ消えて行った」
「最古のエルフよ、それはどこら辺だ?」

 シャレの言葉に目を開けた。

「あれは……深淵の森だな」
「深淵の森?」

 俺の疑問にリガス以外の全員が皆首を傾げる。

「あぁ──ここから遠く離れた場所に深淵の森と言う一際草木が生い茂っている場所がある」

 俺達よりは確実に長く生きているであろうシャレとニネットも知らない知識を最古のエルフはゆっくりと教えてくれる。

「その深淵の森の奥には、まだ誰も知らない未開の土地があると言われている」
「なんで、未開なんだ?」
「深淵の森付近はモンスターが大量にいるのだ──シャレから聞いたがお前達はドワーフの村付近にあるジャングルに行ったな?」

 皆んなが頷く。

「あそこも、確かにモンスターが密集しているが、深淵の森に関しては、あんなものでは無いくらいモンスターが多い」
「そんなにかよ……」
「あぁ──まるで未開の土地に行かせない様に見張っているのか、または未開の森から来る何かを見張っているのか……」

 最古のエルフは歯切れの悪い感じで言葉を止めた。

「まぁ、私が見たドラゴンは、その深淵の森に向かって進んで行ったな」

 すると、リガスが口を開く。

「ふむ。チル様達に少し前、私が手も足も出ずにやられた話をしましたな?」
「リガスがまだ若い時?」

 チルの言葉にリガスが頷く。

「関係あるか分かりませぬが、その者が居た場所も深淵の森の近くですな」
「えー? じゃ、魔族さんをコテンパンにした人は未開の土地の住人さんなのー?」
「ほっほっほ。それはまだ分かりませぬが、もしそうであればまだまだ人生楽しめそうですな」
「燃え上がる」

 リガスとチルはまだ見ぬ強者がいる事に喜んでいる様だ。

 どこかの戦闘狂かよ……

 それから再び口を開く最古のエルフ。

「話を少し戻すが、どうやらモンスターとドラゴンは常に争っていた様だ」
「今、ドラゴンさんが居ないって事はモンスターにやられちゃったのー?」

 ロピが質問する。

「本には、その事に付いて何も書かれて無いが、現状を見る限りモンスターの方が強かったのだろうな」

 他にも本のページは何ページにも続いていたが、残りは全て字が掠れて読め無い様だ。

「この本から読み取れるのは、ここまでだな」

 最古のエルフは本をゆっくりと閉じてから返してくれる。

「モンスターの歴史に触れて、少し疲れた──私はもう休ませて貰うよ」

 その言葉がキッカケで俺達は解散する事にした。

「最古のエルフよ、本の解読感謝する」

 シャレに続いて俺達もお礼をして家を出た。

「ふぅ……それにしても色々な事が一度に頭の中に流れて来たな」
「ほっほっほ。まさかモンスターが言葉を理解して話せるとは思いませんでしたな」
「それに、ドラゴンが実在した事に驚きました」

 あまりにも情報量が多すぎて処理し切れないな。

「まぁ、今は戦争に集中した方が良さそうだな」

 俺の言葉に真剣な表情で全員が頷く。

「そういえば、お兄さん──スキルのヒントが分かって良かったね!」
「あぁ。だけど、抽象的過ぎて、何をすれば良いか結局分からなかったな」

 線と円を掛け合わせたものってなんだよ……それに円すら意味わからねぇーよ

 線の意味は何となく分かる──恐らく今使用している地面に敷くラインの事だろう。

 しかし円ってなんだ?

 一本のラインを円に出来る物なのか?

「訓練の時に試してみるしか無いな」
「私も訓練手伝います」
「あはは、私も!」
「僭越ながら私もお手伝い致します」

 俺達が話していると、シャレが話かけて来た。

「アトス達は凄いな」
「いきなり、なんだよ?」
「いや、既にかなり強いと思うが、まだ強くなろうとしている所だ」
「えぇ──私達エルフの中で一番強いであろう、シャレ様とニルトンさんよりも強いのに未だ強くなろうとしています」

 シャレとニネットが感心した様子である。

「いや、強いと言ってもリガス以外は特化し過ぎているから、一対一の戦いになったらシャレ達に勝てないぜ?」
「アトス様の言う通りです」
「私達は四人で最強だからね!」
「ほっほっほ。それぞれが補えば良いのですよ」

 俺達の言葉にエルフ二人が微笑む。

「はは、全くその通りだな」
「えぇ──今回の戦争は、いくら一人が強くても勝てません。皆で協力する事が大事です」

 二ネットの言葉にシャレが同意する。

「そうだな……その為には今の同胞達にアトスの事を認めさせ無いとな……」
「難しい事かもしれませんが、一緒に頑張りましょう」

 それから俺達は家に戻り早速明日から特訓を開始しようという話になった。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

沢田くんはおしゃべり2

ゆづ
青春
空気を読む力が高まりすぎて、他人の心の声が聞こえるようになってしまった普通の女の子、佐藤景子。 友達から地味だのモブだの心の中で言いたい放題言われているのに言い返せない悔しさの日々の中、景子の唯一の癒しは隣の席の男子、沢田空の心の声だった。 【佐藤さん、マジ天使】(心の声) 無口でほとんどしゃべらない沢田くんの心の声が、まさかの愛と笑いを巻き起こす! おかげさまで第二部突入! 今回は沢田くんの別荘がある島で大暴れヽ(*^ω^*)ノ

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

おばさん冒険者、職場復帰する

神田柊子
ファンタジー
アリス(43)は『完全防御の魔女』と呼ばれたA級冒険者。 子育て(子どもの修行)のために母子ふたりで旅をしていたけれど、子どもが父親の元で暮らすことになった。 ひとりになったアリスは、拠点にしていた街に五年ぶりに帰ってくる。 さっそくギルドに顔を出すと昔馴染みのギルドマスターから、ギルド職員のリーナを弟子にしてほしいと頼まれる……。 生活力は低め、戦闘力は高めなアリスおばさんの冒険譚。 ----- 剣と魔法の西洋風異世界。転移・転生なし。三人称。 一話ごとで一区切りの、連作短編(の予定)。 ----- ※小説家になろう様にも掲載中。

野生児少女の生存日記

花見酒
ファンタジー
とある村に住んでいた少女、とある鑑定式にて自身の適性が無属性だった事で危険な森に置き去りにされ、その森で生き延びた少女の物語

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

不死身のバンパイアになった俺は、廃墟と化したこの世界で好きに生きようと思います

珈琲党
ファンタジー
人類が滅亡した後の世界に、俺はバンパイアとして蘇った。 常識外れの怪力と不死身の肉体を持った俺だが、戦闘にはあまり興味がない。 俺は狼の魔物たちを従えて、安全圏を拡大していく。 好奇心旺盛なホビットたち、技術屋のドワーフたち、脳筋女騎士に魔術師の少女も仲間に加わった。 迷惑なエルフに悩まされつつも、俺たちは便利で快適な生活を目指して奮闘するのだった。

処理中です...