過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
410 / 492
第10章

409話

しおりを挟む
「そうか、そんな事になっていたのか……」

 俺はディングに今の現状を伝えた。

「確かに、エルフの長から何度も文が届いていた。内容も人間族と戦う協力をして欲しいと書いてあったな」
「そうだよー。大鎌さんは皆んなに協力求めてたのに、なんで助けてくれなかったのー?」

 ロピが思っている事を率直に口にした。

「むぅ……それを言われると、困るな」

 普段は、些細な事を気にしなさそうなディングが申し訳無さそうにする。

「アトス達が絡んでいた分かっていれば、無理してでも協力をしていたんだがな……」

 ディングの言葉が嬉しくもあるが、もし仮に炎弾との戦いでオーク達が居れば被害はもっと抑えられただろう……

「今回、ディングにはお願いがあって来た」
「……」
「実は、これから更に大きな戦いがある──相手は分かっている思うが人間族であり、それも全兵力が投入してくる。だからその戦いにディング達オーク族も参加して貰いたい」

 俺はディングに向かって頭を下げると、それに従い隣に座っていたロピとチル、リガスも一緒になって頭を下げる。

 その様子を見たディングが慌てた様子で口を開く。

「や、やめろ。俺はお前達に一度救われた身だ──そんな風に頭を下げなくても協力はするつもりだ!」
「本当かッ!?」
「あぁ。もちろんだ」

 ディングの言葉に俺達は喜ぶ。

 そして、俺は炎弾達の戦いで感じた違和感の一つが、今この瞬間に分かった。

「あッ!?」

 俺の驚いた表情に皆が注目する。

「アトス様、どうされたのでしょうかー?」

 皆んなが心配する中、俺は頭を掻き毟る。

「クソー、なんであの時、気がつかなかったんだよ……」
「お兄さん、どうしたのー?」

 ロピの声に俺は応える。

「実は炎弾達と戦った時、相手側には人間族と二つの種族が居た」
「二つの種族だと?」

 ディングが聞き返して来る。

「あぁ、オーガ族と……ゴブリン族だ」
「ッ!?」
 
 俺が言った種族を聞いてディングの表情が険しくなるのを感じる。

「仲間の報告では、ゴブリンを率いていた者はグダと名乗った様だ」
「ほぅ……アイツか……」

 ディングの口元がニヤける。

「あの裏切り者が生きていたか……がははは、アトスよ我々オーク族は、戦いに参加するぞ! ──なんとしても、あのクソ野郎をぶち殺して仲間達を弔う」

 以前、グダというゴブリンの策略によってディング達の仲間が大勢殺された。
 その際のディングの悲しみは想像を絶する程のものだろう。

 ディングはいつか仇を取りたいと思っていのだろう。
 グダの話を聞いた瞬間から様子が少し変わった。

「直ぐ協力しよう! と言いたい所なんだけどな……」

 今にも、飛び出した人間族の住処に突っ込んで行きそうな様子のディングだったが、急に歯切れの悪い感じで言葉を切るディングが気になった。

「何かあったのか?」

 俺の質問にディングは押し黙る。

「ちょっと……な」
「何があった?」
「いや、これは俺達オーク族の問題だから気にしないでくれ」
「いや、ディングには一日でも早く戦いに集中してもらえる為に俺達で協力出来る事があれば手伝うぞ?」

 俺の協力の申し出を聞いてディングは決意した様に口を開ける。

「実は……村の近くの場所で少し前からモンスターが住み着いてしまった……」 

 忌々しそうな表情を浮かべる。

 ん? モンスターの、一体くらいであれば、いくら少ない人数でも下手したらディング一人で討伐可能だろう──しかし、そうでは無いのだろう。

「モンスターは沢山いるのか?」

 ディングが首を振る。

「いや、住み着いたのは一体だけだ」
「一体だけならそのモンスターを、倒しちゃえば、いいんだよ!」 

 ロピがディングに対して思った事を再び口にする。

「俺も、出来ればそうしたかったが……出来なかった」
「どういう事だ?」
「……住み着いたモンスターは中型だ。あの裏切り者に殺された仲間達が居れば、もしかしたら何とか出来たかもしれない──いや……仲間が居たとしても中型相手では分が悪かったな」

 どうやら、ディングは人間族達との戦争に参加するのは問題無いが、村の近くに中型が住み着いてしまった為、もしなんかあった場合、子供や年寄りなどを避難、或いは守る為には村を離れるわけにはいかない様だ。

「だから、済まない。少しでも早く中型を倒せる為の案を考えて俺達、オーク族も戦いに参加出来る様に努力する」

 ディングが申し訳無さそうにする。俺は直ぐ様、隣に居た皆んなの方を見ると、三人はそのまま、ゆっくりと頷いた。

 はは、流石、俺の家族だな……考える事は皆んな一緒だ。

 心が通じ合っている事を嬉しく思いながら俺はディングに対して口を開く。

「ディング、俺達が中型討伐に協力するぜ!」

 その言葉を聞いたディングは目を見開くのであった……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

アトハ
ファンタジー
【短いあらすじ】 普通を勘違いした魔界育ちの少女が、王都に旅立ちうっかり無双してしまう話(前世は病院少女なので、本人は「超健康な身体すごい!!」と無邪気に喜んでます) 【まじめなあらすじ】  主人公のフィアナは、前世では一生を病院で過ごした病弱少女であったが……、 「健康な身体って凄い! 神さま、ありがとう!(ドラゴンをワンパンしながら)」  転生して、超健康な身体(最強!)を手に入れてしまう。  魔界で育ったフィアナには、この世界の普通が分からない。  友達を作るため、王都の学園へと旅立つことになるのだが……、 「なるほど! 王都では、ドラゴンを狩るには許可が必要なんですね!」 「「「違う、そうじゃない!!」」」  これは魔界で育った超健康な少女が、うっかり無双してしまうお話である。 ※他サイトにも投稿中 ※旧タイトル 病弱少女、転生して健康な肉体(最強)を手に入れる~友達が欲しくて魔境を旅立ちましたが、どうやら私の魔法は少しおかしいようです~

スライムに転生した俺はユニークスキル【強奪】で全てを奪う

シャルねる
ファンタジー
主人公は気がつくと、目も鼻も口も、体までもが無くなっていた。 当然そのことに気がついた主人公に言葉には言い表せない恐怖と絶望が襲うが、涙すら出ることは無かった。 そうして恐怖と絶望に頭がおかしくなりそうだったが、主人公は感覚的に自分の体に何かが当たったことに気がついた。 その瞬間、謎の声が頭の中に鳴り響いた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

最強賢者の最強メイド~主人もメイドもこの世界に敵がいないようです~

津ヶ谷
ファンタジー
 綾瀬樹、都内の私立高校に通う高校二年生だった。 ある日、樹は交通事故で命を落としてしまう。  目覚めた樹の前に現れたのは神を名乗る人物だった。 その神により、チートな力を与えられた樹は異世界へと転生することになる。  その世界での樹の功績は認められ、ほんの数ヶ月で最強賢者として名前が広がりつつあった。  そこで、褒美として、王都に拠点となる屋敷をもらい、執事とメイドを派遣してもらうことになるのだが、このメイドも実は元世界最強だったのだ。  これは、世界最強賢者の樹と世界最強メイドのアリアの異世界英雄譚。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

処理中です...