過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

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第10章

429話

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「マーズよ、早く行くぞ!」
「貴方が、いつまで経っても朝食を食べていたのでは無いですか……」
「う、うるさい! それで……今日は何で集まるんだ?」

 はぁ……なんで私はこんな者の下で何時迄も働いていているのだろう……

 炎弾率いる、人間族、オーガ族、ゴブリン族の兵でエルフの村に襲撃し、返り討ちに遭ってから二ヶ月程経過した。

 エルフの村では一度もアトスさん達に会えぬまま、結局人間族の住処に戻って来てしまった。

 しかも、戻ってみると何故か王様が変わっており、ラシェン王から遊撃隊隊長であったカールが王様になっており、大層驚いた。

 リンクスなんかは、涙を流して悲しんでおり、ラシェン王を殺害した者に復讐を果たすと宣言したくらいである。

「マーズよ、私の話を聞いているのか?!」
「あぁ、すみません。なんでしょうか?」
「はぁ……お前はダメな部下だな」

 リンクスの言葉に一瞬だけイラッとするが、こんな事でいちいち怒って居たら、私の体は持たないだろう。

「だから、今日は何故集まるんだと聞いている」
「今日は我々が相手したエルフ達についての報告会とこれからの事についての話し合いが行われる様です」
「なに?! 確かに……報告など一切していなかったが、流石に遅過ぎないか?」

 恐らく、上層部の者達は帰国後直ぐに報告会を開いたのだろうが、私達みたいな一兵士達の意見も聞く為に、改めて報告会を開くのだろう。

 本来であれば、地位だけは、そこそこ上であるリンクスも最初の報告会に呼ばれでもいい筈だが……どうやら呼ばれなかった様だ。

「我々のラシェン王を殺害した獣人族は本当に許せん! この私が必ずや成敗してみせましょう!」

 リンクスは亡くなったラシェン王に向かって宣言しているのか、腰に刺していた剣を引き抜き天に向かって翳していた。

「さぁ、リンクス様いきますよ」

 時間もギリギリの為、私はリンクスを急かして講堂に向かって早々と歩き出す。

「ま、待て! 上司である私より前を歩くんじゃ無い!」

 剣を帯びに仕舞い込み、リンクスは走りながら追いついて来る。

 暫く急ぎ気味で歩き、なんとか時間内に間に合う事が出来た。

「ふぅ……ギリギリだったじゃ無いか。お前がちゃんと私に予定を伝えていないのが悪いんだぞ?」
「申し訳ございません」
「ふんッ。次から気を付ければ問題無い」

 気の無い返事で謝った私はリンクスでは無く講堂内に居る人物達を確認する。

 ……大分、人物が様変わりしているな。
 地位の高いと思われる人物達の顔触れを見ていると、以前ラシェン王が存命だった時の者達は一人も居らず、全員が新顔であった。

 何かがおかしい……

「マーズよ……マーズよ!」

 考えに集中していた為かリンクスが読んでいた事に気付かず、肩を揺らされてハッと気がつく。

「どうしましたか?」
「今日は私のフィアンセは来るのか?」
「フィアンセ?」

 リンクスは落ち着き無く講堂内を見回して、誰かを探している様子である。

「むぅ……カール王と一緒に登場という事か……?」

 リンクスが不満そうな表情をしている。

 ……あぁ、フィアンセっていうのは炎弾であるヘラデスの事か。

「きっと、ヘラデス殿は深く悲しんでおられると思うんだ……」

 リンクスは悔しそうに口の端を噛み締めている。

「自身が留守の間に尊敬されていたラシェン王が殺害され、きっと今は心がグチャグチャだろう──こんな時に婚約者である私が側に居られないとは……」
「……」

 この男は一体どこまで本気なのだろうかと、考える時がある……
 まず、第一にヘラデスに婚約者は居ない。第二にヘラデス様はリンクスの事を認知していない。
 そして最後、第三に噂ではラシェン王が殺害された事を聞いたヘラデスはその場で大笑いしていた様だ。

「クソッ……自分の不甲斐なさが情けない!」
「……」

 オーバーリアクション気味にリンクスは顔を上に向けて片手で顔を抑えていた。

「ほほほほ、貴方の姿を見ていると、心が落ち着きますな」
「──ッガバイ!?」
「お久しぶりですね、リンクスさん」

 そこには、でっぷりとした身体を揺らして近づいて来るガバイの姿が見えた。

「リンクスさんは、いつからヘラデス殿の婚約者になられたのですかな?」

 可笑しそうに笑いながらリンクスに問い掛ける。

「フンッ。確かに今は婚約者では無いが、私とヘラデス殿は運命で結ばれているのだ! いずれ、私の嫁になるのは分かり切っている事だ!」

 リンクスの超絶理論に流石のガバイを呆気に捉えているが、すぐに表情を、戻す。

「ほほほほ、貴方は本当に頭が足りない様ですな」
「なんだと!?」

 ガバイがリンクスを揶揄っていると、大きな大太鼓が一度音を立てた。

「む? どうやらお時間の様ですね」
「お前は私から離れた場所に移動しろ!」
「まぁまぁ、良いじゃ無いですか。それよりも来られましたぞ?」

 以前同様、王様を先頭にその背後にはグンドウとヘラデスが付き従う様に数歩後ろを歩いていた。

 そして、前はラシェン王が歩いていた場所に新王であるカールが歩いていた……
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