440 / 492
第10章
439話
しおりを挟む
「アトス様、お久しぶりです──チルも皆さんも」
村の門で待っていると、グインがこちらに向かって歩いてきた。
「グイン久しぶり」
「先生、お久しぶりです」
「久しぶりー!!」
「ほっほっほ。皆さん変わっておりませんな」
俺達はグインにそれぞれ挨拶をする。
「立ち話も、何ですのでどうぞ家に来て下さい──美味しい食事を用意させます」
「ご飯!? いっぱい食べていいのー?」
「はは、勿論だ。沢山食べて貰った方が俺達も嬉しい」
「やったー!」
「先生ありがとうございます」
俺達はグインの後を付いていく。少し気になったのは、村人達は俺達の事を見て嬉しそうにしているが、何処か表情が影っている感じがした。
「リガス……なんかおかしく無いか?」
俺は周りには聞こえない様にしてリガスに村の様子を聞いてみる。
「ふむ。言われてみれば……確かに何か様子がおかしいですな?」
リザードマンの皆んなは俺達とすれ違う度に笑顔で歓迎してくれるし、何かと食べ物を寄越してくる。その食べ物自体は全てロピが受け取り、食べ歩き的な感じでグインの家に向かうのであった。
「あはは、ここの村は最高だよ!」
「姉さん、食べ過ぎるとご飯食べられなくなるよ?」
「大丈夫、大丈夫! 私の胃袋はモンスターより大きいんだから!」
ほとんど、目が開いていないくらいに目を細めて果物などを堪能するロピ。そんな様子を見てグインは微笑ましいものを見るかの様に表情を緩めている。
「チルよ、その後訓練は続けているのか?」
「はい。先生に教えて貰った事は毎日欠かさずやっています」
「うん。お前ならサボらずやるとは思ったが、見事だ──後で時間が空いた時にでも見てやろう」
「ありがとうございますッ!」
グインの言葉に嬉しそうにするチル。
「はは、見ると言っても、リガスさんに毎日見て貰っているなら、俺なんかに見て貰っても意味なさそうだがな」
「いえ、そんな事ありません。それにリガスは私に戦闘の事を一切教えてくれないのです」
グインにそう言うと、チルはリガスの事を睨み付ける。
「ほっほっほ。この世界の何処に執事がご主人様に戦闘を教えるのです。チル様は私が守りますので戦闘を覚える必要ございませんな」
これまでに、チルは何度もリガスに対して戦闘訓練をして貰う様な頼み込んでいたが、毎回リガスは断っていた。
「魔族さん、絶対にチルちゃんに教えないもんねー」
「ほっほっほ。チル様はご主人様ですからな、戦闘なんて本来不要なのですよ」
この一点張りで、リガスはチルに教える気は無い様だ。
「いつも、こんな調子なので是非先生に見てもらいたいです」
「はは、そうか。分かった──時間空いた時にでも見てやろう」
「ありがとうございます」
そんな会話をしていると、グインが何人かのリザードマン達を呼ぶ。
「村長、どうかしましたか?」
「あぁ、アトス様達がこの村に来てくれたのでな、今日は宴会の準備をしてくれ」
「ですが……いいのですか?」
「あぁ。もちろんだ──アトス様達はこの村の恩人だからな、盛大に祝おう。それに村人達にも安らぎは必要だろ?」
「そう……ですね! 分かりました!」
そう言って、リザードマン達は宴会の準備を行うために各自散らばった。
「わー、なんか楽しみー!! これは美味しい食事が期待できそうだよ!」
口から涎を垂らしながらロピは嬉しそうに笑っている。
「さぁ、アトス様こちらが我が家です」
「おー……すげぇーな……」
グインに案内して連れて来られたのは、村で唯一の永住型の建物であった。
「はは、あの件以来、私が村長になりましたからな──村長宅に引っ越しました」
「先生に似合う立派な家です」
「本当に凄いねー、大きいねー!」
その建物は簡易型の住居の何倍も大きく、頑丈そうだ。
「さぁ、どうぞ中に──おーい、アトス様が来られたぞ!!」
グインの言葉にパタパタと足音を鳴らして姿を現したのはグインの奥さんと娘であった。
「アトス様、それに皆さんお久しぶりです──その節は大変お世話になりました」
グインの奥さんは深々と頭を下げる。それに習いグインの娘もお辞儀した。
「この村に居る時は是非ここで寝泊まりをして下さい。部屋は余っております」
「ありがとう、そうさせて貰うよ」
「ほっほっほ。丁寧なもてなし感謝ですな」
「先生の奥さんは美人……そして娘さんは可愛い」
「あはは、今日から此処が私達の寝床なんだね!」
グインの奥さんと娘さんは今夜開かれる宴会の準備を手伝うという事で、お茶を用意して準備に向かった。
「どうぞ、お座り下さい」
大きい木製の円卓を囲み俺達は座る。
出されたお茶を啜り、一息付くとグインが口を開いた。
「それで、アトス様達は何故この村に?」
俺達四人は顔を見合わせて、頷く。そして今回リザードマン達の村に来た経緯を話す事にした……
村の門で待っていると、グインがこちらに向かって歩いてきた。
「グイン久しぶり」
「先生、お久しぶりです」
「久しぶりー!!」
「ほっほっほ。皆さん変わっておりませんな」
俺達はグインにそれぞれ挨拶をする。
「立ち話も、何ですのでどうぞ家に来て下さい──美味しい食事を用意させます」
「ご飯!? いっぱい食べていいのー?」
「はは、勿論だ。沢山食べて貰った方が俺達も嬉しい」
「やったー!」
「先生ありがとうございます」
俺達はグインの後を付いていく。少し気になったのは、村人達は俺達の事を見て嬉しそうにしているが、何処か表情が影っている感じがした。
「リガス……なんかおかしく無いか?」
俺は周りには聞こえない様にしてリガスに村の様子を聞いてみる。
「ふむ。言われてみれば……確かに何か様子がおかしいですな?」
リザードマンの皆んなは俺達とすれ違う度に笑顔で歓迎してくれるし、何かと食べ物を寄越してくる。その食べ物自体は全てロピが受け取り、食べ歩き的な感じでグインの家に向かうのであった。
「あはは、ここの村は最高だよ!」
「姉さん、食べ過ぎるとご飯食べられなくなるよ?」
「大丈夫、大丈夫! 私の胃袋はモンスターより大きいんだから!」
ほとんど、目が開いていないくらいに目を細めて果物などを堪能するロピ。そんな様子を見てグインは微笑ましいものを見るかの様に表情を緩めている。
「チルよ、その後訓練は続けているのか?」
「はい。先生に教えて貰った事は毎日欠かさずやっています」
「うん。お前ならサボらずやるとは思ったが、見事だ──後で時間が空いた時にでも見てやろう」
「ありがとうございますッ!」
グインの言葉に嬉しそうにするチル。
「はは、見ると言っても、リガスさんに毎日見て貰っているなら、俺なんかに見て貰っても意味なさそうだがな」
「いえ、そんな事ありません。それにリガスは私に戦闘の事を一切教えてくれないのです」
グインにそう言うと、チルはリガスの事を睨み付ける。
「ほっほっほ。この世界の何処に執事がご主人様に戦闘を教えるのです。チル様は私が守りますので戦闘を覚える必要ございませんな」
これまでに、チルは何度もリガスに対して戦闘訓練をして貰う様な頼み込んでいたが、毎回リガスは断っていた。
「魔族さん、絶対にチルちゃんに教えないもんねー」
「ほっほっほ。チル様はご主人様ですからな、戦闘なんて本来不要なのですよ」
この一点張りで、リガスはチルに教える気は無い様だ。
「いつも、こんな調子なので是非先生に見てもらいたいです」
「はは、そうか。分かった──時間空いた時にでも見てやろう」
「ありがとうございます」
そんな会話をしていると、グインが何人かのリザードマン達を呼ぶ。
「村長、どうかしましたか?」
「あぁ、アトス様達がこの村に来てくれたのでな、今日は宴会の準備をしてくれ」
「ですが……いいのですか?」
「あぁ。もちろんだ──アトス様達はこの村の恩人だからな、盛大に祝おう。それに村人達にも安らぎは必要だろ?」
「そう……ですね! 分かりました!」
そう言って、リザードマン達は宴会の準備を行うために各自散らばった。
「わー、なんか楽しみー!! これは美味しい食事が期待できそうだよ!」
口から涎を垂らしながらロピは嬉しそうに笑っている。
「さぁ、アトス様こちらが我が家です」
「おー……すげぇーな……」
グインに案内して連れて来られたのは、村で唯一の永住型の建物であった。
「はは、あの件以来、私が村長になりましたからな──村長宅に引っ越しました」
「先生に似合う立派な家です」
「本当に凄いねー、大きいねー!」
その建物は簡易型の住居の何倍も大きく、頑丈そうだ。
「さぁ、どうぞ中に──おーい、アトス様が来られたぞ!!」
グインの言葉にパタパタと足音を鳴らして姿を現したのはグインの奥さんと娘であった。
「アトス様、それに皆さんお久しぶりです──その節は大変お世話になりました」
グインの奥さんは深々と頭を下げる。それに習いグインの娘もお辞儀した。
「この村に居る時は是非ここで寝泊まりをして下さい。部屋は余っております」
「ありがとう、そうさせて貰うよ」
「ほっほっほ。丁寧なもてなし感謝ですな」
「先生の奥さんは美人……そして娘さんは可愛い」
「あはは、今日から此処が私達の寝床なんだね!」
グインの奥さんと娘さんは今夜開かれる宴会の準備を手伝うという事で、お茶を用意して準備に向かった。
「どうぞ、お座り下さい」
大きい木製の円卓を囲み俺達は座る。
出されたお茶を啜り、一息付くとグインが口を開いた。
「それで、アトス様達は何故この村に?」
俺達四人は顔を見合わせて、頷く。そして今回リザードマン達の村に来た経緯を話す事にした……
0
あなたにおすすめの小説
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?
さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。
僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。
そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに……
パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。
全身ケガだらけでもう助からないだろう……
諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!?
頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。
気づけば全魔法がレベル100!?
そろそろ反撃開始してもいいですか?
内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!
異世界での異生活
なにがし
ファンタジー
役職定年を迎えた男が事故に巻き込まれケガをする。病院に運ばれ治療をしていたはずなのに、なぜか異世界に。しかも、女性の衣服を身に着け、宿屋の一室に。最低な異世界転移を迎えた男が、異世界で生きるために頑張る物語です。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
十和とわ
ファンタジー
悲運の王女アミレス・ヘル・フォーロイトは、必ず十五歳で死ぬ。
目が覚めたら──そんなバッドエンド確定の、乙女ゲームの悪役王女に転生していた。
十五歳になると身内に捨てられるわ殺されるわ……とにかく死亡エンドだけがお友達な悲運の悪役王女、それがアミレス。
だからやってみせるぞ、バッドエンド回避! なにがなんでもハッピーエンドを迎えてみせる!!
手の届く範囲だけでも救って、幸せになって、最期に最高の人生だったって笑って寿命で死にたいもの!
……と、思っていたのだけど。何故か悪役王女の私がすごく愛されてしまっている? 本当に何故? どうして攻略対象達や色んな人達の様子がおかしくなってしまってるの!?
登場人物もれなく全員倫理観が欠如してしまった世界で、無自覚に色んな人生を狂わせた結果、老若男女人外問わず異常に愛されるようになった転生王女様が、自分なりの幸せを見つけるまで。
〇主人公が異常なので、恋愛面はとにかくま〜ったり進みます。
〇毎週金曜更新予定です。
〇小説家になろう・カクヨム・ベリーズカフェでも連載中です。
〇略称は「しぬしあ」です。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる