過酷な場所で生き抜く為に──食物連鎖の頂点が巨大モンスターの世界で死ぬ気で生き抜きます

こーぷ

文字の大きさ
469 / 492
第10章

468話

しおりを挟む
 村では、生還祝いとして、宴会を開く事にした様で、私達も誘われたが、そんな気分では無いのと、疲れが溜まっていたので丁重に断り私は直ぐにベットに身体を放り投げた。

「ふぅ……」

 疲れている筈なのに、何故か眠れない………

 すると、扉を叩く音がした。

「チルちゃん……一緒に寝よー?」
「うん、いいよ」

 姉さんは、部屋に入って来て一人用の寝具に入って来た。

「「……」」

 姉さんも私も、一言も話さないし、話す気力も残っていないかもしれない……

 静寂な部屋には、外から聞こえて来る宴会の音が入って来る。

 太鼓がドンドンと鳴り響き、寝るのには適さない環境ではあるが、今はそれが有難い。

 理由は私も姉さんも同じだ……

「ヒック……ヴッ……おにい……さん……弱くて……ごめんなさい……」

 姉さんは泣いている。そして私も泣いている……

 お互い、背中を突き合わせている為、嗚咽しているのがお互いに伝わっているだろう。

 しかし、泣き声を太鼓の音が掻き消してくれる為、感謝の気持ちしか無い。

 ……アトス様は私達の為に犠牲になった。そして、あの状況を考える限り生きては居ないだろう。

 考えれば、考える程悲しくなり、涙が溢れ出る。そして、最後に行き着くのは、自分の弱さに対する怒りである。

 もっと強ければ……

 もっと強くなる訓練していれば……

 上げればキリが無い事は分かっている。
 これまでに自身の訓練をサボった日も無ければ、妥協した日も無い。

 しかし、もっと出来た事が有ったのでは無いか?
 もっともっと、努力出来たのでは? と頭の中でグルグルと考えてしまう。

 隣では、姉さんが自身の弱さに嘆き、アトス様に対して謝っている──しかし、姉さんは十分アトス様の役に立てていたし、姉さんが居なければ生き残れ無い場面は何度もあった。

 それに比べて私は、居ても居なくても変わらなかっただろう。

 多少は、戦闘などで辛くなったかもしれないが、アトス様、姉さん、リガスの三人が居れば普通に問題なかった筈だ。

 そう考えると自分という存在にますますイライラしてしまう。

 せっかく、アトス様は私と姉さんを地獄の底から救い出してくれた。
 それだけでは無く、そのまま私と姉さんを拾って育ててくれた……

 私はアトス様に出会う前は毎日、神様に地獄の日々から救い出してくれる様にお祈りしていた。

 毎日……毎日……毎日だ。

 そして、ある日アトス様が現れた。浅はかな私は、最初にアトス様を見た時は、怪しいと感じてしまったが、間違えだった……

 アトス様は、姉さんを虐める男達を倒し、一生出られないと思ったスラム街から出してくれて、いつもお腹が空いていた空腹感を満たし、外の世界で生きていける様に鍛えてくれた……

 そんな、アトス様に一体私は何をしてあげられただろうか? ──いや、何もして無い。

 終いには、私達を守る為に片腕を失くして、最後は自分自身の命を犠牲にしてまで守ってくれた……

 本当に凄いお方だったな。

 それから、私達は一つの狭い寝具で泣き続けた、それはもう、涙が枯れるまでだ。

 一体どれくらい時間が経ったか分からないが、外の喧騒な気配は無くなり、本当の静けさが部屋を包む。

「チルちゃん……」
「なに?」

 姉さんが、ガラガラな声で話し掛けて来る。

「お兄さんは、私達を守る為に囮になったんだよね……?」
「うん……」
「私達って弱いよね……」
「うん……」
「おにい……ゔぅ……さんは……ヴッ……」

 枯れるまで泣いた筈なのに姉さんの目からは涙が再び湧き上がる。そして私の目からも……

 そして、私達はお互い正面に向かい合い、再度泣き始める。

「わだじが……よわがっだがら……ヴッ……」
「ううん……姉さんのせいじゃ無いよッ……ヴッ……ワダジのせい……ヴッ……」

 再び私達は嗚咽でまともに言葉が紡げなかった。

 恐らくどっちが悪いと言う事は無いのだろう……悪いのは私達二人の所為だ。

「うん……そうだね……ゔぅ……チルちゃんの言う通り私達二人が弱いのがいけなかったんだね……」
「うん……」
「チルちゃん……」

 姉さんが、自分の袖で涙を拭う。

「私達、強くなろうッ──このままじゃダメだよ」

 泣いた所為で、姉さんの目はとても腫れているが、目の奥には力強い意志が宿っている。

「お兄さんは、こんなメソメソしている私達を望んで無いよ!」

 ……私と姉さんの差はこれなのだろうと、私は思った。

 いつまでも、ウジウジ考えていた私と違い、姉さんは悲しんだ後に次の行動を直ぐに起こす事が出来る人である。

 普段は怠け者でふざけている時もあり、勘違いされる事もあるけど、やっぱり姉さんは凄い。

「あはは……チルちゃんの表情が少し良い感じになってきたね」

 姉さんは、いつも私を引っ張って行ってくれる。私がどんな道を歩めば良いか悩んでいても、必ず良い方に導いてくれる。

「チルちゃん、村に帰ったら特訓だよー! えいえいおー!」

 姉さんに着いて行けば、何とかなる──だけど、今回は、ただ姉さんの背中を追い掛けるだけじゃダメだッ。

 それだと私は成長しないし、姉さんと肩を並べて戦う事が出来ないッ!!

「それじゃ、早速明日にはココを出てエルフの村に帰ろう!」
「うん」
「あはは、チルちゃん大丈夫だよ! チルちゃんには私が居るからね!」
「うん……」

 それから明日は起きたら直ぐにこの村を出る事を決め、姉さんがリガスに伝えに行く為、部屋を出て行った。

 私も、ある事を考えながら姉さんの後を追いリガスの所に向かう……

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

異世界ラグナロク 〜妹を探したいだけの神災級の俺、上位スキル使用禁止でも気づいたら世界を蹂躙してたっぽい〜

Tri-TON
ファンタジー
核戦争で死んだ俺は、神災級と呼ばれるチートな力を持ったまま異世界へ転生した。 目的はひとつ――行方不明になった“妹”を探すことだ。 だがそこは、大量の転生者が前世の知識と魔素を融合させた“魔素学”によって、 神・魔物・人間の均衡が崩れた危うい世界だった。 そんな中で、魔王と女神が勝手に俺の精神世界で居候し、 挙句の果てに俺は魔物たちに崇拝されるという意味不明な状況に巻き込まれていく。 そして、謎の魔獣の襲来、七つの大罪を名乗る異世界人勇者たちとの因縁、 さらには俺の前世すら巻き込む神々の陰謀まで飛び出して――。 妹を探すだけのはずが、どうやら“世界の命運”まで背負わされるらしい。 笑い、シリアス、涙、そして家族愛。 騒がしくも温かい仲間たちと紡ぐ新たな伝説が、今始まる――。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

EX級アーティファクト化した介護用ガイノイドと行く未来異星世界遺跡探索~君と添い遂げるために~

青空顎門
SF
病で余命宣告を受けた主人公。彼は介護用に購入した最愛のガイノイド(女性型アンドロイド)の腕の中で息絶えた……はずだったが、気づくと彼女と共に見知らぬ場所にいた。そこは遥か未来――時空間転移技術が暴走して崩壊した後の時代、宇宙の遥か彼方の辺境惑星だった。男はファンタジーの如く高度な技術の名残が散見される世界で、今度こそ彼女と添い遂げるために未来の超文明の遺跡を巡っていく。 ※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

お妃さま誕生物語

すみれ
ファンタジー
シーリアは公爵令嬢で王太子の婚約者だったが、婚約破棄をされる。それは、シーリアを見染めた商人リヒトール・マクレンジーが裏で糸をひくものだった。リヒトールはシーリアを手に入れるために貴族を没落させ、爵位を得るだけでなく、国さえも手に入れようとする。そしてシーリアもお妃教育で、世界はきれいごとだけではないと知っていた。 小説家になろうサイトで連載していたものを漢字等微修正して公開しております。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...